無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT 作:サンボル好き
等間隔の駆動音、向かい合った座席に腰掛け、その視線は窓辺一面に広がる稲穂の絨毯へと
「……ずいぶん、田舎になったな」
「うん、東部は今でもレトロな風景だからね。都市部と比べてずっと静かで、空気も綺麗だよ」
「……そうだな。なんだか、郷里に思いをはせるような……知らない景色だけど懐かしく感じるよ。」
「そうなんだ。…あれ、でもお兄さんの故郷ってどこ?イギリス?」
「故郷、それはもちろんサイドす……ゲフンゲフンッ!!」
「え、うわ!もう、どうしたのさ……はい、お茶」
むせ返る。
ごく自然に正直にしゃべってしまいそうになった。
…どうしよう、適当に……中世の国なら、アメリカ?でも、祖先は確かドイツ系のはず
「……シャル」
「え、うん…で、結局どこなの?」
「……個人情報だから、ノーコメントで」
「ええ!もったいぶって何なの!!教えてよぉ……ねえ…!!」
「こ、こら、髪に触るな……ちょ、叔父さん、あんたからもこの子に」
「………フガ」
「……あれ」
寝ている、ただの屍のようだ。
「へっへーん、無駄だよ!…叔父さん、一度寝たら死んでるみたいに起きないから、たまに呼吸忘れてても平気で熟睡するからね」
「いや、それは起こせ!というか、今電車の中だろ、見られてる、見られてるから!!」
「あはは……!!」
周囲から向けられる視線、大半は奇行を見る哀れみ、残りは仲睦ましい兄妹の図でも見出しているのだろうか。
騒々しく、電車の旅は続いていく。目的地はブルゴーニュ地方のとある集落。かつてシャルロットが過ごしていた故郷
イギリスに向かうダリルの旅路、その寄り道として、彼女の故郷に同伴する。これはその最初の一日、だが数時間で静かな旅は終わりを迎える。
「……」
…しかし、結局ついてきてしまったわけだが、セシリアには悪いよな。
連絡はした。だが繋がらない、都合よく判断しているが、これで怒りを買っていたらどうしようもない訳で
「…はぁ」
「あれ、お客さん、もうかゆい所はないですか?」
「……何で目的が変わっているんだ。少し考え事だ」
「……ふうん。そう」
旅路はまだ続く。
目的地まで、つく頃には昼過ぎか
「……」
窓辺から眺める光景、創作の世界でしか見ることの叶わない。宇宙暮らしのダリルにとってはなんとも貴重な光景だ。
「…故郷か」
昔から、故郷と言うには根無し草な人生だった。家で落ち着いて団らんなんて、もう遠い過去の夢だった。
自分のいる居場所、それは宇宙で、戦場で、それは決まった場所ではない流動的なスペースなんだと思う。
でも、彼女は違う
「……ん、どうしたのお兄さん。お茶のおかわりでも欲しいの」
「……ああ、いただくよ」
彼女は、シャルロット・ローランにとって、今から赴く場所は生まれ育った故郷なのだろう。
なのに、どうしてか
「……もうすぐ、かな」
「そうだな、叔父さんを起こさないと」
「うん、叔父さん、もうすぐブルゴーニュだよ。ねえ」
「……」
明るく振舞う、彼女らしい、いつものはきはきと愛情を振りまくシュルの姿がそこにある。
なのに、なのにだ
どうしてか、故郷を思う彼女の顔は
「……あぁ、なんじゃ、もう着いたのか」
「違うよ、でも、そろそろ起きないと……また、今年も来たんだから」
ときおり、ひどく悲しそうな顔をする。
思いをはせる故郷を思う彼女の顔は、何故だか
「……」
……いや、触れるのはよそう
事情があるのだろう、けど、それを掘り起こすことに何の意味がある
少なくとも、今こうして笑いあって旅路を行く間柄なのだ。シャルを、彼女たちに不快な思いをさせたくはない。
