俺と幼馴染と少し変わった日常   作:バタースコッチ

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第1話

畠山修一には幼馴染が居る。

周りには優しく、修一にのみ厳しい。

素直になれないと言ってもいい、所謂”ツンデレ”というものである。

家は隣同士、学校へは徒歩20分と中々に近い。

 

 

幼馴染の名前は望月桜、小柄でスレンダーである。

桜は自分の体型を気にしているが修一のデリカシーの無い発言で度々拳を握る。

何故修一が幼馴染なのかずっと悩んでいる。

そして密かに修一の事を想っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月曜日、週の始まり。

土日の休みが終わり学校が始まる月曜日。

月曜日が憂鬱になる人間も少なくない、修一もその一人である。

目覚まし時計が鳴り、それを止めるも修一は布団から出ない。

普段であれば家族が起こしにくるが、畠山家ではそれが無い。

 

 

”自分の事は自分でやる”

これが家訓である。

料理も一人分しか作らない、稀に大人数用で作る時もあるが、基本一人分である。

朝起きるのも、自分でやらなければいけない。

だが修一は一人で起きられない、炊事洗濯その他は出来るのに、一人で起きる事だけは出来ないのだ。

しかし、それでも修一は学校を遅刻した事が無い。

その理由は…

 

 

 

 

 

ガラガラッ「また寝てんのね、修一」

 

 

窓から入って来たのは桜だった、桜の家との距離は1mも無い、飛び越えられる距離である。

普通に玄関から入ってくれば良いのに何故か毎回窓からである。

 

 

「ほんと、何歳になっても朝は弱いのね。

幸せそうな顔しちゃってさ」

 

 

枕元に座り頬を撫でる桜、その表情は修一には普段見せない優しい顔である。

 

 

「ん…んん…」

 

 

頬を撫でる手がくすぐったいのか、桜の手を掴み自分の方へ引き寄せる。

自然と桜が修一に覆い被さる状況になる。

 

 

「ちょ、ちょっと…離しなさいよ…」

 

 

その場から離れようとするも、修一の腕は桜の背中に回っており離れる事が出来なくなっていた。

修一と桜の距離は少し顔を動かすだけでキスが出来るくらいの距離にまで近付いていた。

 

 

「ち、近…!」

 

 

桜の顔は紅潮し熱を帯びる、自然と息遣いが荒くなる。

 

 

「い、今…キスしたらどうなるのかな。

コイツは起きてないけど…」

 

 

桜の右手が修一の左頬へ添えられる。

目を閉じ唇が修一の唇へ吸い寄せられる、唇が触れ合うその瞬間

 

 

「お前…何してんの…?」

 

「え…?」

 

 

修一が起きたのであった。

目を閉じていた為、急に修一の声を聞いた桜は硬直する。

 

 

「ふぁぁ…ん?もう起きる時間か。

んで、何でお前俺に覆い被さってんぐぇ!?」

 

「アンタは知らなくて良いことよ!

この…バカぁぁぁぁ!」

 

 

桜の鉄拳が修一の顔面を襲う、しかも単発では無く、複数発…

所謂、フルボッコ状態である。

 

 

「お゛…お゛て゛な゛に゛も゛し゛て゛な゛い゛の゛に゛…」

 

 

タイミングが悪かったと言うべきだろうか、修一はタコ殴りにされ気絶した。

桜は「もう知らない!」と言い残し窓から帰って行った。

今度は玄関から入ってきて欲しいがまた窓からになるであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お…おはよ…」

 

「おはよう修一、どうしたん?その顔」

 

 

遅刻ギリギリに登校出来た修一に声をかけてきた人間は岡島優作、修一とは中学からの関係で、一番仲が良い。

少しチャラい、そしてスケベである。

 

 

「あー分かったぞ、とうとう桜ちゃんに手を出したんだな?お前ならきっとやると思ってたよ、うん」

 

