ある日の放課後、未来 響 クリスの3人は調と切歌の部屋に集まっていた
「これはちょっとやり過ぎかなぁ調ちゃん……」
響は苦笑いを浮かべながらなるべく調を刺激しないようにしている
「そっそうだね調ちゃん。もっとこう……何て言えばいいのかな?こう……暴力的に解決するんじゃ無くてね?……」
未来も慎重に言葉を選んでいる
なぜ集まったたかと言えば、言わずもながら謳歌の件での相談であった
「? ゴミを駆除するのに何の遠慮が?」
本当に何を言っているのかわからないというトーンで返して来るから怖い
「ちょっと一旦休憩にしようか、私部屋からお菓子とか取ってくるから響も手伝って?」
そう言うと未来は他の3人に目配せして一旦部屋から出るように伝えた
「そうだね!ちょっと行ってくるね調ちゃん!」
「私も飲み物とか取ってくる」
「ちょっと御手洗いに行ってくるデス!」
「あっ……あの……」
「直ぐに戻ってくるから調ちゃんはお留守番お願いね?」
「ちょっと行ってくる」
「行ってくるね!」
「行ってくるねデス!」
4人はそそくさと部屋から出る
「御手洗いなら部屋にあるのに……」
●
「切歌お前……手洗い行くは無いだろ……」
「とっさに良い言い訳が見つからなかったデス……」
「ともかくどうしようか……」
未来が問いかける
「とにかくあのノートに書いてある事を調にさせちゃダメなのデス……」
「まぁ気持ちは分かるけどあれはちょっとね……」
響がそう言うと未来が諭すような口調で言う
「そういう事 調ちゃんの前で言っちゃだめだよ響?またこの前みたいに“あなたに何が分かるんですか!”って言われちゃうよ?」
「うぅ……気を付けてるよ……」
「調ってお前に結構キツいとこあるよな……」
「私てっきり調ちゃんに嫌われてるんだと思ってたよ……」
「でもあの後ちゃんと謝りに来てくれたじゃない」
そんな話をしていると、廊下の向こうから小さな人影が2つこちらに向かって来ている
「キャロルにエルフナインじゃねーか、どうしたんだこんな所まで?」
「こんにちは皆さん(^-^)」
「俺達が高等科に来る用なんてあいつの事くらいしか無いだろ?」
ニコニコのエルフナインに比べ、キャロルは呆れかえったように答える
「謳歌あいつ……」
「謳歌さんまたなにかしたの?」
「まぁしたっちゃしたんだか……」
「とりあえず状況が状況なので来てもらえますか?」
キャロルとエルフナインの案内で4人は初等科と高等科を繋ぐ渡り廊下にやって来た
「あっ!調ちゃんがいるよ!」
「何か手に持ってるデス!」
「なんだあれ?……モップか?」
そこにいたのはモップを手にした調であった
「調!こんな所で何してるデスか!」
「切ちゃん……それに皆さん……」
「調お前、部屋にいたんじゃ……」
「いや……皆さん戻って来ないので探しに来たんですけど……」
調はそう答える 妙に声のトーンが低い
「みっ未来!」
「どっどうしたの響!?そんなに取り乱して!?」
「あっあれ……モップに何かついてる!」
未来は響が指差す方に目をやると、モップの刷毛の部分に赤い物がべったりとついていた
「あっあれってもしかして……」
「血!血デス!血が付いてるデス!」
「っつ!」
嫌な予感がしたクリスは、調の横を通り抜け初等科側の廊下を曲がる
「謳歌!?おい謳歌!」
そこには顔中血だらけになって座り込む謳歌の姿があった
「おいしっかりしろ!!おい!!」
そこに響達が合流し、今の状況に絶句する
「うっ嘘……」
「まさか……調ちゃんが?」
「嘘デスよね……まさか調が、こんな……」
切歌はとうとう泣き出してしまった
「私がっ! もっと 強く止めてればっ 調はっ!」
「切歌ちゃん……」
親友がしてしまった事、それを止められなかった自分の不甲斐なさに切歌は押し潰されてしまいそうになった
「きっ切ちゃん!?どうしたの一体!?」
そこに調がやって来た
「調!どうして!どうして!こんな事……!」
「きっ切ちゃん!?」
「嫌いな人でもやって良い事と悪い事があるデス!」
「切ちゃん落ち着いて!?何を言っているの!?」
「どうして……どうして……」
切歌は調の肩を掴んだまま泣き崩れてしまった
「取り込み中の所悪いが、お前達何か勘違いしているだろ?」
「キャロルちゃん!」
「キャロル、どういう事?」
「それは僕から説明します(^-^)」
エルフナインが元気良く答え、説明を始めた
「あれは僕たちが廊下を歩いていた時でした」
●
「くそ!なんで調理実習のメニューが野菜サラダと味噌汁なんだ?あんなの調理と言えるか!?」
「キャロル?野菜嫌いだからってそんな事いっちゃだめだよ?」
「せめて野菜スープとかにしてくれたら食べられる物を!」
そんな会話をしていると渡り廊下の向こうから猛スピードでこちらに向かってくる人影が見える
「ひっ!」
迫ってくる人影に気付いたキャロルは直ぐに逃げ出したが直ぐに追い付かれてしまった
「キャロルちゃん捕まえた〜❤️」
「うわぁぁぁ!!」
謳歌は軽々とキャロルを持ち上げ、逆向きに肩車をした
「はぁはぁ、濃厚なキャロルちゃんの匂いがするよぉ」
謳歌はスカートの中に顔を埋め、その匂いを肺の中一杯に満たしている
「やめろぉぉ!そのまま喋るな!くすぐったいだろ!」
「スーハースーハー うへぇへぇへぇ」
「こんのっ!」
キャロルは目の前にある謳歌の髪の毛をここぞとばかりに引っ張る
「痛だだだ!髪引っ張るのは反則だって!」
「うるさい!下ろせぇ!!」
キャロルがおもいっきり髪を引っ張ったその時だった
「あぶない!」
謳歌がバランスを崩し、前のめりに倒れるような形になった
「うわぁ!」
「ヤバっ!」
咄嗟に謳歌はキャロルを持ち上げ背中側に持ち上げたが、
そのせいで手を着く事が出来ず、顔から床に叩きつけられてしまった
さらに咄嗟に背中側に持ち上げたキャロルも落ちてくる形になり、転倒とキャロルの体重分の衝撃がもろに謳歌の顔面に加えられてしまった
ゴリッ!