…せっかく、誘ってくれたんだ。…むしろ、必要なのは
「なあ、シャル」
「ん、なに、お兄さん」
「…向こうについて、時間があればいい、いっしょに街を歩いたり、きれいな景色を見たり……とにかく」
「……うん」
「君の故郷を、俺は見たい。だから、いっしょに見て回ろう。」
「うん……うん!…もちろん、むしろ、絶対連れて回るからね……えへへ」
「…ああ、それが聞けて良かった」
電車が止まる。
どうやら、目的の駅に着いたようだ。
席を立ち、旅行鞄を背負い俺たちは電車を後にする。
「あ、そういえば」
一つ、聞き忘れていた。
「なあ、シャル、俺達が行く場所って、どういう場所なんだ」
「んっ、まあ小さな集落だよ。東部の自然公園のある地域で、山と丘と森と、それとブドウ畑、そんな田舎……あっ、でも名前はね、ちょっといい感じかな」
「名前?」
「うん、村の名前はリュミアーレ。灯の意味で
くるっと、駅のホームでターンを決める。
背後に広がる緑の景色、広々と続く牧歌的な風景の先、そこに彼女の言う目的地がある。
「さあ、行くよ私の生まれた故郷に、母なる灯、
〇
車で一時間と数分
農産物の収穫を終え、街並みは秋の実りのように豊かで鮮やかに染まっていた。
少し歩けば人に当たる。息を吸えば空腹を覚える。
ダリルにとって、そこはまさに初めての光景がそこにはあった。
収穫祭である。
「ほら、そこのお兄さん、温かいワインとシードルもあるよ。一杯どうだい?」
「収穫祭の日は男女を結ぶ日だ!そこのカップルさん、可愛い女の子が寒そうじゃないか?うちの村で染めたポンチョだ、よく似合うんじゃないかい」
「……菓子はいかがかな、ほら、寒いと甘いもんが欲しいだろ。ここで取れたモノで作ったシュトレンだ。包んで土産にどうだい?」
「………すごいな」
「うん、だって収穫祭だからね」
道を歩けば露店、人、人、露店……そして人と露店
街並みが祭事に彩られ、人の喧噪はどこもかしこも明るく笑いに満ちている。
甘い菓子と酒気の混じった暖かい空気、自然と精神は陽気にほだされ、浮き足立つ足を止めなければ今にも踊り出しそうなほどだ。
「…にしても」
すでに、露店の誘惑に負けてついつい手を出した食べ物で片腕が塞がっていた。呼びかけをうけ、商品を受け取ろうと手を伸ばす。時々驚いた顔になるが、それでもたいていがすぐに温かい顔で丁寧にて渡しするだけで、そこには以前に見舞った悪態や横暴さなんてモノは欠片もない。
「……こっちの人は、気だてが穏やかなんだな。」
「えっ、そうかな?……まあ、確かに田舎だし、そうかも知れな……」
ダリルの言う言葉、その意味を理解し言葉を換える。
「あぁ、パリでのことだね。」
「……酷い目にあった」
「仕方ないよ、でも、その原因ってさ……これじゃないと思うよ」
「?」
「英語、イギリス訛りだよ。見た目はドイツ系だけど、言葉の野暮ったさは結構ネイティブだし、訛りが嫌いな人には余計に不快になるんだよ」
指さすのは義手、ではなくそこから上に、ダリルの口元を指さしてシャルは続ける。
「パリはデュノア社があるから、イギリス嫌いの影響が強いんだよ。IS競争のせいで」
「……それって、BT社とデュノア社の関係が、そのまま国民感情に降りていっているって事か」
「まあ、そういうことだね。都市部に行くほど、IS思想は強いから、変に関心を持ちやすいの。観光客向けの街なら良いけど、アウェイでそのなまりは危ない。だから一緒について行ってあげたの」
「……そう、なのか。でも、なんでシャルがいたら」
「まあ、一応観光の国だしね。同郷の商売なら邪魔はしないってことだね。それはそれこれはこれ」
「……そうか」
手足が原因ではないと知って、少し安堵する。慣れたつもりではいるが、差別感情というモノは骨身に染みる。
