リディアン音楽院の問題児   作:dedicates545

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かわいいなぁ・・・


ライスマヤノターボ

「あ〜!着いた〜!」

 

 

 

 高速鉄道で3時間余り、ミラアルクと唱歌は、フランスの首都パリに降り立っていた

 

 

 

「それにしても良かったわね、荷物が見つかって」

 

 

「はい!本当に良かった……」

 

 

 

 領事事務所から連絡があったのは昨日の夕方のことであった

 

 

 どうやら、ミラアルクの手荷物がパリ11区のオベルカンフ駅で見つかったようだとの事だった

 

 

 翌日、2人は高速鉄道と地下鉄を用いて、手荷物が保管されている警察署に赴いた

 

 

 

「“どんなものが入っていますか?”ですって」

 

 

 

 唱歌に通訳してもらいながら、手続きをする

 

 

 

「う〜ん……どんなものって言われてもなぁ……」

 

 

 

 ミラアルクは、幼少より海外に赴くことが多かった為か、余り手荷物を持ち歩かないタイプであった

 

 

 リュックも機能性重視でシンプルな造りのありふれた物であった

 

 

 

『何か特徴のある物などは入っていますか?』

 

 

「う〜ん……そう言われてもなぁ……あっ」

 

 

「何かあるの?」

 

 

 

 ミラアルクは、“しまった”と内心後悔した

 

 

 それを話せば、確実に自分の手荷物と証明出来るものは確かに入っている

 

 

 

「いっ、いやぁ……それはその……」

 

 

 

 ミラアルクが持ってきたもの

 

 

 それは謳歌の写真が大量に入ったアルバムであった

 

 

 いつも撮っている写真や、密かに隠し撮りしたものも含め厳選したものをアルバムに閉じ持ってきていた

 

 

 

(しっ、しまった!先輩のお母さんの前でそんなもの見せれない!だけどあんまり待たせるのも悪いし……)

 

 

 

「大丈夫……?」

 

 

 

 唱歌が話しかける

 

 

 

「はっ、はい……全然大丈夫です……」

 

 

 

 不思議そうに見つめる唱歌

 

 

 

(だめだ、これ以上は申し訳ない……)

 

 

 

 ミラアルクは意を決し、パスポートを入れているウエストポーチから1枚の写真を取り出す

 

 

 

「この人の写真が入ったアルバムが有ります……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後の手続きはスムーズにいった

 

 

 あの後確認の為に、アルバムを1枚1枚唱歌の目の前で開かねばならなかった時は、顔から火が出るかと思うくらい恥ずかしかった

 

 

 

「さてと、この後どうしようか?」

 

 

「はい……」

 

 

 

 とても唱歌の方を向けない

 

 

 

「パリは初めて?」

 

 

「はい……初めてです……」

 

 

 

 先程と変わらない調子で唱歌はたずねる

 

 

 

「そう、もし良かったら観光でもして行く?」

 

 

 

 なおも続ける唱歌

 

 

 

「あの……」

 

 

「どうしたの?調子でも悪くなった?」

 

 

 

 ミラアルクの顔色を心配そうに覗きこむ唱歌

 

 

 

「なにも聞かないんですか……?」

 

 

「? 何の話かしら……」

 

 

 

 唱歌は困った顔をしている

 

 

 

「何の話って……アルバムに大量にあった先輩の写真見て何とも思わないんですか……?」

 

 

「えっ?あれ謳歌ちゃんなの……?」

 

 

「え?」

 

 

「え……?」

 

 

『…………』

 

 

『え〜っ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まさか認識してなかったなんて……)

 

 

(まさか謳歌ちゃんだったなんて……)

 

 

 

 盛大に自爆したミラアルクと、謳歌だと気付かなかった唱歌

 

 

 

 

『はぁー……』

 

 

 

 互いに大きなため息をつく

 

 

 

「あの……見ますか……?」

 

 

 

 アルバムを手渡すミラアルク

 

 

 

「ええ……」

 

 

 

 アルバムを受け取り、ゆっくりページをめくる唱歌

 

 

 

「大きくなったわね……」

 

 

 

 既に泣きそうな唱歌、さすがは謳歌の母親といった所である

 

 

 

「クリスちゃんも大きくなったわね……」

 

 

 

 唱歌はミラアルクにたずねる

 

 

 

「これはあなたが?」

 

 

「はい……まぁ……」

 

 

 

 微笑む唱歌

 

 

 

「とっても良く撮れているわ」

 

 

「ありがとうございます……」

 

 

「でも……どうしてこれを?」

 

 

 

 “きた“そう思うミラアルク

 

 

 上手い言い訳を思い付かない、もう全て打ち明けてしまおうか……いや、でも……

 

 

 そんな事をぐるぐる頭の中で考えていると、唱歌がたずねてきた

 

 

 

「もしかして……私に見せようと思って持って来てくれたの……?」

 

 

「へ?」

 

 

 

 一瞬固まるミラアルク

 

 

 

「はっ、はい!そうなんですよ!ずっと会ってないって伺ってたし……」

 

 

「そう……ありがとう……元気そうで良かったわ……」

 

 

「いっ、いえ!そんな……」

 

 

(良く分からないけど助かった……?)

