マギアレコードRTA noDLC みかづき荘チャートAny%   作:なぁ……相撲しようや……

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Part終 : 残された時間は短いよ?

 振るわれたイブの腕が、木々を薙ぎ倒しながらこちらに迫る。質量だけでも驚異であるそれを、私達はとにかく逃げる事で避けていた。

 イブの使い魔達が周りを囲む。鶴乃ちゃんや巴さん達が魔法を叩き込み、強引に作り出した退路を進む。

 

「ゆりさん、チャージはあと何秒!?」

「十秒あればいける! でも射線の確保は要らない、イブの攻撃を避ける事に集中して!」

 

 私のドッペルに溜め込まれた魔力が間もなく満杯になる。魔法を展開して、照準を合わせる。魔力に反応して射線にイブの使い魔が割り込んでくる。いくつかはいろはちゃんと鹿目さんが落としてくれているけれど、それでもクリアとは言い難い。弾速は速いから、一瞬でも隙間があれば狙える。よく見て……今!

 解放した魔力のエネルギーが、僅かに開いた使い魔の合間を抜け、そして宝石に命中した。一撃目に入れたヒビが更に大きくなったけれど、破壊はできなかった。ならもう一発。

 ピカピカに輝くソウルジェムから魔力を引き出し、私のドッペルへと送る。穢れが溜まったら自動浄化システムへ排出し、そして回復した魔力を更にドッペルへと送る。これを繰り返してドッペルに魔力を濃縮していく。この方法なら魔力の出力の低い私でも容易に強力な魔法を放てる。代償が無いわけではないけど。

 

 イブの頭部に魔力が集まっていくのを感じる。自動浄化システムの中枢だけあって、その魔力量はとても膨大だ。あの魔力で攻撃をされたら、余波だけでもどのぐらいの規模になるか分からない。とりあえず当たったら私達は死ぬ。

 出来うるなら攻撃そのものを阻止したいけれど、誰の攻撃もイブには全く通用せず、唯一擦り傷を与えられる私の射撃もチャージがまだ終わっていない。これでは怯ませることも、意識を逸らさせる事も出来はしない。

 詰んだ。何かしらの奇跡でも起こらなければ、このままイブの攻撃は放たれてしまう。願わくば来世は蟹になれますように。そのまま目を閉じる。

 

「アサルトパラノイア!」

「笛花共鳴!」

 

 しかしイブの攻撃が来る事は無く、代わりに周囲が結界に包まれた。結界そのものには見覚えは無い。だけど、魔力パターンには覚えがある。梓さんの物だ。その結界の中を、天音姉妹の魔力が駆け巡っている。イブは沈黙し、使い魔達は混乱してあらぬ方向へと飛んで行った。集まっていた魔力も霧散しており、面前の危機はひとまず去ったと言える。

 

「みふゆ!」

「遊園地の時以来ですね、やっちゃん。あぁ、警戒しないでください。私達はもう、マギウスの翼ではありませんから」

「ウチら、マギウスがこんな事を考えていたなんて知らなかったんだよ。神浜の各地に置くよう言われていた物も、エネルギーの収集効率向上のための物としか説明されなかったし」

「私達は街の破壊なんて望んでいないのでございます。いくら解放の為とはいえ、ここまでやるマギウスにはもうついていけません。だから、マギウスの翼は辞める事にしたのでございます」

 

 梓さんがテレパシーを送ると、これまた見覚えのある魔力パターンの結界が現れた。周辺を包むのではなく、局所的な物だ。その中から、十人はゆうに越えようかという数多の羽根達、それから保澄さんが現れた。結界は保澄さんの固有魔法の物だったらしい。

 

「みふゆさん、羽根を集めてきました!」

「ありがとうございます、雫さん。さて、ここに集まった同胞たちはみなマギウスの暴挙に憤り、ワタシと同じようにマギウスからの脱却を望んだ者たちです。つまり、全員味方です。ワタシ達がいれば百人力ですよ、いろはさんの妹さんを助け出しましょう!」

