リディアン音楽院の問題児   作:dedicates545

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今回暗いです・・・


Presidential Medal of Freedom

《うわぁ!》

 

 

 

 そんな声が聞こえ、映像が途切れる

 

 

 

「……でない」

 

 

 

 リダイアルするが、繋がらない

 

 

 

「どうしよう……」

 

 

 

 調は、一抹の不安を覚えた

 

 

 

(まさか……階段から落ちたりしたんじゃ……)

 

 

 

 鼻を骨折した件がある、ジリジリと不安が込み上げてくる

 

 

 

(とにかく探さないと……)

 

 

 

 調は謳歌達のもとへ向かう為歩き出す

 

 

 

(確か階段はこっちだったはず……)

 

 

 

 そう考えていた調は、角を曲がったところで人とぶつかってしまった

 

 

 

「!? すっ、すいません……」

 

 

「いや、すまないこちらこそ……」

 

 

 

 目の前には、白いタキシードを着た男、調はその男の顔を見て驚愕する

 

 

 

「アダムさん……?」

 

 

 

 “アダム”と呼ばれた男も、調同様驚きの表情をにじませる

 

 

 

「……こんな所で英雄の娘と出くわすとは、驚いた……」

 

 

 

 立ち上がり手を差しのべるアダム

 

 

 

「……ありがとうございます」

 

 

 

 立ち上がりながら、質問する調

 

 

 

「何してるんですか……?こんなところで……」

 

 

「少し挨拶にね」

 

 

 

 そう答えるアダム、しばしの沈黙

 

 

 

「今は……何されてるんですか?」

 

 

「今は国連大使さ、お陰さまでね」

 

 

 

 そう言うと、アダムは懐から何かカードのようなものを取り出す、そこには

 

 “ウルグアイ東方共和国 国連大使

 

 アダム・ヴァイスハウプト” と記されていた

 

 

 

「……さっきの呼び方、やめてくださいって前も言いましたよね?」

 

 

「あぁすまない、しかし本当の事だ」

 

 

「正直……そんなこと、もうどうでもいいです……」

 

 

 

 

 

 

 “あの日”

 

 アダムは、常連だった日本食レストランで朝食をとっていた

 

 午前8時46分、轟音が響きわたり店の外に出て見ると、ツインタワーの北棟から煙があがっているのが見てとれた

 

 

 “何があった”

 

 

 そう尋ねてきたのは、この店の店主の男

 

 アダムは呆然としながら、指を指す

 

 

 “娘を任せる”

 

 

 そう言って、男は煙があがっているツインタワーの方角へ走り出していってしまった

 

 店の中には、幼い少女が1人、不安げにこちらを見つめている

 

 男の妻は兵士で、今はイラクに派兵されていると耳にしたことがあった

 

 朝の早い時間、店には自分1人

 

 しばらく様子を見ていたが、今度は南棟から轟音と共に煙があがった

 

 尋常ではない事態を察した

 

 男の娘を抱え、避難する事にした

 

 

 “お父さんは?”

 

 

 しきりにそう尋ねる男の娘をなだめ、自分が勤めていた在米ウルグアイ大使館を目指した

 

 カウンターに、男へ宛てたメモを張り付け店を後にする

 

 大使館へ到着直後、中継映像が崩壊する北棟の映像を捉えていた

 

 ペンタゴンにも、何らかの攻撃があったとの情報も寄せられていた

 

 当初、合衆国政府は“ヒューマンエラーにより旅客機が衝突した”との声明を出していた

 

 しかし現在は、何らかの組織的な攻撃が行われているという認識であった

 

 大使館は大騒ぎであった

 

 とにかく今は在米邦人の安否確認や注意情報の送信

 

 合衆国政府との情報交換

 

 とても子どもを抱えていられる状況ではなかった

 

 

 “お父さんは?”

