ЯeinCarnation   作:酉鳥

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7:16『あぁ鐘の音よ』

「家まで走れ。私がこの女共を相手する」

「一人で相手するつもりっすか? 自分もそれなりに戦えると思うんすけど……」

 

 鞘に手を添えるティム。私はその姿を横目で眺めていれば、修道女が蓄音機を赤子を扱うようにゆっくりと足元に置き、銀のナイフをどこからか取り出す。

 

「お前はその男と室内の確保を優先しろ」

「アレクシア、ほんとに大丈夫なのか?」

「吸血鬼共を死滅させるまで詰む(・・)つもりはない」

「その返事なら……まぁ問題なさそうっすね」

 

 修道女は四人。私は東側の家に背を向けて立つ修道女へ銃口の矛先を切り替えた。そして空いている手でもう一丁の銃を握りしめ、隣でこちらを見つめているティムに視線を送る。

 

「私に合わせろ」

「いいっすけど……誤射は勘弁してください」

「えっ、お、おい? 誤射って何をするつもりなんだよ──」

「道を切り開く。祈れ」

 

 そう言って私が二丁の引き金を引いた瞬間、ティムが察しの悪いキリサメの腕を掴み、真っ直ぐ東側の家へと駆け出した。

 

「キァィイ"ェア"ェエ"イ"ィイ"ィア"ァァア"ッ!!!」

「ま、待て待てッ!? ど真ん中を走ったら弾に当たるぞ!?」

「だから祈れって言われたんすよ……!」

 

 ティムとキリサメは射線上を駆け抜け、修道女に正面から向かっていく。弾丸は二人の衣服に掠る寸前を通り過ぎ、修道女の肉体を貫こうと風を切った。当然だが修道女は弾丸を避けようと姿を消す。

 

「今っすね……!」

 

 その瞬間を狙い、ティムはキリサメの腕を引きながら東側の家へと駆け込んだ。追いかけようとする修道女に私は銃撃を続け、自身の背後へ視線を配る。

 

「キイ"ア"ァェア"ェエ"イ"ィア"ァァア"ッ!!」

「そう来るだろうな」

 

 視界に映るのは金切り声を上げ、銀のナイフを振り下ろそうとする三人の修道女。私が回避行動を取ろうとすぐさまその場から飛び退けば、

 

「キェエ"ィア"ァア"ィイ"ア"ァェア"ェエ"イ"ィ……ッ」

 

 先ほどティムたちへ矛先を向けていた修道女が、飛び退いた先で銀のナイフを乱雑に振り回してくる。

 

(呪印とやらの影響で息の根を止めることはできん。早急に呪印の効力を消滅させる手段を考えなければならないが……)

 

 私は背を向けたまま、ナイフを握った修道女の腕を掴み、銀の鐘が埋め込まれた頭部に銃口を突きつけ、

 

(……現状では情報不足だな)

「キア"ェィ──ェア"ィ──ッ!!!」

 

 弾倉に詰まっているだけの弾丸をすべて銀の鐘に撃ち込んだ。鐘の金属音と金切り声が混ざり、周囲に黒ずんだ血肉が飛び散る。

 

「キァェイ"ア"ァェア"ェエ"イ"ィッ!」

 

 修道女四人が私に注目をすれば、背後から死角から前方から……と様々な方向から絶え間なくナイフが振り下ろされた。しかし私はすべて身軽な動作で捌き切る。

 

「ナイフの扱いに長けていないのが救いか」

 

 修道女の厄介な性質は不死の肉体、瞬間移動、判断力を鈍らせる騒音のみ。対面した際の技術は皆無に等しく、厄介な性質に細心の注意を払えば、素人四人を相手にしているのと変わらない。

 

「まだ生きてるっすよね?」

「あぁ」

「中は安全っす。早く切り上げて貰っていいっすかね?」

 

