早く仕上がるとか言ってた自分をギロチンに掛けてやりたいです!!
「ふぅ」
「俺にしては中々の出来だな」
目の前にあるのは裏路地の奥に生けられたエルフ達。その顔は地面に埋まりきり、誰もその表情を見ることは出来ない。手足はピクピクとしているがそれ以上のアクションを起こす事は無いだろう。
「行くぞ…邪魔は消えた」
「そうだね」
路地から出て交差路に出る。
「なぁ葉山」
「どうしたんだ?」
「どうしてあんな奴らがのうのうと月と太陽の光が届く所で生きていけるんだ?どうして…雪ノ下は死ななきゃいけなかったんだ?」
「……雪乃ちゃんは、純粋すぎたんだよ。雪のように白くて崩れやすい。黒を白と言えない…世渡りが絶望的に下手だったのかもね。君が死んだ責任者である世界を祟ろうとしてた所に君が現れた。それが雪乃ちゃんの運の尽きだね」
「皮肉だな…」
「そうだね、これ以上ない位の最悪の皮肉だよ」
「だったら俺は雪ノ下を止める事は間違いだったのか?」
「さぁ……僕も分からないや。ていうか君も既に気付いているんだろう?雪乃ちゃんの気持ちに…」
「殺すくらいなら…いや、辞めとこ、脇が冷たい」
二丁拳銃を取り出して雪ノ下雪乃が遺した結晶を見つめると淡い蒼い光を発していた。
「はっ、愛し合う2人はいつも一緒、って事?」
「馬鹿言うなよ…」
二人の間に沈黙が流れる。
「そういえば…」
最初に切り出したのはハチマンだった。
「お前は喋るモンスターを知ってるか?」
「モンスターが?知らないな…いるのか?そんなのが」
「いた、この前見つけた。空に憧れながら死んだけど…」
「気の毒だ…」
「上流階級とブラックマーケットで出回ってるかもしれない…ルーツと顧客リストを片っ端から調べてくれるか?」
「分かった」
ネオ・アンジェロ・ライガーと化して飛び立った葉山の背中を眺めて帰路に着こうとすると4方向から迫る気配を感じた。
「リューさん…?」
「はぁ、はぁ、はぁ、ヒキガヤさん…!」
前から迫るのは頬を赤らめて息を切らしながらバスケットを持った目を獣の如く光らせるリュー・リオンだった。
ザッ!
「ハチマン…」
「ひっ!アイズ…さん?」
後ずさろうとすると後ろから躙り寄るのは目の下に濃い隈を作って片手に何かを隠したアイズ・ヴァレンシュタイン、その目は獲物を見つけた狩人の如く鋭かった。
前と後ろが塞がれ横に逃げようとするも左から鎚を持った赤いショートヘアの見覚えのある女神と左から道のど真ん中をやって来る女神がいた。
「み、見つけた…!!」
「あらあら、大所帯ね♪」
リュー
ヘファイ 俺 フレイア
アイズ (とその保護者たち)
それぞれの想いをぶつける為、意図せず集まってしまったこの事件は後に第一次ヒロイン対戦と名付けられた。
「「「「「………………」」」」」
「よ、夜の散歩は危険ですよ…何してんすか」
「「「「それをアナタが言いますか(言うのかしら)(言うの)…」」」」
「うす…」
それぞれが彼に話がある趣旨を伝え、順番でその要件を伝えることになった。全員2人きりで話したいらしく、最初はリューからとなった。
「ヒキガヤさんは異性にモテるのですね…」
「いや、そんなんじゃないと思いますよ?俺は特に何もしてませんもん。知らないけど……それで、リューさんはどうかしたんですか?」
「あっ、あの…これ、ミア母さんが作りすぎてしまって…それで差し入れにと思って…」
「あざす……お金出します」
「いえ!そういう訳にはいきません」
「いきませんって…一応店の出し物なんですから」
「ダメですヒキガヤさん!」
ポケットから金を出そうとするとリューはその手を掴んで離さない。ハチマンはLv3彼女はLv4、その力の差は大きかった。
「支払い拒否する飲食店って聞いたことありませんよ!」
「ダメなんです!ダメなんです…」
「どうしてなんですか…」
