銘柄はエヴァンゲリオン   作:もちダイフク

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初めまして

あらすじにもある通り、シンジ君が煙草吸ってるとしたらって話です。

大幅な原作改変はこれだけです。

ウソじゃないよ?

続くかは、どうだろうね


タール1:紫煙と紫鬼

『本日12時30分 東海地方を中心とした 関東全域に……』

 

 ガチャン……

「ダメか、繋がらないや」

 

 やっぱり来るんじゃなかった、とこぼす愚痴とため息にに返事を返すものもなく先ほどから駅構内に流れ続けるアナウンスが、この蒸し暑さ、長時間の電車に公衆電話が繋がらないことも相まって癪に障る。本来ならアナウンス通りシェルターに避難するのがいいのだろうが、初めて訪れた町のことなど知る由もないしおまけにここは目的地から2駅前なのだ。オマケに文字通り周りに人っ子1人いないので、シェルターの場所を聞くこともバスやタクシーを使うこともできないし。

 畳みかけるようなフラストレーションの数々から逃げるように胸ポケットの紫の箱へと手を伸ばす。

 

「よいしょっと……」

 

 駅前にある喫煙所に腰掛け、慣れた手つきで煙草を口に加え火をつける。その動作は、当人の中性的で整った顔も相まって色気すら感じさせる。

 ……もっとも、彼が”中学校の制服を着ていなければ”の話であるが。

 

 口から吐き出した紫煙が散っていく様を目で追いながら、どうしようかなぁと灰皿の上で煙草をはじいた瞬間、鼓膜を破らんとするほどの轟音とともに台地が揺れた。

 

 ミサイルと思われる物体が目の前を飛来していき、黒いボディに白いお面のようなものをくっつけた謎の生物? のようなものに向かっていく非日常の光景を目の当たりにしても、件の彼、碇シンジの足は喫煙所から1歩も動かそうとしない。

 否、動かせないのだ。喫煙者が煙草を咥えたとなったとなったら決して1口で終わらない。何が起きてももう1口吸おうとするのである。

 そんな彼も喫煙者の1人……ミサイルが飛んでようが、謎の怪物が光の槍を出してヘリを叩き落そうが、そのヘリを怪物が踏んで目の前で爆発しようが……

 

「ゴメーンおまたせ! って、ええ?!」

 

 爆発からかばうように停車した車の運転手が驚いたように声を上げる。それも迎えに来たはずの中学生が爆心地の中で煙草を吸っているのだ。

 

「な、なんで、た、たば、あぁもういいわ! 早く乗って!!」

「いやまだ残ってる」

「い い か ら は や く!!」

「あ、はい」

 

 女性の緊迫した声には逆らえず、まだ残っていた煙草の火をもみ消して車に乗り込む。

 

「しっかり掴まって!!」

 

 怪物から逃げるように急発進した車のGに体制を崩したが、スピードを緩めずそこから高速で離脱していく。もっと安全運転をという声は1睨みでなかったことにされた。

 

 

 車を走らせ続けて10分ほど、明らかに不機嫌な葛城さん(手紙の中に名前書いてた)に話しかける勇気もなく、お互いにずっと黙っていたが

 

「ねー、ちょっち質問なんだけど、あなた碇シンジ君よね?」

「は、はいそうです葛城さん」

 

 突然の葛城さんの軽快な口調、しかしそれは有り得ないほどの威圧感があり僕の言葉を詰まらせるのには十分だった。

 

「あら、ミサトでいいわよシンジ君」

「い、いやあの呼び捨てとかは」

 

 ヴォン!! 

 ただでさえ凄まじいスピードで走っているのに更に加速した。

 

「ん? 何か言ったかしら?」

「いえ、何でもないですミサトさん……」

「よろしい❤」

 

 そう言って破顔し、体にかかるGが少しマシになる。

 機嫌治ってよかった……さっきからずっと無言で息苦しかったし……

 

「ねえシンジ君、その質問なんだけどね」

 

 サングラスを少し下げ、視線をこっちに向ける。さっきまでの感情とはまた違った真面目な雰囲気から、おそらく質問の予想がつく。

 

「どうしたんですかミサトさん」

「あなた、中学生よね? どうして煙草なんか吸ってるの?」

 

 やっぱりね……そんな気はしたし……

 

「……」

「だんまり……か。男ってのは都合が悪いと直ぐにそれよね」

「すいません……」

「謝らなくていいのよ、別に謝罪は求めてないしね。私も未成年のとき法律を破ったことないかって言われるとそうじゃないし。ただ……」

「ただ?」

 

