魔法少女リリカルなのは with Dark_Matter 作:戸礼太
九月三十日は、月村すずかの誕生日。
当日は、あいにく平日の為、前日の土日に誕生日会を行う。
月村家の前に立っているのは、垣根帝督、赤城咲耶、志村新八、古市貴之の四人だ。
「大きいですね」
「やっぱ、デケェな」
ベタなセリフを漏らす垣根と咲耶。
「あ、お迎えが来たみたいだよ」
志村が言う。
二人のメイドが現れた。
ノエル・K・エーアリヒカイトとファリン・K・エーアリヒカイトだ。
「いらっしゃいませ〜♪」
「いらっしゃいませ」
陽気な声とクールな声が聞こえた。
「うわっ、すげ、本物のメイドだ!」
古市が驚く。
「バニングスさんにしろ、月村さんにしろ、お金持ちは凄いよね」
志村が呟いた。
ファリンは、垣根をジロジロと見はじめる。
「へぇー、君がすずかちゃんが言ってた垣根君かぁー」
「あん?」
垣根は怪訝に思いながら、彼女をジロリと見返した。
「この前すずかちゃんがね、君の事を─」
「ファリン!!」
言い終わる前に別の声が聞こえた。
月村すずかが走って出て来てファリンの口を塞いだ。
「もう!!余計なこと言わないで!」
「月村さん、こんにちは」
「よー月村さん」
「よお」
志村、古市、垣根の順にすずかへ挨拶した。
「あはは、皆いらっしゃい」
彼女は恥ずかしそうに答えた。
……メイド二人とすずかに案内され、彼等はテラスに着いた。
そこにはすでに面子が揃っていた。
ヴォルケンリッターも全員いる。
「早いなお前等」
「アンタ達が遅いのよ」
垣根のセリフにアリサが答えた。
「今日はお兄ちゃんも来てるんだよ」
なのはが言う。
高町恭也も忍の姿もある。
そして、お決まりのバースデーソングを歌った。
垣根は手拍子だけした。
志村のあまりの音痴っぷりにムカついた垣根帝督が、彼を殴り飛ばすというハプニングもあったが、順調に進み、ケーキ、ケータリングが運ばれる。
しばらくすると、恭也と忍はいなくなった。
「……そのまま部屋でしけこむ訳か」
「いかがわしい言い方をするな」
垣根の言葉にシグナムがツッコんだ。
さて、プレゼントを渡すときになった。
皆、ラッピングしたプレゼントを渡した。
問題は垣根帝督のプレゼントだ。
「あたしのときみたいに『信長のゲボェ』じゃないでしょうね?」
アリサ・バニングスがジト目で言う。
「大丈夫だ。それじゃない。『赤いもの』だ」
赤いバック、赤いタオル、そういうものを皆が想像した。
彼は懐からラッピングされていない何かを取り出した。
「……これ、何?」
すずかが尋ねる。
「知らねえのか?『エキサイトバイク』だ」
「イヤ、なぜそれ!?」
志村がツッコむ。
「赤いものなんてもっと他に無かったの!?」
フェイトもツッコんだ。
「他っつーと、赤いものだったら『燃えろ!!プロ野球』か『キン肉マン マッスルタッグマッチ』ぐらいしかねえぞ」
「なんで全部ファミコンのカセットなんや!!」
ボケまくる垣根に八神はやてもツッコミを入れる。
次は赤城咲耶のプレゼントだ。
「あ、あの、咲耶は、『弱い物』です」
彼女は申し訳なさそうに何かを取り出した。
『スペランカー』のカセットだった。
「え!?咲耶ちゃんもファミコンのカセット!?」
すずかが驚いて声を上げる。
彼女がボケるとは思っていなかったため、全員が驚いた。
「イヤ確かに!」
古市は大声で同意してしまう。
「確かにスペランカーの主人公弱かったけど!命がいくつあっても足りなかったけど!!でも、だからって『スペランカー』のカセットをチョイスしたんだ!?」
「ごっごめんなさい……。垣根先輩が、『絶対ウケるからやってみろ』って言われたので」
ツッコミまくる古市に咲耶は控え目に答えた。
「「お前の差し金かよ!!」」
志村と古市のツッコミがハモった。
「あ、赤いものまだあった」
垣根が呟く。
「一応聞くけど、何だよ?」
ヴィータが眉をひそめながら尋ねる。
「『ロックマン2』だ」
「若い読者ごめんなさいィィィ!!」
志村がシャウトする。
「「「だからなんでファミコンのカセットオンリー(なの)(なんや)(なのよ)!!」」」
今度は、なのは、はやて、アリサの三人のツッコミがハモった。
「……さて、冗談はこれぐらいにして」
(よ、よかった。やっぱり冗談だったんだ…)
垣根の言葉に内心ホッとするすずか。
さすがに今のが本気のプレゼントだったら、彼女もへこむ。
「まあ、今回もラッピングしてなくて悪いが」
彼は、直方体の箱をすずかに手渡した。
「……開けても良い?」
「おう」
開封すると、中に入っていたのは紫色のフレームの作業用の眼鏡だった。
「わあ、綺麗……」
彼女は思わず感想を漏らす。
「お前機械いじりが好きだって聞いてな。気に入ってくれたようで何よりだ。いらなくなったら売り飛ばすなり捨てるなりして良いから」
「ううん、絶対ずっと大事にするよ。ありがとう」
すずかは嬉しそうに頬を赤くして、満面の笑みで言った。
その後、しばらく皆で談笑をした。
途中で月村家で飼われている大量の猫が開放された。
一部の猫達は垣根帝督に群がり、毛を逆立てて威嚇したり、飛び付いて引っ掻いたりしていた。
だが、彼には傷一つついていない。表情も変えなかった。
「だ、大丈夫!?」
「大丈夫ですか!?」
「痛くないの!?」
「怪我は無いん!?」
「何とも無い!?」
すずかと咲耶、フェイト、なのは、はやてが心配そうに声をかける。
シグナム、シャマル、ヴィータもその様子を見て顔を引き攣らせていた。
「全然。全身能力のフィルタでコーティングしてるし、猫共にも害はねえから安心しろ」
「でも、何でこんなに嫌われてるのかな……?」
「野生の勘じゃねえの?」
この間に、近藤勲というストーカーゴリラが(アリサ・バニングス目当てで)侵入してきて、当の彼女に跳び蹴りを喰らって敷地外まで吹っ飛ばされた事はどうでもいいだろう。