 東側の家の安全を確保したティムが玄関前でそう声をかけてきた。私は四人の修道女をどう撒こうかと考える。

 

「殺せん相手をどう撒けばいい?」

「は? まさかだとは思うんすけど……そこまで考えてなかったんすか?」

「あぁ」

「あんた、計画性あるように見えてないんすね」

 

 そもそもこの修道女には視覚や聴覚があるのか。顔を確認したところで黒の血液が付着した銀の鐘があるだけ。私は四人の修道女を相手にしつつ、思考を張り巡らせた。

 

「どうするんすか? その人たちを家に招き入れたくないっすよ?」

「……策を思い付いた」

「はぁ、どんな策を思いついたんすか?」

「いや、正確には思いついた(・・・・・)ではなく──」 

 

 私が見上げるのは新月が映し出される夜空。見覚えのある人影と共に肌を凍てつかせる冷気が足元へ降り注ぐ。無意識に彷彿するのは冬季(とうき)の到来。

 

「──降ってきた(・・・・・)の方が正しいか」

 

 降臨しようとするのは新月を覆いつくすほど巨大な氷柱と、雪の結晶を衣服や肌に張り付けたルーナ。私は肺に入り込む冷気に顔をしかめつつ、体内で獄炎を巡らせ、すぐさま東側の家まで駆け出せば、

 

「……退()いて」

 

 ルーナがそう囁きながら地上に降り立つ。同時に巨大な氷柱が雨のように降り注ぎ、四人の修道女を頭頂部から股関節まで貫く。更に銀の氷塊が地面から突き出し、真っ白な冷気を周囲へ漂わせた。

 

「ルーナ様、勝手に飛び出されては困ります!」

「まぁまぁアラン氏。ルーナ氏は激強(げきつよ)なので心配いりませんよ……と、むむっ? そこにいるのはティム氏に、アレクシア氏に、キリサメ氏じゃないですか」

「アランさんにララさん!?」

 

 ルーナの後を追いかけてきたのはアランとララ。私たちの存在に気が付くと、驚いた様子で駆け寄ってくる。 

 

「ティム、それに君たちも……! 無事に帰還してくれて何よりです!」

「アラン先輩、この町で一体何が起きてるんすか? あの変な人らは何者で──」

「話は後。まずは身を隠す」

 

 事情を聞き出そうとするティムを静止し、ルーナは避難先の家まで私たちを避難させた。凍り付いた修道女は動く気配はない。だがあの不気味な金切り声と不協和音は脳内に響いたまま。

 

(……加護でもトドメを刺せんのか)

 

 つまり修道女はまだ生きている。あくまでも身動きが取れなくなっただけに過ぎない。ルーナ自身もそれを理解しているからこそ、身を隠そうと指示を出したのだろう。

 

「本棚で扉と窓にバリケードを!」

「了解っす……!」

 

 私たちは奥の部屋まで駆け込めば、ティムとアランが入ってきた扉の前に、ルーナは一人で窓の前まで本棚を移動させる。そして侵入されないよう阻塞(そそく)を築き上げた。

 

「はぁ、どうにか一息付けそうですね」

 

 ベッドに重い腰を下ろすアラン。その隣のベッドで呼吸を整えるティムとキリサメ。私は蓄音機が置かれた傍の壁に背をつけ、ルーナは窓を塞いだ本棚へ背をつけていた。

 

「ふぅー、ハラハラのドキドキでしたなぁ皆さん! 私がいなかったら果たして無事に逃げてこられたのか……」

「いや、今の時間……ララ先輩が一番なんもしてないっすよ」

 

 対して活躍もしていないララに苦言を呈するティム。しかしララは「見てなかったのか」と言わんばかりの形相でティムへと詰め寄った。

 