 なぜか会話の途中で口を閉じたミサトさんに聞き返す。

 

「いえ、なんでもないわ。気にしないで」

「そうですか……」

 

 ちょっと不思議に思ったけど、僕としては触れられたくなかった内容だしちょうどよかったかな。

 ほっとしたのも束の間、N2地雷とやらに巻き込まれたりしたが何とか目的地であるNERVにたどり着いた。

 

 

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 カートトレインに揺られながらミサトは隣に座る碇シンジの顔をちらりと見た。

 

 世界をサードインパクトから守るために設立された国際連合直属非公開組織 特務機関NERV。世界を守ると銘打つだけはあり、どの部署の面々も選りすぐりのエリートだらけだ。

 

 もちろんサードチルドレンこと碇シンジの情報を調べた諜報部も例外ではない、のだが

 

 煙草吸ってるなんて書いてないじゃない!

 こんな大きな情報が抜けているなんて…と頭を押さえる。話している限り煙草以外は情報通りということがさらに混乱を起こす。部屋に盗聴、盗撮までしてきたであろう緻密な情報から何故煙草だけ…いやそもそも未成年のはずの彼が煙草を買えたの?うーん…

 

「ミサトさん!」

 

 彼の大声で意識が引き戻される。

 

「な、なによ、そんな大声出さなくても」

「3回も名前読んだのに返事しなかったのに、ですか?」

「ご、ごみん」

 

 ジトっとした目線で不満を漏らす彼に手を合わせて謝る。

 

「で、どうしたの?」

「どうしたもこうしたもそろそろ僕をここに呼んだ理由を教えてくださいよ」

 

 かぶりを振って不満を漏らす彼は年相応だ。少しだけ安心して彼に向き直る。

 

「んーまずここは特務機関NERVといってね…」

 

 葛城ミサトという人間の特徴として、ロジカルより自身の直感を信じることが挙げられる。それが良い結果を生むこともあるし悪い結果を生むこともある。そんな彼女は、彼と煙草の繋がりは何か理由があるのだろうと感じてこれ以上触れないことにした。

 

 その判断がどのような結果を生むかは知る由もなかった。

 

 

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 おっかしいわねー…こっちのはずなんだけど…

 そう漏らしながら行ったり来たりを繰り返すミサトさんにたまらず声をかけた。

 

「あのーミサトさん?」

「なーにシンジ君」

「ここ、さっきも通りましたよ」

「うぐっ!」

「もしかして迷ったんですか?」

「い、いやーまだこっちに赴任してきたばっかで慣れてなくてね…」

 

 頭をかきながら言い訳をするミサトを見てため息をついた。

 

 まあ…人類再建の要とかいうだけあってたしかに広いな…それでも職員は迷わないでほしいケド…

 

「な~んか言った?」

「いえ何も…」

 

 あらそう、とそう言ってミサトさんはまた視線を地図に戻した。

 何とかセーフ…

 改めて周りを見渡すと大量の機械類で視界が埋め尽くされる。多分…館内禁煙ぽいよな…ここ。おおよそ中学生とは思えない悩みからさっきより大きなため息をついた。

 

 

そこからミサトさんの同僚であるリツコさん(下の名前で呼んでとのこと)が迎えに来てくれたりして今は目的地までリフトで向かっている。

 それにしてもさっきから何話してるんだろう、時折リツコさんはこちらを見てくるし、何か気になることでもあるのだろうか。そう考えているうちにリフトが目的地に着いたことをアナウンスする。

 

「真っ暗ですよ…」

「明かりをつけるわ」

 

 そう言ってリツコさんが機械を操作すると、眼前に紫の顔が現れた。

 

「”これが…”ロボット?いや…」

「いいえ違うわ、これは…」

 

 呆然としていたら何故かリツコさんが得意げに目の前の物体がいかなるものかを説明し始めた。詳しくは良く分からなかったけど、名前を”エヴァンゲリオン”というらしい。

 

「意味は、ラテン語で福音…でしたっけ?」

「あら、よく知っているわね」

「たまたまですよ、たまたま…」

 

驚いた顔するリツコさんに僕は苦笑で返す。

 

「へえーエヴァンゲリオンってそういう意味だったのね」

「あなたは知っときなさいよ、仮にも作戦部長でしょ?」

「へーへーわるござんしたね」

 

 意外に仲がいいんだなあの2人…タイプ正反対っぽいのに。

 まるで漫才コンビのように掛け合いをする二人を見ていたら

 

「葛城一佐、赤城博士何をしている。お喋りをする時間などない」

 

