魔法少女リリカルなのは with Dark_Matter   作:戸礼太

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いつもと変わらぬ日常。





ついに発覚した謎のエネルギー反応の正体。

それは魔法。

それは指定遺失物(ロストロギア)、ジュエルシード。

それを回収すべく、異世界から訪れた人語を話す小動物『ユーノ・スクライア』。

彼(?)に協力する現地住人の少女『高町なのは』。

そんな彼女達を裏から嗅ぎ回る、学園都市で生み出された超能力者(レベル5)の少年『垣根帝督』。











そしてもう1人、重要なファクターが現れる事となる。


出逢いは、戦い 譲れない願い 向き合いたい思い

山林地帯でジュエルシードが起動したらしく、走るなのは。

現場に急行する一人と一匹。

そしてその後をつける小型ドローン。更にその後方には垣根帝督が尾行している。

雑木林と湖のある現場。

そこには、正体不明のいくつもの稲妻が見えた。

瞬時にセットアップし空を飛ぶ虎のような化け物に突撃を仕掛け、一気に封印しようとするも逃げられた。

直後、機械仕掛けの斧のような得物を持った一人の少女が現れる。

 

「ジュエルシード、封印!」

 

彼女は斧のような鎌のような、光る刃で怪物を一刀両断する。

怪物は爆発し消滅、高町なのははその様子を呆気にとられる。

切った少女は、黒いレオタードに黒いマントのような服装で宙に浮いていた。

黒ずくめの少女がなのはの存在にきづくも無視し、ジュエルシードの封印に掛かろうとする。

 

「あ…!あの、待って!」

 

声をかけると動きを止め、得物を向ける。

更に背後から稲妻をたたえた球体、弾丸のようなものを出現させる。

 

「!」

 

なのはも空に上がる。

 

(何者だあの女。新手か?)

 

ドローンを通して尾行していた垣根帝督。

 

「あの……、あなたもそれ……、ジュエルシードを捜しているの……?」

 

「それ以上近づかないで」

 

尋ねてみるが相手は話す気がない。

しかし、それでも彼女は対話を試みる。

 

「いや、あの……、お話したいだけなの。あなたも魔法使いなの?とか、何でジュエルシードを?とか……」

 

言ってゆっくり近づく。

 

『Fire』

 

「ッ!」

 

相手の魔導端末(デバイス)の音声と同時に三発の弾が放たれ、咄嗟に上昇してかわす。

かわしたなのはの背後に黒衣の少女が横なぎに斬りかかる。

紙一重でかわし、僅かに切り裂かれた彼女の白いバリアジャケットの破片が散る。

追撃すべく肉薄し、縦から斬りかかる少女に対し、高町なのはもようやく応戦した。

互いの鍔迫り合いのように魔導端末(デバイス)が十字に交差し激しいスパークを起こす。

 

「待って!わたし戦うつもりなんてない!」

 

「だったらわたしとジュエルシードに関わらないで」

 

はっきりとした拒絶。しかし、

 

「だから、そのジュエルシードはユーノくんが……」

 

「くっ!」

 

構わず少女は力を込める。

 

バチッ!

 

押し込まれ、距離を取られた。

黒衣の少女が大鎌のような得物を振りかぶる。

 

『Arc Saber』

 

切っ先から発生していた金色の刃がパージされ、ブーメランのように回転しながらなのはに放たれた。

 

『Protection』

 

なのはの持つレイジングハートが呼応し、円形の波紋のような姿の盾を出す。

迫り来る攻撃。

 

『Saber Explode』

 

そして衝突。

 

ガッ!ドンッ!!

 

直後、刃が炸裂し、衝撃で飛行バランスを崩したなのはが墜ちていく。

 

「きゃああああ!!」

 

バリアジャケットと頬に煤汚れをつけ、墜ちながら片目を僅かに開けると、黒衣の少女が稲妻の球体を二発発生させ、小さく、囁くように呟いてから、放つ。

 

「ごめんね……」

 

ドンッドンッ!!

 

ズバッ!!

