魔法少女リリカルなのは with Dark_Matter   作:戸礼太

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『愛してなどいなかった』

それは、一番聞きたくなかった言葉。

そして、どこかで気づいていた現実。


誰より愛し、

全てを賭けて救おうとした母は

自分ではない少女だけを愛していた。

信じたものも、嘘だった。


そこにはただ、

静かな絶望だけがあった。


明かされた真実 偽りの記憶

失意のフェイト・テスタロッサに寄り添う高町なのは。

 

次元断層警告のオペレーターの叫びがアースラ内に響き、赤い警報灯が船内を照らす。

 

クロノ・ハラオウンは一人通路を走っていた。

 

(忘却の(みやこ)アルハザード。禁断の秘術が眠る土地……)

 

自身のデバイスS2Uを起動させ右手に握り正面を睨み走り続ける。

 

(その秘術で、亡くした命を呼び戻そうとでも……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレシア・テスタロッサはレベル4以上の肺血腫、他の臓器にも転移しているほど病に侵されていた。

アリシアを亡くしてから本当に自分の全てを投げ打って、アリシアを助ける為の研究を続けていた。

それは何より愛娘への贖罪と自分自身の罪の意識と、危険な実験や我が身を顧みない生活のせいだったのだろう。

そして、そんな日々と引き替えに辿り着いたのが『プロジェクトF』という名の記憶転写クローン技術。

アリシアの体組織から生み出された複製体(クローン)にアリシアの脳内に眠る記憶を転写する。

プレシアにとって最後の賭けだった。

しかし、生まれた少女はアリシアの記憶を正しく受け継ぎながらも、利き腕も、魔法資質も、そしてアリシアとは異なる新たな人格として生まれてきた。

そして、その事実をプレシアは『失敗』と感じてしまった。

プレシアはフェイトを娘と認めなかった。

いや、認めまいと必死だった。

彼女の笑顔、優しさ、彼女の一生懸命な愛情を見るたびに揺れていた。

故に、プレシア・テスタロッサは更なる禁忌への道へ行く覚悟をした。

ジュエルシード集めをフェイトに命じて、忘却の都アルハザードへ行く事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラのブリッジでは絶えずアラートが鳴り響いている。

オペレーターのエイミィ・リミエッタがパネルを睨みコンソールを叩きながら告げた。

 

「庭園の駆動炉が異常稼働!駆動炉を暴走させて足りない出力を補おうとしてる……!?」

 

それを聞き、艦長のリンディ・ハラオウンは腰を上げた。

 

「私も出るわ!庭園内で次元震の進行を抑えます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、庭園に転送ポートで侵入を果たしたクロノ・ハラオウン、高町なのは、ユーノ・スクライアの三人は到着と同時に走り出す。

広々とした通路はまるで組み立て途中のジグソーパズルのように床が所々抜け落ちていて、底の見えない赤い穴が広がっている。

走りながらクロノが言う。

 

「ユーノは知ってるな?この穴には気を付けろ」

 

ユーノはなのはに説明ついでにクロノのセリフに続いた。

 

「虚数空間。魔法が発動できない空間だ」

 

クロノが再び告げる。

 

「飛行魔法も発動しない_。落ちたら重力の底まで真っ逆さまだ」

 

それを聞き、なのはは息を呑んだ。

 

「了解!」

 

通路の先には閉鎖された扉。クロノが直射砲を放って破壊する。

 

ブレイズカノン。

大威力砲撃を一瞬で撃ち終える短射砲で、発射前後の隙が少なくなるような調整がされている。特に障害物破壊等において高い効果を発揮する。

突き破った先には多数の傀儡兵が待ち構えていた。

傀儡兵とは、プレシア・テスタロッサによって創成されたゴーレム。

自動行動のプログラムが設定されており、地点警護、侵入者迎撃等の行動を取る。

歩兵型・飛行型・砲撃型等の複数の種類が配置され、通常のゴーレムが動作するにはエネルギーは術者の魔力を使用するか本体内部に何らかの内燃機関を搭載するといった形で供給されるが、この傀儡兵は庭園の駆動炉から直接エネルギー供給されている。

2人はデバイスを構え、ユーノもサポート魔法でスタンバイする。

傀儡兵の群衆の先には、最上階へ繋がるであろう階段が見えた。

先頭に立つクロノが振り向くと、

 

「二手に分かれる。君達は最上階にある駆動炉の封印を」

 