…よかった、なのか
若干複雑ではあるが、今はソレで飲み込む事にする。
「……さ、次はどこに……って、いたっ!!」
「ねえ、ねえ!!ほら、焼きたてのパンに蜂蜜かけてる、早くしないと、他の人にとられちゃうよ!!」
背中をバンバンと叩く。目を輝かせ、一心不乱に感情を振りまく。
尻尾がついていたらそれはもうブンブンと振りまくっている事だろうに
「……はぁ、仕方ない」
手を引かれ、俺は彼女との祭りに身を投じた。
○
「ひくっ、うぅ……ネルソン、すまんな」
酔っ払いらしく、記憶の中の人物と会話をしている。
「……あぁ、すぐに着きますから。……随分、羽目を外したみたいだな」
背中におぶるご老人。ダリルとシャルとは別に、この人はこの人で祭りを堪能していたらしく、どうやら馴染みの酒場でしこたまにワインとシードルを飲み干したらしい。
「あはは、ごめんね。叔父さん、毎年こうなんだ。飲んべえ達と張り合って、でも今年はお兄さんがいてくれて良かったよ」
「……こんな手足で良ければな」
「うん、頼りになる手足だよ。お兄さん」
「……」
すっかり、兄と妹の関係がしっくり来てしまっている。
本当は、もうすぐ別れが近づいているはずなのに、これが最後の時間であるかもしれないのに
…いや、だからなのか。
勢いで始まった兄妹ごっこ。だが、気づけばソレは違和感のない、まるでずっと長く一緒にいてきたような錯覚すら覚える。
…あぁ、たまらないな
互いにまだ知り合って間もないのに、どうしてかこうも無警戒で
「…俺は、ティーンの金髪に縁でもあるのか?」
「……何か言った?」
「いや、なにも」
場所は変わって宿に
本当は今日にでもかつての家に赴くつもりだったらしいが、こうも夜遅くなっては危ないらしい。
街の安宿に三人、問題はベッドが二つで一つは既に叔父さんに譲っている。
「……まあ、仕方ないな」
「えへへ、また一緒だね、お兄さん」
「……」
改めて、自分の理性には歓声を送りたい。
「…なあ、シャル」
「うん、なにかな」
既にキャミソールと短パンのみに、シャルが横たわるすぐ横におれは座る。
「……寝ないの?」
「いつもの手入れだ。まあ、今日の移動は電車と車が大半だから、摩耗した部分を掃除するだけでいい。すぐに寝るよ」
「……そう」
片足ずつ外した義足をバラし、手慣れたようにパーツを綺麗にする。
部屋は変われど、やる事は変わらない。
「………」
「…先、寝ていて良いぞ」
「……やだ、寝たくない」
「明日、早く行くんじゃないのか」
「……それ、なんだけどさ」
「……」
「行きたくないっていったら、どうする?」
「……大事な、墓参りじゃないのか」
「うん……でも」
この集落の外れ、山間の方の丘に一件、そこにはどうやらシャルルの幼い頃の住まいがあるらしい。
そして、その家の敷地には
「……お母さんの御墓、でも、行きたくない」
「……」
薄暗く、暖炉の彼我と燃す部屋の中、シャルルは淡々と言葉を続ける。
ソレは紛れもなく彼女の本音であり。
「……シャル」
ここに来て、ずっと抱いていたであろう、シャルの本音を、今打ち明けようとしている。
この、俺に
「……お母さん、5歳の頃に、急にいなくなったの」
「……それは」
「戸籍上はね、もう死んでるの。けど、それはあくまで建前、本当は出ていったの。私を捨てて」
「……」
「何も分からないまま、わたしは丘の家で叔父さんと二人きりなったの。でも何時かは帰ってくるって思ってここで暮らして、でも農業はもう続けられないから家を出ることになった。叔父さんは私の為に土地も商売道具の醸造機も全部売り払って、それで今はパリの小さな土地でアパート経営と小料理屋。それが、今のところの私の人生の旅路…かな」
