一瞬、その光景を見て固まってしまった
冬でもない、寒くもない
それなのに地面と家の外壁部分が異様に凍りついている
家の周りはというと、なんの変哲もない牧草地が広がっているばかりである
この家の敷地を境界として、内側だけがこのような状態になっているようだ
そんなことを考えていると、ヨセフと唱歌はもうすでに家の玄関付近に進んでいってしまっていた
慌てて後を追おうとしたら、案の定凍った地面にズルリと足を滑らしてしまった
「おっと••••」
しかしそこは自慢の体幹で直ぐに体制を立て直す
自慢の体幹とは言うものの、体幹を鍛えた理由は謳歌をどんな体制でもブレずに盗撮するためという極めて不純な理由であったが、お陰様で元々の運動神経の良さも相まって体育の成績は優秀だ
「どうぞ中へ」
2人に追いついて、家の中に入る
そして、また違和感を感じる
が、唱歌がそのまま家の中に入っていってしまったので自分も後に続く
エルザの母キルスティンがいる寝室へと案内される、しかし部屋の中に入ろうとしたとき唱歌に制され、外で待っているように言われた
その時は横顔しか見えなかったが、まるで別人のような顔つきに変わっていたのをミラアルクは見逃さなかった
どうしたものかと廊下に立っていると、数分してヨセフが部屋から出てきて、リビングに案内された
「どうぞ、かけていて下さい」
そう言われ、ソファに浅く腰掛ける
正面の壁際には、かなり古いものと思われるドラグーンマスケットが飾られている
「それは、祖父の祖父のものでね」
ヨセフはそう言いながら、ホットミルクをミラアルクへ手渡す
「魔獣退治にこの地に来た竜騎兵の兵士と祖母の祖母が婚約したときに送られたものらしくてね、代々受け継がれているんだ」
「そうなんですか•••」
ミラアルクはヨセフの話を聞きながら、家の中に入った時の違和感の正体に見当がついていた
外は地面や壁面が凍りつくほどの冷気にさらされているのに、家の中は全く冷気を感じないという所だった
室内は、程よい心地がいい温度になっており、空調機器や、暖房がついているわけでもないようだ
家の敷地に入る前の気候と似通っているようである
そしてふと窓の方に目をやると、そこには奇妙な光景が広がっていた
窓の外はいたって普通の民家の庭が広がっている
どこも凍りついていない
「気づいたかい?」
ヨセフはそう言うと、おもむろに窓に近づき鍵を開けて窓を開く
「あ、あれ••••?」
窓を開けると、中に入る前の凍りついた庭が見て取れる
ヨセフに呼ばれ、近くで見てみても変わらない
「不思議だろ?この窓は特に普通の物なんだがね」
苦笑いを浮かべるヨセフの言うとおり、特に窓に貼っているとか映像を流しているといった訳ではないようだ
そして何より、窓を開け放っているのにも関わらず、全く冷気が室内に流れ込んできていない
「窓枠から手を出してごらん?」
ヨセフに促され、そー••っと窓枠から外に手を出してみる
「••••冷たい••ですね••••」
窓枠から手を出した瞬間、手が一気に冷気にさらされた
何度か繰り返したが、窓枠を境界として中と外とで別世界にいるような奇妙な感覚に陥った
そして、ヨセフが窓を閉めるとそこにはのどかな庭が広がっている
「•••エルザが産まれてからなんだ、外は一面凍りついているのに中からはそれがわからない、室内は寒くもない
本当に不思議だったよ
最初は村の商店がある方の地区に住んでいたんだけれども、引っ越さざるをえなかったよ
村の人達が気味悪がってね
悪魔に憑かれたとか、呪われているとかね
教会に通ってみたりしたけど意味はなかったよ
それでこんなへんぴな所に来たわけだけどもね」
そこまでヨセフが話した所で、廊下から唱歌が現れた
「とりあえず治療は終わりました、ヨセフさんはこちらへ
••••ミラアルクちゃんはもう少し待っていてね」
唱歌はそう言うと、ヨセフと共に廊下の先へと消えていった
ここまで生き残っている方はどれ位いるのでしょう•••
何にせよ早めに投稿します
感想あったら是非•••
よろしくおねがいします