魔法少女リリカルなのは with Dark_Matter 作:戸礼太
ミッドチルダ北部、ベルカ自治領。
そこに位置する聖王教会本部。
聖王教会とは管理局と同じく、危険なロストロギアの調査と保守を使命としている宗教団体。
宗教自体を指す時は「聖王教」と呼ばれる。
本部のベルカ自治領内は、周辺の景観が良い事から観光地としても有名で、若者の結婚式場としても人気である。
次元世界で最大規模の宗教組織で、各方面への影響力も大きい。
信徒が多く、その理由は他宗教に比べ禁忌や制約が少なく、緩い事が影響している。
独自に「教会騎士団」と呼ばれる戦力を持っている。
何故今回はこの聖王教会の説明になっているかというと、
『この前と五年前の事件きっかけなんやけど、わたしの友達が帝督くんに会ってみたいって言うてるんや。せやから一緒にミッドに行こ?』
と、電話で垣根帝督をお誘い中の八神はやて。
しかし、というか、いつもの事ながら当の学園都市第二位はつれない。
「行かねえよ馬鹿」
『えー、リインも一緒なんやでー』
「だから何だよ。それで気が変わるとでも?」
『リイン縁日の時は任務関係で来れへんかったから、帝督くんにも会えなくて残念がってたんよ』
「だから知るかっての。主はお前だろ」
鬱陶しそうに言う彼は、そもそも、と続ける。
「何でお前のダチが俺に会いたいんだよ?どこの誰だよ、そいつ」
『あー、聖王教会って言うとこにおって、管理局の理事官でもあるんや。帝督くんの戦闘記録を見て興味が沸いたみたいやねん』
「却下」
『ちょっと_』
返事を待たずに通話を切った。
ただでさえここ最近は彼女達に振り回され気味で、ギャグ漫画みたいな展開やオチに見舞われる事があったのだ。
また下手に押し切られて応じたら、しかもリインまで付いていくのであれば、どんな未来が訪れるか想像に難くない。
「ったく、あいつは……いやあいつ等は、この俺を何だと思ってやがんだ。俺が何者なのか忘れてねえか」
吐き捨てるように言って、直近の出来事を何となく思い出していく。
「……、」
どこぞのガキとお散歩に付き合わされたり、馬乗りになって後ろから思い切り両耳を引っ張られて駄々をこねられたり、寝てる間に布団に潜り込まれたり。
はたまた海水浴に付き合わされた最中には金髪美少女のお馬鹿な海中ストリップを目の当たりにしたり。
縁日には己の無知と気まぐれが災いして、どこぞの栗色髪のサイドテール女をムダに慌てさせた挙げ句、ほぼ半裸を拝む羽目になった。
「……、」
記憶を辿りながら垣根帝督は、彼にしては極めて珍しい事に、音もなく顔を青ざめさせた。
『闇』やら『悪党』やらといった人種には、ある共通点がある。
そのクールな雰囲気をぶち壊され、台無しにされたら全てが終了してしまうという点だ。
例えどれほどの悪人であっても、雰囲気皆無の空間に放り込まれ、エプロンを渡されて幼子を押し付けられたら、もう子守りをするしかないのだ。
普通なら、その手の雰囲気を台無しにする輩はさっさと暴力で排除する事で『自分の世界』を保ったりするのだが、できなかった時の事を想像するのも恐ろしい。
そして今の自分は台所事情を理由に、その暴力による排除ができずに何度か失敗した結果を経験していた。
失敗すればあんな目に遭う。
この受難はいつまで続くのか、この試練はどれだけあるというのか……。
翌日、海鳴市外の某所。
そこの裏通りに一台のステーションワゴンが停まっている。
そこに垣根帝督が乗り込んだ。
学園都市に潜む暗部組織の一つ『スクール』としての、久しぶりの用事だった。
車内には開かれたパソコンがあり、要件と情報が入力されているはずだった。
垣根がキーボードを叩いて暗号通信を最適化していく。
