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皆様のおかげです、ホントに。
さて今回はヤシマ作戦。
2次創作なら名言キャンセルも出来るんだぜ!
ではどうぞ。
いつもの公園で読書に勤しんでいたとき、大きな声をあげながら走ってくる影が1つ。
「ただいまお兄ちゃん!」
「おかえり…ん、どうしたんだいその膝?」
少年の膝には数枚の絆創膏が貼られ、それでも覆いきれなかった部分が痛々しい。
「ああこれ?鬼ごっこしてたら転んじゃって。でも僕痛いの強いから!」
ヘーキヘーキと言わんばかりにぴょんぴょん跳ねる。
しかし着地で絆創膏が剥がれて顔を歪める。
傷口を粘着で引っ張られたのだろう。
少年をベンチに座らせ、どこから取り出したか消毒液をかける。
「痛むかい?」
「い、痛くないよ!」
そういうが目には涙が浮かんでいる。
この年頃の子供特有の強がりだろう。
「あのね、痛みに強いってのは決して偉いわけじゃない」
ガーゼを被せながら聞かせるように言うと、良く分からないのか眉を寄せた。
「人は万能ではないから傷つくこと、苦しむことから決して逃れられない。だけど学習することが出来る」
「学習?」
包帯を巻いた膝をやさしく掌で包み込む。
少年は、なんだか痛みが引いたような気がした。
「そう、例えば自転車だって最初のころはよく転んですりむいたりしただろう?」
「うん、けど今は転んだりしないよ?」
「そういうことさ、人はそうやって学習し成長していく。それこそが人が人たる所以だ」
膝から手を離し立ち上がる。
少年は目を伏せたまま…もしかしたら難しかったのかもしれないな。
「お兄ちゃん…」
「どうしたんだい?」
「また難しい話し方してる」
そう指摘すると白い歯を見せて大きく笑った。
「よーし!今度こそホントの名前教えてもらうぞ!」
「この前名前は教えたじゃないか」
「それは噓でしょ!日本語ペラペラなのに名前がキールなわけないじゃん!その前のもウソだったし!もうだまされないんだからね!」
ビシッと音が聞こえんばかりに指をさす。
「なら仕方ない…僕の本当の名前を教えよう」
「ホント?!」
嬉しそうにピョンと跳ねる。
そして名前を聞くためにワクワクしながら口を閉じた。
「僕の名前…それは」
「それは…」
「
少年は何とも言えない顔をしていた。
「ええ~だってさ、お兄ちゃんシゲルって顔じゃないもん」
「どうして?日本人の名前じゃないか」
「んー何かなー違うよなー。やっぱりシゲらないよ」
「シゲるさ」
納得いっていない様子が全面に出ている。
少し考えていたようだが、悩むのをやめたみたいで友達の方に走っていった。
「少し悪いことをしたかな…?」
名前を勝手に借りたうえに少し遊んでしまったが、まあ関わりも少なかったし…
そう区切りをつけて、また読書作業に戻った。
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葛城ミサトは後悔していた。
何故あの時、最初の作戦で行かなかったのか…と。
つう…と口の端から鮮血が流れる。
『があああああああああああああ!』
耳を塞ぎたくなるような絶叫。
身をよじらせ、左胸を掻きむしり、顔を歪ませる。
痛い、苦しいなどの言葉ではおおよそ言い表せないモノが襲っているのだろう…でなければあんな声出せるはずもない…。
シンジが回収されるまでのおよそ15秒で、意識衰弱まで追い込まれていた。
否、彼を追い込んだのは自分なのだ…リツコの言う通り、最終的な作戦を決めたのは自分なのだから。
それなのにタラればを考えてしまう自分がいる。
シンジ君が納得できる説明をしていれば…命令権を駆使して偵察を行っていれば…と。
だがそれは何度やっても無理だ…あの場面で
何時からこんなに甘い人間になってしまったのだろうか…いや違う。
「違うわ…シンジ君を信じたのを間違いだったなんてしたくない」
捉えようによっては、その発言こそ甘さそのものだと思うかもしれない。
だがその目は強い火を灯していた。
両頬を有らん限りの力で挟み込むようにぶっ叩いた。
パチイン!と大きな音を立て、オペレーター達の視線を受ける。
「葛城さん…?」
「ああ日向君気にしないで。気合い入れなおしただけだから」
そういうと作戦を立てるためブリーディングルームへと歩き出す。
その表情だけでも気合の入りようが違う。
パイロットを傷つけてしまった自分を律しながらも、使徒殲滅に向けて切り替えるその姿勢は、図らずも他職員達の心に火をつけた。
「あらミサト、あなた顔がタコみたいよ?」
「うるしゃい…強く叩き過ぎたわ…」
赤く腫らした頬を抑えながらぶっきらぼうに言い捨てた。
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「まただ…これで3回目か」
