「まぁ、予想は着いてた」
「なぬぅ!?」
「だってそうだろ?情報発信できないって事は機械に詳しい
「ウヌゥ…ふふふ、ふぅうははははははは!!」
急に高笑いしだす材木座、なんだ?強がりか?
「八幡よ、そんなんでマウンティングしたつもりだが我にはまだ2つ程自慢できる事があるぞぅ?」
「どうしたよ」
「外に助けを求めた!!」
バサりとコートをはためかせダサいポーズを取る。ギニュー特戦隊みたいなポーズを想像してくれ。
「!!」
「そして!なにやら地図を入手した!」
プリントアウトされた紙を渡される。これは…研究所の見取図?見た所中々のデカさだ。
「それに、何やら文書の一部を手に入れた」
渡されたメモを読む。
「なになに?『重要参考人は地下3階の…に収容』?」
「地図の場所は地図で特定済みだ」
有能だなぁ、おい。
「よくやった!」
材木座の肩を掴みグワングワンと揺らす。
「はぽん?」
「そこに潜入できればこの事件の犯人の尻尾を掴めるかもしれん」
「し、しかしだ!外には悪魔が彷徨いておる!死ぬぞ?」
「死なねぇよ、あんな奴ら皆殺しにしてやる」
「……本当に、変わったな」
悲しいのか嬉しいのか分からない感情を含んだ声で材木座が呟く。
「今夜行ってくる」
「くれぐれも気をつけるのだぞ」
「おう、あんがとな」
見取り図を貰い部屋を後にする。紙袋は被り直す。
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昼になった。
「ちょっといい?」
『?』
「昼ごはんの配給…手伝ってくれない?人手が足りなくて」
「わ、分かりました」
動き出すベルに着いていく。ベートは「ちっ、なんで俺が…」とかボヤいている。きっと戦いたいのだろう。
校庭に出て仮設テントまでいくと炊き出し用の米とスープが入った銀のドラム缶が用意されていた。川崎から詳しい配給方法を聞く。デカいおたま一杯のスープに決められた器一杯に米を入れるとの事だ。
「こんなんなら外出て悪魔共殺しまくった方がマシだ」
「珍しいな、テメェと同意見なんてよ」
ベートとハチマンがボヤきながら配給を進めていく。こういう作業に関しては不器用なのかアイズはたどたどしく危なっかしい為、ちょくちょくハチマンが手助けをする。
「ありがとう…」
「慣れないよな」
「ううん、闇派閥との戦争が昔にあったから…慣れない私が悪い」
「そんなのがあったのか…」
「うん…」
オラリオも戦争すんのか。と内心複雑な感情になるハチマン。ふと配給待ちの人達を見渡す。そこに笑顔なんて物は存在しなかった。今を生きるのに精一杯であった。
カラン…
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お玉をその場に置く。その音にその場にいる全員がハチマンを見る。
「ハチマン?どこか調子悪いの?」
「いや、バカみたいだって思ったんだ」
急にこんな事言って自分でも本当に訳が分からない。いつもなら、オラリオに来る前なら、変な夢を見なければ、コイツらと関わらなければきっと俺はもっと冷たく、鋭くあれた。
「アイズさん…今は…」
ベルが俺の名前を訂正しようとする。
「いや、いいんだ。俺の名前は比企谷八幡で…いいんだ」
ブルルルルルゥゥウウウン!!!