「クロノくんは!?」

 

「プレシアを止めに行く!」

 

なのはにそう答えるとS2Uを構え直し青白い魔方陣を展開した。

 

「今、道を造る!」

 

魔力刃を複数生成し、傀儡兵へ発射し破壊していく。

 

スティンガーブレイド。

魔力刃一本一本をそれぞれ別の対象に向けて放つ事が可能で防御で無効化されづらい魔力刃攻撃は対象制止能力が高く、対集団戦で高い効果を発揮する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラ船内の待機部屋。

 

フェイト・テスタロッサは虚ろな表情でベッドに寝ていた。

両目は開いているが瞳に精彩は無く、廃人にでもなったかのようだった。

室内のモニターには庭園内での戦闘状況が映っている。

彼女に寄り添う使い魔のアルフ。

彼女はフェイトを心配し名残惜しそうにしながら告げる。

 

「あの子達が心配だからあたしもちょっと手伝ってくるね」

 

フェイトは答えない。聞こえているのかも分からないほど無反応は彼女の頭を、アルフは心配そうに微笑みながら優しく撫でた。

 

「すぐ帰ってくるからね」

 

手を離し、ドアへ歩き出した。

そこで振り向き、この部屋に何故か、両手をズボンのポケットに入れて突っ立っているもう一人に声をかける。

 

「_それで、アンタはどうする気だい?」

 

「あん?」

 

濃紺のジーンズに黒いアンダーシャツ、その上にボタンを留めずに白いポロシャツを着ている、フェイトと同年代だが少し長身の少年。

相変わらず薄い冷笑を浮かべている。

垣根帝督。

 

「もう少しだけ様子を見とくよ。ま、このままダメそうならアンタ等の後を追うさ」

 

「フェイトに触るんじゃないよ?何かしたら承知しないからね」

 

「その心配だけはしなくて良い」

 

垣根は下らなさそうに鼻で笑う。

そんな彼を一瞥すると、アルフはなのは達を援護すべく走り去った。

垣根はそれを見届けると、フェイトの方へ向いた。

 

「で、どうするよ?お前の相棒も行っちまったけど。事が終わるまで寝て待つか?まあそれでも別に良いとは思うけどな。ここで大人しくしてりゃ、良くて被害者扱い、悪くても情状酌量の余地を見てもらえるだろうよ」

 

フェイトは虚ろな表情のまま、垣根に答えるというよりは独白するかのように、静かにゆっくりと口を開く。

 

「母さんは、わたしの事なんか…一度も見てくれなかった。母さんが会いたかったのは…アリシアで……わたしはただの、失敗作…。わたし……生まれてきちゃ、いけなかったのかな?」

 

「……、」

 

垣根は表情を変えずに黙って聞いている。

自分に問われたとも思っていない。

これは彼女の自問自答なのだろうから、今は敢えて口を挟まない。

(まばた)きをして寝たまま左を向く。

モニターに映るのは二人の少年と少女。

ユーノとなのは。

そこへ先ほど出ていったアルフが合流していた。

フェイトの視線は自然とアルフと白い魔導師の少女へ移った。

 

「アルフ……、それに…この子…。何て名前だったっけ…」

 

起き上がり、済まなさそうな顔をしてこの少女とのやり取りを思い出す。

 

「ちゃんと…教えてくれたのに…。何度もぶつかって……、わたし…、酷い事したのに。話しかけてくれて……、わたしの名前を呼んでくれた」

 

知らず知らずのうちにフェイトの目に涙が溢れ、こぼれ落ちていた。

 

「何度も…何度も…」

 

そんな彼女の嬉しさと悲しさに呼応するように、愛機が発光する。

それに気付いたフェイトはベッドから出て、両手で自分の愛機バルディッシュを手に取る。

 

「バルディッシュ……。わたしの…わたし達の全ては…、まだ始まってもいない…?」

 

カッ!!と輝き、バルディッシュが待機モードからデバイスモードに変形する。

ひび割れだらけのボロボロの戦斧は、ギチギチと音を立てながらも主に応えようとする。

 

『Get Set』

 

フェイトはそんな愛機を愛おしそうに抱き締めた。

 

「そうだよね…バルディッシュも…、ずっとわたしのそばにいてくれたんだもんね」

 

彼女の涙が再びこぼれ落ちる。

 

「お前もこのまま終わるの何て嫌だよね…?」

 