「違う、断じて違う、誤解だ、むしろ俺が」

 

 

修一は優作に弁明しようとしたが、後ろから急に左肩を掴まれその先を言えなかった。

 

 

「お は よ う、修一?」

 

「さ、桜…」

 

 

桜の顔は笑っていたが笑っていない、アニメでよくある黒い顔と言うべきだろうか。

 

 

「桜ちゃんおっはよー、今日もかわいいねー」

 

「あ、岡島くんおはよう。

コイツ何か変な事言ってた?」

 

「いや、言ってないというか、言おうとしてたというか」

 

「そう、それなら良かったわ」

 

 

桜の目線は優作から修一に向き小声で「今朝の事言ったら許さないから…」と言い席に向かっていった。

程なくして教師が入ってくる、HRの始まりである。

なのだが、外に人影が見える。

 

 

「おーし、HRを始める前に今日は紹介したい奴がいる。んじゃ、入ってくれ」

 

 

ドアを開け入ってきたのは女子、その姿を見た男子達は盛り上がり、女子達は羨む。

金髪美女、胸はDはあるだろう、脚は細く太腿がムチムチしている。

 

 

「初めまして、ぼくの名前は川島結衣って言います。よろしくね」

 

 

挨拶だけで男子達は更に盛り上がる、ボーイッシュな口調だが主張を隠さない胸、制服の下からチラチラ見える太もも、思春期の男子達には堪らないのであろう。

修一もそこら辺に居る男子と同じであり、転校生のプロポーションに興奮していた。

その様子を桜は不服そうに見つめていた。

 

 

「はい、それじゃ川島の席は畠山の隣な。

んじゃHR始めるぞー」

 

 

結衣が席に向かう際、修一と目が合うと軽くウインクをしてきた。

 

 

 

 

 

まだ教科書等が準備出来てないらしく、授業で使う教科書は修一が隣で見せる形になった。

結衣の髪からは甘い匂いが漂っており、修一は授業中終始ドキドキしていた。

 

 

昼休みになると結衣の周りには人が集まっていた。

転校生特有の質問攻めである。

修一と優作はそれを横目に屋上へ向かって行った。

普段昼食は屋上で太陽を浴びながら食べている。

話の内容は主に優作のセクハラ気味な話であるが。

 

 

「なぁ修一」

 

「ん?どうした?」

 

「結衣ちゃん、可愛いな」

 

「…そうだな、でも鼻血は抑えておけ、流石にな」

 

「おっと、危ない危ない」

 

 

修一達はそんな他愛無い話をしながら昼休みを過ごす、これが日常であった。

 

 

 

 

 

午後の授業を終え、各々下校していく。

修一は桜と一緒に何時も下校している、帰り道が同じというだけで他意は無い。

それでもクラスや周りの人間からは茶化されるそうだが。

 

 

今日も修一と咲は一緒に下校していく、だが1つだけ何時もと違う事がある。

2人の他にもう1人一緒に下校している、今日転校してきた川島結衣である。

 

 

「川島さんもこっちなんだな」

 

「うん、2人もだよね?何時も一緒に?」

 

「あぁ、まぁ桜とは隣同士だし、自然と一緒に帰るのが多いかな」

 

「へぇ、そうなんだ。

ねぇねぇ望月さん、畠山くんと一緒に帰ってて変な事されないの?」

 

「はぁ!?へ、変な事って…何よ…」

 

「えー、それをぼくの口から言わせるの?

例えば…暗がりの路地裏に急に連れ込まれて、壁に押し付けられるの。

男の子だもんね、力は強いだろうし、望月さんは逃げられない。

そして股の間に足を入れられて、そのまま…」

 

「おい!やめろ!?そこまでにしとけ!

