「つっ、翼さん!?」
「皆久しぶりだな……」
押し入れの中には、トップアーティストの風鳴翼
「翼さ〜ん!」
「デェ〜ス!」
響と切歌が翼のもとへダイブする
「おっと」
もはやタックルのような状態を、軽くいなし引き寄せる
「久しぶりだな、立花に暁」
響と切歌を皮切りに、わらわらと翼のもとへ皆が群がる
「おぉ……本当に皆久しぶりだな……少し見ない間に皆背が伸びたな……」
クリスが翼に挨拶する
「先輩、お久しぶりです」
「おぉ!雪音!雪音も少し見ない間に背が……すまん何でもない……」
「おぉい!マリアといい先輩までそうやって弄るのかよ!悪かったなぁ!背が低くて!」
若干おかんむりのクリス
「すまない、冗談だ……!!?」
笑っていた翼の顔が、驚きと共にひきつっている
「……お久しぶりです翼さん」
「久しぶりだな」
「………………」
翼の視線の先には、ぺこりと頭を下げる調に、いつも通りの態度のキャロル、そしてそんな2人にピッタリくっついて目をそらしている謳歌の姿があった
「うっ、謡詠吟!月読から離れるんだ!今度こそ殺されてしまうぞ!!」
血相をかえ、そう叫ぶ翼
「あっ、あの……翼さん……」
「何だ小日向!今取り込み中だ……?」
翼は再び、謳歌達に視線を向ける
「ちょっと!早く翼さんに説明して下さいよ!」
謳歌に訴える調に、キャロルが怪訝を示す
「怒鳴るなうるさい……逆効果だってわかってるだろ?」
「……それで、翼さんはどうしてここに?」
未来が尋ねる
「いや……おじいさまから“そろそろビザが切れるから一度帰国しろ”と連絡があってな」
「それで何で押し入れなんかにいたんだよ……」
クリスがさらに問う
「おじいさまが、“折角だから温泉にでも”と言うので来たのだが、緒川さんに出くわしてな、そこで皆で温泉に来ていると聞いて……」
「驚かせようとして押し入れに入ってたと……?」
未来が翼に続けて言う
「待て!私が考えたのではないぞ!?緒川さんがだな……」
「まぁまぁいいじゃないですか」
響が言う
「そうデス!細かいことは気にしないデス!」
「いつまで居られるんですか(^-^)?」
エルフナインが尋ねる
「明日の夜には日本をたつが、今日はここに泊まる」
「じゃあ今日は遊べますね!」
「デス!」
テンション高めの響と切歌
「まぁ待て、先に謡詠吟と話をだな……ん?」
翼が視線を向けると、先程までそこに居たはずの謳歌がいない
「……謳歌さんならキャロルを抱えてどこかに行きましたよ?」
調が答える
「! あのバカ!逃げやがったなぁ!!」
「待て!雪音!」
部屋を飛び出ようとするクリスを、翼が制す
「……少し落ち着くまで放っておこう、今連れ戻してもまともに話せそうもない」
「おい、どうするつもりだ?」
階段にへたりこんでいる謳歌に、キャロルが声をかける
「………………」
「黙ってても分かんないだろ?」
なおも押し黙る謳歌
「話してみろ、なにが嫌なんだ?」
「…………いてる」
聞き取れず、聞き返すキャロル
「なんだ?もう1回いってみろ」
「……嘘ついてる」
キャロルはさらに問う
「というと?」
「……アメリカの就労ビザって期間が3年あるんだよ?なのにこのタイミングでビザが切れるなんて変だもん……きっと私を怒る為に帰国したんだよ……だからきっと相当怒ってるよ……」
キャロルはため息をつくと誰かに話しかける、相手は謳歌ではない
「ほら」
キャロルが何かを手渡す、どうやら携帯のようであった、そして画面には調が映しだされている
《もう……なんて顔してるんですか》
「調ちゃん……」
「今さら何を言っている、いつもの事だろ?」
キャロルは謳歌の膝に座っている
《ざっと話は聞きましたけど、勘違いしてますよ?》
「えっ……どういうこと?」
謳歌は説明を求める
《謳歌さんが言っている“3年の就労ビザ”っていうのは、“H-1Bビザ”っていって4年制大学の学歴がある人とかが申請できるビザです、翼さんはアーティストとして入国してるので恐らく“Pビザ”を申請してるはずです、これは有効期間は1年ですから》
「そうなんだ……」
「なんだ、結局勘違いか」
キャロルが呆れたように言う
《だから翼さんもそこまで怒ってないと思いますよ?だから戻って一度話しましょう?私もついててあげますから》
謳歌は力なく首を横にふる
《……どうしてですか?》
「私の勘違いだったから余計顔を合わせづらいというか……」
謳歌の煮え切らない態度に、調はヒートアップしていく
《もう!めんどくさいですね!だからそれも含めてついててあげるから一度話してみましょうって言ってるんでしょ!?分かんないんですか!?》
「ごっ、ごめんなさい…………」
「怒鳴るな……うるさい……」
調は続ける
《うじうじしないで下さいよもう!大体誰何ですか!?後ろの子は!》
「うぅ……ごめんよぉ……ん?……後ろの子?」
後ろを振り向く謳歌とキャロル、そこには目をぱちくりさせながらニコニコしている少女の姿があった
「うわぁ!?」
驚いた謳歌は飛び上がり、膝に乗せていたキャロルが落下する
「!? キャロルちゃん!」
手を伸ばすが届かない
「うわぁ!」
そのまま階段から落下するキャロル
「! …………?」
キャロルは衝撃に備えていたが、何も起きない
「マスター……大丈夫なんだゾ?」
「ミカ!?」
キャロルをキャッチしたのは中等科2年の、ミカ・ジャウカーンであった
「お前……何してるんだよ」
「見れば分かるゾ」
ミカはキャロルを抱えたまま、階段をのぼる
「なっ、なんだあれ……」
踊り場に出ると、謳歌に馬乗りになり頬にキスをしまくっている少女の姿があった
「おーか!おーか!」
「ちょ!ちよっと落ち着いて!」
キャロルを下ろすと、ミカがその少女を引き剥がしにかかる
「こら!困ってるからダメなんだゾ!」
「ミカのいじわるぅ!」
その少女の顔を見て、ようやくキャロルが気付く
「あぁ、誰かと思ったらお前か……」
「キャロル!久しぶり!」
仰向けになっていた謳歌が起き上がる
「……久しぶりだね、ティキちゃん」
その少女は、レイア、ファラ、ガリィ、ミカの末の妹であるティキであった
「どうしたの急に?ウルグアイに行ってたはずじゃ……」
「挨拶に来たんだゾ」
ミカが答える
「挨拶って……何の挨拶だよ……」
謳歌とキャロルは、ティキの方を向く
「私ね〜」
「結婚したんだぁ〜〜」
「は?」
「結婚……?」
ティキの発言に2人は目を丸くする他なかった
ミカちゃん良い子・・・
次回も頑張ります・・・
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