マギアレコードRTA noDLC みかづき荘チャートAny%   作:なぁ……相撲しようや……

16 / 17
Part16 : 不運なんて続けては起きない

 外で爆音が鳴った。街全体が吹き飛んだのではないか、そう不安になるほど大きな爆音だった。

 

「ももこ、今のって……」

「……外の様子を見てくる」

「レナも行く。かえではここで待ってなさい」

 

 ふゆっと鳴くかえでを置いて、調整屋から外に飛び出した瞬間に、頭に激痛が走った。強い痛みは減衰するように痛覚を弄っているけど、それでも尚この痛みだ。相当やばい何かが起きたんだろうけど、目の前が真っ赤になっていて、何が起きたのか確認する事が出来ない。

 

「ももこ、こっち。ほら、手を取って」

 

 そんな中でも、レナの呼ぶ声ははっきり聞こえた。そちらの方向へ手を伸ばすと、レナがその手を辿り、アタシの肩を手繰り寄せた。相変わらず視界が真っ赤で周りが見えないけれど、調整屋の中に戻っていっているんだと思う。

 一歩一歩レナに誘導されながら歩くと、やがて台のような所に寝るように言われた。多分、調整屋の中に用意されてる病床だな。そこに寝転ぶと、段々と視界が元に戻ってきた。誰かが治療してくれているんだと思う。

 段々と鮮明に戻ってきた視界の端で、このはさんが魔法をかけてくれているのが見えた。

 

「目、覚めた?」

 

 このはさんも回復魔法使えたんだな……そんな事を思いつつも、状況を聞く。

 

「アタシ、どうなってたんだ?」

「ちょっとね……口にしたくないような状態だった。頭が凹んでたけど、今治したから問題ないはず」

「そっか。ありがとう」

 

 頭が凹んだ……? 今ほど魔法少女で良かったと思った時も無いかな。ソウルジェムが砕けなければ死なないというのは、まぁ、確かにこういう時には便利だと思う。

 

「アスファルトの破片が飛んできたのが直撃したの。もう大丈夫?」

 

 アスファルトって、要するに道路だろ? その破片が飛んできてアタシの頭に当たるなんて、そんな不運あるんだな。

 アタシだったら直撃の瞬間を見てしまったら驚いてしばらく放心していたろうに、レナは的確に治療のできる所まで引っ張って連れてきてくれた。いざという時に頼りにできるのは知ってたけど、スプラッタ耐性まであるのは知らなった。

 

「大丈夫にはなった。レナもありが——」

「ゲホッ」

「レナぁ!?」

 

 し、死んで……?! ……気絶してるだけみたいだ。アタシが大丈夫だと言った瞬間に、レナは糸の切れた人形のように倒れてしまった。

 

「緊張の糸が切れたみたいね」

「糸張りすぎだろ……」

 

 レナを抱きかかえようとして、直前にアタシの全身が血で汚れている殊に気づいて、手を止めた。……あぁ、そういえば変身中だった。一旦変身を解いて、もう一回変身。これで全身の血の汚れが取れた。衣装に付いた血だけじゃなく髪に付いた血まで一緒に消えてくれるから便利だ。

 そうしてからレナを抱え上げ、アタシが寝ていた隣にある別の病床に寝かせた。……アタシの方は再変身でどうにかなったけど、病床の方の汚れはどうにもならないんだよな。これ後でみたまさんにどう謝ろうか。

 

「さっきの爆発音といい、何があったの?」

「アタシもまだ分かってないんだ。これから調べるぞって時にケガして出戻りになったから。レナが起きたらもう一回調べに行ってくるよ。まだ羽根たちが暴れまわってて危ないと思うから、みんなは調整屋の中で待ってるよう、このはさんから言っておいてくれ」

「そう。……ヘルメット要る?」

「なんでヘルメットなんて持ってるんだ? あー、要らない……と思う。頭に何かが当たる不運なんて続けては起きないだろうし」

「分かった。何かあれば——」

「このはさん!」

 

 話を遮るようにして、みんなのいる部屋の方からななかさんが慌てて駆け込んできた。明らかな異常事態が起きたとその表情と様子が物語っている。

 

「ももこさんは……もうケガは平気なのですか?」

「平気だけど……」

「でしたら、今すぐに来て下さい。緊急事態です」

「緊急事態?」

「巨大な魔女が出現しました。おそらく、ワルプルギスの夜相当の魔女です」

「ワルプルギスの夜相当!?」

 

 名前だけならアタシも知ってる。災厄とも呼ばれる、強い力を持つ魔女。ひとたび出現すれば街すらも滅ぼすと言われているような、とんでもない存在だ。そんなワルプルギスの夜に相当するような魔女が出現したという。確かにななかさんの言う通り、緊急事態だ。

 

「分かった。すぐ行く」

 

 いろはちゃんややちよさん達の方は大丈夫だろうか。マミさん達も含めて十人以上で固まっているとはいえ、もしもマギウスと魔女を同時に相手取るなんて事になっていたら……

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 第十章 浅き夢の暁

 

 天候がつよいあめ状態になりました。炎系の魔法が無効になったりはしませんが、様々なマイナス補正が魔法少女にかかります。視界範囲の縮小、射撃精度の低下、弾道特性の変化等々……