『某組織に拉致された少女をできるだけ無傷で奪還』
内容をかい摘まむとそういう事だった。
「……何だこりゃ。警察にやらせろよ。単なる誘拐事件じゃねえか」
垣根がくだらなさそうに言った。
そこでパソコンの画面が切り替わり、『SOUND ONLY』の表示になる。
『それがそうもいかないらしい。ターゲットサイドが、この前の一件に一枚噛んでいたらしくてな』
「何……?」
『あまり詳しくはこっちも知らないが、以前、学園都市外に出たDAとの取引記録が僅かだが見付かったとの事だ。つまり内容は何であれ、手掛かりになるかもしれない連中が再び動き出した訳だ。可能性は未知数だが、何か掴めるかもしれない』
「まあ、実際今まではすっかり滞っていた訳だしな」
更に情報を洗っていくと、次の事が分かった。
二つの財閥が競争し合っていた。
喜久井グループとハーヴェイグループ。
それぞれのCEOには娘がいる。
今回、事件を起こしたのはハーヴェイグループサイドらしい。
喜久井グループの令嬢の“友人”を拉致監禁し、人質にしているのだ。
しかも“警察に通報したら人質の少女を殺害”すると脅している。
ハーヴェイは以前、バニングス家系列や月村家系列に裏でちょっかいを出した事もあり、この場では垣根帝督しか知り得ないが、以前のアリサ・バニングスと月村すずかの拉致事案の遠因になっていたかもしれない。
喜久井CEOとしては、娘の友人を何とか救いたい。
しかし、相手は学園都市の暗部関係と手を結んでいた。
故に警察に通報できずに手を拱いていた。
そこで、学園都市暗部に所属していながら敵勢力を、正確には取引相手だったDAを叩き潰し、都合良く現在外に出払っているとある闇組織に注目した。
どうやってコンタクトを取れたのかは不明だが、その組織の実績を知る。
そういった経緯もあり、苦肉の策として暗部組織『スクール』に白羽の矢が立ったのだ。
敵の敵は味方、という考え方なのだろう。
案外、情報漏洩のリスクを嫌がった統括理事会側からコンタクトを図ったのかもしれない。
「それで、回収対象は?」
『
(何かと因縁があるな)
垣根帝督はそう思いながら下部組織に連絡し、情報隠蔽等の出撃の準備を整える。
「よし、他の連中は?」
『衛星マップ上の位置や郵便配達の記録等を元に、各自捜索に入ってる』
垣根は赤城咲耶の写真を眺めながら、思案する。
(ここにきて……いや、今更とでも言うべきか。元とはいえ関係勢力が動くとはな。流石に魔法サイドの事は知らんだろうが、今は万が一……億が一の可能性も
『_あ、一応言っておく』
そこへエージェントが口を挟み、垣根の思考を遮断した。
「……何だよ」
『対象の女の子、可愛いけど、傷物にはするなよ』
「ばーか死ね」
軽口を叩きながら彼はステーションワゴンから降りて指定したポイントへ向かう。
とあるホテルのスイートルーム。
そこに一人の少女が監禁されていた。
黒髪のショートボブ、中学一年生にしてはかなり大きく月村すずか、フェイト・T・ハラオウン並の胸。
両手を後ろに組んだ状態で縛られ、口を布で押さえられて悲鳴もあげられない。
彼女の周りには目出し帽を被った男やフルフェイスのヘルメットを着けた男達がいる。
「ったく、手間かけさせやがって」
「ガキの癖に化学者みてえに知識があるらしいぜ」
「催涙スプレー携帯してんだからよ」
「まあ顔隠しちまえば関係ないがな」
「おい、そろそろずらかるぞ。追っ手が来る」
「ファッキュー!」
そう叫びながら金丸がホテルの一室のドアを蹴破る。
しかし一足遅かったのか肝心の部屋はもぬけの殻。
逃げられてしまったらしい。
不意に携帯電話が鳴る。