 

「ああっ!!」

 

球体が命中し地面に叩き付けられた。

仰向けに倒れる彼女の体には、感電したかのようにバチバチとスパークが走っている。

 

「うっ……、あ………」

 

起き上がろうとするが、ダメージで動けなくなってしまった。

それを確認した黒衣の少女は、背を向け宙に浮いたままのジュエルシードの封印を再開する。

彼女の魔導端末(デバイス)に吸い込まれ封印が完了する。

 

「今度は、手加減できないかもしれない。ジュエルシードは、諦めて」

 

最後通牒のように言い放つと、少女は高速で飛び去っていった。

ダメージで動けず、それを黙って見ているしかできなかった高町なのは。

 

「なのは!」

 

ようやくなのはの元に辿り着いたユーノ・スクライア。

 

「ユーノくん……」

 

彼女は体を引きずるように起き上がろうとした時、猫の鳴き声が聞こえて目を向けると、墜落した怪物のいた跡には一匹の子猫がいた。

 

「あ、なのは、ごめん……大丈夫!?」

 

ユーノはなのはの破損したバリアジャケットを見て心配そうにする。

 

「ありがと、ユーノくん。わたしは、大丈夫……」

 

しかし、彼女は俯いてしまう。

己の不甲斐なさを責めるように。

今まで、まるでショーを観賞するように呑気に覗き見していた垣根帝督は、監視用小型ドローンを撤収させ雑木林をあとにする。

 

(新手の登場、しかも、何か魔法とやらに電気走ってるような感じで今まで見たのとは違うみたいだな。まるで超能力の電撃使い(エレクトロマスター)みたいにも見える。ジュエルシードってのを追ってるのはあいつ等だけじゃなかったんだな。こりゃ、他にも勢力とかありそうだな。思った以上に面倒な事に首突っ込んじまったかもな)

 

面倒と思う裏腹に、垣根の口元は僅かにつり上がっていた。

連載漫画の新展開を楽しみにするような、連続ドラマの次回を待ちわびるような、傍観者のスタンスで今後もコッソリと見届けようとしている。

 

(『未元物質(ダークマター)』を通した魔法の逆算や解析はまだ不十分だが、結構解ってきたぜ。学園都市にいたら多分一生、絶対に知られなかった事だ)

 

彼は新しい玩具を与えられた子供のように、心底楽しそうに、愉しそうに、見てきたものを見据え、覗き込み、深く観察して。

思考する。

 

(全く新しいインスピレーションだ。新しい可能を見出だせるかもしれない。そうなってくると……、すると、まあ、気になってくる訳だ。気になって気になってしょうがなくなってくる訳だ)

 

誰もいない高級マンション最上階の一室。

垣根帝督は一人呟く。

 

「今、俺はどこまで進んだんだ?魔法というものを完璧に理解できたら、俺はどこまで進めるんだ?」

 

もちろん、答える者はいないしそんな事は誰にも分からない。

垣根には純粋な問いが、命題が浮かび、口に出す。

 

「俺の『未元物質(ダークマター)』は、この世界の、いや、どこの世界のどこまで通用するんだろうな?」

 

彼は、そう言ってニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

夜八時前の市街地。

ジュエルシードを捜しに、人混みに混ざって歩き回っているのは高町なのは。

 

〈うーん、この辺りだと思うんだけど……〉

 

路地裏を捜しているのはユーノ・スクライア。

 

〈うん……、反応は確かに〉

 

二人は念話という、魔法を使ったテレパシーのような方法で会話していた。

そんな彼女達を、いつものように小型ドローン越しで遠くから監視する垣根帝督。

そして、もう二人。

金髪で黒衣の少女と橙色の長髪に獣のような尻尾を生やした若い女性が、超高層ビルの屋上に立ち、捜索している。

ジュエルシードの細かい所在地が分からない。

このままでは埒が明かないと少女は、多少乱暴なのを承知で魔力流を撃ち込んで強制発動させる事を試みる。

カッ! と一瞬の閃光。

同時にスパークを纏った目映い光の柱が立つ。

 

〈あっ〉

 

「あ……」

 

なのは達が、異変に気づく。

 

「お!あれは……昨日の女か?さてさて、今度は何が起きるんだ?何でも良いが楽しみだ。せいぜい面白いものが見れりゃあ良いがな」

 