『Yes Sir』

 

その返事を聞いて、決意が固まった。

彼女はバルディッシュを正面に構える。

 

「上手くできるか分からないけど…、一緒に頑張ろう」

 

フェイトは目を閉じてバルディッシュへ魔力を供給する。

金色の光をたたえ、ボロボロだったバルディッシュがみるみるうちに修復していく。

リカバリーという、術者からの魔力供給でデバイスの破損修復。

リニスによって生み出されたフェイト・テスタロッサ専用機バルディッシュは、いかなる状況でも主を護れるよう強固な機体構造と最小限の魔力でのリカバリー機能を備えている。

フェイトが進むべき道を、いつでもまっすぐに進めるように。

制作主(リニス)の願いが込められた閃光の戦斧は、いかなる逆境からでも主の願いと想いに応える。

 

『Recovery complete!』

 

「わたし達の全ては…まだ始まってもいない…」

 

言葉と同時にバリアジャケットを展開する。

フェイト・テスタロッサは固く決意した。相棒とあの白い魔導師の少女達のもとへ向かう事を。

 

「だから、ほんとの自分を始める為に…、今までの自分を…終わらせよう…!」

 

「へえ」

 

ようやく。

 

薄く笑いながら傍聴していた垣根帝督が口を開いた。 

敢えて観覧していたその男が。

舞台上の演劇が終わり、劇場内の照明が点灯した直後の観客席のざわめきのように。

 

「それで良いんだ?その道を選んだとしても、お前の望む結果が与えられるかは分からねえぞ?もしかしたら、もう一度絶望するような目に遭うかもしれねーぞ?」

 

わざと、煽るように言ってみせる。

この程度の言葉で揺らぐ決意なら価値はない。

せめてもの情けで叩き潰してしまった方が良い。

しかし、

 

「大丈夫」

 

即答だった。

フェイトは強い意志の込もった瞳で垣根を見る。

 

「たとえどんな結果になったとしても、受け入れる。今度は自分の意志で、全部受け止める。それに、そうしなきゃいけないとわたしが思うから」

 

覚悟を決めた視線を見て、垣根はそうかい、と興味の薄そうな反応をする。

 

「そう言うあなたはどうするの?」

 

今度はフェイトが垣根に問う。

だがこちらも即答だった。

 

「もちろん、アンタに同行させてもらう。理由も目的もお前等とは全く違うが、ここで引っ込んだら今まで首突っ込んで一枚噛もうとしてきた意味が無い」

 

「……分かった。行こう」

 

言葉と同時に、二人は部屋を飛び出し転送ポートへ向かって並んで走った。

垣根帝督とフェイト・テスタロッサの間には仲間意識や信頼も信用といったものは無い。

どちらかと言えば呉越同舟に近いといえよう。

一度対峙し交戦しただけの関係なのだから当然と言えば当然だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹き抜けの摩天楼の内部。

 

なのはとユーノ、アルフが飛行しながら襲い掛かる傀儡兵の群衆と敵味方入り乱れて交戦していた。

ディバインシューターを放ち複数の誘導弾で射撃型を一機撃ち落とし爆砕する。

アルフが拳を振りかぶり得意の肉弾戦で一機叩き落とす。

 

「くそ…後から後からっ……!!」

 

多勢に無勢を強いられ歯噛みする。

高速飛行するなのはとアルフを支援すべく、ユーノは両腕を広げ展開した魔方陣から同時に発生させた複数のチェーンバインドを駆使して基本型二機を拘束する。

しかし、抑えきれず、拘束された傀儡兵がもがき暴れている。

 

「うっ……ッ!」

 

グググッ!バギン!!

 

チェーンバインドを無理矢理引きちぎってその内の一機が上方のなのはを捕捉した。

 

「ハッ!?なのはっ!!」

 

なのはがユーノの声に振り向いた時には、得物の斧状の武器が投擲されていた。

回転しながら迫る凶器。

しかしそれがなのはの体に当たる事は無かった。

 

『Thunder Rage』

 

「サンダー…レイジッ!!」

 

「え…?」

 

彼女の更に上方から強烈な閃光が降り注ぐ。

見上げるとそこには金色の魔方陣に立つ黒衣の魔導師の少女。

フェイト・テスタロッサ。

彼女の魔法雷撃は轟音を響かせて投擲された武器も付近の傀儡兵をも粉砕した。

 