「あ、リーダーか。ソッチはどうですか?」
ゴリゴリの黒人が流暢な関西訛りで話す。
『ダメだな。こっちも空振りだ。どうやら気付かれたみたいだぜ』
「気付かれたって事は……」
『まあ、とは言っても追っ手がいるって事に気付いてるぐらいだろうけどな。今は人質連れて車で逃走中らしいから俺等も向かうぞ』
「了解」
電話を切ると、足早にホテルから去った。
別ポイントの高級マンションの一室に突入した垣根帝督だったが、ダミー情報だったらしく、実際はヤクザの詰め所 だった。
「殺すつもりは無かったんだかな。テメェらが悪いんだぜ?話も聞かずに勝手にキレて銃弾浴びせてきやがるんだからよ」
彼の周りには血だまりと肉片。
能力を使って人間を爆砕したのだ。
垣根は下部組織に後始末を命じて高級マンションを出る。
そこで携帯電話に着信が入った。
『この件の関係者というか、知っている者の一人の居場所が分かった』
「マジか、で、誰なんだ?」
『CEOの令嬢。詳細を知ってはいるが、どう関わってどう動いているかは不明だ』
「ふうん。じゃ、居場所を教えろ。俺が聞き出してやる」
『分かった。場所は─』
その少女は自身の取り巻きと共に、とある高級なオープンカフェで優雅にティーブレイクをしている。
彼女は名門私立の女学院に所属し、自分を中心にした一つの派閥をつくっていた。
欲しいものは何でも手に入る何の不自由の無い生活。
最近になって父が何やら怪しげな取引をしている事を知り、好奇心で側近等を使って情報収集をしてみた。
すると身内に対する秘匿が甘かったのか、思った以上に詳細を知る事ができた。
正直、人の道を外した行為の内容だったが、止めようとまでは思わなかった。
自分はただいつものように日常を楽しんでいれば良い。
父達が勝手にやっている事なのだし、それに父のやる事は巡りめぐって正しい結果になると信じているのだから。
「失礼、お嬢さん」
談笑していると、不意に声をかけられた。
少女は紅茶の入ったティーカップをもつ手を止め顔を上げる。
そこには、何だかガラの悪そうな少年が立っていた。
少年は風貌に似合わないような柔和な笑みを浮かべていた。
「はぁ、どちら様でしょうか」
「垣根帝督。人を探しているんだけど」
垣根と名乗った少年はポケットから一枚の写真を取り出して見せた。
「こういう子が何処へ行ったか知らないかな。赤城咲耶っていう名前なんだけど」
彼女は目を剥いて内心動揺した。
周りの取り巻きは、何なのこの人等とヒソヒソと話している。
少女は咄嗟に動揺を隠し、冷静を装いながら答える。
「いいえ、あいにく知りませんわ」
「そうか」
「人探しでしたら、探偵に行くとか、警察に届け出ては?」
「それもそうだね。ならこれで失礼するよ。ありがとう」
垣根は小さく微笑みながら去った。
ホッと胸を撫で下ろす。
そして紅茶を飲もうとティーカップに手を伸ばしたその時、
「ああそうだ、お嬢さん。一つ言い忘れた事があるけど」
「え?」
顔を上げる前に次の言葉が来た。
「テメェがこいつを知ってるのは分かってんだよ、クソボケ」
ゴン!! と、こめかみに衝撃が走り抜けた。
殴られた、と気づく前に椅子から転げ落ちていた。
乱暴に振り回された少女の足が、椅子やテーブルを倒してしまう。
紅茶や茶菓子が周囲にバラまかれる。
周囲から、通行人や彼女の取り巻きの悲鳴が響く。
何が起きたか判断しきれないまま、とにかく少女は起き上がろうとした。
しかし仰向けに倒れた彼女の右肩へ、垣根は靴底を思い切り踏み付け、地面へ縫い止めた。
「だから俺はこう尋ねたんだぜ。『こういう子を知りませんか』じゃなくて、『こういう子が何処へ行ったか分かりませんか』ってな」
ミキミキィ!