激しいエンジン音と共に現れたのは赤いバイクに跨った葉山だ。周りの人間が群がるが葉山は小さく電流を流す事でそれを遮る。バイクと俺の間に人が空けた道ができる。
「やっと腹が決まったんだな…比企谷」
「もうなりふり構わない。俺は千葉を救う事にした」
葉山から鍵を受け取る。
「金田のバイク…」
「君も好きなんだろ?僕もだ」
葉山とグータッチをする。
「ハチマン…」
ベルが心配そうにやって来る。ヴェルフもリリルカも命さんもそうだ。アイズさんとベートだって近付く。
「情けない所見せた」
「ううん」
「おい、目標は決まってんのかよ」
「目星は付いてる」
「いや、お前達はここを守ってくれ。悪魔共がなりふり構わず押し寄せてくるかもしれん」
こんな物はいらないな、と紙袋を取る。周りの息を飲む声が鮮明に聞こえる。ヤハタ・サーティーン…短い間だが世話になった。こっから先は比企谷八幡に任せて欲しい。
「お兄、ちゃん?」
人混みの中からヨロヨロと現れる3つの影。その正体はかつての父と母と妹だった。
「よう、久しぶりだな」
「アンタ…どうして」
「死んだ筈じゃ…」
死んだ筈の息子が生き返ったのに恐怖を抱いているのか声が震えている。足は付いてるぞ。
「アンタらに構ってる暇はない」
「アンタらって…家族、でしょ?」
「悪いな母ちゃん、俺の家族はガキの頃に死んでんだよ」
バイクに跨りエンジンを付ける。タイヤの縁が緑のプラズマを発する。葉山はスピード抑えていたがこれはもっと早く走れる。
「行ってくる」
「まっ……」
アクセルを全開で捻り、誰かの静止を振り切り、学校を走り去る。轟音と共に走ってる為、悪魔がわんさかと寄ってくる。もしかしたらボスが寄越したのかもしれない。
「悪魔にモテたってなぁ…!!」
バン!
上空から強襲したつもりの悪魔の脳髄を威力の高いオンブラで吹き飛ばす。その周りの悪魔はバイクを走りながら回転させながら連写性能の高いルーチェで的確に目玉や頭を撃ち抜きながら材木座から教えてもらった研究所を目指す。
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「報告があった、1人向かってるらしい。バイクに乗ってるようだ。全員、位置につけ」
屋根の上にいる異形がほか6体の異形に声を掛ける。その異形達は個体差こそあるが、虫のような羽や顔に動物のような体に角を生やした天使のように白く、悪魔のように禍々しい生物だ。
「えーー、またやんのー?」
「まぁ、しょうがないよ。チャチャッと片付けよう?」
「早く帰ってハニトー食べたーい」
「っべー!!独りとかマジナニガヤくんなんだかー!」
「だな」
「それな」
手に付いた血を舐め、次のターゲットが予測されるルートに来るのを今か今かと待ち構える。
ブオオオオォォォォンン!!
「来たぞ…」
爪を尖らせ、低姿勢を取り、何時でも襲える構えにする。そのエンジンは段々と大きくなっていく。
ブオオオオォォォ……
「ぷぎゅ…」
突然止んだエンジン音、轟音が無くなったと同時に仲間の一体の情けない声がすぐ近くで聞こえる。スローモーションの様に声を出した仲間を見ると紫のコートの男に思いっきり鳩尾にドロップキックを入れられ、その男と一緒に吹き飛ぶのが見えた。
「姫菜!!」
「海老名さん!」
ドオオォォォン…
激しい衝撃と共に煙が上がる。
バキッ…ズルズル…バキッ…ズルズル…バキッ…
「なんの…おと…?」
煙が晴れると紫のコートを着た男に足を掴まれ、何度も屋根に頭を激突させられる仲間、異形と化した海老名姫菜の姿があった。
「もう伸びたか…弱っちぃな」
「「「「「「!!」」」」」」
その男に異形達は戦慄する。1,2ヶ月前に死んだ筈の男、比企谷八幡が頭に青筋を浮かべながら執拗に海老名姫菜をいたぶっていたからだ。
「や、やめ…やめろおおおお!!」
「とべっち!!」
鋭い爪を立て、八幡に突進する戸部翔。しかし常日頃から戦っている八幡からすれば鈍すぎる突進は通じなかった。
「………!」
「……え?……あ、れ?」
引き裂いた…と思った矢先、その爪には血が一滴も付いていない。なんなら戸部の全身に激痛が走る。何の事かと自身の体を確認すると何本もの赤い筋が全身に走っていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「………ちょせぇ」
後ろから声がするが、振り向かずとも分かる。遥かに超える速さで居合をされたのだ。それは彼が持っている日本刀が物語っている。戸部は力なくひれ伏した。
「わ、わあああああ!!」
「うおおおおお!!」
「ま、待て!」
主格の異形が2人を制止するがパニックに陥った2人はそれを無視し、八幡に突進する。
「チッ……学べよ」
コートの内側に手を入れる。手を出した時、その両手には白と黒のハンドガンが握られていた。
「「うわああああぁぁぁぁ!!!」」
「はァ……」
無数の銃撃が2人を襲う。その凶弾は2人の体中の肉を抉る。手足、胴体、頭はわざと外されている。
バタッ……
力なく倒れる2人、余りの呆気なさに逃げる気すら失せる残り3人。無言で怒りを体現している彼はゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
「どうだ?これが蹂躙される人の気持ちだ。お前達が殺して殺して殺しまくった人間達の気持ちだ」
「……して?」
「あ?」
「どうしてこんな事をするんだし!!」
「どうしても何も…人殺しの悪魔いたぶって咎められる筋があるかよ」
「ウチらは悪魔なんかじゃない!天使だし!!」
会話が成立しないバカに呆れる八幡。この馬鹿さ加減に見覚えがあるがきっと人違いだろう、と内心思っているが実際本人であった。
「うっさ…」
BANG!BANG!BANG!BANG!BANG!
