無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT    作:サンボル好き

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サンダーボルトのSSがハーメルンで見られない。ならもう自分で書くしかないんじゃね?









第一章 The Begining place
Back to the mid century


 

 

 

 ジャズが聞こえる。

 

 

 途絶えて久しい意識でも、その音色だけは確実に脳裏に響く。

 

 奴が来る。

 

 連邦の白い悪魔に乗って、あの男は俺の命を奪いにやってくる。

 

 

 

「これで最後だ!!義足野郎…!!」

 

 

 

 半壊したMSが迫る。全てを溶断する光の刃が、その切っ先が装甲を貫かんとする刹那

 

 

ーーーーッ!!!

 

 

 雷が走る。

 

 デブリを駆け巡り、漂う鉄の残骸を伝い、青白い火花がコクピットにまで届く。

 

 

「…………!!」

 

……海が見える。

 

 無くしたはずの足で砂浜を走り、向かう先には彼女がいた。

 

 

「……」

 

「……カーラ」

 

 手を伸ばした。悪魔と戦うために、自分の意思で切り捨てた右腕がそこには確かにある。

 

 手をとった。抱き締めた。感触は温かく、温もりのある生きた温度だ。けど、それでも俺にはわかってしまう。

 

 

……ああ、これは夢だ。

 

 出撃の前、カーラと共に僕らは誓いあった。

 

 僕らは望んだ。この悪夢みたいな戦争の果てに、きっと生き残れたら二人で自由になろうと。

 

 だから、これは夢だ。現実はまだ

 

 

 

……そうだ。俺はまだ、奴を

 

 

 

 奴を、イオ・フレミングを、ガンダムを倒すまで戦争という悪夢からは解放されない。

 

 

 だから、戦え

 

 

 無くした手足はまだ動く。サイコ・ザクは、まだ

 

 

……まだ俺は、戦える……!!

 

 

 

 

 

 

 街中を行き交う人の波、その地に暮らす人々は裕福とはほど遠く、皆が皆毎日生きるに必死な日々を送っている。

 

 故に、道のはしに男が倒れていても、大抵は見て見ぬふりで、隙あれば身ぐるみのひとつや全部はかっぱらうのが常である。

 

 なのに、この時だけはそれが違った。それは男が異様だったから。関わるには、その違和感の壁は巧妙に越えがたくあったのだ。

 

 そして、今

 

「……なんです、これ?」

 

 建物に持たれるように眠りこける。死んでいるのか生きているのかもわからない、そんな若い男のもとに、人が二人近づいてきた。

 

「ほら、この子だよ。さっきから店の前でうんともすんとも言わないんだよ。」

 

 一人は褐色で肥えた見た目の妙齢の女性。もう一方は、いかにもな悪人面の武骨な男で、タンクトップの上半身から伸びる剥き出しの機械は簡素ながら腕の形をかろうじて保っている。鉄と樹脂の三本爪をカチカチと鳴らしながら、嫌々な様子で会話を続ける。

 

「マダム、急に呼び出しと思いきや、うちは迷子センターじゃありませんぜ」

 

「いやねえ。……この子、もしかしたらあんたのとこの新入りじゃないのかい?ほら、この手足とか……」

 

 指差す先の男の四肢、そこにはあるはずのものはなく、代わりについているのはこれまた頼りない金属棒のみ。おおかた、フレームと三本指の簡素な技肢でも着けいたのだろうが、壊れたか盗まれたか。 

 

「………いや、知らねえ。確かにこのナリは俺らと変わんねえけどよ、うちじゃあこんなガキは、雇ったりしねえよ。」

 

「でもぉ、このままおいとくのも忍びないでしょぉ。似た者同士、助け合うわけにはいかないさね?」

 

「…………こっちは慈善事業じゃねえんだけどなぁ……。おい、お前さん」

 

コツコツっ…と、機械の爪で軽く頭をこづく。わずかに反応はあるが、それ以上の反応はない。

 

「はぁ……お前さん、いったい何もんだ?手足ないくせに、軍人みたいなナリで」

 

 軍人、軍服ではないが男の纏う衣類はダイバースーツのように上下一体で、腰に巻くベルトには拳銃を納めるホルスターのようなものもついている。

 

 

「…………あやしいよなぁ。マダム、こいつは警察でも……」

 