「!!」
垣根は足に体重を掛ける。
グゴギッ!! という鈍い感触と共に、骨と骨を擦り合わせるような激痛が走り抜けた。
「うああああああッ!!」
関節が外れたのだ。あまりの痛みにのたうち回りたくなるが、垣根の足は鉄柱みたいに動かない。
悲鳴というより絶叫が響いたが、垣根の表情は少しも変わらなかった。
「テメェが俺の動きに気付いて行動していた訳じゃねえのは予想できる。俺は外道のクソ野郎だが、それでも極力一般人を巻き込むつもりはねえんだ。だから協力さえしてくれりゃ、暴力を振るおうとは思わない」
オープンカフェは表通りに面していて、周囲にはかなりの人々が往来していたが、彼等は一斉に現場から距離を取っただけで、少女の所へ駆け付けてくれる人は一人もいなかった。
孤立無援の中、さらに垣根の靴底が関節の外れた肩に食い込んでくる。
「……ただな、俺は自分の敵には容赦をしない。何も知らずしていたのならともかく、テメェの意志で親父達を庇うって言うなら話は別だ。頼むぜーお嬢さん。この俺にお前を殺させるんじゃねえ」
グギギガリガリ!! と、外れた骨が無理に動かされ、強烈な痛みが連続する。
瞳から涙が溢れる。
何故こうなったのか分からない。
そして状況を打破できない悔しさ。
負の感情の全てがグチャグチャに混ざり合い、巨大な重圧となって彼女の人格を内側から圧迫していく。
そして、その中で意図的に提示された、一つの逃げ道。
「赤城咲耶はどこだ」
激痛に明滅する意識の中、垣根帝督の声だけが響く。
「知っているはずだろ?それだけを教えれば良い。それでテメェを解放してやる」
どこを見回しても出口の無い迷路に、たった一点だけ設けられたゴール。
暴力という暗闇に押し込まれた少女は、その存在を意識せずにはいられなかった。
ハーヴェイ家の令嬢としての矜持、人格、それら全てが『痛みから解放される』という言葉に塗り潰されていく。
少女の唇がゆっくりと動く。
「……、なに……?」
垣根帝督の眉が、理解できないようにひそめられた。
彼女は、もう一度震える唇を動かして、言う。
「貴方のような下郎には見付けられない場所にいる、って言ったのですよ。嘘を言った覚えは……無いわ」
プライドと矜持だけは捨てられなかった。
見下したような目で人を馬鹿にしたように言った。
垣根帝督はしばし無言だった。
「……良いだろう」
言って、確かに彼は少女の肩から足をどけた。
ただしその足は地面に下ろさず、今度は少女の頭を狙ってピタリと止まる。
「誇りと死を天秤にかけたか。感傷的だが、現実的じゃねえな。俺は一般人にゃ手を出さないが、自分の敵には容赦をしないって言ったはずだぜ。それを理解した上で、まだ協力を拒むって判断したのなら、それはもう仕方がねえ」
垣根帝督は振り上げた足に力を込めた。
まるで空き缶でも潰すような気軽さで足を動かし、
「だからここでお別れだ」
ブォ!! という風圧に少女は思わず涙を溜めた目を瞑った。
今の彼女には、それぐらいの事しかできなかった。
しかし、垣根の足が少女の頭部を踏み潰す事はなかった。
ズバァッ!!
空気を切る音と共に小振りの木刀が飛んできた。
それは物凄い速度で垣根帝督に激突する。
その一撃を喰らった事で、バランスを崩す垣根。
顔を潰す予定だった足は、彼女のわずか数センチ横の地面に激突するに留まる。
「……何をしている」
黒髪の端整な容貌の青年が、垣根帝督を睨んでいた。
高町恭也。
「痛ってえな」
垣根帝督は高町恭也に視線を向けると、静かに言った。
「そしてムカついた。誰だテメェ?」
恭也のすぐ後ろには月村忍がいた。
彼女も垣根を鋭い視線で見つめている。
垣根帝督と高町恭也には面識は無い。
だが彼は、高町なのはの家族構成は以前の情報で知ってはいたが、忍がすずかの姉という事までは知らない。
もちろん、高町恭也は垣根帝督を知らない。
妹から話を聞いた事はあったが、その姿を実際に見聞きまではしていない。
「質問に答えろ。お前は今何をしている」
「テメェにゃ関係無い事だよ」
「こんな暴力沙汰を見過ごせと?」
「テメェにゃ関係無いって今言ったよな?」
「何……?」
殺気と悪意を感じ取り、警戒を強める恭也を見て、垣根は小さく笑う。
「ついでに言うと、邪魔されてムカついてる訳なんだが。ここでテメェを叩き潰すのも一興かねえ」
恭也はそれに答えず身構える。
しかし垣根は、携帯電話を開いてディスプレイをチラリと見ると、
「と、言いたいとこだが、そんな暇はなさそうだ。このままじゃターゲットが殺されちまう。つーわけでズラからせてもらうぜ。ああそうだ、コイツはもうどうでもいいから見逃してやるよ。ホラッ」
「ガフッ!?」
垣根は足元で痛みに苦しむ少女をまるでボールのように恭也の方へ蹴飛ばした。
「なっ!?」
その行動に驚く恭也だが、その直後に、
バォ!!