ニヤニヤと笑いながら、垣根帝督は傍観を続けつつ有視界領域精一杯の素粒子(ダークマター)を散布する。

狙いは、黒衣の少女が放つ魔法の解析と逆算。

目で見て分かりやすい属性や分類らしきものの方が、解析の糸口を掴みやすいかもしれない。

月明かりの見えていた夜空が、突如厚い雲に覆われ始める。

通行人達も不思議に思い空を見上げる。

 

「こんな街中で強制発動……!?」

 

ユーノ・スクライアは驚きつつも切り替え、対応する。

 

「広域結界ッ!!」

 

彼(?)の全身が発光し半円形の巨大なフィールドが展開される。

 

「レイジングハート、お願い!」

 

高町なのはが走りながら魔導端末デバイスを掲げて変身する。

 

 

「結界……か。なるほどなるほど、そういう事か。今まで気づけず不思議なものだったが、そういうものがこの都合の良い無人空間を作り出していたんだな。無関係な人間を悪影響無しに追い出し、建物が戦闘とかで壊されても結界を解除したら人は元通り、か」

 

勝手気ままに呟く垣根帝督の頭には、一つ大きな疑問が浮かんでいた。

 

「……何で俺は結界から駆逐除外されないんだろうな?」

 

当然、ユーノに認識されていないはずの垣根も普通なら広域結界が展開されれば、無関係な人間なはずなので追い出されるはずだ。

思い返せば、ジュエルシードを初めて知った初日のあの日すら、彼は普通なら結界内なら感知も何もできなかったはずなのに。

以前も、そして今も、都合良く垣根帝督は結界の影響を受けていない。

能力の『未元物質(ダークマター)』で何かしらの対応もしていないのに。

 

「まさか、俺のAIM拡散力場が……?だとしたら偶然にしてもでき過ぎてる気がするが……まあ、俺にとってはこの上無いくらい都合が良い。とりあえずは甘んじて受け入れとくか」

 

AIM拡散力場は、能力者が無意識に周囲へ発している微弱なフィールドの事。

 

「発電能力」の微弱な電磁波、「発火能力」の微弱な熱量、「念動能力」の微弱な圧力等が該当し、能力の種類によって様々に異なる。

あまりに微弱な為、精密機器を使用しないと測定できない。

事実上類似系統の存在しない『未元物質(ダークマター)』の場合は、微弱な素粒子という事になる。

垣根が無意識に演算し放出する素粒子(ダークマター)が、偶然ユーノ・スクライアの広域結界を彼に対して無効化した……という事になるだろう。

これまた偶然の産物による現象だった。

 

 

曇天の空から無数の落雷。

 

「見つけた……」

 

「あっちも気づいてる。フェイト!」

 

女性が少女を呼ぶ。

どうやら黒衣の少女の名前らしい。

 

〈なのは!あの子達よりも先に封印を!〉

 

走りながらユーノはなのはに言う。

敵が単独ではない事を察知していた。

おそらく互いに魔力の反応をサーチしていたのだろう。

余談ではあるが、垣根帝督だけは両者に気づかれていなかった。

本人すら知るよしも無いが、彼の有する魔力が少女達に比べ微弱だった為気づかれにくいという、偶然の出来事だった。

 

〈うん!〉

 

飛行するなのは。

桜色の魔方陣に立ち、レイジングハートを構えるなのは。

 

『Divine Buster』

 

対するフェイトという少女も黄色い魔方陣に立ち、魔導端末(デバイス)を構えていた。

 

『Spark Smasher』

 

両者の矛先には、スクランブル交差点のど真ん中。

青白い光の柱、その根元に菱形の物体ジュエルシードが見えた。

 

バシュッッッッッ!!!!!!!!

 

ほぼ同時に双方から魔力を込められた莫大な光線が放たれた。

そして激突。

 

「「ジュエルシード、封印!!」」

 

まるで示し合わせたように、声が重なる。

離れながらも彼女等は同時に叫ぶ。

 

鎮圧され、宙に浮いているジュエルシード。

 

〈やった!なのは、早く確保を_〉

 

なのはに近づく為に走っていたユーノに、横槍が入る。

 

「させるかよッ!」

 

上空から飛び降りながら拳を振りかぶる女。

 

バチィッッッ!!!!