リューはハチマンの袖を掴みながら顔を俯かせた。
「私は貴方との関係をす、進めたいと思ってます…」
「ゑ……?」
「その……私は貴方と……///」
頬を赤らめてモジモジするリューを他所にハチマンは表情が青くなっていく。中学校時代の悪夢が蘇るからだった。
「と、友達に…なりたいと思って…ます…!」
気絶しそうになってたハチマンは意識を取り戻す。
「と、友達…ですか?」
「はい……たまにご飯を食べに行ったり、一緒に鍛錬を積んだり、その、悩みを聞いたり…」
「悩み……」
「はい、最近のヒキガヤさんは…その、傍から見ても元気が無いように見えましたから…力になりたくて…」
「………………」
「ダメ…ですか?」
涙目で上目遣いになるリューに少し胸が高鳴るハチマン。それは強敵を目の当たりにした時のそれとは違かった。
「今度、ポレポレに行きましょう…」
「!!…はい!」
待ってます!と言いリューはその場を去って行った。本来渡すはずの料理を渡すことなく。
「少し腹が減ったんだけどなぁ…」
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「すみません、待たせました」
「そそそそそそうね!わ、私の方は準備バッチグーよ!」
矛盾を孕んだセリフに苦笑いしながら。ハチマンは話を続けた。
「それで、ヘファイストスさんはどうかしたんですか?」
「やけに落ち着いてるのも何かこう……まぁいいわ、貴方のランクアップのお祝いに何か贈ろうと思ってるの。何か希望はあるかしら?」
「いや…素直に貰う訳にはいきませんよ。俺、ヘファイストスさんの眷属でも何でもないのに…それに、他の眷属に示しが付かなくなりますよ?」
「いいのよ、これは私のやりたい事…それに皆今の所良い子だからお咎めはないわ」
「そういう話じゃなくて…俺、祝われるような事なんて何もしてません」
神じゃなくても分かった。謙遜で言ってなく、本心から彼は言っていた。18階層の黒いゴライアスを討伐するのに一役買って出た事も、ネオ・アンジェロと化して正気を失った悪魔の鎧を打ち倒したことも、不幸に見舞われた悲しい運命の少女を助けた事も、エルフの里の転覆を阻止した事も……愛する故郷を尊敬する彼女を殺してまで救った事も、全てが適材適所、求められたから、やらなければいけないと分かっていたからしただけだった。
酷く歪んだ少年。
己は尽くして当然。
尽くされなくて当然。
「頑張り過ぎよ…ハチマン」
「いいんですよ、俺。ヘファイストスさんとかが気付いてくれただけで嬉しい…ですから」
「少しでも辛かったら私の所においで」
「はい」
「それはそれと貴方に贈り物はさせてもらうわ」
「えぇ…」
「そうね、どんなのがいいかしら!考えるのが楽しくなってきたわ!ハチマンも何かあったらいつでもおいでなさい。それはそうと明日に予定はあるかしら?」
「無いと思いますけど…」
「じゃあお昼に中央広場に集合よ、異論反論は偶には認めるけど無理のない範囲でいらっしゃい」
「うす」
頭をくしゃくしゃと撫でられた後にヘファイストスは自分のホームに戻って行った。
「惚れるなぁ……」
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「ハチマン…」
「お、おう」
目の下に濃い隈を作ったアイズは懐から出したブツをハチマンに突き出す。
「手紙…?」
「うん…読んでくれる?」
「言った方が早い気がするんだが…分かった」
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ハチマン・ヒキガヤさんへ
明日特性のじゃが丸くんを作ってください。
悩みがあるなら相談してください。悩んでいる姿を見るのは私も辛いです。
沢山話して、沢山食べて、沢山遊びませんか?