 

 

しーん……。

 

 

 

「っていねえし!……あのババア面倒ごとだけ押し付けやがって!!…………なあ、おい!お前さん!! いい加減起きねえか!?」

 

 義手で胸ぐらをつかみ頭を揺らせる。苦しむようなうなり声だけで、男は目覚めない。というよりむしろ手を離せばそのまま倒れて息絶えそうなほどに、男の様子は危うげであった。

 

 

「おいおい、ここで倒れたら目覚めが悪いって!なあ、おい……」

 

 肩をつかみ、安否を確認するように揺らす。その時、男の横にあった小型のラジオからテープを巻くアナログの音が響く。動かした反動でたまたま起動したのか……。

 

 

曲が流れる。優しく甘い、愛を謳うその歌詞は……

 

 

「お前さん、これは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

マイベイビー 忘れないで ♪♪ 

 

 

 

 

 

 

あなたがこの世に生まれた日 ママとパパは 世界で一番の幸せを知った ♪♪

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

 

あなたはいくつの夢を叶えるかしら いくつの愛を知るかしら ♪

 

 

マイベイビー 忘れないで ♪♪

 

 

 

「……マイベイビー、あなたを愛してる。あなたを忘れない…………。」

 

ガガ、ガガガ…と、ノイズと共にラジオの音は消える。見るからにおんぼろで、壊れているのだろうと簡単に理解した。

 

「グッナイマイラブ……昔流行った奴だよな。俺もよく聞いたよ」

 

「………うぅ」

 

「はぁ、趣味が合う奴を見捨てるのは忍びない……てか?……まあ、たまにはそれも良いか。」

 

 男を担ぎ上げる。義手で器用に男を運び、ここまで来たトラックの助手席に放り込む。

 

「……たく、面倒だか、乗り掛かったもんはしょうがねえ。医者と手足のアテぐらいはつけてやる。そっからはお前さん次第だ。」

 

 せいぜい借金をぼられねえようにな……そうぼやいて、男は車を走らした。

 

 

……そういや、この時間なら

 

 

 男は車のラジオをまわす。周波数を合わせ、ノイズが次第に整った曲調に変わっていく。流れるのは、先程と同じく女性シンガーのしなやかな歌声

 

 

「はは、良い曲だ。ジャズもロックもいいけどよ……。俺はこっちのほうが良くてよ、腕の痛みも和らぐつぅかな……お前さんならわかんだろ。」

 

「……」

 

「……たく、まあいい。目え覚ましたら付き合ってもらうぜ。曲の趣味が合うやつは久々なんだ、手間賃に退屈話ぐらい付き合えよ。」

 

 

 

 

 

 

マイベイビー 忘れないで ♪♪

 

 

 

 

あなたにもいつか 世界で一番の幸せを知るときが来る ♪

 

 

 

 

愛し合って 支えあって

 

 

 

 

 

 

共に荒波を越えてゆく

 

 

 

 

 

 

 

マイベイビー そして次はあなたが愛を伝えるの

 

 

 

 

 

 

 

マイベイビー 心から愛していると

 

 

 

「…………」

 

 

  

 

 

 

マイベイビー あなたを愛してる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイベイビー 忘れないで……♪♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

目を開ける。体がやけに重く感じる。

 

 

ベッド…? …どこかの基地に運ばれたのだろうか。

 

……体が重い。

 

 重力があるならここはそれなりの施設なのだろう。もしや、本国のサイド3に帰還したのだろうか

 

だが、それにしてはおかしい。

 

 肌に突く空気は嫌にジトついているし、空気の埃っぽさはエアコン完備のコロニーとは思えない。

 

 

 

…というか、あれ

 

 

 窓の光、視界を白く照らすその元凶はさんさんと輝く太陽そのものであり。コロニーの反射板でかき集めた陽光とは違う、それは地球という大地の庇護でしかありえない。つまりここは

 

「…ここは、俺はいつから地球に」

 

「…お前さん、薬でもやってんのか?」

 

「…?」

 

 顔を横に向ける。パイプ椅子に座り、煙草を吹かす男が自分を見ていた。

 

「……あんた、ここはどこなんだ。」

 

「…………ここか?……ここはな」

 