 

ユーノは右手をかざして防御障壁を展開し弾き返した。

 

「君は……っ?」

 

「フェイトの邪魔は、させないよッ!!」

 

着地した女はユーノを睨んで叫び、同時に大きな狼のような姿に変化する。

 

「やっぱり……使い魔……ッ!」

 

「へえ、あの女はツカイマ……使い魔?っつーのか。ますますオカルト臭い感じだな」

 

もちろん会話している訳ではない。

ユーノ・スクライア達の感知できない念話以外の声を勝手に垣根が遠くからドローンと能力を使って傍受しているのだ。

念のため逆探知されないように細心の注意を払って。

 

「お、第2ラウンド始まるか。アニマルファイトもあるのか、盛り上がってきたなこりゃ」

 

垣根は彼女達の争いそのものに介入する気はさらさら無い。

できればこの先も自分の存在すら気取られたくない。

基本的にデバガメに徹するつもりだ。

一方、見つめ合う二人の少女。

黒ずくめの少女と白ずくめの少女。

相対する二人は対照的に見えた。

 

「こないだは自己紹介できなかったけど……」

 

少し前に歩きながら、先に口を開いたのは白い方だった。

 

「わたし、なのは……高町なのは。私立聖祥大附属小学校 三年生」

 

黒衣の少女はそれに答えず、魔導端末(デバイス)を向けて戦闘意思を示す。

そして冷静に告げる。

 

「ジュエルシードは諦めてって、言ったはずだよ」

 

「それを言うなら、わたしの質問にも答えてくれてないよね?まだ名前も聞いてない!」

 

いまだに満足に敵意すら向けてこない白い少女に対し、呆れたようにため息を吐いた。

そして再び魔導端末(デバイス)を振りかぶり、六発の球体を出現させる。

それを見て、なのはも応戦しようとレイジングハートを構えた。

街中を走りながら互いを睨み付ける二体の動物。

 

「何でジュエルシードを集める!?あれは危険なものなんだ!」

 

「ごちゃごちゃうるさいッ!!」

 

ユーノの問いかけに問答無用と言わんばかりに再び飛びかかる。

しかし、ユーノも障壁で防御し応戦する。

気がつけばこれの堂々巡りになっていた。

一方、夜の市街地上空を高速で飛び回る桜色と金色の二つの光。

次々に魔力弾を放って追いかける黒衣の少女と、それをかわしながら相手を見据えるなのは。

二人は激しく上昇下降、急旋回を繰り返しながら空中戦を展開する。

 

「えーい!!」

 

高町なのはは、ここにきてようやく反撃する。

相手と同じように桜色の魔力弾を四発放つ。

それを易々と、まるで軽やかなダンスのようにかわした。

 

「あ……ッ!」

 

なのはがいつの間に砲撃体制に入っていた。

魔力弾は陽動。

 

Cannon Mode! Stun Setting!(非殺傷スタン設定)

 

「シューーーートッ!!」

 

瞬時に強力な魔力砲撃が放たれ、回避が間に合わず正面に防御障壁を展開する。

防ぎ切って体制を立て直す。

 

「目的があるなら、ぶつかり合ったり競い合う事になるのは、仕方がないかもしれない」

 

なのはは、強い意思を持って伝えようとする。

 

「だけど、何も分からないままぶつかり合うのは、嫌だ!わたしも言うよ、だから教えて……どうして、ジュエルシードが必要なのか」

 

 

 

「おーおースゲェな。シチュエーションや絵面的にゃまるでニチアサの特撮番組かアニメみてえだ。でも今は、これが全部現実に起きているんだもんなぁ。見応えあるし、解析も捗るし、一石二鳥だわ」

 

戦闘区域からは遠く離れた高層ビルの屋上で、観戦を楽しむ垣根。

楽しみつつも時間をかけながら着々と、魔法というものの解析に勤しむ。計算式らしきものも分かってきた。

文字は地球のものとは違うし見た事も無かったが、魔導端末(デバイス)の放つ言語は英語と同様、翻訳機器を通している訳でもなさそうなのに人間は日本語を話している。

これだけ分かれば…………__、

 

なのは問いかけに、僅かに下へ目を背けた。

 

「わたしは……_」

 