アイズ・ヴァレンシュタインより
〜〜〜〜〜〜〜〜
「そこまで…悩んでそうか?俺は」
うん…と頷くアイズ。
そっか、と頭をポリポリと掻く。
「別のファミリアなのに一緒にいて大丈夫なのかよ」
「大丈夫…だと思う」
「なんかあとが怖いな…」
アイズは曲がりなりにもオラリオ屈指の人気冒険者。そんな奴と俺が一緒に遊んだりして良からぬ噂が立つのは自明の理だ。断るのなら簡単だがこっちは心配まで掛けてしまったのだ。それに相当悩んだのだろう目の下に隈まで作って。
「分かった…1回だけだ…」
「!…うん」
見るからに表情が明るくなったアイズ。何が嬉しいのか理解できない。
「まぁ、もう遅いしあそこに隠れてる保護者達に送ってもらったらどうだ?」
「…分かった。ハチマンも行こ?」
「いや、あとひとり残ってるから」
「皆と待ってるよ」
有無を言わさずそのまま保護者達の方に向かって行く。
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「モテモテなのね、妬けちゃうわ」
「これはそんなのじゃないと思いますけど?」
「貴方…朴念仁って言われないかしら?」
「勘は鋭い方なんですけどね」
腕を組んで胸を強調しようとハチマン・アイアンハートにはそんな色仕掛けは通用しない。視線が少し下にズレるだけである。
「で、要件はなんですか?」キリッ
「単刀直入に言うわ、私のファミリアに入らないかしら?」
「え、普通に嫌なんですけど」
「話はこれからよ、休みは週に2日。休日出勤は余程の緊急事態じゃなければ有り得ないわ」
「ほう…」
「新人教育に徹底しているわ、熟練の先輩が貴方に手取り足取り私のファミリアでの生活をサポートするわ」
「先輩ねぇ…」
「教育者には事前に新人教育の資格を取らせてあるわ。長所を潰さず短所を比較的抑えられるよう目を養わせているわ」
「ふぅん…でもパワハラとか少なからずあるんでしょ?」
「否定はしないわ、やや性格に難のある子はいるわ。互いに切磋琢磨し合った結果だったり過去の遺恨が残っていたりするから性格が歪む子もいるわね」
「………」
「強さを求める貴方にとって悪くないと思うわ、ヘスティアよりも貴方を生かせると思うけど、どうかしら?」
「それはどうでしょう…俺を見てくれている神様だから今の俺がいる訳ですし…おすし」
「そう、そう思うのならハチマン…私のファミリアに体験入団しないかしら?」
「するメリットがこれっぽっちも見当たらないんですけど?」
「そうね……私の子達を手に掛けた事と…あの
「何故それを…」
「ヒントは鏡よ」
「ぜひ体験入団させてくださいな」
24時間365日監視されてちゃ迂闊に動けないな…
「嬉しいわ、素直な子は好きよ」
「脅してくる女は苦手だ…」
こうして碌に考え事もできない対談は終わりを告げた。
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「待たせたな」
健気に待っていたアイズとその保護者達。
「一体あの女神と何を話していたんだ?」
リヴェリアさんに尋ねられる。
「いや、なんか体験入団する事になって…」
「え〜!ぼーえーくん、ファミリア抜けちゃうの!?」
「いや、抜けませんよ。色々脅されて一日だけって話になって…」
薄着のティオナに詰め寄られ目のやり場に困りつつも答える。あの女神にはなんとかして退けないと、と思っている。
「じゃあ、帰ろう」
何故か膨れたアイズに手を引かれ歩き出す。後ろでレフィーヤが凄く睨んでくるが気にしてはいけない気がする。
「そういえばロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアは仲が悪いらしいけどなんかあったんですか?」
「実力主義の強いファミリアだからオラリオが如何なる緊急事態になろうと無関心だったりしてな…ファミリアの運営方針が違い仲違いする面が多いんだ」
「成程……『弱きは死ね』って感じか…」
「大まかに言えばそうなるな」
まぁ、俺もオラリオが危険になろうと優先的に守るのは豊饒の女主人とポレポレと仕立て屋位しかないからな…。
「アンタ…案外共感してたりする?」
