ダンジョンに出会いとボッチを添えて   作:テクロス

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どうもこんにちは、いかがお過ごしでしょうか?


重責 血濡れの代償

 

きっとこれでいい、これでいいんだ…。

 

「「「「ただいま〜」」」」

 

これを言う為に仕方なかったんだ。

どうせ汚れた手だ。

 

そう言い聞かせるも自分への嫌悪感は募るばかりだ。

千葉の時とはまた違う。

死ぬしかない者を殺めて見とるのではなく、殺したい者を殺した。

 

(…代わってくれよ)

 

家族を守る為ならなんでもする…だからこの辛さを感じないように。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「はちまん…?」

 

「?、どうかしたかの?ウィーネ」

 

「ううん…なんでも」

 

「そうか」

 

そう言い微笑む彼に【ヘスティア・ファミリア】の中で付き合いが長いベルやヴェルフ、リリルカ、ヘスティアは言い得ない不気味な感情を覚えた。声や口は笑っていてもどうしても目は笑っていない。

 

(ハチマンはあんなに表情がコロコロと変わってないよね)

(アイツ、言葉遣いも妙に変わってるような…)

(まるでリリの昔を見ているような…)

(嘘は吐いてなさそうだね)

 

「ねぇ、ハチマン君。久しぶりにステータスの更新をしないかい?」

 

「かまw…分かりました」

 

ヘスティアの後に続くハチマン。

比較的付き合いの短い命と春姫も彼の異変に首を傾げざるを得なかった。

 

「それじゃあ始めるよ…」

 

上着を脱いで傷だらけの背中をヘスティアに預ける。

そこに血を一滴垂らし彼のステータスを顕にする。

 

「ッ!!!」

 

神聖文字はノイズ塗れになり所々が文字化けし、禍々しく黒く濁っていた。常人ならば有り得ない、ある筈がない。誰もが見ても明らかにイレギュラーがそこで発生していた。

 

(これは、神の恩恵が消されて…いや、侵食されてる?)

 

「どうかしましたか?」

 

ヘスティアの動揺を聞いたにも関わらずどこか嬉しそうに彼は尋ねた。

 

「ハチマン君…君は一体、自分の体に何をしたんだい?」

 

うつ伏せの体制から起き上がり首から下げたネックレスを眺めるハチマン。

 

「何をした?ですか、もっと強くなる為に必要な事をしたまでですよ。これも必要な事…結果オーライじゃないですか」

 

「結果オーライって…そんな体でどうしてそんな事が…」

 

「アポロン・ファミリアの奇襲で心臓を激しく損傷した俺はマキャヴェリのラボに運び込まれ魔界金属ギルガメスを心臓の代替をさせる事で丈夫な骨格と命を手に入れた」

 

「っ……」

 

責め立てる気は無いものの責任を感じるように話しヘスティアに強い気をさせないよう牽制する。普段の彼ならそうはしないだろうというのは一目瞭然だった。

 

「強い外殻を手に入れてもそれを動かす為の炉心がしょぼかった。歓楽街でイシュタル・ファミリアと対峙した際に出てきたのはエネルギーの塊であるアルゴサクス。アイツを吸収もとい食してこの身体を運用するにあたる力を手に入れた」

 

「アルゴサクス…だって…」

 

「中々、強かったですよ」

 

魔界三大勢力の一強。

神々が天界にいた時代に猛威を振るっていたのは記憶にある。

 

「次は心、急な成長で心が壊れてきた。だからねむってたおれがいる」

 

「え……」

 

「だいじょうぶですよかみさま。おれ、まだまだつよくなるんで…」

 

「そんな、ダメだ…!」

 

「かみさま みんなもうぃーねもまもるのでもっともっとつかいつぶしてください」

 

「…………」

 

「冗談ですよ、じょうだん。じゃあ、戻りますね」

 

ヘスティアの目の前から消えるハチマン。クイックシルバーで時間を止めたからだ。

 

「皆、聞いてた?」

 

きぃ、と開いたドアから盗み聞きしてたファミリア一同が入ってくる。誰もが深刻な顔をしている。

 

「神様…ハチマンは…」

 

恐る恐るベルが聞く。

 

「部屋に戻ったんじゃないかな…瞬きする暇も無かったよ」

 

「出ていった訳じゃないんですね」

 

ほっと胸を撫で下ろすベルだがそうしてる場合じゃないのは彼も重々承知している。

 

「八幡の話かい?混ぜてくれよ」

 

「葉山さん!?」

 

窓の向こうにいつの間にかいた葉山。慌てて窓を開けると軽い身のこなしで館内に入ってきた。自称ハチマンのストーカーもといサポーター葉山隼人。

 

「質問だけど、八幡が強くなって君達に何か不利益があるのかい?」

 

「えっ…」

 

「君達の戦力が大きくなるだけじゃないか。ダンジョン攻略も戦争遊戯でも事が有利に運びやすくなるだけじゃないのかい?」

 

「でも、ハチマン様のやり方は命を縮めるやり方です!認められるものじゃありません!」

 

リリルカが声を荒らげる。

まるでハチマンを戦力としてしか見てないような物言いに腹が立ったからだ。

 

「そう怒らないでよ。元はと言えば八幡が悪いんだ。これはね、八幡のエゴが生んだ結果なんだよ」

 

「ほう、続けろよ、金髪」

 

固く口を閉ざしてたヴェルフが口を開く。

 

「八幡は怖くてしょうがなかったんだ。やっと出会えた、やっと手に入れた『本物』の家族。何人たりにも傷つけて欲しくない。君達に自由にやって欲しいって願いが八幡自身を変貌させたんだ」

 

一同の顔を見回して葉山は続ける。

 

「アポロンの仕組んだ戦争、イシュタルとヘルメスが巻き込んだ事件。他にも巻き込まれたのはあるだろうけど君達は数多の思惑の中心にいる。今回だってそうじゃないのか?」

 

「……」

 

「自由に己の願いを叶えて欲しい。家族を守らなきゃいけない。強迫観念にも近い感情が生み出した化物だよ。その為なら己の大切なもの以外全てを犠牲にする。雪乃ちゃんも結衣も優美子も姫菜も戸部も罪なくとも死を待つだけの人々もさ」

 

君達はもう忘れてるかもしれないけどね、とヘラッと笑ってた葉山は真顔になる。

 

「誰にも認められない、褒められやしない…八幡の抱いたたった一つのエゴの対象であった事にも気付けなかった君達が責める義理なんて無いよ。はっきり言うよ、君達は八幡の家族の資格はあっても器じゃなかったんだ」

 

それさえ頭に入れてくれればいい、そう言い残して葉山は去った。皮肉な事にファミリアに自由にやって欲しいと願い奔走した結果ファミリアに影を落とすことになったのはハチマン自身のせいであった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

次の日、誰よりも早起きしたハチマン?は外に出てオラリオの街を散歩していた。

 

「この街の住人達は果たして幸福なのだろうか」

 

哲学臭い事を呟いてもどうしようもない。答えてくれる相手はいないのだから。

 

「昨日は少し揺さぶりすぎたな…悪い」

 

独り言は止まらない、考えたい事が沢山あるのだ。

 

「んなとこで何ボーッとしてんだよハチマン」

 

「アラストル…か。フフフフ」

 

「何笑ってんだよ、雷落とすぞコラ」

 

白髪オールバックでヘラヘラしてるアラストル。

昔の姿を重ねるとどうしても笑いが込み上げてしまう。

 

「いやなに、お前も老けたな」

 

「っ!!!、お前まさか…!」

 

「久しぶり」

 

さてと、俺はこれからどう動こうか。

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