魔法少女リリカルなのは with Dark_Matter 作:戸礼太
場所は変わらずの、アースラの会議室。
クロノ・ハラオウンは垣根帝督の左隣の席に座り、情報端末を取り出して画像を展開して見せる。
「それで、これがそうなんだが……」
内容は、アースラの留置室の監視カメラからの中継映像だった。
そしてクロノは垣根に映像を見せながら何故か、段々と表情が引き吊ったようになり、正直信じられない……というよりはある意味あまり信じたくないような感じに変化していた。
有り体に言うと、凄く微妙な顔をしていた。
「……、その、何だ。一応、念の為に訊くが、間違い無いんだな?」
「ああ、間違い無いな」
映像を確認した垣根は頷く。
しかしクロノの表情は相変わらず浮かない。
事情を多少知っている、エイミィ・リミエッタとユーノ・スクライアが苦笑する。
その様子に、逆に事情を知らない上、2人が見ている映像が見えていないなのは達は怪訝な顔をする。
垣根もそれを理解し、クロノに同情するような視線を向けて小さく笑った。
「ま、目を疑う気持ちは分かるぜ。パッと見じゃ信じられねえよな」
「そ、そうか……」
「??? どういう事なの?垣根くんの所属している組織の人の話だよね??」
クロノと垣根のやり取りを見て、訳が分からずなのはが垣根に尋ねた。
垣根は、くだらなさそうに頷いて答える。
「ああ、そうだよ。……ったく、暗部の癖に『表』の警察組織に捕まりやがって。ホント使えねーヤツ等だ」
吐き捨てるように言うと、
「お前達も、見たけりゃこっち来て見ても良いぞ」
「良いの?」
「もう一回捕まってこうして拘留されてりゃ、秘密も何もないしな」
と、フェイトに彼は簡単に頷いた。
という訳で、なのはとフェイトとはやて、シグナムとシャマルとヴィータが席から立ち上がり、ぞろぞろと垣根とクロノの後ろから端末の映像を覗き見る。
彼女達の目に写ったのは、拘留室の中で佇む1人の男だった。
…………が、そのビジュアルが予想外過ぎた。
_ブーメランパンツ1枚のみを穿いた、ドレッドヘアのサングラスをかけた髭面の、黒人マッチョマン。
これだけでも十分過ぎるほど奇抜な見た目なのだが、
…………何故か右腕がサイコガンになっている。
垣根帝督は表情一つ変えず、首をコキコキと鳴らして自然に言う。
「こいつは正規要員の1人の古参で、実質ナンバー2の金丸君だ。お前達で例えたら、高町のポジションに近いかもな」
「いや誰やコレぇぇッッ!!コレのどこが金丸くん!?思いっ切り黒人やないか!!」
思わず八神はやてが叫んでツッコミを入れた。
「てゆうか、わたしのポジションに近いって、垣根くんわたしの事何だと思ってるの!?」
と、なのはも続いて渾身のツッコミ。
何故裸? 何故右腕がサイコガン?
等とツッコミ要素満載の金丸の姿に、今までの空気が完膚なくぶち壊しになり、他の面々も同意見で絶句していた。
クロノとエイミィが微妙な表情をしていたのも、頷ける。
しかし垣根は相変わらず自然な調子で言う。
「射撃型って意味で高町ポジションだろ?」
「そこだけ!?」
なのはが目を見開くが、彼は無視して続ける。
「それにしても相変わらずダメなヤツだな。右手サイコガンだけど、全然使えねえヤツなんだよな」
「いや使えるやろ!!どう見ても強そうやん!!金丸くん!!」
と、はやてが再びツッコミ。
「いや、確かに直接的な戦闘能力はあるよ?確かに暗黒街では『
「メチャクチャ設定凝ってるやん!!」
「つーか暗黒街ってどこだよ!?」
「て言うか暗黒街って何!?」
はやてに続き、今度はヴィータとなのはまでツッコミを入れた。
しかし垣根の表情は変わらない。
彼はツッコミを無視してクロノに尋ねる。
「お前達に捕まってるのはこいつだけか?」
「……いや、あと2人だ」
「何だよ、4人しかいない『スクール』の正規要員全員かよ。揃いも揃って使えねえな」
溜め息を吐く垣根に、複雑な表情のままのクロノとエイミィを見て、なのは達は他の面子もとんでもないビジュアルなんじゃないかと予想する。
逆に何故、垣根帝督が平気そうにしているのか不思議でしかなかった。
端末の映像が切り替わり、別の拘留室の様子が見えた。
佇んでいるのは、ブーメランパンツ1枚のみを穿いた、アフロヘアのサングラスをかけた髭面の、黒人マッチョマン。