「別に……戦いますよ。俺が必要とあらば」
「そう、期待しとくわ」
フン、と鼻を鳴らすティオネさん。
「「「「「「…………」」」」」」
「あの〜」
静まり返った空気にレフィーヤが恐る恐る声を出す。
「もしかしてヒキガヤさんって人付き合いが苦手なんでしょうか?」
「苦手じゃない、必要性を感じないだけだ」
「それって苦手な人の常套句ですよ…」
やれやれ、とこめかみに手を当てるリヴェリアさんや呆れ返るアイズ以外に疑問を抱く。
「まっ、コミュ力が高けりゃそもそもオラリオに来る事なんて無かったもんなァ?」
「アラル…」
民家の屋根から見下ろしていたのは白髪オールバックの神父服を纏った悪魔アラストルだった。
「アラル神父…一体なんの用だ?」
「そっちこそ、俺の可愛い息子分に手ぇ出してんじゃねーよ」
「えっ!?ぼーえー君とアラル神父って親子だったの?」
「息子分よ…息子のように可愛がってるってことよ」
「息子分って…初耳なんだが」
「心で繋がってりゃいーんだよ!それよりハチマン!新しい魔界の特訓メヌーを思いついたからお前の明日を寄越せ!」
「いや…明日はとある女神に呼ばれてて…」
「何よ!?俺より女神をとるのか!?いつからそんな女神たらしに…そんな男に育てた覚えはないぞ!!」
まるで自分は悲劇のヒロインかのように手で顔を覆い嘆くフリをするアラストル。
「アンタに育てられたのはフィジカルだけだ!嫌な言い方すんなよ!ほら、ロキ・ファミリアの方々がとんでもない勘違いをしてらっしゃるぞ!!」
「じゃかーしい!!取り敢えず明日の午前中は貰うからな!…ヒーロー着地!!」バキャ
プリプリと怒りながら屋根から反対方向に飛び降りるアラストル。その後が容易に想像できる。
「ハチマンと神父って仲良いよね…」
「え?」
「そーそー、あんな神父見たことないよね〜。いっつも死体集めに必死でダンジョンをさ迷ってるんだよー」
まぁ、聞いた事あるな…この前死体集めの理由を聞いてものらりくらりとはぐらかされた覚えがある。
「私達と対峙しても憎まれ口ばかりでね、ベートとは違う方向性の暴言なのよね…。本質を捉える正論の暴言だから言い返せなくて」
「怒ったティオネが殴りかかったら軽く返り討ちに会う始末だ」
「そんなに強いんですか!?」
「本当に強いわ…レベル幾つかギルドに聞いても全然教えてくれないし…どこかのファミリアに所属してる訳でもないし…」
驚くレフィーヤを尻目に想像する。きっと内心鼻くそほじって相手してたんだろうな、と。
「アンタは何か知らないの?」
「そうですね…知ってはいますけど本人の許可無しに言える内容じゃないんですよ」
チラリとリヴェリアさんを見る。この人は人の嘘が見抜ける人だ。神とは違く呼吸や視線、声のトーンで見抜いてくるから余計厄介だ。ここは正直に隠した方が良いだろう。
「それに、曲がりなりにも可愛がって貰ってるんで裏切るような事は出来ませんよ」
「それはごめんなさい…貴方を通して探りを入れるような真似をして…」
いえ、良いんですよ。と返してロキ・ファミリアのホームに着く。
「じゃ、おやすみなさいっと…」
手をヒラヒラとさせてその場を去る。散歩とはいえ俺も少し眠くなったのだ。皆に心配を掛けてられない。
━━━━━━━━━━━━━━━
「おはよう世界、今日も嘯いてるね」
「なーに言ってんだよ、オラ、とっとと立て」
言われるがまま地面に背を預けていた状態から地に足をつけて立ち上がる。前には悪魔姿のアラストル。後ろには同じく悪魔姿のベリアル。左右にはマキャヴェリのお手製殺人タレットの銃口がこちらを正確に捉えている。
「そんじゃ、もっかい行くぞ」
「死ぬ気で捌かねば命はないと思え」
「避けようとしたって1000通りの行動が予想されてる。下手な事は考えない事だ」
「「「 行くぜ(ぞ)!! 」」」
赤いレーザーは眉間の間に固定され、目の前から特大級のエレキボール。後ろからはとてつもない熱を感じる。
「こうなりゃやけくそだ!!」
新たな引き金、デビルトリガーを使用し不定形な悪魔の姿となり強化された閻魔刀を抜刀し、飛んでくる飛翔体を切り裂く。
「閻魔刀の使い方にも慣れてきたな。それに体の方は大丈夫か?」