「_フェイト!答えなくて良い!」

 

離れた位置で交戦していた狼が口を挟んだ。

 

「おいおい邪魔すんなよ」

 

垣根がぼやく。

なのはも声の方を向く。

 

「ジュエルシードを持って帰るんだろッ!?」

 

「……ッ!」

 

フェイトと呼ばれた少女は、構え直してなのはに向き直る。

 

「あ……ッ!」

 

なのはも構え直す。

 

「なのは!」

 

「大丈夫ッ!」

 

彼女はユーノの呼びかけに呼応しつつ、ジュエルシードの方へ向き急行するフェイトを追跡する。

同時に浮遊しているジュエルシードに、二人の魔導端末(デバイス)が差し出されショックを与えた。

 

カッッッッ!!!!!!!!!!

 

ジュエルシードから強力な光と衝撃波が放たれた辺り一体を呑み込む。

 

「うっ……ううっ……!!」

 

「くっ……!!」

 

差し出したポーズを維持しながら耐える二人。

ジュエルシードから光が消えた。

と同時に、バキバキッ!!

 

「あっ!?」

 

「ハッ!?」

 

双方の魔導端末(デバイス)本体に亀裂が入る。

瞬間、ジュエルシードが息を吹き返したように再び強烈な光と衝撃波を放った。

 

「きゃあああッ!!」

 

「くぅッ!!」

 

二人を易々と弾き飛ばした。

圧倒的な力で吹き飛ばされたなのはは、アスファルトに叩き付けられ横たわっていた。

回避運動を取って墜落を免れたフェイト。

しかし、

 

「ごめん……、戻って、バルディッシュ」

 

バルディッシュ_彼女の魔導端末(デバイス)も破損しコアが点滅していた。

バルディッシュは待機状態になり、彼女の右手の籠手のような部分に吸い込まれた。

まだ健在のジュエルシード。

 

「……、ッ!」

 

フェイトは正面を見据え、地面スレスレの低空飛行で接近し右手を伸ばす。

 

「フェイト!?ダメだ!危ない!!」

 

彼女の使い魔が叫ぶ。

フェイトは直接、ジュエルシードを両手で包み抑え込もうとする。 彼女の中心に魔方陣が展開され、封印を試みている。

 

「止まれ……止まれ……止まれ……」

 

バチッ!!

 

フェイトの手のグローブが破れる。

 

「止まれえッ!!」

 

思いが届いたかのように、ジュエルシードが沈黙した。

 

「ハァ……ハァ……」

 

それを握ったままフラフラと立ち上がるが、ユラリと倒れ始めた。

 

「フェイトーッッ!!」

 

使い魔の狼が慌てて駆け寄り、人形に変化して抱き止めた。

そして合流した高町なのはとユーノ・スクライアの方を、睨み付け、跳び跳ねて建物づたいに逃げていった。

それをただ見ている事しかできなかった。

その様子を最後まで見物していた垣根帝督。

 

「ああ、今夜はもうお開きかな?あー面白かった。今回も大収穫だったし、上々。連中が消えたら俺もズラかるか。つーかあいつ等の杖ぶっ壊れたみてえだけど、大丈夫なのかね。まあ俺が気にする事じゃないな」

 

 

 

 

 

時空管理局

 

L級次元巡航船「アースラ」

 

そのブリッジ。

 

「みんな、どう?今回の旅は順調?」

 

この船の艦長の女性。 

 

「はい、予定に遅れはありません」

 

「前回の小規模次元震以来、目立った動きはありません」

 

彼女の問いにオペレーター達が答えた。

ブリッジの指揮所に腰を下ろすと、傍らにはお茶を淹れながら「アースラ」の管制主任兼執務官補佐の少女、エイミィ・リミエッタが口を開く。

 

「事件の中心人物と思われる二名の魔導師も、現在は活動を停止しているようです」

 

エメラルドグリーンの鮮やかな長髪を束ねた髪型の女性。

 

時空管理局提督、「アースラ」艦長、リンディ・ハラオウンは言う。

 

「管理外世界での小規模なものとはいえ、次元震の発生は見過ごせないわ」

 

「はい、迅速に解決しましょう」

 

時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンが同意する。

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