という爆音が鳴り響いた。
衝撃波が彼に向かって炸裂し恭也は一瞬目を閉じた。
余波で人々が薙ぎ倒される。
高町恭也が目を開けた時には前方にいたはずの垣根帝督の姿は無く、代わりに足元に激痛のあまり気絶した少女が転がっていた。
国際空港へ繋がる建設未完の大きな高速道路。
そこを猛スピードで疾走する四台のミニバン。
このうち一台にだけ赤城咲耶が手足を拘束された状態で乗せられている。残り三台はダミーだ。
いつの間にか、この高速道路を走っているのはこのミニバン四台だけになっていた。
疾走するミニバンの前方に一人の人影が見えた。
黒いブーメランパンツ一枚の黒人マッチョマン。
右腕がなぜかサイコガンになっている男。
金丸。
素早くサイコガンを構えて発砲。
その途端、ミニバンの内の一台が叩き潰された。
爆発炎上したミニバンを見ながら、二台目に銃口を向ける。
ミニバンのドライバーと四つのタイヤを正確に狙い撃つ。
コントロールとバランスを失ったミニバンはスピンし始め、横転。
そしてトドメと言わんばかりに金丸が、
「ファッキュー!」
と叫びながらサイコガンを発射し横転したミニバンを爆破する。
「ファッキュー!」
金丸がサイコガンぶっ放して残り二台の内一台に炸裂し爆散する。一台残った本丸に金丸は何の躊躇もなくサイコガンを発射。
ミニバンは爆発炎上した。
普通に考えたら、アレじゃターゲットまで木っ端微塵になってしまうが……。
ターゲットの少女、赤城咲耶は上空にいた。
いや、正確には誰かに抱き抱えられていた。
天使のような六枚の白い翼を羽ばたかせて赤城咲耶をお姫様抱っこの要領で抱えている少年。
垣根帝督。
垣根はゆっくりと地面に着地した。
そこへ『スクール』のステーションワゴンが到着する。
金丸が言う。
「お姫様抱っこで助け出すとは、中々ロマンチックやな」
「ちげーよ。背負うと翼と干渉しちまうし、小脇に抱えても良かったんだが、腹に負担が掛かるし、衝撃で後でゲロゲロ吐かれたら堪んねえからな。消去法でこれが一番効率的だったんだよ」
「………ん……?」
今の今まで気を失っていた赤城咲耶が目を覚まし、垣根帝督の顔を見た。
「やべっ、起きちまった」
垣根は彼女を慌ててステーションワゴンの後部座席に放り込んだ。
「キャッ!?」
「金丸、そいつを下部組織を介してクライアントの喜久井家に引き渡せ」
「了解や」
金丸もステーションワゴンに乗り込む。
「……、あの、貴方が私を……?」
垣根帝督は赤城咲耶の言葉を無視して言う。
「今日の出来事については一切忘れろ。一生口にするな。良いな?他人に少しでも喋って騒ぎになったら今度はテメェを殺す」
それだけを言うと後部ドアを閉める。
その途端にステーションワゴンが猛スピードで発車する。
それを見送ると、携帯電話でエージェントに連絡を入れた。
「仕事は終わった。で、何か分かったか?」
『残念だが進展は無いな』
「チッ、実質収穫無しかよ」
『だが最低ノルマは達成した。後は上に任せよう』
結局、主犯格も新たな情報は持っていなかった。
垣根は苛立つが、今は仕方ない。
元々、可能性自体は低かったのだから。
聖王教会関連は、八神一家以外はStrikerS以前まで関係があまり無いようなので、二次創作でオリ主とかがはやて達経由で関わったり、そこで一悶着起きるような描写はわりとよくある事ですが、流石に高町なのは達より外野の立場の垣根帝督を先行して会わせるのも何だと思い、ボツにしました。
『スクール』としての仕事関連は、pixiv既出の辻褄を合わせる程度の修正です。