無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT    作:サンボル好き

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しばらくそれどういうネタ?みたいな話が続きます。

新ヒロインはシャルロットですが、セシリアよろしく改変具合マックスです。

なにとぞご了承を


注:人物名やらセリフの訂正しました。


眠れる聖剣 

フランス南部、某所。

 

 そこが俺たちのたどり着いた逃走先だ。というか、ただ隣国にちょっと移動しただけだ

 

 

「隊長、俺達……確か」

 

「なに、トイレでも行きたいの? なら適当にばらまきなさいな。そのためのホースでしょうに」

 

「いや、なにさらっと人の疑問を下ネタにすり替えているんですか?俺が聞きたいのは…」

 

「生身での長時間フライトが終わったと思いきや今度はフランスで見知らぬ廃墟のあら探し、追手が来るかもしれないのに何でこんな場所で悠長に、しかもIS持ちのオータムだけ先に帰投させて………それ以外なら何でも答えてあげるわ」

 

「…それ、遠回しに何も聞くなって言ってませんか」

 

「あら、察しが良いわね。スキンヘッドは伊達じゃないわ」

 

「……別に、もうそれでいいです」

 

 この人を相手にまともな会話を期待するべきではない、通算何十回目かもわからないそんな独り言を浮かべながら黙々と作業に精を出す。

 

「……っ」

 

 山奥の森にひっそりと、というか風化し掛かっているコンクリの建物、発電施設のようだが、劣化して風化した壁面やら、どこからどう見てもただの廃墟でしかない。

 

「……」

 

…何かあるのか、まさかファントム・タスクの秘密基地とか、秘蔵の隠し金の金庫とか

 

 とにかく、仕事であるならやる気を出すしかない。前向きに切り替えられるのは自分の長所だと、我ながら常々思う。

 

「…まあ、命令されたからにはやりますよ。ゴミ掃除だろうと、引っ越しの作業だろうとね」

 

「……」

 

「……隊長?」

 

「…ねえ、あんた」

 

 天上の崩れ瓦礫が重なるその一点、何かを見つけたように隊長は必死に瓦礫をどけようとしている。

 

「!」

 

 どうやらそこに目的の何かがあるのか、隣に駆けつけ俺はその作業に手を貸す。がれきをどけながら、隊長は

 

「あんた……イリス・ローランって知ってる?」

 

「……名前だけなら」

 

 唐突な質問で投げかけられた人物の名前、その名は軍に身を置く者なら、兵器に携わる者なら知って当たり前の人物だ。

 

「イリス・ローラン、確かフランスのデュノア社で兵器開発に携わっていて、ISが誕生してからは全く聞かなくなりましたね。」

 

「…そう、ついたあだ名は毒婦、戦争をより効率的に、まさに近代戦争の立役者ね」

 

「その話は知っています、俺だって軍人ですから。…けど、解せないのは」

 

世界にISが誕生したのは数年前、そしてその頃から

 

「…そんな希代の天才が……なぜ、ISの設計に携わらなかったのか」

 

「……ええ。世界の誰しもが思った疑問よ」

 

瓦礫をどける、粉塵が舞い、次第にその奥にあるモノが…露わに

 

 

そこには

 

 

「!」

 

「けどね……その疑問は大違い。イリス・ローランはね……ちゃんとISを作っていたのよ」

 

「……地下、ですか」

 

「……ええ、そう……よっ!」

 

「!…た、隊長」

 

 我先にと飛び込むミラージュの後を追いかける。階段を下っていくと次第に周りの通路は近代的に、上の劣化した建物からますます近代的で清潔な施設にへと

 

 

「……あの、本当に、ISなんてものが」

 

「間違いないわよ。私の専門はISの調達、イリス・ローランの痕跡を追っていく内にね、ここに金の流れがあったのよ。発電施設にしては金の出入りが激しすぎる、おそらくは」

 

 通路を通り抜け、電子ロックのかかった扉の前で二人は立ち止まる

 

「……で、ここはおそらくは軍事研究施設。そこをイリス・ローランが秘密裏に所有し、個人で研究を続けていた場所」

 

 会話を途切れさせず、慣れた手つきで電子ロックに端末のコードを繋ぎ、コードの解除に当たる

 

「はあ、しかし……それは本当に使えるんですか?」

 

「……それ、どういう意味?」

 

「確かに、イリス・ローランは逸材ですが……個人で作ったISがそんなに凄いモノとは思えませんよ。それじゃあまるでミス・タバネ博士じゃないですか」

 