「そのこと、みふゆさんは信じるん……ですか? 灯花ちゃんは、私の妄想だって……」

「もちろん。その為に神浜に来たんですよね? その妹さんの事を想う気持ちを、ワタシは信じます。それでその妹さんなのですが、おそらくはイブのコアの中に格納されています。イブへの魔力供給を断つ意味も兼ねて、まずはコアをイブから切り離します。雫さん!」

「やってみる……!」

 

 未だに幻術に包まれていて動かないイブの胸元、梓さんがコアだと言った宝石の周囲を、保澄さんの結界が囲んだ。それと対になるように私たちの近くにもう一つ結界を作り出し、固有魔法の空間結合を発動させると、コアがイブの体から切り離され、後に作った方の結界に転送された。コアが転送された直後に結界を削除する事でどんな物でも切断できる、らしい。

 

「成功した。イブの様子は?」

「リンクは正常に途切れているようです。後は穢れが霧散すればイブは消えますが、アリナの結界が残っているので少し時間がかかると思います。……そうですね。皆さんはイブの抜け殻の警戒をお願いします。羽根は集まって下さい。宝石を砕きます」

「く、砕くって……中のういは大丈夫なんですか?」

「大丈夫です。外側を砕くだけですから。では、やりますよ」

 

 梓さんの合図に、羽根達は自分の鎖を宝石に巻きつけた。五つ、六つと鎖の数が増えていく毎に、いろはちゃんの表情に不安の色が増していく。まぁ、そうもなる。悪魔への生贄を梱包してます、っていう感じの絵面だし。

 

「本当に、大丈夫なんですか……?」

「大丈夫です大丈夫です。コアを構成している穢れを魔力を使って中和して融解させているだけですから、中に入っている妹さんには何の影響も無いですよ」

 

 梓さんの言葉通り、段々と鎖がコアに沈んでいっている。ドライアイスに鉄を乗っけたみたいな挙動だ。魔力の浸透した部分が気化していき、一分程度でコアは溶け切った。後には羽根たちの巻いた鎖だけが残っている。

 その鎖を、おそるおそるといった様子でいろはちゃんが横にどかした。その下には、桃色の毛、瓜二つな容姿の子が眠っていた。以前にいろはちゃんの記憶で見たのと同じ。実際に見るのは初めてだけど、本当に姉妹なんだなとどこかずれた感想が出てくる。

 コアから出てきたというのにその目は未だ閉じられたままで、目覚める気配は無い。やり方が何かまずかったのかな。

 

「うい……? うい!?」

 

 ひどい形相のいろはちゃんが、眠ったままのういちゃんの肩を揺らす。ういちゃんが起きない原因の特定よりまずはこっちを落ち着かせた方がいいかも?

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 はー、雫ちゃんの固有魔法を切断に使うなんて考えた事なかった。ともかく、みふゆさんの助力によりういちゃんの摘出に成功しました。が、救出扱いではありません。ういちゃんの魂をちゃんと戻してあげる必要があります。

 ういちゃんの魂はモキュの中にあります。つまり暴論ですが広義に言えばモキュはイコールういちゃんです。ういちゃんは最初っから近くにいたんだよ!!! ナ、ナンダッテー!!!

 

 どういう事かと言いますと、ういちゃんが魔法少女の契約を交わした時、ういちゃんは願いによって得た回収の力を制御出来ず、多すぎる穢れによって魔女化が始まってしまったのです。その魔女化をキャンセルさせる為に、ねむちゃんがういちゃんの魂をキュゥべぇの抜け殻の中に移しました。そういうわけで、ういちゃんの魂はモキュの中に在るのです。

 魂が別の場所に移った影響でういちゃんの因果が途切れ、全員から忘れ去られてしまい、灯花とねむちゃんの思想が歪み、マギウスとしての活動を始めた、というのが事の顛末です。

 ういちゃんを覚えている段階では二人は端的に言えば未来のために行動していたのに、ういちゃんを忘れた後は自分のために行動し始めた辺り、二人の思想へのういちゃんの影響の強さが窺い知れます。

 

