太陽神のやり直し〜繰り返す世界で友を想う〜   作:ポプラと琥珀

2 / 2
15回目の出会い

 もうすぐ電車が来る。と、腕時計で確認し、英単語帳との睨めっこを止めた。凝った首のマッサージに周囲を見渡すと、ホームで電車を待つ全ての人がスマホと睨めっこしていた。

あんなに長時間首を傾けて、疲れないのだろうか。

 

 その光景が面白くて、暫く観察をしていると、スマホを見ていない人を発見した。間違い探しの難しい問題を解けた様な高揚感がして、その人をじっと見つめていると、向こうもこっちの様子に気がついたらしい。とっさに視線を逸らしたが、今度は向こうから視線を感じた。

 

気になって一瞬だけその方向を向くと、その男がこっちに向かってきていた。

 

やがてベンチに座る俺を、見下ろす様な位置まで近づいた。

 

「初めまして」

 

警戒心や懐疑心が諸共崩れるような、甘く、無害そうな声で話しかけられた。声の主の顔を見ると、ヨーロッパ系の特徴を押さえた顔立ちをしているのが分かった。

 

 正直言って…超絶イケメンだ。

外人の童顔基準は分からないが、日本人の視点から見れば20歳そこらだろう。広告写真に写っている大学生が着そうな、カジュアルな服装を身に纏っている。髪は明るい茶髪で、同じ色をした瞳は、同性でも魅入られてしまいそうな魔性を孕んでいた。

 

「あ、あの…何か用すか」

 

「最後の友よ、ようやく見つけだぞ」

 

「はい?」

 

「聞こえなかったか? 我が友よ」

 

「えっと…何処かで会いました?」

 

脳内を辿るが、この男の記憶は一切見当たらない。第一、こんなインパクトの強いイケメンをそう簡単に忘れないと思う。

 

「いや、会うのはこれが初めてだ。しかし、一目見て確信した! 君こそ、私と一心同体になる者だと!」

 

どうしよう、頭のおかしい人みたいだ。

特に一心同体とか本気でヤバい。俺が見てきたキモい言葉ランキングぶっちぎりの一位だ。

 

一刻も早くこの場を離脱しようと考えていた矢先、電車が来たことを告げるサイレンが鳴った。

 

「あっ! 電車来たので失礼しますね」

 

そう言って、電車待ちの列に並ぶ。やがて、続々と人が集まってくると、こちらからはあの男の姿は見えなくなった。

 

「マジで何だったんだ…」

 

生まれて初めて同性に口説かれた。いくらイケメンとはいえ、俺は女性しか好きになれないと思ってるし、あの発言からは恐怖しか感じなかった。

 

「不審者情報見とくか。」

 

車両のドアが開くと、一斉に人が押し寄せる。肩がぶつかったり、足を踏まれたりするから、この人混みは苦手なのだが、今はこの人混みが一番安心できる存在だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。