 ……うん? なんで天候変わった? 出現した際に天気が変わるのはワルプルギスの夜だけで、エンブリオ・イブに天候変化が出来る力は無い筈ですが……自動浄化システムの仕様変更によるあまりに歪な目覚め方で、特性が変化した? だとしたら、チャートに書いてあるイブのデータはあまり信用しない方がいいかもしれませんね。

 

 対エンブリオ・イブ、決戦の開幕です。目標はイブの撃破及びその中にいる環ういの救出。敗北条件は、自動浄化システムの完成。

 イブは街で発生した感情エネルギーをこの場に居座ったまま収集しているようです。もし時間経過により規定量のエネルギーが溜まった瞬間、イブは概念の存在に昇華してしまいます。そうなったらういちゃんも一緒に消えて無くなってしまうので、タイマーストップの条件の満了が不可能となったとし、リセットをかけざるを得なくなります。嫌だぁここまで来てリセットしたくねぇよぉ!

 なのでまずはダメージを与え、イブに穢れの収集をやめさせます。DPSチェックの時間だオラァ! 継続火力に秀でたフェリシアちゃん、やちよさん、杏子ちゃんの三人が揃っているので、与ダメージ量では困らないはず。

 

 灯花による読心魔法へのプロテクトが掛かっている可能性があるので、相変わらず変身はしません。変身をしてしまうと読心魔法がパッシブ能力になり、読みたくなくとも強制的に読心させられてしまいます。それが不都合なので、あえて変身しないのです。

 未変身だと素早さ以外の全ステータスが変身状態の半分以下になりますが、リスクの回避の為には致し方ないです。これでも凝望のドッペルを利用すれば攻撃力だけなら運用可能な程度に上がるはずです。

 

 凝望のドッペル。その姿は片眼鏡。

 この感情の主は、誰かの為になろうとしているが、自らの目では求められている物が見えないため、ドッペルに頼っている。

 

 イブにはういちゃんが中に閉じ込められているコアとは別に、大きすぎる体を維持するために穢れの塊の宝石が全身に巻き付いています。コアは素の状態だと硬すぎてどのような手段を持ってしても破壊不可能なので、宝石の方を部位破壊してダメージを与えます。

 ドッペルでもそのままの一撃では宝石の防御力を貫通出来ないため、魔力のチャージを行います。ソウルジェムが濁るのも厭わずにとにかく凝望のドッペルのレンズ部分に穢れを溜めていきます。ドッペルシステムによって魔力がほぼ無限になった今だからこそできる攻撃方法ですねこれ。扱う魔力量が多いので、弾頭に変換したりはせず、そのまま魔力ビームとして発射します。

 

 オラッ! キラ盛りビーム! 命中! 対象の宝石を半壊させる事に成功しました。チャージ継続。PMHQも宝石に集中攻撃を加えているものの、圧倒的な防御力に阻まれて上手くいっていない様子。

 

 チャージ完了! 第二射を……いやまて、この鳴き声は……イブの使い魔が出てきました。燕モチーフのゆるキャラのような見た目をしているという、奇抜な見た目の多い他の魔女の使い魔とは一風変わった使い魔です。

 親がイブだけあって一匹一匹がかなり強く、原作マギアレコードでは神浜市中に散らばっている使い魔を神浜の魔法少女が総出で相手をし、その上で本体のイブを叩かないと消耗戦で負けると判断された程です。

 ホベーミャンという独特の鳴き声ではなく、威嚇の唸り声を上げています。本人の意識は無く魔女としての本能で動いているというのは分かってるけど、ういちゃんに嫌われたみたいで悲しきかな。

 まぁ、ツバメ風情が増えた所で問題はありません。こちらは経験豊富なベテランの在籍するPMHQと、集団戦慣れしたチームみかづき荘の合同パーティです。イブの使い魔相手でも、しっかりとチャージ中の無防備なゆりちゃんを守りきってくれるでしょう。

 

 露払いを行ってもらっている間に、射撃を行います。目標、半壊状態の宝石。発射——何ィ!?

 射線に強引に飛び込んできた使い魔が、射撃を代わりに受けやがりました。当然ながら宝石には命中せず。ストレンジリアル世界の無人機みたいな事やりやがって。

 使い魔がボディブロックしてくる事が分かった以上、このまま第三射とはいきません。だからといって先に使い魔に対処してたら時間切れで……あれ、穢れの収集やめてない?

 

 どうやら最初の一撃だけでDPSチェックは完了していたようです。二個ぐらいは宝石を砕かないといけないと思っていたのですが、イブの目覚め方が不完全だからでしょうか。想定よりすっと少ないダメージ量で完了しました。とにかくラッキーです。

 イブが穢れの収集をやめた事で時間制限が撤廃。代わりに今までサンドバッグに徹していたイブが動き出してきました。第二形態です。DPSチェックの間はともかく、第二形態はチームみかづき荘とPMHQだけでは相手出来ません。防御力だけでなく攻撃力の方も最高峰クラスですから、大人数でダメージを分散させないと耐える事が出来ません。

 

 今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。




話が進む毎に動画時間が短くなってないか……? しかも遅刻だし……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。