「ふぅん。まあでも、それならその時よ。いずれにせよ、研究をしているならコアの一つぐらい見つかるかも知れないじゃない。」

 

 機械音が響く。グリーンのライトが灯り、セキュリティのロックが解除された事が通知される。

 

「…けれど、私は期待するわよ。それが名の通り最高の一振りか、それともなまくらか」

 

「……っ」

 

 扉が開き、その奥にあるのは多種多様な機材に満ちた大部屋、そしてなによりも

 

「……まさか、本当に」

 

 部屋の中央に鎮座されている純白の鎧、その姿はまさしく、ずいぶん前に報道で映されていたかの姿に近い

 

「白騎士……!?」

 

「いえ、厳密には違うわよ」

 

「……ッ」

 

 近づき、台座に座すその姿はどこまでも清く、何物も寄せ付けない神聖さと力強さを感じさせる。

 

……台座に、銘が

 

 騎士の台座に掘られた銘、埃を払い、そこに刻まれた名は

 

 

……デュランダル……確か、聞いた事がある

 

「騎士、ローランが手にした聖剣、壊れずの絶剣と呼ばれたとか……確かそんなんじゃなかったっけ?」

 

「……これが、隊長の新しい」

 

失ったラファールに代わり、このISが

 

「いんや、残念だけどまだこれは未完成らしいわ。デュランダルは完成していない、未完の一振りなの」

 

「……隊長、なぜそれを」

 

「ああ、それはね」

 

 突然、胸元に手を突っ込んだと思いきや、そこから取り出したのは一冊の本。なんでわざわざそんなところにしまっているのかと突っ込みたくなるが、恐らくそれを言ってもスルーされるのは明白だろう。

 

「……もしかして、それが情報元ですか?」

 

「ええ。これはね、とある人物の書記、おそらくここの関係者が秘密裏に秘匿して持ちだしたもの、それをたまたま手に入れたのよ。鉛玉と交換で」

 

「……はぁ」

 

 省略したが、要は情報の核心であるそれを手に入れるために荒事をしたのだろう。

 

 と、そんなことを思っていると俺の手の中に何かが放り込まれる。咄嗟に掴んだそれは

 

「結構面白いのね、それ。ライ麦畑もぶっ飛ぶぐらいハイになる本よ、世間に広まれば何人の歌手が撃ち殺されるでしょうね」

 

「……」

 

「まあ、冗談はこのぐらいで……さあ、これを運び出すわよ。スマイル、手伝いなさい」

 

「ちょ、その名前本気だったんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

ルーブル地区、とある飲食店の3階居住区にて

 

 

「……あの」

 

「……」

 

「……はぁ」

 

 一人暮らしのワンルーム、ベッドをソファー代わりに座るダリルの前に、というよりその少し下の視線の先

 

 

「………」

 

「もう、そろそろ顔を上げてくれないか。もう、怒ってないから」

 

「……でも」

 

「頼む、もう十分だから」

 

 その言葉でようやく、少女は俺に面を上げる。泣きはらして紅潮したその顔はなんとも庇護欲に駆られそうな、率直に言えば愛らしいモノだ

 

……流石に十分か。これ以上は、こっちの良心が痛む

 

 セシリアと変わらない年頃の、恐らくは12か13ぐらいの、そんな少女が泣きながら自分にジャパニーズ・ドゲザまでしているのだ。思うところは大いにあるが、これでは感情を荒立てるだけ無駄でしかない。

 

 

「本当に……ごめんなさい。」

 

「……もういいよ。」

 

「……でも」

 

「……」

 

 しかし、デコピン一発とは言えここまでしおらしくなるとは…いや、むしろこっちがこの子の地なのだろうか

 

……なら、どうしてこんなことを

 

 下の食堂で起きた出来事、デコピンの制裁を受け、観念した少女はダリルにただ飯の提供、そして今はこの同室で一拍の宿を慰謝料代わりに支払った

 

 正直、そこまでしてもらえれば十分だし、なんなら今は逆にこの少女に同情すらしている。

 

 

「……えっと、お嬢さん?」

 

「シャル、シャルロット……です」

 

「……わかった。じゃあシャルロット」

 

 とにかく、まずは話を出来るようにしないと始まらない。そこで俺がとったのは

 

「悪いが、お茶を一杯入れてくれ」

 

「……はい」

 

