最近ドタバタしてて全然手がつきませんでした。(言い訳)
今回の話は少しキツくなるかもしれません。
「ハ、ハチマン?怒ってる?」
「あ?怒ってねぇよ」
「でもハチマンの目、凄く怖いよ?」
すれ違う通行人がハチマンの目に圧倒されて道を開けて大名が通るような感じになってるよ…
「大丈夫だろ、こんなんでビビるのは一般人だろ?冒険者なら慣れるだろ」
「ふえええん!ママァァァァ!!!」
あの豪傑で有名な種族、アマゾネスの冒険者が泣き出したよ?
流石にバツが悪くなったのか少し目を伏せて歩くハチマン。あれ?僕も視界が潤んできた…。
隣で歩いているのはハチマン・ヒキガヤ、僕の3つ上で同じヒューマン。
出会った当初は真っ黒だった髪色も日を追うごとに銀色っぽくなってく。原因は本人も神様も見当がつかないらしい。バトルスタイルはロングソードを使ったり魔法を使ったり、はたまたモンスターを投げたりと常識にとらわれない戦い方だ。
性格は神様曰く『闇堕ちしたベル君』らしい。意味が分かりませんよ…。
そんなハチマンは近くの【ヘファイストス・ファミリア】の経営するお店のショーケースに手を付き自分の目を見る。
「4割増で濁ってるだけだろ、何がいけないってんだよ…」
「ひ、ひぃぃぃぃいいいいい!!」
ショーケースの向こう側にいた店員さんらしき人が盛大に腰を抜かした。余りにもハチマンに対する扱いが酷くて良い気がしないな…
「そんなにビビる必要あるのか…?」
サァ………
またハチマンの髪色が銀色に染まってく。もう彼の髪の毛は左前側頭部が完全に銀色になってしまった。
(あれ?)
1回目ハチマンの髪色が変わったのはシルさんから聞いた話だと酒場の件で僕が飛び出した時にはもう染まっていたらしい。
2回目は怪物祭で神様が倒れてしまい『豊饒の女主人』に担ぎ込んだ時に気付いた。
そして今回は周りの人から目を怖いと言われたから?
ダメだ、僕の頭じゃ法則性が見つけられない。今度神様やエイナさんに相談してみようかな、ハチマンの体が心配だ。
僕の初めてのパーティーメンバー
僕の初めての仲間
人目を気にしながら歩いていたら広場の噴水前にやって来た。
「ハチマン、今日もいつも通りでいい?」
「なぁ、今日は20匹ずつにしないか?10匹じゃ足らなくなって来たと思うしな」
「そうだね、じゃあいつも通り危なくなったら助け合うということで」
今日も頑張ろう、と言おうとすると…
「お兄さんお兄さん。白髪とモノクロのお兄さん」
僕達の事だと思いハチマンとキョロキョロするが見当たらない。冒険者がすれ違ってくだけだ。
「下ですよ、下」
いた。身長はおよそ100c。クリーム色のゆったりとしたローブを身につけ、フードからは栗色の前神がはみ出てる。そしてその小さな体の倍以上はあるバックパックを背負っていた。
「き、君はっ…」
「初めまして、お兄さん方。突然ですがサポーターなんか探してませんか?」
「え?…えぇ?」
「混乱してるんですか?でも今の状況は簡単ですよ?冒険者さんのおこぼれにあずかりたい貧乏なサポーターが、自分を売り込みに来ているんです」
太陽のようにニッコリ笑う少女。
「そ、そうじゃなくて…君、昨日の…?」
「…?お兄さん、リリとお会いしたことがありましたか?リリは覚えてないのですが」
可愛らしく首を傾げる少女を前に少し戸惑ってしまう。ハチマンの方をチラリと見ると目は相変わらずだがどうしても少女を訝しげに覗いていた。
「それでお兄さん方、どうですか、サポーターはいりませんか?」
「えぇっと…で、できるなら、欲しいかな…?」
「本当ですかっ!なら、リリを連れて行ってくれませんか、お兄さん!」