川島、お前結構キツい妄想するんだな…?」

 

 

流石に会話内容が危なくなると察した修一は止めに入る、案の定桜の顔は茹でダコのように真っ赤になっていた。

 

 

「えー?これくらい普通だよ。

そ・れ・よ・り・も…畠山くんはどうなの?望月さんとそういう事したくなる時無いの?」

 

「あのな、咲とは小さい頃からずっと一緒の幼馴染なんだよ、そんな感情は無いし、第一そそられるものが」

 

 

修一はまだ話してる途中であったがその先に発せられる言葉は無かった。

桜に鳩尾を思い切り殴られたからである。

修一はその場に倒れ悶絶し、桜は冷ややかな目つきを修一に向けていた。

 

 

「さ…桜…何すんだよ…」

 

「別に?どうせあたしは?身長も低いし?胸も無いし?性格もこんなんですから?可愛いとこなんて無いですから?」

 

 

完全に桜の僻みである。

そのまま桜は修一と結衣を置いてスタスタと歩いて行ってしまった。

 

 

「あらら…これはちょっとやり過ぎちゃったかな…?」

 

「痛っつ…あいつ加減しないからな…

とりあえず、川島もあんまり茶化さないでくれよな、あいつそういうの苦手だから」

 

「うん、分かったよ」

 

 

その後2人は他愛無い話をしながら下校した。

のだが、いつまで経っても帰る方向が一緒なのである。

遂には修一の家の前にまで来てしまった。

 

 

「なぁ、川島…?お前家どこなの?」

 

「ん?ここだよ?」

 

「は…?馬鹿言うな、ここは俺の家だぞ」

 

「だーかーらー、ここなんだってば」

 

 

家の前で口論していると修一の母、里奈が帰ってくる。

里奈の存在を確認したのは結衣が先であり、里奈の元へ飛び込んで行った。

 

 

「あっ!叔母さーん!ただいまー!!」

 

「えっ?貴女だ…あら、結衣ちゃんじゃない、おかえりなさい。

学校は大丈夫だった?修一に変な事されてない?」

 

「お、おい母さん、そいつは」

 

「あら、修一もおかえりなさい。

すぐ夕飯の準備するわね?早く入って手を洗っておきなさい」

 

 

里奈はそのまま家に入って行く。

おかしい、何故里奈は結衣を見て普通の反応なのか、赤の他人の筈なのに。

仲睦まじく接しているのが不思議でしょうがなかった。

結衣も家の中に入ろうとした為、修一は結衣の腕を掴んだ。

 

 

「おい、母さんに何しやがった?」

 

「ん?別に何もしてないよ?修兄?」

 

 

結衣の目が黒から淡いピンクになっており、修一はその目を見てると頭が痛くなっていった。

 

 

「ぐっ…頭が…!

俺はお前の兄でも何でも無いぞ…ふざけるのも大概に」

 

「はぁ、やっぱり君には効かないんだね、まぁ良いけどさ」

 

 

結衣はそう言い残し家の中に入って行く、修一は頭痛で暫く動く事が出来なかった。

その後何とか家の中に入った修一は、違和感を持ちつつも夕飯を食べた。

結衣と両親が仲良く団欒しながら食べているのだ、実の家族の修一よりも。

まるでずっと前から家族だったような雰囲気でもある。

その雰囲気を見て気分が悪くなった修一は夕飯をそこそこに自室に篭った。

 

 

「クソっ…おかしいだろこんなの…あいつは一体何者なんだよ、俺にはあんな奴…知らねぇ…」

 

「知りたい?修兄、ぼくの事」

 

 

声がした方へ振り向くと結衣が居た、しかしドアを開けた音は聞こえていない、無音であった。

 

 

「お、お前…どうやって…それに俺は兄じゃない!」

 

「まぁまぁ、落ち着いてよ。

そうだね、まずはぼくの素性を明かすのが先だよね。ぼくは…」

 

 

修一はその時耳を疑った、普通なら考えられない事が目の前で起きたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼくは、キミの未来の子供、だよ。

普通とはちょっと違うけどね」

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