 重い足取りで立ち上がり、すぐそばのキッチンでそそくさと湯を沸かし、パックを入れ、カップに注いだそれをお盆に載せてダリルの前に…

 

 

「どうぞ」

 

「……」

 

「……あの」

 

「…おれじゃない。君が飲むんだ」

 

「へっ?」

 

「熱いから、気をつけて」

 

「……はい」

 

 温かい紅茶を一口、たった一口だが温かい茶の味は、涙で冷え切ったシャルロットの内側をじんわりと温め直す。

 

「…あぁ」

 

「……うん、それでいい。」

 

 ベッドから降りて、俺はシャルロットの前に尻を付ける。上から目線で喋る意味はもう無い。

 

 目の前に近づいて、一瞬驚いた顔をしたが、今はさほど気を悪くしている気は無さそうだ。

 

「…えっと、その」

 

「……理由」

 

「?」

 

「理由を聞かせてくれないか、君が何故、スリに興味を持ったのか」

 

「……理由を聞いて、どうするんですか?」

 

「それは……まあ、聞いてから考えるよ」

 

 我ながらこんなセラピーまがいの事をしてる自分に違和感を覚えて仕方ない。

 

けれど、少なくともこの一回だけは

 

 

「……もう怒らないから、なんでこんな事をしたのか説明してくれ。シャルロット」

 

「……はい。…えっと」

 

「ダリル。…俺の事はダリルで良い。ダリル・ローレンツだ」

 

手を差し出す、今度は盗人を捕まえる乱暴な手ではない

 

 

「!……わかりました。ダリル、さん」

 

 恐る恐る伸ばした手をつかみ取る。触覚のない義手の手でも、今の彼女が何を考えているのかぐらいは分かる。

 

…気持ちが分かるか、それじゃあまるでニュータイプだな

 

 

 

 

 

 

 

 親戚の叔父の経営する小さな食堂で勤め、その上にある安い部屋で一人暮らしをしている未成年の少女、それだけでも十分に訳アリとわかる

 

 彼女は少なくとも真実を語った。けれど、それは彼女にとっての断片的な情報にしか過ぎないのだろう。

 

 

「……IS学園、そのためにお金が」

 

「うん、私は…見ての通りこんなんだし、まともなスクールに通うお金が無いんです。叔父さんは優しいけど、だから迷惑はかけられない。それで、必死で稼いで、でも私にできることなんて大したことは無いし……だから」

 

「……だから、スリをやったのか」

 

「……やったのは、今日の一回だけ。今までは観光客の案内でもらうチップとか、車の窓ふきだったり靴磨きだったり」

 

「……」

 

 お世辞にも、年頃の少女にしてはその手と指は少し荒れ具合がひどいもので、環境の劣悪さが容易に想像出来てしまう。

 

「なるほど。でも、やっぱり感心はしないな。」

 

「……」

 

「……一応聞くが、なんで俺を狙ったんだ」

 

「……」

 

 少し意地の悪い質問だったが、これを聞く事で俺は彼女の真意が知りたかった

 

「……ずっと隠れてみていて、あの店のあの席に座った最初の客に決めようとして、それがあなただった……から」

 

「……じゃあ、そこに他意はないんだな」

 

「はい」

 

「…なら、わかった。じゃあ続けて聞くが」

 

「……」

 

「犯罪に手を出してまで、君はなぜIS乗りを目指す?…IS乗りになって、君はどこを目指しているんだ?

 

「それは……っ!」

 

「……」

 

 俺の主観でしかないが、この子に根っからの悪性は感じない。

 

 貧困な立場で這い上がる気持ちは理解できた。けど

 

「君にとって、IS乗りになる目的は、どんな理由があるんだ?」

 

 例えリスクを負っても、成し遂げなければならない意思がそこにあったのなら。

 

修正こそするが俺は彼女を罰する気は起こらない。

 

たとえこれが甘いと謗られようと、俺は

 

 

「……シャルロット、君は」

 

「……ぁ」

 

うつむき、震え、こらえるように口を閉ざしている。

 

……聞くべきじゃ、なかったのかな?