「いや、それはいいんだけど、うーん…」
「あっ、名前でしたか?失敬、リリはリリルカ・アーデです。お兄さん方の名前は何と言うんですか?」
「僕はベル・クラネル、こっちは…」
肩にポンと手を置き紹介を遮るハチマン。どうやら自分で自己紹介をするらしい。
「ハチマン・ヒキガヤだ。ところで…」
中腰になりアーデさんの目を覗き込むハチマンその目は細められていて僕でも少しビックリしちゃった。
「あぅぅ…」
その様子を見ていた住民の1人が気絶しちゃった…。
しかしそんなハチマンを目の前にしてもたじろぎもしないアーデさん。すごいや…
「サポーターって何?」
僕とアーデさんは盛大にすっ転んでしまった。
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サポーターとは、ダンジョンに潜る冒険者を追従し、ドロップアイテム、魔石etc…を回収する俗に言う『荷物持ち』である。多くのサポーターは諸々の理由で挫折した冒険者が至る職業であり、周りの冒険者からは『落ちこぼれ』と呼ばれ蔑まされるらしい。それはファミリア内部でもされるらしい。……反吐が出る。
目の前にいる
「どうかなぁ、ハチマン」
「まっ、いいんじゃねぇの?俺達も魔石とかポーチに入んなくてポケットがパンパンになるまで入れてたし。それにその子は見た感じ昨日の追っかけられてたパルゥムじゃなさそうだし」
「えっ?どういう事?」
「アーデさん、一旦フードを取ってはくれないか?」
そう言うと彼女は「喜んで!」と言いフードを取る。
その頭には昨日のパルゥムには見られなかった犬の耳らしきものが生えていた。
「じゅ、獣人?」
「はい、リリは
ほらな?昨日子にすんごい似てるけどそもそもの種族が違う。これ程の判断材料はあるまい。
「それではお兄さん方、どうでしょうか?リリを雇ってはもらえませんか?」
クラネルがこっちを見てくる。恐らく同意を求めてるのだろう。俺は首を縦に振り同意を示す。
「分かりました。それじゃあひとまず、今日1日だけ、サポーターをお願いします」
「ありがとうございます!」
ダンジョンは決まった階層を境にして地形も性質も違う。
1〜4階層はゴブリンやコボルトといった低級モンスターばかり出てくるが4階層に近づくにつれて少しずつ強くなってく。まぁ誤差程度だと認識してるが…。
しかし5階層からは状況が変わる。『キラーアント』を始めとした
聞いた話では多くの冒険者の経験、武装、機転、そして何よりも【ステイタス】が求められる。
しかし…
「ふっっ!」
「ギシャアアア!!」
それは普通の冒険者に限る。俺達の成長速度に驚くチュールさんの反応を見る限り異常なのだろう、俺達は。
クラネルはキラーアントの胴体を真っ二つに切り裂いていた。
「ジギキギギ!」
「よっ、と」
降下してきた『パープル・モス』を往なし《ヘスティア・ナイフ》で羽を落とす。バランスを失ったモンスターに短刀を打ち込みとどめを刺す。
「そこ動くなよおおっ!」
走り出した先には再びキラーアント2匹。
クラネルの繰り出す刺突がキラーアントの胴体を串刺しにする。
すぐさまもう一体を相手取ろうとするが、ナイフが抜けないらしい。
それを見かねたキラーアントはクラネルに飛びかかる。
「ちっ…」
俺は走り出しキラーアントの間合いに入る。
「でやぁぁッ!!」
思いっきり右手を振り上げる。その右手はキラーアントにかすりもしない代わりにキラーアントは動きを止める。魔力で作った腕、(魔腕とでも名付けておくか)がキラーアントをガッチリと握っているからだ。
「潰れろ!!」
キラーアントを勢いよく地面に数回叩き付けるとキラーアントは粉々になって粉砕された。
