「その•••大丈夫?その指••」
「別に、対して痛くもありませんし」
調の指は湿布と包帯でグルグル巻にされている
「別にこんな大げさな事じゃありません」
「だったらこんな怪我はしないでくれ、毎回毎回迷惑してるんだ」
ウェルが包帯を巻きながら抗議している
「別に、頼んでません」
調はイライラしているように見てとれる
「あの」
「ん?何調ちゃん」
ジーっと謳歌を見つめる調
「また何かありましたね?」
「え•••?それはどういう•••」
調は大きくため息をつくとこう言う
「隠しても無駄です、もう顔が何かあったって言ってます」
「はは•••そんなに顔に出てるかなぁ••
調ちゃんやっぱりエスパーじゃないの?」
調は謳歌の言葉に怪訝な表情を見せる
「あの、前にも言ってましたけどそのエスパーって言うのは••」
「あぁ、ごめんごめん、エスパーっていうのはESPとPK能力を持った人たちのこと」
調はなおも質問する
「そんな言葉聞いたことないんですが•••
この前はなんとなくスルーしましたけど•••」
謳歌は笑いながらこう答える
「そりゃあそうだよ、だって私が作った造語だからね」
「ですよね?どうりで聞いたことないと思いましたけど••」
「なんとなくだけどさ、‘‘能力者’’なんて言い方好きじゃなくてさ
ESPを文字ってエスパーってよんでるんだ
なんとなくこっちのほうが響きもかわいいでしょ?」
笑いながら話す謳歌
「そうですか、まぁかわいいかどうかはちょっとわかんないですけど、アダムさんが聞いたら喜びそうです」
「そういえばもう帰えられたの?なんだか挨拶がてら観光とか言ってたけど」
少し調の表情が曇る
「はい•••パリでテロがあったとかで、アダムさんだけニューヨークに戻られました」
謳歌は現地フランスのニュースサイトを確認する
「同時テロ•••パリ••そっか••だから•••」
「••••どうかしましたか?」
「あっ、うん•••いや、未来ちゃんのお父さんって、確かパリにいたはずだからさ•••」
そう言った謳歌の目線の先には、頭を撫でながら未来を抱擁する未咲の姿が映っていた
親という物はみなああなのだろうか
自分には到底理解出来ないものである
「ねぇ調ちゃん•••」
「なんですか?」
謳歌はどこか上の空である
「親ってみんなあんな感じなのかな••••?」
「••••まぁ、娘と心中しようとする母親よりはましですよ」
はっ、とする調
まずい、本当はこんなこと言うつもりじゃなかったのに
また泣かれてしまう
恐る恐る謳歌を見る調
ところが、泣くどころか話を聞いているかすら怪しい佇まいである
「•••••••••」
しばらく無言でいた調だが、思いっきり振りかぶり
謳歌の背中に強烈な平手打ちを見舞う
パァン!!
「!!痛ったぁ!?」
「なにボーッとしてるんですか、未来さんに用があるんでしょう?ほら行った行った」
謳歌の背中を文字通り押す調
「あ、うん••ありがとうね調ちゃん」
「はぁ••別に感謝されるようなことはしてないんですが」
去り際に調は謳歌に問う
「さっきの質問の答え聞いてました?」
「えっ?質問•••?••••ごめん全然覚えてないんだけど•••
私何か聞いたっけ•••?」
「いえ、別になんでもありません
ほら、行った行った」
謳歌を送り出した調
「はぁ•••」
調は小さくため息をついた