「な、なんですとぉ!? 私の活躍を見ていなかったのですかティム氏!?」

「えっ? ララ先輩、なんかしてたんすか?」

「ふっふっふっ、ボヤボヤしすぎですぞティム氏。私はあの危機的状況で今晩の献立を考えていました。しかも平常心で!」

「自分、安心したっす。ほんとに救いようがなくて」

 

 空気が読めないララにその場の全員が呆れてしまう。そんな空気を見兼ねたアランは私へと視線を送ってくる。

 

「君たちの無事を喜びたいところですが……まずは何があったのかお互いに情報交換と行きましょう」

「あぁ」

 

 私はルーナたちと別れ、今に至るまでのことをすべて話した。亡者の正体や目的、呪印という力、奇襲してきた修道女。それらを聞き終えるとルーナとアランは険しい顔を浮かべる。

 

「……そうでしたか。あの亡者たちは、この町の人間だったのですね」

「次はお前たちの番だ。この場に一人足りないのも何かあったからだろう?」

「そういえば……! ノーマンさんはどこにいるんですか?」

「落ち着いてください。それも含めて僕から説明します」

 

 ノーマンの姿が見当たらないことで声を上げるキリサメ。アランはキリサメを(なだ)めながら、私たちを別れた後のことをこう語り始めた。

 

「僕らはこの町まで帰還した後、鐘の教会まで『腐食の侵攻を食い止めた』と報告をしに向かいました。ですがカムパナさんの姿は見当たらず、あのシスターから襲撃を受けてルーナ班全員で応戦を」

「それで?」

「君たちも知っているとは思いますが、あのシスターは殺せない。一度撤退しようと強引に切り抜けましたが、僕が陣形を崩してしまったせいで状況は悪化しました。ノーマンは自ら囮になって僕らが逃げられるようにと……」

 

 鐘の教会で私たちと同じく襲撃を受けたと語るアラン。亡者共との交戦で腕が立つとは思っていたが、異例な存在に襲われても対処可能な実力。グローリアの人間とは違い、このルーナ班の人間は相当場数を踏んでいる。

 

「その後は隠れていたのか?」

「はい、町の北にある空き家で身を隠していました。けれど銃声が外から聞こえた瞬間、ルーナ様が急に飛び出して……」

「自分らが囲まれたときっすね。ルーナ先輩らのおかげでほんと助かったっす」

「ですが……僕のせいで、僕のせいでノーマンを置いてきてしまい……」

 

 両膝の上で握り拳を作りながら歯を食いしばるアラン。失態を犯した後悔と自身への苛立ちを露にする。ティムたちが声を掛けられず項垂れていれば、空気の読めないララがアランの前に立つ。

 

「まーまー、落ち着きましょうよアラン氏。あんなカッコいいノーマン氏が見れたんですよ。私も『ここは任せて先に行け』とか言ってみたいですなぁ」

「……はい?」

「それに言ったじゃないですかアラン氏。カッチンカッチンな性格は直した方がいいって。失敗しちゃったのもそれが原因ですぞ? ノーマン氏のこと気にする前にカチカチな頭を見直した方が──ちょわわッ!?!」

 

 アランはベッドから立ち上がるとララの胸倉を掴み上げる。その威勢はいつもの戯れとは違い、呑気なララに対して逆上する険悪なものだった。

 

「僕はルーナ班の為にいつも考えて、考えて、頭を悩ませて……すべて上手くやれるように考えてきたッ!! 誰一人欠けないように、ルーナ様を悲しませないように、僕は常に全力で手を尽くしてきたッ!!」

「は、はれ? ア、アラン氏、いつもと何か違います……?」

「ほら教えてくださいよ……!? 君がこのルーナ班の為に何をしてきたのか! いつもへらへらして、問題ばかり起こして……! 何の苦労もせず生きてきた君に、なぜ僕がどうこう言われなきゃならないッ!?」

「あ、あの……ア、アラン氏……ちょ、ちょっぴし落ち着きましょ──うぇえっ!?」

 