 

 

 しかしながら、そう何度も不安げな顔で尋ねる少女を放っておくわけにもいかなかった

 

 その夜は大使館に泊まった

 

 非常時ということで、大使から許可をもらった

 

 いまだ男との連絡はとれていない

 

 

 

 事件から2週間がたった

 

 男の遺体が見つかったとの連絡が入った

 

 その時がきたのだ、少女に事実を伝えなければならない

 

 物静かな少女であった

 

 この2週間、少女は1日のほとんどをニュースを見てすごしていた

 

 そしてこう尋ねるのだ

 

 

 “お父さんは?”と

 

 

 気が重かった

 

 この幼い少女には、あまりにも重すぎる事実であったからだ

 

 近づくと、少女が振り向き口を開く

 

 

 “お父さんは?”

 

 

 そう聞かれるものだと思っていた

 

 しかし違かった

 

 

 “お父さん、死んじゃったの?”

 

 

 ”……あぁ”

 

 

 と答えることしか出来なかった

 

 大声で泣きわめく物と思っていた

 

 しかし、少女はうつむき、声もあげず涙を流していた

 

 そんな少女を、抱き寄せる事しか、自分には出来なかった

 

 

 

 事件の最終的な死者数は、実行犯を含め2997人にのぼり、合衆国史上最悪の事件となった

 

 

 

 

 事件から3年後、独立記念日において、男は大統領自由勲章を授与された

 

 

 あの日の事件発生直後、男は自ら炎上する北棟に入り、人々の避難誘導を行っていたことが分かったからだ

 

 レストランの客で、顔を知っていた人々が証言している

 

 

 “非常階段で彼とすれ違った”

 

 “煙の中、彼に誘導され避難出来た”

 

 “あの店の店主に、階段を使うよう言われた”

 

 

 もうひとつ、男と特定出来た要因があった

 

 レストランのロゴが入った、特徴的な帽子を目撃した人々が大勢いたのだ

 

 

 “この帽子を被った男性に救われた”

 

 

 そんな証言が、数え切れない程あった

 

 

 

 追悼式典には、あの少女のみが参加していた

 

 男の妻、いや、少女の母は、アフガニスタンに出兵したと聞いた

 

 飛び立つ前、妻は娘にこう言ったらしい

 

 

 “必ずかたきを取ってくる”と

 

 

 男の名前が読み上げられ、少女が壇上にあがる

 

 大統領から、勲章を首にかけられる少女

 

 

 

 少女の顔は、曇ったままであった

 

 

 

 

 

 

 

「……約束、覚えてますか?」

 

 

「もちろんだ、直近ではまず、バルベルデをどうにかしなければならない」

 

 

 

 調は、続ける

 

 

 

「ごめんなさい……子どもの戯言を聞き入れてくれて……」

 

 

「今の生活を楽しむんだ、後は大人にまかせて、何も気にする事はない」

 

 

 

 遠くから声が聞こえる

 

 

 

「アダム〜〜〜」

 

 

 

 小柄な女性、いや、少女がアダムに抱きつき、熱いキスをしている

 

 

 

「……そちらの方は?」

 

 

「あぁ、妻のティキだ」

 

 

 

 ティキは尋ねる

 

 

 

「この人だーれ?」

 

 

「あぁ、英雄の娘さ……」

 

 

 

 

 そう答えるアダムの顔は、慈愛に満ちていた

 

 

 




アンケートをとりたいと思います・・

本当はこの作品は1話完結のストーリーをおもしろおかしくやる予定だったんです・・・

なので、本編のもうひとつのルートという解釈で、

新しく物語を書きたいと思っています・・

しかしそうなると作品ごとの投稿ペースは確実に落ちてしまうと思います・・・

皆さんのお考えをお聞かせ下さい

また、新しい作品を書いても良いという方で、何か書いて欲しい題材などありましたら、

お教え下さると、嬉しいです・・・


次回も頑張ります・・・

新しい作品書いても良いですか・・・?(詳細は19話あとがきをご覧下さい)

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