目を開けると、もう見慣れた白い天井。
それが病室のものであると直ぐに分かった。
「学習しないな…僕も」
前回ミサトさんの命令を無視して腹を貫かれたばかりだというのに、今回も作戦に難癖つけた結果が”コレ”なのだから我ながらアホ過ぎると思う。
しかしゆっくりしている暇はない。
ここまで響いてくる工事の音が、まだ使徒を倒せていないことを表してる。
「碇君」
「でゅ!?あいたたた…」
体を起こそうとしたタイミングでいきなり声をかけられたから変な声出ちゃった…オマケに皮膚も火傷で痛むし…
「あ、そんなことより綾波!使徒は?もう倒しちゃったの?」
「いいえまだ…今使徒はジオフロントに向かって進行中…けど計算ではあと5時間かかるらしいわ、安心して」
「そっか…」
綾波の報告を受けてベットに体重をかける。
乾いたスプリングの軋む音が静かな病室内に響き渡る。
さっきから無言の綾波をちらりと目をやると、綾波と視線が合う。
「あのー綾波?僕の顔なんかついてる?」
「いいえ何も…」
そういうとまた会話が終わるが、その紅い瞳を動かすことはない。
(暗いとこだと余計目立つし分かりやすいな…)
「…碇君、その…」
「ん、なに?」
そんなことを考えてたら綾波が何か言いたそうな顔をしている。
それに言葉を返すと少し目を伏せた。
「……葛城一尉と赤木博士から伝言を預かってる」
「そ、そう?」
神妙な顔をしていたので何かとも思ったが、口から出た言葉に拍子抜けした。
「それで、伝言は?」
「まずは葛城一尉から…『シンちゃんの事だから自分のせいって思ってるでしょうけど』…どうしたの?」
「フフッ…いや綾波がミサトさんの真似してるのが面白くって。気にしないで続けて」
「そう…なら続けるわ」
まさか無表情のままミサトさんのテンションで喋られるとは…思わず笑ってしまった。
それをミサトさんに伝えても信じてもらえないだろうが、今は話を聞こう。
…話を要約すると、直接出撃の許可を出したのは作戦部長である自分だから気にしないでいいってこと、ホントは直接伝えに行きたいのだが、あの使徒を倒す『ヤシマ作戦』の準備で来れないってことらしい。
とりあえずミサトさんが自分の事を心配してくれているのは分かって嬉しかった。
「で、リツコさんは?」
「赤木博士から1つだけ…『目の前で何が起きたとしても、煙草吸わずに集中出来ると約束できる?』と聞いてるわ」
「…やっぱり、リツコさんは性格悪いよ…」
綾波からの伝言、もとい忠告を聞いて苦笑する。
遠距離からのスナイプするオフェンス担当と、保険としてそれを守るディフェンス担当で成る『ヤシマ作戦』…
綾波曰く、シンクロ率から僕がオフェンスで綾波がディフェンスらしい。
一撃で倒せなかった場合、保険が適応されることになるが…その時、あの熱線を受け止める綾波を前に
自分が心を落ち着かせるために煙草を吸うことがあるのも全部お見通しらしい…。
「敵わないな、全く…」
思わず感嘆して言葉が漏れる。
綾波にはそれが何を指すのか分からないのか、不思議そうにこちらを見てくる。
色々思うこともあるが、リツコさんからの問いかけへの答えは1つだ。
「リツコさんに伝えて。必ず約束するって」
「分かったわ…そう伝える」
僕の言葉に頷く綾波。
それを見て、5時間後の決戦に備えて寝ころんだのだが…また綾波が僕のほうを見ている。
「綾波さ…もしかしてだけど、何か僕に言いたいこと…ある?」
そう口を出すと、驚いたのか目を大きく開いた。
「どうして…そう思うの?」
「それは…何となく?」
本当に何となくで言ったので、そんなに不思議そうな顔されても困るのだが…
でも、今の表情から恐らく的を得ていたのだろう。
「ごめんなさい…碇君に謝らないといけないと思ってたの」
静かに、綾波の口から言葉が綴られる。
その言葉に思うこともあるが、今は口を挟むタイミングではないだろう。
「碇君が出撃するとき…偵察の作戦なのに私が、零号機が出撃できないから…初号機で直接戦線に出て…そのせいで…」
思い出されるのはあの声と顔。
司令部のパニック具合からも危険な状態であることはわかった。
『まあ僕は特別エヴァにも父さんにも思い入れも絆もないし、好きでもないしね』
そう語ったときの表情に、あの時何も言えなかった…。
自分のせいで、その好きでもないエヴァに乗らせて怪我をさせた。
「何故、私の体が震えるの?ケガをしたのは碇君なのに…」
目の前の少女は震えていた。
本当は『もう乗らなくていい』と言いたかった…。
だが『ヤシマ作戦』は1人では決して行えない。
だから、もう一度乗ってもらわねばならない…また高熱のLCLで身を焼かれてしまうかもしれない、今度こそ死んでしまうかもしれない。
彼は死んでも