無慈悲に撃ち出された弾が三体の異形の手足胴体を撃ち抜く。その痛みに喘いでいる三体に唾を吐く八幡。
「精々ここで痛がってろ…っ」
謎の頭痛が彼を襲う。千葉に来てから、いや、
「急ぐか…」
下に停めてあったバイクに跨る。因みにさっきの強襲のタネはクイックシルバーを発動させ、その間にバイクを停め、屋根に登ってドロップキックをかましたという事だ。なんとも地味な絵になるが、仕方ない。
ブオオオオォォォン…
そしてまたバイクを走らせる。
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「うぐっ…海老名さん…」
ちぎれかけている体を引きずって最愛の人物である海老名姫菜の元へ向かう。海老名はピクリとも動かない。
「戸部っち…?」
少し離れた所で倒れている由比ヶ浜が唯一無事だった顔を上げる。
「海老名さん、海老名さん、海老名さん…」
彼女の元に辿り着き、彼女の体を揺さぶる。いくら揺さぶっても目を開きすらしない。
「そんなっ…起きてくれよっ…」
「戸部…」
由比ヶ浜の近くで倒れていた平塚も戸部に注目する。その隣にいた三浦優美子は気絶している。
「海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん海老名さん……海老名ッさんッ……」
死亡…いくら悪魔の力を宿したとしても何度も頭を打ち付けられれば死ぬのも自明の理だった。
「帰天しても耐えられなかったのか…」
「そんな…じゃあ姫菜っちは……」
「死ん「死んでないッ!!」っ……」
「大丈夫…海老名さん、俺が今、助けるから…」
戸部翔はその口を海老名姫菜に近付ける。
「まさか…戸部!やめろ!」
「一緒に…復讐しよう…」
クチャ……
「な?姫菜」
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「ここが材木座の言ってた研究所…デカイな」
バイクをその辺に隠し研究所の中に入ろうとするが…黒服の人間がゾロゾロと出てきた。
「警告する!そこから一歩でも動けば容赦なく撃つぞ!!」
ハンドガンやらマシンガンを持っている。
「警備は厳重、さっきの悪魔と協力関係にあったと考えると…いや、どう考えてもビンゴだな……」
両手にベオウルフを装着する。
「なっ!我々は人間だぞ!?殺す気か!?」
「人間名乗るなら…人らしい事してから言えよな!」
「っ…構うな!撃てー!!」
右拳を地面に叩きつけると自分を中心にドーム状のエネルギーを発生させ、銃弾を弾き黒服達を巻き込む。バレてちゃ隠密もクソもない。
「うわーーー!!」
「魔力食うな…」
魔力効率の良い閻魔刀に持ち替えて室内を走り回る。追加の黒服達がワラワラとやって来る。放たれた銃弾を一つ一つ丁寧に閻魔刀で切り裂く。
「防人の一閃…その身に刻め!」
飛び上がり、閻魔刀を相手に向かって振り下ろす。蒼い斬撃は黒服達の元に落ち、青い爆発を巻き起こす。気分は歌って戦う防人だ。
「確か地下3階って言ってたなっ!!」
黒服の腹をぶん殴る。傍のエレベーターを起動させ、B3のボタンを押す。暫くしてエレベーターに乗り込み、目的値のボタンを押す。
ゴウンゴウン…と揺れに揺られるが、上から響いた1発の発砲音と共に俺の体はフワリと浮く。
「野郎っ…ケーブル切りやがった…」
地下3階はとんでもない深さにあるのか、暫く落ちていく。体はエレベーター内の床を離れ、無重力を擬似的に体験している。
「どうしよ…」
チュドーーーン!