「ふぅ、やっぱり動きはある程度トレースさせた方が扱いやすいな…」
イメージだけで魔腕を動かす事は出来るがじぶんがした動きをコンマ0.3秒位の差で真似させた方がコントロールしやすい事が特訓で判明した。
「ハチマン、今のって…」
「話は後だ、
「う、うん!」
残存しているモンスターを狩るクラネル。
「ベルさまお強い〜!」
そんな光景を脇にアーデはクラネルの屠った死骸を一箇所に纏めていた。笑っていても細心の注意を払う。その動作からサポーターとしてどれ程の技量かが分かる。…そろそろか。
「ーグシュ…ッ!シャアアアアァ!!」
「わああっ!ベ、ベル様ーっ、また産まれましたぁー!?」
しかしクラネルは立ち止まり息をついている。
「何ぼーっとしてるんですか!?やられちゃいますよ!?」
「大丈夫だよ、ねっ?ハチマン」
刹那、紫の一閃が産まれてくるキラーアントに突き刺さる。
「だとしても油断し過ぎだ」
キラーアントに刺さったフォースエッジを抜きながら答える。あれ?ちょっと威力付けすぎたかな?抜けないや。
無事剣も抜け、魔石の回収作業をしている。
しかしと言うかやはり、アーデは手馴れており、余りの腕前に感化されてしまった。
「そういえばハチマン、あの魔法って何?」
「リリも気になります。一体どんな魔法なんですか?」
2人一緒に詰め寄ってくる。君達案外気が合うんじゃないの?
「魔力で腕を作ってそれを操作しただけだ。威力とかあるのもいいんだが、魔力の消耗も幻影剣より激しくてな…」
「余り乱用は出来ないって感じですか…」
「そんな感じだ」
「まぁ、御二方のお強さは【ステイタス】や【魔法】以外にも
「やっぱりそうだよね。僕もちょっとこのナイフに頼っちゃってるんだ。こんなんじゃあ本当に強くはなれないかなぁ」
「いえいえ、武器は持ち主に頼られてこそ本懐です。要は武器の力に翻弄されず、御することができればそれはベル様の歴としたお力ですよ」
雑談を挟みながら魔石回収をし、残すは2匹位だ。
「ハチマン様、あちらにあるニードルラビットの首をもいでくれませんか?非力なリリでは上手く出来なくて…」
「あいよ」
首をもぐなんて簡単に言うが初めてなんだよ。クラネル達に背を向けるように作業に取り掛かる。
「ベル様、あちらのキラーアントは壁に埋まってしまってリリには届きそうもありません。ですので、ベル様?お願いできませんか?」
「任せといて」
なんて会話が後ろから聞こえる。
俺は黙々とニードルラビットの首を折り、魔石を回収する。
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パープル・モスの毒がどうのこうのと言われてダンジョンから戻る。アーデの報酬は信用が欲しいと言っていたから俺達2人で山分けという形になった。なんだか腑に落ちない。
クラネルは治療施設に通った後にチュールさんに聞きたい事があると言っていたので待ち合わせ場所を決めてから俺は時間つぶしに【ヘファイストス・ファミリア】の店に足を運ぶ。
やはりどれもこれも高い。
店員から許可を貰い剣とか斧とかナイフを振るってみるがどうも納得いかない。どれもすぐ折れそうでしっくりこない。
「いかがでしょうか?」
「すみません…どれもしっくりこなくて…」
「チッ……分かりました。それではごゆっくり」
本人は聞こえないようにしたつもりだろうがバッチリ聞こえたぞ。最近の俺はどうも五感が鋭くなった気がする。悪口とかそーゆーのは嫌でも聞こえるのはどうしてだろうね。