 ララの言葉など届いていないのか、胸倉を更に強く掴み上げるアラン。ティムたちは目を丸くしたまま、その光景を呆然と見つめている。

 

「──いらないんですよ」

「……え?」

「君はルーナ班にいりません。貢献もできない、役にも立たない、ただ僕らの邪魔をするだけの……運だけで生き延びてきた役立たず(・・・・)は必要ないんです。すぐにでもO機関に送り返して──」

 

 そう言いかけたアランの肩に優しく手を置くのはルーナ。焦燥感に駆られたアランの瞳を覗き込み、ゆっくりと口を開く。

  

「……『ルーナ班は常に一つであること』でしょ?」

「……!」

「そんな酷いことを言ったらダメ。私たちルーナ班に欠けていい子なんていない。全員揃ってこそのルーナ班だから」

「ルーナ様……」

 

 咎められたアランは落ち着きを取り戻すと、ララの胸倉から手を離し、静かに項垂れた。ルーナは次にララの肩に手を置く。

 

「……『班員の失態はルーナ班の失態』でしょ?」

「は、はい……」

「失敗したことを責めたり、一人で背負わせちゃダメ。争っても何も解決しない。大切なのは、ルーナ班としてこれからどうするべきかを話し合うこと」

 

 咎められたララは珍しく反省したようで、アランと同じく静かに項垂れてしまう。ルーナは項垂れた二人を交互に見ると、もう一度アランへと視線を送った。

 

「後は、私がアランに頼りすぎたのもダメだった」

「そ、そのようなことはありません! ルーナ様の期待に応えられなかった僕に非があるだけで……!」  

「私はアランを信頼してる。でも、信頼と押し付けは違う。私は信頼って言葉に逃げて、自分の役目をアランに押し付けてた。……悪いのは私なの」

 

 傷の舐め合いにも似たルーナ班の反省会。私は「下らない」と独白しつつ視線を窓を塞いだ本棚へ移す。

 

「……ノーマン先輩は生きてるっすよ」

 

 重い空気に包まれた中、ティムが意を決したようにベッドから立ち上がり、ルーナたちの元まで歩み寄った。

 

「ティム……」

「今できるのは信じることだけっす。ルーナ先輩も言ってましたけど、大事なのはルーナ班がこれから何をするかじゃないっすか」

「……そうですね」

 

 ティムの言葉にアランが強く頷きつつも賛同する。そしてララや私たちに向かって軽く頭を下げた。

 

「すみません、僕としたことが酷く取り乱しました。ララ、君に心無い発言をしてしまったことも謝罪します」 

「わ、私もちょっぴし言い過ぎました……。申し訳ないですアラン氏。そんな思い詰めてるとは思わなくて……」

 

 お互いに頭を下げ合う二人をルーナは子を見守る母親のように見つめる。ティムとキリサメは空気が和やかになったことで表情を緩めていた。

 

「では、気を取り直しましょう。まずはこれからどうするべきかですが、僕としては教会に残ったノーマンの救出を優先すべきかと。その後、この町から一度離脱し、グローリアへ援護要請します」

「……要請が向こうに届くまで何日かかる?」

「二日から三日ほどです」

「カムパナとやらが私たちを易々逃がしてくれるとは思えん。離脱後に延々と追われ続けるなら……せめて呪印の対抗策をこの町で見つけてから離脱するべきだろう」 

 

 援護要請をされては私の立場が危うくなるため、適当な理由を付けて援護要請されるまでの猶予を引き延ばす。

 

「ま、まぁ確かにそうだよな。森の中とかであんなのに囲まれたらやばそうだし……。何か抵抗できそうな情報は欲しいかもなー……」

 

 キリサメも私に便乗して自身の意見を述べた。しかし呪印の対抗策は現時点で一つだけある。それは、

 

「……対抗策」

(この雪女が問題か)

 