 

 

 

 胸を撫で下ろすミラアルク

 

 

 

「そうそう……話は戻るけど、どうしようか?」

 

 

「あっ、はい……パリは初めてですけど……」

 

 

「そう、なら決まりね、せっかくだから観光しましょう」

 

 

「何だかすみません……」

 

 

「良いのよ、せっかくの機会なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パリ11区には、様々な観光地がある

 

 

 フランス革命時代に、政治犯を収監していたバスティーユ監獄の跡地に作られたバスティーユ広場

 

 

 世界三大美術館に数えられるルーヴル美術館

 

 

 2人はルーヴル美術館に向かうことにした

 

 

 

「これがモナ・リザよ」

 

 

「本物初めて見たんだぜ……」

 

 

 

 モナ・リザを見て感嘆しているミラアルクを見て、微笑む唱歌

 

 

 

「ふふっ、それが素のあなたなのね」

 

 

「あっ、いえ!すみません……」

 

 

「良いのよ、そんなに私に気をつかわなくても、敬語が苦しそうだもの」

 

 

「やっぱ分かります?父にも散々注意されたんすけど、中々直んなくて……」

 

 

 

 終始和やかなムードで美術館をまわった2人

 

 

 

「さてと、そろそろ出ましょうか」

 

 

「はい」

 

 

 

 美術館を出る2人、すっかり辺りは暗くなっていた

 

 

 

「もうこんな時間だから、今日は泊まって行きましょう」

 

 

「え?はい……でも着替えとか持って来てないし……」

 

 

「せっかくだから何か買ってあげるわよ?好きなのを選んで?」

 

 

 

 替えの下着や洋服を買ってもらってしまったミラアルク

 

 

 

「あの……本当に良いんですか?」

 

 

「良いのよ、お金なんて有り余ってるし」

 

 

 

 その後ホテルにチェックインした2人は、食事を摂りに再度町へと向かった

 

 

 2人が選んだのは、現地で人気の日本食レストランであった

 

 

 

「評判が良いだけのことは有るわね、美味しいわ」

 

 

「はい、とっても美味しいです」

 

 

 

 ミラアルクは切り出す

 

 

 

「あの、本当にありがとうございます、こんなに良くしてもらって……」

 

 

「良いのよ?本当に、……正直少しまだ怖いの、あの子に会いに行く事が、でも、あなたから聞いたあの子に会いたいという気持ちもすごくあるの……上手く言えないんだけれど……」

 

 

「きっと大丈夫です、先輩も会いたいと思ってると思います」

 

 

 

 

 ミラアルクがそう言い終えた時であった

 

 

 サッカー中継を放送していたテレビから、異様な音とざわめく観客の姿がとらえられた

 

 

 

 この日はパリ郊外にある、スタッド・ド・フランスにて、ドイツ代表とフランス代表の国際親善試合が開催されていた

 

 

 

「何ですかね今の音……」

 

 

 

 ミラアルクが唱歌の方を向くと、唱歌は完全に動きが停止していた

 

 

 

「あの……大丈夫ですか……?」

 

 

「あっ、いえ……ごめんなさい」

 

 

 

(まさか……ね……)

 

 

 

 唱歌の心には、ある疑念が生まれていたが、考えすぎと思い食事を続けた

 

 

 多少ざわめいたものの、他の客たちも食事を続けた

 

 

 異様な音がしてから、10分程たった時であった

 

 

 

 

 突如店の外から悲鳴が聞こえた

 

 

 悲鳴の中には、ガラスが割れるような音と共にこのような音も聞こえてきた

 

 

 

 

 

 

 

 パパパパ パパ パパ パパパパ

 

 

 

 

 

 

 何事かとざわめく店内

 

 

 

「どうしたんでしょう……」

 

 

 

 そう言い、ミラアルクは唱歌の方を見ると、唱歌は立ち上がり、ミラアルクの手をつかみおもっいっきり引っ張り、ミラアルクに覆い被さるようにして床に倒れた

 

 

 

「えっ……?あの……?」

 

 

 

 

 その時ミラアルクの目に入ったのは、悲鳴をあげる客たちと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の手にべったりとついた血と

 

 

 

 

 

 

 

銃を持った男たちであった

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