嫌な音が聞こえた
「っ〜〜〜〜!」
謳歌は鼻のあたりを押さえながらもがき苦しんでいる
「おっおい!大丈夫か!?」
「謳歌さんしっかりして下さい!」
●
「そこにキャロルの悲鳴を聞いた私が来たんですよ」
「とまぁこんな感じです(^-^)」
「じゃ、じゃあ調がこの騒ぎを起こしたわけじゃないデスか!?」
「当たり前でしょ?」
話を聞いた一同はしきりに安堵の表情を見せる
「良かった……良かったデェス……」
「本当に良かったね……」
「本当にね……とうとう調ちゃん爆発しちゃったんじゃないかと思ったよ……」
しきりにそう言う一同
「皆さん私の事 悪鬼羅刹の類いか何かだと思ってるんですか?もう!
それに全然良くありませんから!大変だったんですからね!?」
●
聞き覚えのある悲鳴が聞こえて来た 初等科の校舎の方からだった
「キャロル?」
思い当たる節はあった
「まさかあの変態!懲りずにまた!!」
渡り廊下を渡り、廊下にでた所で目にしたのは、顔を押さえながらもがき苦しむ変態と、狼狽えた様子のキャロルとエルフナインだった
「いっ、一体どうしたの!?」
「調さん!謳歌さんが大変なんです!」
近寄った調が見た物は、うめき声をあげている謳歌と床に溜まったおびただしい量の血液であった
「なっ!何よこれ!?」
調はその場に立ち尽くしてしまったが、直ぐに気持ちを切り替えて2人に指示を出し始めた
「とりあえず体を起こして顔を正面に向けるから手伝って!!あぁごめん!エルフナインはティッシュでもトイレットペーパーでも何でもいいから拭くもの持ってきて!!
ちょっと!分かりますか!?」
「……じらべぢゃん?」
謳歌は力なく答える
鼻からは依然おびただしく出血している
「もう!何やってるんですか!痛いですか!?」
「いだい……」
そこにエルフナインがトイレットペーパーとモップを持って戻って来た
「お待たせしました!」
「ありがとう、とりあえず床拭いてもらって良い?」
「分かりました!」
エルフナインは床の掃除を始める
「ギャロルぢゃん……げがはだい?」
謳歌はキャロルを心配している
「あぁ……お陰様でな」
「人の心配してる場合ですか!?もう!あまり喋らないで鼻にこれ当ててて下さい!」
「ごめんねじらべぢゃん……めいわくがげで……」
「私喋るなって言いましたよね?
……私よりクリス先輩にあやまって下さい、きっと物凄く心配すると思いますから」
「……ぞうだねぞうずるよ」
謳歌は力なく答える
調はポツリと話はじめた
「……別に私はどんな人を好きになろうがそれは個人の自由だと思ってます、だけどあなたの場合行動と言動がひどすぎです
……好きな人が居るなら、どうしてもっと上手くやろうとしないのか、私には理解出来ません」
「……」
謳歌は答えない
「おーい、俺はどうすれは良い?」
遠くからキャロルが尋ねる
「怪我とかはないのねー?」
「あぁ──」
「それじゃエルフナインといっしょに誰か呼んできてもらえるー?そのあいだに私はもう少し片付けておくからー」
「わかったー」
キャロルとエルフナインが行った後、調は一言
「……とにかく、あなたを心配する人が居る事を心に留めておいて下さい」
「……」
なおも謳歌は答えなかった
本当はもっと明るい話にしたかったんです・・・
本当に・・・
次回は教師陣が登場(予定)です
次は明るいお話にします・・・本当に・・・
感想ご指摘、ご意見何でも構いません。お寄せ下さい
新しい作品書いても良いですか・・・?(詳細は19話あとがきをご覧下さい)
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良いよ
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だめ