「…じゃあ、なおさらここは」
「うん、リュミオーレは好き。でも、ここに来ると叔父さんはお母さんを思い出すし、私も考えたくないから……だから、本当は無理してるの」
「…ッ」
気づけば、横たわっていたシャルは起き上がり、ベッドに座るダリルの背中に抱きついていた。
「……」
「…優しいね。振りほどかないんだ」
「そうして欲しいなら、そうするよ。けど、今はこうしていたいなら、好きにすればいい」
「!……うん」
一層、彼女は俺の背中に身を添える。
背中の熱が、その感情のふるえが伝わる。
「……家族か」
随分、自分には遠い、けど、少なくとも彼女と同じ悩みを、似た苦しみを味わっている女性を、俺は知っている。
「……なあ、前に言ったよな」
初めて、泣きはらす彼女が嗚咽と共に漏らした言葉
「……IS乗り、ソレが君の目指す理由だよな。それは、もしかして」
「……」
だが、返事はない。
流石にそこまでは踏み込んではいけないようで。自然に話は終了する。
その日、俺は義手を付けたまま眠った。
普段は腕に負担の少ない、簡易的なモノを付けるはずだが、今日は別だ。
ひときわ甘える、この危うげな妹を慰める為に、俺は彼女の頭を何度も撫で続けた。
「……ッ」
「おやすみ、シャル」
温度のない、無機質な機械の手
けれど、そんな手にシャルは文句も溢さず、ただされるがままに受け入れていた。
〇
翌日
「な、なあ、運転変わろうか?」
「ええ、ヤダよせっかくの機会なんだし。ほら、ちゃんと運転できてるでしょ」
「いや、でもなぁ」
舗装の甘い道をがりがりと音を立てて進む。
荷物運搬用のトラック、少し大きめで四人乗りのそれに、俺は運転を任されるはずだった。
なのに、なんで
「お前、免許とかまだだろ!!コロニーでもあと二年は先だぞ!!」
「もう、何意味わからないこと言ってるの?…別に、田舎だから大丈夫!ここらへんじゃ8歳からコンベアー乗り回すんだから!!」
「いや、それどうかんがえても駄目だろ、法律とか法律とか、法律とか!!!」
そんなこんなで、朝っぱらから未成年のデスドライブに恐怖を覚え、荒い運転ながら無事山道を登り切り、俺たちは目的地に着いた。
山間に開けた斜面の地形、一面に降りて広がるブドウ畑、その上に趣のある家が一軒。
赤レンガの特徴的な石造りの家、今は住んでいないというには、その外観や周囲の庭園に至るまでよく絵が行き届いている。
シャル曰く、町の住民は今も叔父さんを信奉していて、住処を離れてなおこの家と畑の手入れを時折してくれているのだとか。
「……さあ、そろそろ働くよ。私とダリルで家、叔父さんが庭の雑草を刈ってくれるから」
「……あぁ」
言われるまま、俺はシャルの後ろをついて行く。
アーチ状のゲートをくぐり、すぐに家の戸の前に至る。
ポストの横には、この家の主の名が書かれている。
「……」
「何してるの、早くいくよ」
「……あぁ」
掃除が始まる。
といっても、辺り一面クモの巣と埃の山と言うわけでもない、適度に窓を開け、言え中の空気を入れ替えてあとは床を磨く
それだけの簡単な作業。義手でやりづらいのはあるが、それはたいして苦にならない。
部屋にある家具は形だけ、興味本位で開けてみても中は空っぽ
「…なんだか、クラシックゲームのRPGみたいだな」
引き戸を開ければコインが三つ、そんな気分に浸ってしまうぐらいには気の抜けた作業が続く。
「…ごめんね、こんな仕事任せちゃって」
「いや、それはいい……でも、なんだかいい家だな」
「…それは、まあ、そうだね。ここ、思い出が多いから」
「…そうか」
改めて、辺りを見渡す。
今いるのはリビングルーム。調度品の無いタンスや机に、そして灰の一粒もない新品同様の暖炉