 で、ういちゃんを目覚めさせるには、そのういちゃんの魂の入った器……モキュをういちゃんに触れさせる必要があります。事前にモキュを呼んでおいたりなどの事前準備は行っていませんが、スタンダードモードなので勝手に来てくれるはずです。

 

「モッキュ!」

 

 ほら来た。オリジナルがキュゥべぇだし、必要とされた時には来るっていうような能力があるんでしょうね彼(?)には。

 モキュがういちゃんに触れた瞬間、全ての因果が元通りになります。この場にはいませんが、灯花とねむちゃんはういちゃんの存在を思い出したはずです。てかあいつらどこ行った。

 ういちゃんが目覚めました。目覚めた瞬間いろはちゃんに抱かれた為、何があったのか困惑している模様。良かった良かった。これで第十章クリアの為のフラグが一つ立っ……あれ? 第十章クリアの通知が来ました。ホーリーアリナは?

 えっと……あぁ、既にイブの穢れが霧散してしまっています。エネルギーの投入量が少なかった影響でしょうか。本来ならアリナは自らの願いの成就の為に、ういちゃんのいなくなった後の抜け殻と化したイブを利用し、ホーリーアリナと化して神浜ごと自爆しようと企むのですが、それをする前にイブの抜け殻が無くなってしまっては、イベントの起きようが無いですね。

 タイマーストップはエンディングの開始タイミングですのでもう少し後です。黎明を見届けておきましょう。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

「お姉さまっ! お姉さまっ! わたくし、全部思い出した!」

 

 遠くから手を振りながらこちらに飛んでくる影が見えます。あれは……灯花ちゃんと、ねむちゃんです。思い出した、って言ってます。……思い出した!?

 近くに着陸した灯花ちゃんとねむちゃんに、聞きただします。

 

「それって、ういの事?」

「そう! ういもお姉さまも含めて四人で、いつか快復した時のためにって神浜市の地図を作ってたよね!」

「こんな場所があったらいいと思いながら噂話を創作したね。それを……僕はあろうことかウワサにしてしまった。フェントホープの入り口にしていたから、万年桜のウワサと会った筈だよ。あの子だって、元はお姉さんの作った噂話なんだ」

 

 本当に、記憶が戻ってる! 確かに地図を作っていたし、万年桜のウワサだって私が以前に作った噂と内容が似ていました。

 

「うい、なんだかぼうっとしているけど、大丈夫かい?」

「えっと、何が起きたのか、記憶が曖昧で……あぁそっか、わたし、魔女になってたんだ」

「そうだよ。僕のミスで今までおかしな事になってたんだ。だけど今ようやく、とりあえずういの事を認識出来るようにはなった」

「わたくしのミスでもあるよ。ういに集まる穢れの量の想定が甘かった。もっと準備をしていたら、何のトラブルも起きなかったのに」

「ううん、確かに色々あったかもしれないけど、こうしてみんな無事だったから、いいんだよ。それに——待ってお姉ちゃんそれ以上絞めると苦しい」

「えっ!? ご、ごめんね?!」

 

 慌ててういを抱くのをやめると、ういの肩にモキュが登りました。それを確認したういは、話の続きをしました。

 

「それに、魔女になってる間の事は覚えていないんだけど……この子……えっと、モキュが、その間の記憶とか、色々教えてくれたんだ。だから思う。ゆりさんややちよさん達、まどかさん達に、ももこさん……本当に色んな人に出会うきっかけになって、良かったって思う。あっ、初めまして! 環ういです!」

「うん、初めまして! 私が鹿目まどかで、こっちが——」

 

 まどかちゃん達と自己紹介をするういを見ていると、後ろから灯花ちゃんに引っ張られました。何やら話がある様子でした。

 

「わたくし達は、許されない事をした。人の不幸を食らい、そして災害を作り出し、あまつさえ未遂には終わったけど災厄を呼ぼうとした。お姉さまは……わたくし達を、許さないでほしい。許すとしたら、それは贖罪が終わった時。いーい?」

「重いよ!?」

 

 思わず反射的に声が出ました。許さないでと直接言ってくる、それほどまでに罪の意識を持っている事に、驚いてしまいました。

 