「フェイト…?」

 

アルフとユーノもフェイトの登場に驚く。

フェイトはなのはのもとに降下して近づき、黙ってお互いを見つめ合う。

 

「_ッ!?」

 

なのはが何か言おうとしたが、そこで轟音が響き思わず一同が音源へ振り向いた。

摩天楼の壁を突き破って巨大な大型傀儡兵が現れた。

 

「大型だ…防御が固い」

 

「うん…!」

 

大型傀儡兵は四ヶ所の突起から光をたたえ、強力な砲撃を放とうとする。

 

「だけど…二人でなら」

 

フェイトのセリフに驚き振り向く。

沸き上がる嬉しさがなのはを笑顔にし、

 

「うん…うん、うんっ!」

 

それを表現しようと自然に何度も彼女は頷いた。

ゴバッ!! と極太の光線がなのはとフェイトに向けて撃たれる。

二人は散開し避けた。

大型は砲撃を乱射しながら接近しようと動き出す。

しかし、なのはもフェイトも空中を曲芸飛行のように華麗に全て避け切ってみせた。

回避しつつもディバインシューターやアークセイバーを放ち命中させ、確実に反撃し敵を翻弄する。

砲撃装備以外の武装を破壊され中破状態にまで一方的に追い込まれた大型傀儡兵は、再び砲撃を撃とうと収束を始めた。

 

「バルディッシュ!」

 

『Get Set』

 

「レイジングハートッ!」

 

『Stand by Ready』

 

2人は並んで砲撃形態を取る。

 

「サンダー・スマッシャー!!」

 

「ディバイーンバスター!!」

 

ほぼ同時に放たれた砲撃は敵の砲撃を撃ち破り、バリア・シールドをも突破した。

 

「「せーのっ!!」」

 

性質の異なる砲撃魔法の「重ね撃ち」は防御に優れたバリア・シールド突破において有効性の高い攻撃方法だ。

初めて肩を並べて放つ二人の一撃は、完璧な同調を伴って砲戦傀儡兵を撃ち抜き庭園の場外まで吹き飛ばした。

戦闘が一段落し再び見合う二人。

 

「フェイトちゃん…」

 

フェイトはなのはに柔和に微笑みを返した。

 

「フェイト…フェイトぉっ!!ああ……!!」

 

涙ぐみながら彼女の使い魔アルフが抱き着いた。

 

「アルフ…心配かけてごめんね…」

 

泣きじゃくりしがみつくアルフの頭を優しく撫でる。

 

「うん…うんっ…!!」

 

その様子を見てなのはも思わず感動し涙ぐむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_そこへ、

 

「ありゃ、つまんねえな。もう終わっちまったのか?」

 

水を差すように、ゆったりと六枚の白い翼を羽ばたかせて羽を散らしながら現れたのは、フェイト・テスタロッサと同時に出撃したはずの男、垣根帝督。

 

「え!?か、垣根くんも来てたの!?」

 

「かきね……?あ、この人の名前か。もう、君はあちこち寄り道ばかりしていたから…。何をしていたの?」

 

驚くなのはと、何気に今になって初めて垣根の名前を知ったフェイトは彼を軽く咎めるように言った。

 

「悪い悪い。何か見るものみんな物珍しくて目移りしちまった」

 

当の垣根はヘラヘラとしていて緊張感の欠片も感じられない。

そうしていると更なる横槍が入れられた。

ドカン!! という衝撃音と共に数十体もの傀儡兵が壁の大穴から入ってきた。

しかも先ほどなのはとフェイトの二人がかりで倒した大型と同タイプまで。

 

「新手!」

 

「ちぃ、キリがないよ!!」

 

ユーノとアルフが叫び、なのはとフェイトも構え直す。

傀儡兵達はエネルギー供給源である駆動炉をどうにかしない限り殲滅は難しい。

先を急ぎたい所だが、やむを得ないと四人が思ったその時、

 

ズンッッ!!!! と、大型傀儡兵が倒れた。

数機の基本型を巻き込んで下敷きにし、地面の奥へめり込んでいく。

まるで見えない何かに踏みつけられているかのように。

 

「「「「えッッ!?」」」」

 

一体何故、こんな事が起きたのか分からない。

偶然なのだろうか?