 頭上から高圧的、しかし聞き覚えのある声が響く。

 

「父さん…」

「久しぶりだな、シンジ」

「うん久しぶりだね父さん。3年ぶり、だっけ?」

「…出撃」

 

 僕は父の顔を見上げ問いかけるが無視し、出撃とだけこぼした。

 

「出撃ぃ?!レイはまだ…」

「…今届いたわ」

 

 何故か当事者である僕を差し置いて言い合いを始めるミサトさんとリツコさん。そもそもいきなり与えられた情報が多すぎて頭がこんがらがりそうになる。

 そして碇シンジはいつものクセで煙草を咥えて火をつけた。大勢の大人の前だというのにも関わらず。

 

「……何をしている」

 

空気の凍った発令所の中で均衡を破ったのは碇ゲンドウだった。

 

「何って一服、あ!父さんもしかしてここ禁煙?」

「そういうことではない!未成年で中学生のお前がなぜ煙草を吸っている!」

「なぜって、父さんには関係ないでしょ?」

 

(反抗期だ…)

 オペレーターの考えが一致した。

 

 口から煙を出しつつ答える。だって父親としての役割を放棄したんだ、僕のやることに口出しされたくない。ってか今このエヴァンゲリオン動いた?…気のせいか。

 

「っく…もういい!冬月!レイを起こせ!」

「いいのか?碇」

「構わん、死んだわけではない。あいつよりも使える」

 

 機嫌の悪い碇の指示を受け、医務室に連絡する。

 こんな時息子に怒ることもできないとは、どれだけ不器用なんだ…冬月は誰にも聞かれることなくため息を漏らした。

 

 

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 煙草が吸い終わろうとしたその時、ストレッチャーに乗せられた包帯だらけの女の子が現れた。ちょっとまさか…

 

「レイ、予備が使えなくなった。もう1度だ」

「はい…」

 

 そう言って苦悶の表情を浮かべながら女の子は立ち上がった。

 

「っシンジ君!あなたそれでも」

「わかってますよミサトさん」

 

ミサトさんの言葉を理解をもって制止した。僕も男だ。ここまでされたら黙ってるわけにいかない。

 

「僕が乗る、それならいいんでしょ?」

「ああ、詳しくは赤城博士に聞け」

 

 それだけ言うと背を向けて引っ込んでいった父さんの背中を見送った。

 

 

 そこからは全体が慌ただしくなる。詳しくは良く分からないけどヘッドセットのようなものを着けて乗り込んで待機と言われたのでおとなしく従う。その際に煙草とライターは持ち込めないといわれたので、ミサトさんではなく、リツコさんに預けた。理由は…何となくリツコさんのほうが信頼できそうだから…かな。

 

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「良く乗ってくれたわね…」

「レイを見てあの子なりの覚悟が決まったんでしょうね」

「碌な死に方しないわよあたし達」

「覚悟なさい、それでもしなければいけないことよ」

 

後悔の念が込められた言葉に対し、モニターに映る碇シンジを見つめながらそっけなくリアルで答える。それが今の彼女には慰めよりも必要な言葉だろう。

 

「それにしても…煙草を吸いだしたときはさすがに驚いたわ」

「それねー諜報部の報告書にもなかったのよ、不思議じゃない?」

「ええそうね…」

 

 ただの中学生が諜報部の目をかいくぐり、喫煙なんて目立つ行為を敢行していたとは考えられない、が今はそれより大事なことがあるのだ。彼から手渡された煙草の箱を一瞥してから白衣にしまおうとして、違和感を感じた。それは紫1色だと思っていた箱の前面、本来なら煙草の銘柄がある部分に、オレンジと赤の中間ぐらいの色で英語の文字が書かれている。

 

 リツコはその文字を見て驚愕し、言葉が出るまで数秒要した。その間に初号機の発進準備が完了する。

 

「エヴァンゲリオン発進!」

「ダメっ!!!」

「リツコ?!」

 

 記憶にない親友の感情的な叫び声にミサトは素早く反応したが、初号機は射出されてしまった。

 

「いったいどうしたのよ!不具合でもあったの?」

「違うわ…」

「なら集中して!さっきアンタが覚悟しろって」

「違うといったでしょ!!よく見て!!」

 

 ミサトの顔に煙草の箱を見せつける。すると表情が目に見えて変わった、無理もない。

 

 なぜなら煙草には” Evangelion”そう書かれていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがきって何書けばいいんすか?

有識者兄貴いたら教えてクレメンス…

使徒との戦闘描写について ご協力をお願いします。

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