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一方総武高校にて
「ちっ!!何体来やがる!」
ベートがもう何体目かも分からない悪魔の頭に蹴りを落とす。
「ふっ…!」
少し離れた場所にいるアイズも悪魔を三体同時に切り刻む。
「ぜぇやッ!」
ベルも空を飛ぶ悪魔に飛び移ってはナイフで切り刻むを繰り返していた。
「やつら…何体出てきやがる!」
「一々数えてたら…キリが…ありませんッ!」
「今は口よりも手を動かしましょう…!」
命の魔法で抑えた雑魚悪魔をリリルカが狙撃していく。ヴェルフは命やリリルカの護衛に専念している。
「はあああッ!!」
大剣から放たれた雷を落とし黒焦げにする。7人で学校に攻め入ろうとすら悪魔を返り討ちにしている。
「今になってどうして…」
(この学校を取り巻く環境が変化したのは僕達が来てから…いや、比企谷が学校を出てからだ。黒幕は比企谷を引き止めたいから悪魔を山ほど向かわせたんだろうが、比企谷八幡という男を見誤ったね…黒幕さん)
「でも…そろそろキツイなぁ…早く終わらせてくれよ…比企谷!!」
━━━━━━━━━━━━━━━
ガン!…ガン!…ガン!…ガァン!!
ひしゃげたエレベーターの扉を殴り飛ばす。
「………」
煙を手で払いながら先に進むが地下3階の異様な雰囲気に警戒する。それもそのハズ、景色が一段とおかしいからだ。壁は黄色や緑といった明色の入混ざった壁に何やら読み取れない言葉が書いてある。
「うっ…」
また頭痛がする。こんな時にやめて欲しい。幾本かの柱に固定された急ごしらえの(それでも頑丈だが)床はガツガツと踏むとまだ下に何かあるように音というか衝撃が響く。半径200mはありそうなドーム状の部屋であり、あちらこちらには研究所突入前に遭遇した悪魔に似た形状の死骸が無惨に転がっている。それも山ほどと。
「ちっ、薄気味悪ぃ…」
何かありそうな中央に歩いて向かう。すると倒れてる人が見えてきた。
「!」
駆け足で駆け寄るとその人物の詳細が分かった。重要人物が
「ッ!!」
思い切りこちらを見たその人は袖に隠し持っていたであろう悪魔の死体からむしり取った爪で喉を目掛けて突いてくる。しかしそんなスピードでは仕留めきれず、呆気なく手を掴まれる事でその人、雪ノ下陽乃の奇襲は幕を閉じた。
「ひき、がや…くん…?」
「話は後、逃げますよ」
「きゃっ」
お姫様抱っこ…ではなく、首に巻き付けるように担ぐ。これなら戦えない事もない。
「ろまんが、ない、なぁ……」
「ごちゃごちゃ言ってると舌噛みますよ」
パチパチパチ…
出口に向かって歩き出そうとすると拍手が室内に響き渡る。何事かと音のした方を見る。
「柱に隠れてると祝う意味ないだろ…雪ノ下」
「あら、そうかしら?貴方が影でされるのは陰口位だからこの位許容範囲よ…ゾンビ谷くん」
相変わらずの罵倒口調で影から出てきたのは今回の黒幕と思しき女、雪ノ下雪乃だった。
次回か次次回位に終わる予定です。