その思考から成る何かが少女の体を震えさせた。
それが”恐怖”であると理解するにはあまりに知識が足りなかった。
「…何を綾波がそんなに悩んでるかは分からないけどさ、結局のとこ悪いのは僕とミサトさんの両方だよ。だから綾波が謝る必要ないよ」
話すのをやめ、両腕で震えを押さえつけるようにしている綾波にそう告げる。
するとゆっくりと顔をこちらに向けた。
その表情はひどく歪んでいた。
「エヴァに乗るたびにケガしてるけど、こうやって生きてるから」
元気さをアピールするためにベットに立つ。
「『ヤシマ作戦』も上手いこと出来るかわかんないから…もしかしたら綾波に守ってもらうかもだけどさ。んーと、だからその…」
言葉を止めた僕を綾波が見上げる。
その顔を見て自然と言葉が出た。
「綾波は死なない、死なせない。僕が倒すから」
本当はもっとスマートに言葉を伝えるつもりだったのにひどく不格好になってしまった。
こういう時煙草を吸うと言葉がスラスラと出てくるのに、煙草がないと言葉に詰まる自分が嫌になる。
まあいいか…と綾波を見ると、何故か向こう側を向いていた。
「おーい綾波さーん?」
「…ごめんなさい…こんな時どういう顔すればいいか分からないの」
くぐもって震えた声で聞いてくる。
それにどう返すべきか、少し悩んでこう言った。
「…とりあえず一服、する?」
そう言って綾波に煙草を差し出した。
「アホかあ!!」
叫びながらミサトさんが飛び込んできた。
「あれミサトさん来れないんじゃ、もしかして聞いてたんですか」
「聞いてたわよ!いいシンちゃん?あなたは乙女心ってもんが何にも分かっちゃいないわ!」
「なんでそこで乙女心の話が出るんですか?」
僕がそういうとミサトさんはこれ以上ないほど大きなため息をついた。
「そう…こんな時に煙草を吸いたくなるのね」
「ちがあう!!ああもう2人揃って!!いいレイ?煙草を勧める男にはね…」
そんなやり取りを聞きながら、時計を見ると針は午後7時を少し過ぎたところを指していた。
『ヤシマ作戦』開始まであと4時間と少し…
あの使徒にやられたばかりだというのに、不思議と心は穏やかだった。
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「シンジ君…あなたに日本中の電力全てを託すわ」
『分かりました』
その声に軽く頷き、陽電子砲の撃鉄を起こす。
「レイ…何かあったらシンジ君を守ってあげて」
『はい』
短く、だが力強く答える。
『碇君』
『なに、綾波?』
『あなたは
これは後の話になるが、それを聞いたときミサトは『勝った』…そう思ったという。
『パターン青消滅しました!』
その言葉を聞いた瞬間、エントリープラグのイジェクトボタンを押す。
シンジは肺のLCLを吐き捨てながら、使徒によって熱された地面を駆けていた。
身を挺して自らを守った零号機、綾波レイのもとへ。
「はあ…はあ…あった!」
零号機から飛び出したエントリープラグがそこにはあった。
「あっつ!ふんっ!」
熱された取っ手で手が焼けるのも厭わずこじ開ける。
扉が開き、高温のLCLがあふれ出てくる。
そこにはぐったりした様子の綾波がいた。
「綾波!」
「い、碇君…」
まさかと思い体を抱えるが、どうやら息はあるらしい。
ホッとして救援信号を送信する。
「ありがとう綾波…守ってくれて。凄い嬉しかった」
「嬉しいのに…泣いているの?」
そう言われて手を目にやると雫が付いた。
確かに自分は泣いてるらしかった。
「嬉しい時でも泣くときもあるよ」
「…なら私も泣くべき?」
そういう綾波に微笑みながら首を横に振る。
綾波は目を伏せた。
「ごめんなさい…こういう時どんな顔をすればいいか、分からないの」
数時間前と同じ問だが、今回の正解は直ぐに分かった。
「笑えばいいと思うよ」
その言葉に少し戸惑いを見せた後、柔らかに微笑んだ。
エントリープラグに月の光が差し込み、2人を優しく包み込んだ。
やっぱり名言には勝てなかったよ…
あのセリフキャンセルできるわけないだろいい加減にしろ!
てかそろそろタグに戦闘描写少ないって入れるべきかな?
教えて有識者兄貴達!
今回は補足することいっぱいありますが、あえてしません。
気になったところがあれば是非感想にてご質問ください。
次回はアンケート通り、番外編でーす。
使徒との戦闘描写について ご協力をお願いします。
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増やしてほしい
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そのままでいい
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どっちでもいい