「まぁ、勝手は分かってきたかな。コレやった後めちゃくちゃ疲れるんだよなぁ…」
「体力が足りんな…今度は逆さまで崖に登ってもらおうか」
「勘弁してくれ…この後予定があるんだ。閻魔刃で帰らせてもらうぞ」
そう言いながら閻魔刃をスラリと構える。帰る場所のビジョンはホームの自室だ。これなら余計な邪魔が入らない限りワープ先を間違えることは無いだろう。
「そういえばベリアル。後5分で女神だけが入れるという浴場が開くらしいぞ。〜〜〜にあるらしいがどー思う?」
「別になんとも思いませぬ。噂によると毎日入りに来る美女神がいるらしーがどーだろーなー。マキャヴェリ先輩はどう思いますー?(棒)」
「なーぞでーすねー(某)」
無視無視、奴らが何を話していようと俺に関係は無いのだ。
シュピン
十時に切り裂かれた次元は俺のイメージした場所へと繋がっていた。
見知ったベッドや机…ではなく湯気の立ちこめる銭湯だった。
「むっつりだなーハチマンよ」
「貴様も御の子だな」
「メンタルトレーニングにはなるんじゃないのか?」
「え?ちょっ…うぉっ!?」
背を押されてその裂け目に押し込められた。
噂には聞いていた。その浴場は入浴が許されたのは女神のみ。前人未踏のそこは覗こうものなら一瞬で首が飛ばされるらしい。
「「「アディオース!!!」」」
憎い悪魔達の笑い声を背中に受け、裂けた次元はそのまま閉じていった。勿論日本のような浴場ではなく、古代ローマを彷彿とさせる浴場。よく分からん布を巻いた男女の石像がよく分からんポーズを決めて立っている。ベンチとかも設置されており、『できたてなので触れないでください』の張り紙と共に白のペンキが置かれている。
「さてと、帰るか…」
もっぺん次元を切り開けばいい話なのだ。
「男の声が聞こえたぞーーー!!」
奴らの声が聞こえたのか女性の叫び声と共に足音が近付いてくる。もしバレたら地獄を見ることになるだろう。覗き魔のレッテルを貼られて晒し首になるのがオチだ。今更次元を切り開いても場所で特定されるだろう。
「そうだ…!」
端っこにある手頃な男の石像を次元斬で跡形もなく粉々にする。そしてクイックシルバーを発動。自殺する思いで恥を忍んで裸になり床のタイルを剥がして服をそこに仕舞う。そしてギルガメスを展開。石像のような布を体に纏ってペンキを大量に頭から被る。全身隈無く白くなったのを鏡で確認してさっきまで石像があった所に立ってそれっぽいポーズを決める。そうだな…キラークイーンが良いだろう。想像してくれ…嘘、やっぱしないで。そして最後に後始末をダブルチェックする。床のタイル、よし。石像の粉、よし。
ペンキ缶も元に戻したし大丈夫だろう。表情筋もコンマミリ単位で動かさないように気を付けよう。
ガラガララッ!!
「男ッ!!」
鬼のような形相で入ってきたのは俺でも知っている。ガネーシャ・ファミリアの団長の…えーと、なんとかさんだ。
「シャクティ団長!どうかしましたか!?」
あ、そうそう、シャクシャクさんだ。
「いや、男の声がしたような気がしたが…」
「気のせいですよ!団長最近寝不足らしいじゃないですか。今朝のエルフ達が地面に活けられてたのだって団長が後始末したじゃないですか。休んでもいいんですよ?それにここに侵入するなんて余っ程の自殺志願者ですよ」
「それもそうだな、戻るとするか。そろそろ開館だ。気を抜くなよ?」
「はーい」
下っ端と共に戻っていくシャクトリ団長。彼女等が戻ってから暫くしない内にソレはやってきた。
「あーー!やっとお風呂入れる〜〜!!」
天国は行くものでは無い、待つものだった。
デカい乳。小さい乳。ありとあらゆる供給先の無い需要は石像に扮しているたった1人の俺になだれ込んできた。女神達は手前の風呂から入っていくから奥側にある俺の方にはまだ来ないだろう。このまま隙を見てどうにかして逃げなくては。
(………ッッッッッ!!!!!!)
「あっ、ヘファイストス!それにヘスティアも!やっほー!」
「やぁ!」
「やっほ」
この天国はこの一瞬にして己と戦う鍛錬場へと変貌した。
『次回ハチマン死す!…デュエルスタンバイ!』
こんなできでほんとすみませんでした。