FAIRYTAIL-イストワール・オブ・レイチェル- 作:瑠璃。
「こんな魔力…!」
スティング、ローグ、ザハール…そしてナツや観客、全魔導士たちが
息を呑む。宙に浮かぶレイチェルは右腕を後ろに引いている。
「それは大地に轟く雷―雷霆《ケラウノス》ッッッ!!!」
白い電気を帯びた大きな槍。破壊力は抜群だ。爆発による煙で一時的にカメラから
何も見えなくなった。観客たちもどうなっているか分からない。やっと煙が
晴れた。そこで立っていたのはナツとレイチェルだけ。
試合が終わってからレイチェルは考え込んだ。最後の最後、ザハールは何処か
吹っ切れた顔をしており、澄んだ笑顔を浮かべていた。
剣咬の虎のギルドマスター、ジエンマが怒っている理由は負けた事が原因だった。
それも相手は魔導士になりたての少女だ。彼からすれば彼女は弱者だ。
怪我を負っていようが制裁をするのだ。
「ま、まぁまぁ。スティング君たちだって頑張ったと思いますよ」
割って入ったレクターに対しジエンマは小首を傾げる。
「れ、レクター…ダメ、駄目だよッ!!」
シュガーが声を上げる。ネコにすら手をあげる。それが原因で自分自身が半殺しに
されることをジエンマが知る由も無かった。シュガーはザハールに駆け寄った。
レクターが消えたことでタガが外れたスティングはジエンマに一撃を与えた。
「貴様ッ―!!」
「うるせえよ」
屋内に吹雪が吹いた。ほんのりとした温かさが一転して極寒に変化した。
ザハールは笑みを浮かべる。
「お前の時代は終わった。テメェはもう弱者なんだよ!」
何かが吹っ切れたように、崩れたように感じてザハールが笑った。異質だ。
自室に戻るときも彼は笑っていた。
最終日を直前に妖精の尻尾ではウェンディとルーシィが攫われるという事態が
起こった。この大魔闘演武はただの祭りでは無かった。元は竜王祭と呼ばれるものだったようだ。その過去が今回の事件を引き起こす。
二つのチームに分かれることになるがサバイバルで新たなルールが造られた。
「デコイ?」
「あぁ、通常ならばサバイバルの参加者は全員倒せば1ポイントは入るんだ。だが
6人目のデコイは倒してもポイントが入らない」
ミラジェーンの疑問に対してレオンが簡単に説明した。
「デコイが誰かを倒したら勿論ポイントは入るんですよね?」
ジュビアの言葉に彼は頷いた。人手が増えて敵を倒すのが多少なりとも楽に
なるだろう。遊撃隊として扱うことが出来る。
「どんな相手にも柔軟に対応できる人物…つまりそれだけの手札がある魔導士…
レイチェル、お前がデコイになれ」
「分かりました。でも作戦は…?」
「作戦ならあります」
メイビスはサバイバルの参加者に自信の考えた作戦について話す。