FAIRYTAIL-イストワール・オブ・レイチェル-   作:瑠璃。

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16.「妖精の尻尾、解散」

地面が大きく揺れ、そして崩れ出した。

 

「何か奥の手があるんじゃないのか?レイチェル・ルミエール。

まぁ、無かったとしたらそこで死ぬだけだがな」

 

戦いを愉しむためには自身の事も厭わない。生粋の戦闘狂らしい。

無いわけでは無いが、かなり無茶をすることになる。だがここで

チキってはいられない。

 

「頼みたいことがある―」

 

レイチェルはそのことを伝えた。聞いた当人たちは乗り気ではない。

 

「そんなことをして、お前は大丈夫なのか」

「先の事はうん、まぁ…どうにかなるよ」

 

行き当たりばったりな言葉に全員が苦笑を浮かべた。レイチェルは前を向き

さっきまでとは違う表情を見せた。余裕と自信に溢れた不敵な笑みを見せる。

 

「全員の魔力を一身に受けて、か?それにしては少し物足りない気がするが…」

 

スティングとローグは歯を噛み締める。自分たちの事だ。先のジエンマとの

戦いで魔力をかなり消耗していた。

 

「なら、俺がカバーしてやるよ」

「だが属性も重要になってくるな…光はまだしも影は…」

「あ、人形でどうにかしちゃえばいいんじゃね!?」

 

スティングの思い付きの言葉を聞きアランは最近作った人形を召喚する。

 

「属性ならこっちで変換してやる。出し惜しみするなよ」

「分かった」

 

肌がぴり付く。鋭く、しかし温かい魔力を感じる。

光と影、対を為す属性を合わせた魔法だ。

 

「―月天・ムーンライト」

 

白色を基調としたドレス。差し色として黒が入っているような感じ。

月を思わせる上品な空気を漂わせている。月を目の前に飢えた猛獣が

目をぎらつかせていた。矢を番えたレイチェルに襲い掛かる暴食に向けて

彼女は容赦なく矢を放った。

それを躱されてもまだ諦めてはいなかった。

 

「―マザーズムーン」

 

グラトニーの動きが止まった。音、柔らかい音を奏でているのは白銀の琴。

彼は眉をひそめて笑ってしまった。

 

「そんな倒し方…アリかよ」

 

 

 

 

 

 

 

戦いから一か月近く経った。その間にマスターであるマカロフから

解散を宣言されレオンは眠ったままのレイチェルを連れて剣咬の虎に

所属することになった。

 

「まだ目を覚まさないのですか?レオン様」

 

白いベッドの中に眠っているレイチェルの様子をユキノたちが見に来た。

レイチェルは目を覚ます気配はなく、レオンはユキノの問いかけに頷いた。

 

「魔力には器がある。個人がどうにか制御できる器。大きさも深さも、

それぞれで違う。今回の場合は多分、俺の魔力がレイチェルの器に合って

いなかったんだ」

「魔力…といっても属性は俺と変わらねえんだろ?」

 

スティング同様にレオンも光属性を操る。ならば合わないわけがないのでは?

その考えも筋は通っている。だがレイチェルという存在では少し違う。

 

「ここからは推測だ。彼女の場合は滅竜魔導士や滅悪魔導士、滅神魔導士

造形魔導士のように決まった属性を扱う者の魔力を最も受け入れるんじゃないか

ってね。勿論、これは原則的にということだ。逆をいえば例外的なものも

存在する」

 

そのことについては深く話さなかった。レイチェルの顔色が変化した。

額に手を当てると熱を出していた。

 

「熱を出しているのもまた、先の戦いの反動って事か?」

「そうだな」

 

ザハールの冷気はレイチェルの額に当てられる。彼女が目を覚ますのはもう少し

先の話。

 

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