 ルーナの加護で修道女を凍結させる手段。確実に仕留めることはできないが、身動きならば封じられる。時間稼ぎに最も有効な手段だ。

 

「ピカーン、閃きましたぞ! あのシスターさんをルーナ氏の力で、カッチンコッチンにしてもらえばいいのでは?」

「そうっすね。襲ってくるやつを全部凍らせたらどうにかなるんじゃないすか?」

 

 余計な口出しをするのはララとティム。期待の眼差しを向けられたルーナは考える素振りを見せ、浮かない顔で視線を逸らす。

 

「……どうにもならない」

「ルーナ様、どうにもならない……というのは?」

「凍らせても、ずっと動きを止められるわけじゃない。それに加護は使いすぎると身体に負担がかかる」

(負担がかかる? そんな欠点を過去に聞いた覚えはないが……)

 

 加護の多用は肉体に負担をかける。初代十戒の連中がそのような欠点を口にした記憶はない。情報が漏れないよう黙っていたのか、それとも加護の性質が変化しているのか。

 

「……私たちルーナ班に残された道は一つしかない」

 

 ルーナは言葉を紡ぐように、強い意志を瞳に宿しながら私たちの顔を一人ずつ見つめる。

 

「ノーマンを助けて、この町も助ける」

「この町も助けるって……まさかとは思うんすけど、自分らであの司祭を倒すってことっすか?」

「そう」

 

 そして呪印の根源とも呼べるカムパナの始末をルーナ班の方針として定めた。ティムたちは少しだけ表情を曇らせたが、

 

「僕はルーナ様の方針に異論はありません」

「自分もないっす」

「私もルーナ氏に賛成ですぞ! 呪印って力ごとドカーンっと吹き飛ばしちゃいましょ!」

 

 意を決するとルーナの提案に賛同する。その光景を目にした私とキリサメは、視線を交わし「意見を合わせるべきだ」と意思疎通をすると、肯定するように無言で頷いた。

 

「ですが問題はカムパナの現在地です。鐘の教会で姿が見当たらないとなれば、この町から旅立った可能性も……」

「アランさん。カムパナは鐘の教会にいると思います」

「鐘の教会に?」

「鐘の教会には地下に続く隠し通路があるんです。昨日の夜、カムパナが地下に降りていくのをこの目で見ました」

 

 キリサメが昨晩自分の身に起きたことを私たちへ説明する。壁に敷かれた赤い絨毯(じゅうたん)。床の扉から姿を現した修道女。キリサメがスマホに残された修道女の写真を見せれば、アランたちは顔を見合わせながら頷いた。

 

「……しかし不思議な板ですね。それをどこで手に入れたのですか?」

「も、森の中に落ちてたんですよ」

「ふむふむ、落ちていた。ルーナ氏はこの板について何か知っていたりしますか?」

「……知らない」

 

 返事を一瞬だけ戸惑ったルーナ。私は僅かな動揺に気が付き、ルーナが嘘を付いていると確信する。

 

「ではルーナ班の方針は『ノーマンの救出』と『教会の調査』の二つ。行動を起こすのは夜が明けてからに──」

「遅すぎる」

「遅い? 視界が開けた朝方であれば動きやすいでしょう」

「よく考えてもみろ」

 

 アランが改めて方針を説明している最中、私がそう口を挟めば、室内に置かれた蓄音機の音盤がゆっくりと回転し始めた。

 

『プツ……ツッッ……』

「あの女共が朝日を拝ませてくれると思うか?」

『あぁ鐘の音よ。生者の我らに祝印を与えたまえ』

 

 室内に流れるのはあの文言。窓や扉に阻塞(そそく)として置かれた本棚が、とてつもない力で叩かれる。部屋全体がその衝撃で大きく揺れ、

 

『死者の我らに呪印を与えたまえ』

 

 破壊された本棚の隙間からこちらを覗き込んできたのは──銀の鐘が埋め込まれた無数の頭部だった。

 

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