 

 いかに悪事を働いた少女とはいえ、触れてはいけない過去があるなら、そこに踏み込むのは浅慮なことだ。

 

「あぁ、言いづらいなら無理に言わなくていい。別に、尋問の真似事がしたい訳じゃない」

 

「……ダリル、さん」

 

「……無理に言わなくていい。反省はしているんだから、これ以上は酷なことは「いえ、聞いてください」……いいのか?」

 

「私には……」

 

「……」

 

「……私には、どうしてもIS操縦者にならないといけない理由があります!やり方を間違ったことは反省します。でも、私には!」

 

「……」

 

 震えた体で、しかしどこか力強く、彼女は真っ直ぐな瞳で俺に説いてきた。

 

 不思議と、その時俺の目に映る彼女の姿が、もう一人……あの子の姿と重なって見えてしまった。

 

「身勝手かもしれない、子供の理屈かもしれない、でも……私は、そこにたどり着かないといけない理由があるっ!……だから!!」

 

「……」

 

……そうか。この子も

 

 

 生まれた場所も、境遇も違うけど、この二人にはきっと同じように強い芯がある。

 

そんな人間なら……おれは

 

 

「……償いならどんなことでもします。体を好きにされてもいい、いくらでも痛い目にあってもいい!!だから、私は「十分だ、シャルロット……もういい」……私は……って」

 

 握りしめた彼女の手を掴む、ひどく力強く握ったせいか血がにじんでいる。

 

……それだけの、思いが

 

「そこまで自分を卑下しなくていい。合格だ」

 

「私は!……え?」

 

 急な肩すかしを食らい、どうにも理解できないと顔で言っている。けれど、もう

 

「もう……十分理解した。簡単に許すとは言えないけど、少なくとも……」

 

「!」

 

 

 技手の手で、三本指でぎこちないがその髪をすくように優しく触れる。

 

「今の君は、彼女と同じぐらい……信用に値する人だ。俺はそう判断したよ」

 

「……っ」

 

「………えっと、シャルロット」

 

 急に俯く。セシリアにやった時のように、同じ感じで触れてしまったが

 

 

…年頃だし、嫌だったかな

 

「……う、ひくっ」

 

「!」

 

 

 けれど、どうやら俯いた理由はそういったものではなく、どうやら

 

 

…涙、必死に堪えているんだな。

 

 よく見ると、もう片方の手で涙を抑え、もう片方の手は口元にあった。

 

 必死に涙声を、えづきを出さないように、手を噛んでその嗚咽を押さえ込んでいたのだった。

 

 

……まったく、不器用なところまでもそっくりだ。

 

  

 しかたないと、俺はそうつぶやきながら彼女をそっと腕の中に抱きしめた。良かれと思ってやっては見たが、どうやら不快というわけではなく、そのまま胸に顔をうずめて、次第に彼女の震えは落ち着いていく。

 

「まったく、仕方ない」

 

 結局、俺はこのまま彼女が泣きやむまでずっと頭を撫で続けていた。我ながら、幼い少女をあやす事に慣れている感覚すら覚えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抱擁して、しばらく時間が経った。

 

 

「まったく、手のかかる妹が増えていくな」

 

「うぅ……ひくっ」

 

「ほら、良い加減泣き止め。シャルロット」

 

「……シャル」

 

「?」

 

「長いから、シャルでいい……です」

 

「……じゃあ……シャル。……これでいいか?俺のこともダリルでいい」

 

「……ダリル……さん」

 

「はは……固いな。もっと気軽に呼んでくれてもいいから」

 

「……なら」

 

胸の中から面を上げる。上目づかいで、見つめる彼女は…

 

 

 

 

 

『だったら、お兄さんって……呼んでいいですか……?』

 

 

「……ッ!?」

 

 

 

 

 

 不覚にも、あざとく涙目で見上げる彼女の一撃は、まさに装甲を貫いてコクピットまで貫通してくる一撃だった。

 

 

……落ち着け。相手はティーンだ……俺は軍人だから……軍人、だからッ!!

 

 

 軍人だから一体なんだというのだろうか…と、いいたくもなるがここには突っ込む第三者もいない

 

「……」

 

「…えっと、ダメ…ですか?」

 

「ああ、わかった。……好きに呼んでくれて構わない。お兄さんでも兄貴でも」

 

『……お兄、ちゃん』

 

「……すまない、せめて……お兄さんに留めておいてくれ」

 

「?」

 

「理由は聞いてくれるな。」

 

 

 

 

 

 

次回に続く

 

 




今回はここまでです。

オリジナル機体出しましたが、活躍は当分先です。シャルロットの改変具合が不快に思われないかちょっと心配ですが、決して僕のこれはアンチ・ヘイトではないんで、そこだけはここで訂正します。

次回、異国の旅路を、シャルとダリルのほんわか二人旅が始まります。
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