わずかに残る傷跡やシミが生活の跡。今は人気のない、けれどもそこには確かに人の暮らした痕跡がある。
「……なんだか、寂しいな」
「…そうだね、でも、誰も手入れしないから、もう残していないんだ。全部地下においてある」
「地下、地下室があるのか?」
「うん、っていっても、作ったワインを保管する場所だから、そんなに広々としたものじゃないよ。よかったら、見に行く?」
「そうだな、せっかくだし、そこも掃除しよう。これじゃあ働いた気がしない」
話がまとまり、二人が向かうは地下室の入り口
台所の奥にある小さな扉、そこから階段を下りてまた扉を開ける。
暗い窓のない空間、光をともして、部屋の全体像に突然の恐怖を抱く。
「!!」
思わず後ろの戸に倒れ掛かった。
無理もない、光が灯って、そこに人の姿があれば動揺しても無理はない。
「あはは、すごいビビってる。お兄さん予想通り過ぎ」
「……もしかして」
「……テヘ」
ビタンッ
「――……ッ!!?」
悶絶する。
義指のデコピンがその額に炸裂した。
「…年上を嵌めた罰だ」
「……うぅ、ちょっとした冗談なのに」
あざとらしく、涙目で額をさすっている。
「……はぁ、まったく」
軽く一瞥し、今一度その絵画に目を向ける。
「……なあ、これは」
「…ここの、畑の風景画だよ、誰が書いたかは知らないけど、リビングに飾ってたんだ」
「……これが」
確かに、趣のある田舎の風景と思ったが、それは確かにこのあたりの光景である。よく構図を理解して、実にいい場所から絵をしたためたのだろう。
「……これ、もっていかないのか」
「これを?持っていきたいのはやまやまなんだけど、叔父さんがダメって、これはここに置いてくって、すごく喧嘩したんだ。」
「……そうか」
「うん、それもすっごくね。……さ、そろそろ戻るよ。叔父さんの芝刈り機の音、さっき聞こえなくなったから」
「あ、あぁ」
振り返り、急ぎ足でついて行こうとする。
その時、たまたま持ちっぱなしだった箒が
義手の手入れ不足か、不注意だけか
握力から外れ、手を離れた木の棒はそのまま後ろに倒れる。
「あっ」
「へっ」
間の抜けた声をかき消すように、地面から響く割れる音。
「……あ、これは、その」
「……」
「……しゃ、シャル?」
返事が無い、一瞬怒りに振るていると考え、恐る恐るその尊顔を覗く。
だけど、その顔に込められた表情はもっと別の物
「……シャル、なにが」
「……そ」
まるで、見てはいけないものを、おぞましい悲惨な現実に立ちあったような
そんな顔と、引きつった声、シャルは床に落ちた絵画に指をさす。
「……?」
彼女の挿す指の先、それは裏面を下に落ちた絵画の裏、そこには、一冊の本が張り付いていた。
「……これは」
手に取り、その本の表紙をよく見る。
達筆なフランス語で書かれたそれをまじまじと見る。
英語に慣れたダリルには当然フランス語を理解しきる教養までは身に着けていない。
けれども、そのノートに書かれた単語、その人物の名には心当たりがある。
「……イリス」
先ほど、玄関口で見た住居人の名
「……イリス・ローラン」
「……!」
「シャル、これは」
「……うん。そう、だね」
振るえた様子で、しかし、シャルは現実を直視する。
そこにあるのは紛れもなく、シャルが欲した事実そのもの、灯台下は暗かったというべきか
「…まさか、こんな近くにあるなんて、ねえ、お母さん」
「……」
イリス・ローラン、シャルロット・ローランの実の母親
そして、娘を捨てた非道な女
「……ほんと、最悪だね」
次回に続く
今回はここまで、結構進めるつもりがなかなか進まず。
次回からちょっと生々しくなる予定で、もうシャルとの甘い展開は終了です。
サンボルテイスト、いっぱいぶち込みたいなぁ