…………何故か右腕がサイコガンになっている。
「あーいたいた。こいつだこいつ。ユーノ的ポジションの古橋さん」
「殆ど
「髪型以外、全部同じだよね!?」
当然のようにはやてとなのはが大声でツッコミを入れた。
と言うか、全員そう思った。
「つーか何で頑なにサイコガン装備してんだ!?」
「これのどこがユーノくんポジションなの!?」
ヴィータとなのはも再び口を挟む。
「古橋さんは『スクール』のマスコット的存在なんだよ」
「こんなマスコット嫌やろ!!金丸くんでも何ら変わりないわ!!」
「それ以前に闇組織にマスコット要るの!?」
はやてに続く形で、ついにフェイトまでツッコミに参加した。
しかし垣根はまたも無視して端末の画面をスクロールし、次の映像に切り替えた。
「そしてこいつは紅一点の池沢さん。まあヴィータ的ポジションかな」
今度は、ガタイの良いサングラスをかけた黒人女性。
何故か日本酒の一升瓶を抱えている。
ぶっちゃけ、ビジュアルは金丸と変わらない。
「だーかーらー!!おんなじだろーがぁぁぁぁぁぁッッ!!」
ヴィータがさっきのはやてのシャウトに倍する、渾身のツッコミシャウトを炸裂させる。
しかも自分と同じポジションだと言われただけに、怒り心頭だった。
「サイコガンが酒瓶に変わっただけだろーが!!つーか何で酒瓶抱えてんだよこいつ!!いー加減にしろよテメェ!!これのどこがあたしのポジションなんだぁ!!」
ぶちギレたヴィータに胸ぐらを捕まれた垣根の表情は、何故か涼しそうなままだった。
それがまた気に食わず、彼女はムカついていた。
「落ち着けよ。池沢さんは見ての通り、一升瓶を武器にして敵を撲殺するのが得意なんだ。お前もハンマー振り回して戦うだろ?同じ打撃戦型って訳だ」
「落ち着けるか!!お前あたしを何だと思ってんだ!!一緒にすんな!!」
「ってか、どんな暗部組織だよコレ!!金丸だらけじゃないか!!」
我慢できず、ユーノ・スクライアもツッコミに参加。
「絶対仕事来んやろ!!悪目立ちし過ぎるやろ!!」
と、はやてを中心にツッコミが矢継ぎ早に放たれるが、垣根は全く気にしていない。
ただ単に慣れてしまっているのか、或いは……、
「……本当に、彼等が正規要員なのか?」
「本物なの……?」
サイコガン装備の黒人男性2人、一升瓶を抱えている黒人女性1人、そして
あまりに露骨で奇抜な面子に、シグナムとシャマルが疑いの視線を向けるが、彼はハンッ、と鼻で笑った。
「そう思うのも無理はねえが、残念ながら事実だ。カモフラージュとかじゃねえよ」
「そうか……」
嘘を吐いている様子は、無い。
だが、正直、これだけは嘘であって欲しかったとさえ思った。
色々な意味で空気がぶち壊しだ。
垣根帝督が率いる学園都市暗部組織の構成員が、垣根帝督以外ベクトルの違う意味でマトモじゃない。
フェイトが目を疑い、物凄く複雑そうな表情で、確認するように垣根に問う。
「にわかに信じられないんだけど……」
「まあ奇抜な集団と化している自覚はある。だが、『そうだった』としても、お前等にゃどうでも良いだろ?」
ふざけているとしか思えないが、追及して仮にそうだったとしても、ある意味どうしようもない。
しかも、一応腕利きの魔導師である魅神聖と、交戦できていた。
そういう意味では、満更嘘っぱちとも言い切れない。
「さて、それじゃそろそろ、この使えない能無しな俺の部下共を解放してくれるか?一応俺がリーダーとして確認したし、協力もしてやったんだから」
「あ、ああ……。分かった……」
終始微妙な表情のままだったクロノは、仕方なくといった感じで応じた。
「良いの!?信じるの!?」
なのはがクロノに言うが、クロノも渋い顔で答える。
「仕方あるまい……。いや、僕達も信じられないが、虚偽の裏付けも無い以上はな……」
「ええ……?」
特別、魔法サイドでの犯罪を犯した訳でもなかった為、これにより、アースラに拘束されていた『スクール』の自称正規要員達は解放され、垣根帝督の待機命令に従う事となった。
誰も納得はしていないが。
行間なので短いです。
あと、殆どパロディネタなので読み飛ばしても問題ありません。
ただ個人的書きたかっただけなので。
いずれ、原作版の『スクール』のメンバーで、同じくだりを書きたいなとは思っています。