困惑する一同より少し後ろから声をかけられた。

 

「少しは役に立っておかないとな」

 

「ッ!!」

 

四人が声のした方を振り向く。

誰かは分かってはいたが、この現象を起こした主だとは思わなかった。

垣根帝督が軽く左手をかざしていた。

 

「な……ッ!?」

 

「これ…アンタが……!?」

 

「垣根くんがやったの!?」

 

「……!」

 

驚愕に染まる四人の反応を無視して、垣根はフェイトに告げる。

 

「それより、お前は行きたい所があるんだろ?早く向かわねえとテメェの家族どっか行っちまうぞ。道草食って出遅れた埋め合わせに、俺が傀儡兵(オモチャ)の相手しといてやるから先に行けよ」

 

「でも……良いの?」

 

ありがたい提案だが僅かに躊躇してしまう。

 

「グズグズしている暇はねえんだろ?早く行け」

 

そんな彼女に向かって鬱陶しそうにシッシッと手を振り雑に促す。

 

「もう……。分かった、任せる。気を付けてね」

 

ぶっきらぼうな態度の垣根に苦笑しため息を吐きつつ、受け入れた。

 

「フェイトちゃんも、気を付けて」

 

「うん」

 

フェイトとアルフはプレシア・テスタロッサのもとへ、垣根はなのはとユーノと共に駆動炉の方へ分かれた。

 

二人を見送ると、傀儡兵の方へ向き直った。

 

「それじゃ、早速ゴミ掃除といきますか。高町達は休憩してて良いぞ、出遅れた埋め合わせだ」

 

「でも_ッ!?」

 

垣根はなのはの返事を待たずに六枚の翼を構え、押し潰された大型とは別に基本型が白兵戦を仕掛ける。

 

シュバッ!! と翼の一枚が伸びて一気に貫き破壊する。

更に十メートル以上に音も無く伸びた翼が ゴォッ!! と羽ばたき烈風を伴って肉薄してきた他の傀儡兵を吹き飛ばした。

次々と出現する基本型と射撃型を巨大な六枚の白い翼を振るって烈風や衝撃波を発生させてぶつけ、押さえ付けた所で鈍器や刃物と化した翼で叩き潰し切り刻んでいく。

ユーノはなのはを含めてハイプロテクションを展開して摩天楼を進みながら戦闘の余波で飛んで来る瓦礫や残骸、衝撃波を防いでいた。

休憩してて良いと言っておきながら相変わらず、垣根は周りに気を使ってくれない。

再び出現した巨大な大型傀儡兵が照準を、翼を振り回して派手に暴れている垣根帝督に合わせた。

 

「垣根くん!!」

 

「垣根!!」

 

二人が走りながら叫ぶが、

 

「関係ねえ!」

 

ズザァッ!!

 

放たれた砲撃に垣根は翼にありったけの力を込めて魔力拡散作用の強い『未元物質(ダークマター)』をぶつけて撒き散らす。

超能力(レベル5)と砲撃魔法の激突で音が破裂し未元物質(ダークマター)の影響を受け変質した衝撃波という津波が他数機の傀儡兵全てと残骸をもまとめて弾き飛ばし、壁や地面に叩き付けられ大破していく。

 

バッ!!

 

敵の再チャージする隙を見て垣根は翼で空気を叩いて肉薄し、至近距離から六枚の翼を突き立て刺し貫く。

 

ドドドドドドッッ!!!!

 

内部へ未元物質(ダークマター)が侵入し侵食し破壊していく。

大型が機能停止し、他も全て撃墜しひとまず一掃せしめた。

後は敵の逐次投入が行われる前に駆動炉を押さえれば良い。

 

「_さて、後は駆動炉ってのをやれば良いんだったか。……って、ああ、悪い。お前等の方見てなかったわ」

 

駆動炉の封印に成功したなのはとユーノのもとへ向かって告げた。

二人は駆動炉周辺での戦闘で煤汚れていたが、課された任務は完遂できていた。

 

「あ、酷いよ垣根くん。ユーノくんが守ってくれたから何ともなかったけど、瓦礫とか残骸とかこっちにもたくさん飛んで来たんだからね?強いし凄いのは分かってたけど、もう少し周りを見てよ!」

 

なのはにしては珍しく、眉間にシワを寄せてストレートに不平不満を言っている。

 

「悪かったって。以後気をつけるよう善処する事を考えとく」

 

「「説得力無いよ…」」

 

反省の色が全く見えない垣根帝督の態度に、ジト目を向ける二人だった。

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