「灯花ちゃん、それは今後ゆっくり考えていこう?」

「でもお姉さま、イブがいなくなって、自動浄化システムが無くなったという事は、わたくし達魔法少女に残された時間は短いよ?」

「……? あっ、そうだね……」

 

 確かに、ういが戻ってきたということは、イブがいなくなったということで、自動浄化システムも動かなくなったということです。

 マギウスを否定するなら、代案を考えなければいけない。以前にそういう話をした事があります。その代案が必要な時が、今なのでしょう。

 

「いろはちゃんいろはちゃん、その代案なんだけど……」

 

 ゆりちゃんがある提案をしてきました。

 

「自動浄化システムを再構築しよう。今までのマギウスのような強引なやり方ではなく、時間をかけた安全な方法で。ドッペルの有用性を知る魔法少女は数多くいる。神浜中の魔法少女に助けを求めれば、きっと簡単に自動浄化システムが作れるはず」

「自動浄化システムの構築には時間がかかるけど、その間はどうやってソウルジェムの穢れを処理するのー?」

「その間は相互にグリーフシードを融通し合う。組織構造そのものはマギウスの翼に似ると思う」

「神浜の魔法少女の互助会……名前を付けるとしたら神浜マギアユニオン、かな。僕は良いと思う。アリナにも声をかけておくよ。イブが崩れたや否や機嫌を損ねてしまった。これで機嫌を戻すといいんだけれど」

 

 成功するかどうかは分かりませんが、もしも失敗すればきっと多くの魔法少女が不幸になってしまう。ういを取り戻した分の代価を、私は支払わないといけない。罪を背負っているのは灯花ちゃんとねむちゃんだけじゃないんです。マギウスを否定した私も同罪です。

 だから、贖罪の第一歩として、まずは神浜マギアユニオンの設立を成功させます。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 これにてタイマーストップです。記録は……八時間二十分! うーん、遅い! 世界一位兄貴の記録が七時間弱だったので、それより一時間以上遅いですね。多分将棋のせいだと思うんですけど。え、キャラロスト? 知らんな。

 全体を通して、運がいいんだか悪いんだかよく分かりませんでした。どっちかに極端な時が多すぎる、訴訟。チャートに修正を加え、次回は運要素に左右されないようにしていきたい所です。

 それでは長時間のご視聴、ありがとうございました。




 ここからは全て作者としての後書きになります。興味の無い方は読み飛ばしてください。

 沢山のアクセス、ありがとうございます。あれ、自分でこんな何十回もアクセスしたっけ、と度々困惑しておりました。
 見切り発車で連載をスタートしてしまった為に、見苦しい点、あるいは不可解な点が数多くあったと思います。終盤の展開なんか、うん、完全に打ち切りですこれ。話の風呂敷をどう畳むか考えてなくて、綺麗な終わらせ方が出来なかったです。ごめんなさい。
 あと、主人公である虹絵ゆりちゃんに関する掘り下げがあんまりされていないというのも、オリ主ものとしては良くなかったですね。元々パート1で神浜までいろはちゃんについて行ったのも、いろはちゃんが命の恩人だからというクソデカ感情があるはずですし、それからパート4でいろはちゃんにういちゃんとの思い出を記憶越しに見せてもらった時にも何かしら感情の動きがあったはずです。ゆりちゃんからしたら最後に見た姉の姿は疲労しきってボロボロな姿な訳ですから。パート3か4辺りで過去話やれば良かった。
 チャートに改良を加えて次回はとか書きましたけど、次回は少なくともnoDLCレギュレーションではないです。そもそもRTAですら無いかも。ですが少しの休止期間を置いた後、モチベが戻ったらマギアレコード関係で書くつもりです。
 それまでの間、なんなら私の事は忘れても構わないので、マギアレコードタグで他の方が書いた小説も読んで下さい。私の書いたものを通じて、まどマギやマギレコに興味を持ってくれる方が一人でもいれば、私は嬉しいです。
 長々と失礼しました。それでは、今までのご視聴、ありがとうございました。
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