転生したら愛の重い魔女に囲まれた件について(白目)   作:トロロ将軍

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なんか・・・重くない?

「はいタカシマ中尉。あーん」

 

そう言ってスープの乗ったスプーンを俺の口元へ差し出してくるルマール軍曹。なぜこうなったのか全く理由は不明だが少なくとも両腕を負傷しているわけでもない俺に対し食事介助は全く不要だ。

俺はルマール軍曹の手からスプーンを取って自分で口に運んだ。その時のルマール軍曹の「あっ・・・」という小さな呟きに罪悪感を感じるがそれから目を背け食事を続ける。

 

因みに俺はこの救護所に運び込まれてから3時間程しか意識を失ってなかったらしい。受けた怪我的にもう少し重症かと思ったが、衛生班のウィッチが優秀だったようだ。軍医の話によれば明日にでも戦線に復帰できるとのことだ。

 

「もぅ、無理したら傷が悪化しますよタカシマ中尉」

 

「食事くらいで悪化する傷なら今頃後送されてますよ軍曹」

 

それよりも問題なのがルマール軍曹のことだ。彼女は俺の意識が回復してからやけに過保護になったように感じる。というか確実になっている。恐らく今回の俺の負傷に責任を感じているのだろう。待機時間もウィッチ大隊の待機室ではなく救護所の俺の隣で待機している。過保護なのも食事だけではない。衣類の更衣や身体の清拭まで軍曹がおこなってくれている。基地の守護神たる航空ウィッチにやらせる仕事ではないが従軍看護師が少ない現状医療現場からは喜ばれているらしい。

 

「はぁ・・・。早く復帰したいものだ」

 

「はい!早く元気になってくださいねタカシマ中尉」

 

俺の呟きにルマール軍曹は笑顔で答え、持っていたタオルで俺の口元を拭くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカ野郎!」

 

扶桑陸軍補給中隊長の大尉の拳が俺の頬に刺さる。

 

「恐れ多くも菊の御紋が刻まれた小銃を紛失するなど皇国軍人としての自覚が足らん!」

 

衝撃で床に叩きつけられた俺の腹部に蹴りが入る。当たった場所が丁度負傷した場所だったため2倍で痛く感じる。

 

戦線への復帰許可が出た俺はまず被弾時に紛失した三八式小銃の補充の為、ルマール軍曹と共に扶桑陸軍の補給所まで足を運んだ。腰に下げていた九四式拳銃などの他の装備は無事だったが小銃だけは被弾の際につり革が切れ、紛失してしまったとルマール軍曹が教えてくれた。その時のルマール軍曹の残魔法力では俺の回収が精一杯だったらしい。

 

「お前のような軟弱な精神の奴がいるからネウロイに勝てないんだ!気合を入れてやる!」

 

そう言うと大尉は俺の胸倉を掴み無理やり立ち上がらせると拳を振り上げる。俺は衝撃に耐えるため歯を食いしばる。

 

しかし頬に衝撃が来ることはなかった。

 

「やめてください大尉さん」

 

ルマール軍曹が振り上げられた大尉の腕を横から掴んでいたのだ。頭部に使い魔の耳が発動しているのが見える。

 

「ガリア空軍の嬢ちゃん、これは皇国陸軍の問題だ。他国軍は口を挟まないで貰いたい」

 

「タカシマ中尉は現在ガリア空軍第1ウィッチ大隊所属です。私にも十分口を挟む権利があると思いますが?」

 

大尉の言葉に全く引くことないルマール軍曹。その表情は戦闘中でも見たことのない程険しいものだった。

 

流石の大尉も他国の軍人、しかもウィッチを殴るのは問題があると思ったのか振り上げた拳を降ろす。

 

「女に守られるなんて扶桑男児失格だな」

 

そう言うと大尉は俺の胸倉を離し補給所を出て行く。その後すぐに補給中隊の伍長が小銃を持ってきてくれた。俺は伍長に礼を言うと小銃を受け取りウィッチ大隊の待機所に向かう。その後ろを心配そうな顔をしたルマール軍曹が着いてくる。

 

「座ってくださいタカシマ中尉」

 

待機所に着いた瞬間、ルマール軍曹が有無を言わさず俺を椅子に座らせる。

 

「頬がこんなに腫れてます。お腹だって被弾した場所なのに・・・」

 

そう言ったルマール軍曹の手から暖かい光が溢れる。するとみるみる頬と腹部の痛みが治まっていく。ルマール軍曹の固有魔法は回復魔法だったか。

 

「ありがとうございますルマール軍曹。治療と、補給所の件も・・・」

 

ルマール軍曹は俺のお礼の言葉に返事をせず回復魔法を掛け続ける。

 

「ルマール軍曹?」

 

「扶桑軍は強い精神力があればネウロイが倒せると思っているのですか?大尉という士官クラスがそんな精神論で戦ってるんですか?」

 

ルマール軍曹の顔に表情はない。静かな怒りを感じる。

 

「恐らく大尉も精神的に参っていたのでしょう。なんせこんな戦況ですからね」

 

補給中隊の大尉を庇うわけではないが、補給もなく日々減っていく物資に精神をすり減らしていたのだろう。そう考えるとあの大尉の気持ちもわからなくはないな。

 

「・・・私はタカシマ中尉にもう傷ついてほしくありません。これからは私が守ります」

 

そう言ってルマール軍曹は俺の顔を見つめる。既に魔法での治療が終わっていたのでルマール軍曹と距離を取るため立ち上がろうとするも、肩に手を置かれ立ち上がらせてもらえない。ウィッチのパワー凄すぎワロタって思った。

 

「ル、ルマール軍曹?」

 

「ジョゼって呼んでください。親しい人はみんなそう呼んでいます」

 

「しかしルマー「ジョゼです」・・・はい・・」

 

有無を言わさずルマール軍曹、いやジョゼは自身を愛称で呼ばせて来る。何が彼女をここまで駆り立てるのか、これがわからない。てか空気重くない?

 

「治療ありがとうございますジョゼ。そういえば遣欧部隊司令部に呼び出されていたので少し席を外します」

 

待機室の空気が異様に重く感じた俺は適当な理由をつけて席を離れる。流石のジョゼも司令部からの呼び出しと聞いて手を離してくれた。

 

俺はジョゼの頭を一撫でして待機室を出る。時間が経てば空気も軽くなるだろうしジョゼも落ち着くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・タダヒトさんは私が守ります。ネウロイからも・・・扶桑からも・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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