何故武器屋に寄ったのかというと戦いの幅を広げたいと思ったからだ。飛び道具が欲しいが弓とかそんなちゃちなもんじゃなくて銃とか使いたいがある筈がないだろう。なんならあっちの世界の技術をこっちに逆輸入してもいいのでは?とか思うがそもそも銃の構造とか大まかな内容しか分からないんだよなぁ。
「おいてめぇ!!」
突然店員に怒声を浴びせられる。
何事かと振り向くと急に手を掴まれた。
「てめぇ、万引きしてんじゃねぇよ!!」
「は!?いや、やってませんよ」
「嘘言ってんじゃねぇ!!じゃあなんだよこれは!!」
どこから出したのか如何にも高そうな装飾が施されたナイフを出してくる。遠目からそれを見てたのか周りの客は軽蔑の目を向ける。
「あんたがさっきポケットから出したんだろ!?」
「ガタガタ見苦しい言い訳してんじゃねぇよ!さっさとこっちに来い!周りの客に迷惑だ!」
恐らくレベル2か3なのか振り切れない力で裏の事務室みたいな部屋に連れてかれる。腕は椅子の後ろに縛られ足も椅子の足に結ばれてる為身動き出来ない。魔法を使えば逃げれない事も無いがこれも奴らの罠だろう。下手に暴れて怪我でもさせたら俺が助かったとしてもその後が面倒だ。最悪ファミリアが崩壊するかもしれん。
「神様ってのは面倒でなぁ、人間の嘘を見抜けるって話さ」
「だったらなんだよ」
「言えよ」
「は?」
「金欲しさにナイフを盗んじゃいましたぁって情けなく!心から!誠意込めて!言えよ!そうすりゃあ神も騙せっからよォ!」
そういう事か、神も認めれば訴える事で多額の賠償金を背負わせられる。そしてこいつはその功績でうはうはになれるってわけか…
「…だが断る」
「あぁ?」
「誰が言うかよ、ばーか」
男の頭に青筋が走る。
あらら、やりすぎちゃったかな?
「その目!そのバカみてぇに舐め腐った目!二度とそんな目ぇ、できねぇようにしてやらぁ!!お前ら!」
呼び掛けに反応したのか仲間と思われる男達がゾロゾロと入ってきて俺が助けを呼べないように猿轡をしてから大きい木箱の中に詰め込み運び出す。それから暫くして気が付くと如何にも鍛冶場って所に俺は男達に囲まれてた。俺は両側にある台に手を置かされていた。
「さぁてと、嘘ひとつできねぇならぁ、嫌でもその口から言わせてやるぜぇ?お前の名前は?どこのファミリアだ?」
口を開かない。
これからされるであろう事は既に予想出来てる。少しでも恐怖を紛らわす為に、間違えても屈さないようにと、俺は一言も喋らずただ俯いていた。
「おぉ〜、そうかそうか、お前がそんなに喋らないならなぁ、嫌でも喋らさせてやるぜぇ!!」
男は手に持っていたハンマーを俺の指に振り下ろす。
グシャ!
「〜〜〜ッ!!」
鈍い音と共に指に激痛が走る。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
でも、我慢しなくては…。
「まだ黙るってか…じゃあまだまだァ!!!」
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「シルさん!!ハチマン、来てませんか!?」
【豊饒の女主人】の扉を乱暴に開け入る。申し訳ないけど今はそれどころじゃない。僕の仲間のハチマンが姿を消した。一旦解散してから既に6時間は経ちもう夜の9時はまわってる。ここの店員さんにはお世話になりっぱなしだ。毎日お弁当を作ってもらっては無くしたナイフだって見つけてもらって…
「ハチマン…」
一体どこに…僕の呟きは闇の中へと吸い込まれていった。
いかがてしたか?終わりが雑なのは目を瞑ってもらえると有難いです。
最近感想が運対で消されたりするのが多いので何かしらの御要望がある方はお手数お掛けしますがメッセージの方をお願いします。