FAIRYTAIL-イストワール・オブ・レイチェル-   作:瑠璃。

15 / 17
15.「友情参戦」

違和感を覚えた。

鋭いレイチェルは自身の魔力が吸われることに気付いたのだ。

 

「中々鋭いな。もう気付いたのか?俺の呪法について」

「吸う…というか貴方風に言えば魔力などを食らうっていうのかな」

「ご名答。そらっ!!」

 

拳を突き出したグラトニーに対してレイチェルは体を後ろに反らせて

避ける。風衣を纏い、顎を打ち抜くもすぐに消えてしまった。

守りの上からもダメージを負ってしまう。単純な身体能力では

グラトニーの方が上。今までしっかりと戦えていたのは風衣等が

使えていたからだ。

 

「女の魔導士でここまで粘るとはな…。まぁでも、どうやらその魔法が

無ければ一般人と何も変わらないようだが」

 

不本意だがそれは合っているのだ。特別高い身体能力があるわけでは無い。

魔法に助けられていたことを改めて知らされた。変わって相手は

何でも喰らう暴食だ。

光天に切り替え、レイチェルは再び攻撃を仕掛ける。グラトニーは

不敵な笑みを浮かべ待ち構えていたがすぐに避けることに徹した。

 

「やっぱり、全身に纏えば喰われないんだ…。賭けに出た甲斐があった」

 

剣を握り直し、地面を蹴った。その太刀筋はそれなりに優れたものに

出来上がっており、グラトニーは楽し気な表情で避けたり受け流したりしていた。

だが決定打は決まらない。レイチェルも無敵ではない、疲れが見え始める。

 

「っと、どうした?動きが鈍いな」

 

剣を掴んだグラトニーは手から零れる血の事も気にしていない。この近距離、

相手の攻撃を躱せる自信が無い。

 

「―鼓星(つづみぼし)ッ!」

 

安心感を与える声と共にグラトニーの足元から光の柱が昇る。計算外の

攻撃にグラトニーは剣から手を離し、後ろに飛んだ。レイチェルの一歩後ろには

数人の魔導士が立っていた。

 

「足手まといかもしれねえけど、手伝いに来たぜ」

「いるだけでも充分戦力になる…だよな?レイチェル」

 

スティングとレオンの言葉。彼らに加えてローグ、そしてアランまでもが

この場に来ていた。

 

「俺は圧倒的な足手まといだ。期待はするなよ」

 

何処かトゲのある言い方をする。

アランが軽く指を動かすと人形が現れる。愛らしい緩い姿の人形は

手に槍を持って特攻する。グラトニーが触れるとその人形たちは

消えてしまった。

 

「人形使いか。男の魔導士では珍しいんじゃねえの?」

 

挑発めいた事を言い終わった直後。アランが指を鳴らした。グラトニーが

体を前のめりに折り、口を押え咳き込み吐血した。何度も咳き込む度に

血が零れた。

 

「ボムドール。爆弾を食べたようなものだが、流石に消化出来なかったようだな。

美味かったか?俺の人形は」

「ゲホッ…!ッ、あぁ美味かったぜ?刺激があってな」

 

愉し気な悪魔の様子を見てアランは呆れたように肩をすくめた。

 

「何。この世に爆弾を美味いっていう奴がいるとはなぁ…」

「この世にって。多分一人だけだと思うけど」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。