 無精ひげにいかつい骨格の容貌、枯れた声、そのすべてがとある人物を連想させる。

 

 だが、決定的に違うのはその両足だった。あいつが仮に右腕をあの戦いで無くしたとしても、その両足の肌色、筋肉の動き、血管の脈動は生きたものに違いない。

 

 

「……なに人の足をじろじろ見てんだ。…ここはオルコットカンパニーの所有する鉱山、そんでお前さんが持たれてんのが俺らの寝床、これでわかったか?」

 

「……フィッシャー、じゃないよな」

 

「?……人違いだよな、けど奇遇だ。俺はフィル・シアラー、あだ名でまわりからフィッシャーって呼ばれてる。本名よりも見た目に会ってるからな、呼ばれるならそっちの方が気楽でいい。フィッシャーでいいぜ。……で、お前さん、名はなんだ?」

 

「……名前、か」

 

 長く戦場を共にした戦友を相手に、厳密には別人だが、自己紹介という行為に違和感を感じて仕方ない。

 

 

「……ダリル・ローレンツだ。ダリルでいいよ、フィッシャー」

 

 

 手を差し出す。手の平のない接続部だけの腕、伸ばした鉄の棒にフィッシャーは義手の手で握手を交わす。

 

「お前さん……いや、きくのは野暮だよな。あとで安もんだが義足と杖ぐらいは持ってきてやる。」

 

…フィッシャー!、連れ込んだ男の具合はどうだ!? 街の安女よりいいなら貸してくれや…!!

 

 部屋の外から下品じみた笑い声が聞こえる。鉱山といっていたからには他の鉱員がいたのだろう。

 

「たく、クソうるせえ奴らが……じゃあ、おれは医務室に行ってくる。間違ってもベッドから落ちんなよ。男を抱えたら余計弄られちまう。」

 

 

部屋に一人、外がやかましいがそれよりも今は

 

 

「…聞きたいこと、聞けていない。」

 

結局、ここが地球だとして、自分はあの後どうしたのだろうか。

 

 

 

 サンダーボルト宙域、敵の連邦軍と交戦に入って、自分は敵艦を落とすべくサイコ・ザクに乗って出撃した。

 

そして、あの男に、ガンダムと相対して、その後は…

 

 

 

「わからない、カーラは、リビングデッドの皆は……。」

 

 仮に、あの戦いが終わって生き残ったとして、自分はなぜ地球で目を覚ましたのか。

 

……連邦の捕虜、いやそれはない。…こんな、辺鄙な街で、しかもよりのよって民間人に助けられて。

 

 ジオンの軍服にあのフィッシャーに似た男は何も示さなかった。アースノイドなら通報かリンチか

 

 

「………考えたくはない…けど」

 

 

 壁に貼られた暦の数字、安物のテレビから流れる時事の話題。まるで中世に流行ったフィルムムービーの主人公のようだ。

 

 

「2012年、西暦、つまりここは」

 

 

 そう、もしここが想像通りなら、今自分が体験している事象、それは使い古されたこの一言で言い表せる。

 

 

 

……タイムスリップ

 

 

 

「……駄目だ、何を考えている! そんなおとぎ話が、まさか…」

 

 無い、とは言い切れない。現に、今の自分に起きている事象はそうでもないと説明できない。

 

 

「……」

 

 この先どうすればいい、とにかく…今は自分の生存を確かにしなければ、ならこの手足のままでは……

 

 

「頼るしか、ないよな……」

 

 

 とにかく、あいつが戻ってきたらここで雇ってもらえるよう頼みこもう。技術関連なら多少の知識というか、そもそも中世の時代に自分は適応できるのか不明だが、とにかくなるようになるしかない。

 

 それと、できれば以前のような義手と義足を

 

「中世の技術か……、課題は多そうだな」

 

 最悪、事務方でもなんでもありつけるならどこでもいい。

 

 

「……それか、どうせなら」

 

できるなら、またMSに、せめてそれに近いものぐらいには

 

 

「……地球史、あまり覚えてない。パワードスーツは…この時代にあったかな…?」

 

 

 

 

 




初回はサンダーボルト要素多めです。次回からIS、というかメインヒロインが登場します。


投稿ペースは……他の作品と並行しているので少し遅いかと、まあ書き始めなんでしばらくは頑張ります。
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