無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT    作:サンボル好き

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やっと上がりました。

ようやく、リユースサイコも出まして、物語も大きく動きます。ですが、その前に色々と情報をまとめる話に入ります。なので、今回はちょっと長めです。政治的な理屈云々、結構な長話になります。

それではどうぞ


答え合わせ

「来るな、離れろ!!」

 

「……」

 

「外道、死ね!!…お前なんか、死ねばいいんだ!!!」

 

 血の味が奥に溜まる。それほどまでに声を荒げて罵詈雑言を叫んでいる。

 

 知りたくなかった。こんなことなら、はじめっから何も期待するべきではなかった。

 

 

…なんで、お母さんが……私を、私の手足を

 

 

 母親は狂っていた、理由はわからない、理解する気も起らない、だが、これだけは現状言えてしまう。

 

 母は狂い、私のもとを去り、そして私のことをモルモット程度にしか見えていなかった。そして、今目の前に立つ父親も、そんな私を利用する道具としか思っていなかった。

 

 

 私の生まれた意味は何もなかったのだ。

 

 

「いやだ、いやだいやだ!! 手足なんか切りたくない、ISなんかに乗りたくない!!」

 

 勇ましさ、蛮勇すら起こる気もない。目の前の男が何よりも怖い。

 

「いや、乗ってもらわなければ困る。あれは現状、イリスと近しい遺伝子所法を持つ君にしか動かせない。技術を普遍化させるには、君というテストベッドが必要だ。シャル、お前はデュノアが欲するものだ、そこに個人の意思など関係ない。」

 

 男が迫る、シャルは腰が抜けその場に座り込む。恐怖で涙腺は決壊し、足元には生ぬるい湯気が沸き立っていた。

 

 

 

「しかし、私も情が無いわけではない。手足を捧げた暁には、君の願いを何でも聞き届けよう。」

 

「……ッ」

 

 抵抗ができない、体がすくむ。アルベール手が自分の髪を掴み、強制的に目を合わせられる。

 

「怯えなくていい、ショックを抱くのは当然だ。だが、お前はそういう運命の下に生まれただけなんだ。」

 

 

「…うん、めい?」

 

 

「そうだ。イリスが君に残したIS、あれはまだ君にしか動かせない。リユース・P・デバイスはISの常識を変える可能性もある。君が手足を失っても、得られる成果は遥かに上だ。運命は正しさの終結だ、君に与えられた役目を果たせば、おのずとそう言う未来は得られる。」

 

 目に光はない。それはまるで、自身の心情を語るような、シャルには届くことのない独白だが、この時のアルベールは確かに本音を口にしていた。

 

「人は正しく生きねばならない。私がデュノアとしてこの国を導くこと、そして君はその礎になること、全ては正しさの帰結なのだよ。それを理解し、今後は行動を慎みなさい」

 

 そう言い切るや、アルベールの背後から数人の男が表れる。小銃を持ち、タクティかあるスーツを携えた兵士たち、シャルを拘束し、二人に抱えられるように立たせられる。

 

 

 

「……ッ」

 

 

…あぁ、もうだめだ。この人は本気なのだ。

 

 

 

 それが正しいと、決して意見をたがえたりしない。私の手足を奪い、押し付けた力ですべてを手に入れる。そのためなら実の娘も関係ない。

 

 関係ないのだ。すがっても、同情を引いても、何の意味もなさない

 

 

「……期日が来るまで、勝手に死なれても困るからな、これからは拘束させてもらう。またあの監視に行ったような術を取られては困るからね」

 

 

 

 抵抗する気力は無かった。苦心して行った脱走、それで得たのはまぎれもない絶望のみだった。

 

 逃げる術は無い。

 

 あきらめるしかない。

 

 

「……ぁ」

 

 

 深い絶望が視界を暗転させる。ストレスにさらされたシャルは自己防衛から心を閉ざした。

 

 気を失うように意識を消したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リユースサイコ?それがアルベールとモーレスの狙い、なんとも胸くそな話だな」

 

 

 煙草をふかし、吐き捨てるように煙を上に昇らせる。

 

…胸糞悪い、確かにはたから聞けばそうだな。

 

 場所は変わり、ダリルたちは施設から脱して上の発電所跡の事務室にこもっている。

 

 手に入れた情報を共有するべく、ビリーとセバスも同席させ、机に置いた資料をイ底面に並べられている。

 

 手記の続き、そしていくつか拾ったIS等の設計資料、そこにはたしかにリユースサイコについて、同じような文面が見られた。

 

…似ている。MSとは違うから、多少の祖語はあるが、これはもう、オリジナルとほぼ同じ

 

 一人、ダリルにしか知りえない知識で思考に入る。おのおの、目の前の事実にそれぞれ思う所を感じているのだ。

 

 「しかし、ここまで大事とは、思考の範疇を超えています。モーレスがわざわざここフランスに滞在する理由、それがここまで大きいモノとは」

 

 チェルシーがつぶやく。その意見にセバスが

 

「しかし、リユース・P・デバイスですか。イメージインターフェイスで動くISに、今更そんな発想で、私には非合理的な手段としか思えませんね」

 

「セバス、だが、それは」

 

「?……なにか、異論でも」

 

 視線を向けられる。その言葉に、俺は反論を喉の奥まで出しかける。

 

 

…言えない、よな。同じものを、使ったことがあるなんて

 

 

 かつて、その手足に機械の体をつないでた経験がある立場として、このシステムを見逃すことはできない。どうして同じ名前の、同じような機構がこの世界に存在するのか、その異物感はダリルしか抱けない。

 

 

…今は止そう、それよりも

 

 

 

「いや、異論はない。だが、検証よりも、今はこの技術を求めて、アルベール・デュノアとモーレス・ガルディーは共謀しているという事実、これが大事だ」

 

「ええ、これを表沙汰にできれば、モーレスを追い込むカードとしては十分です。他国の技術開発、それも非合法なものに手を出している。それも、暗殺未遂を働いたアルベールとの間であるなら、あの男のチェックはすぐそこです。」

 

「セシリア」

 

「ええ、そうです。ここで動かないと、アルベールは……」

 

 娘の手足を切り落とす、その言葉を、セシリアは深く受け止めていた。

 

 様子がおかしい、実の両親と娘、その関係にセシリアは何か反応している。

 

 

「…セシリア、そのことだけど」

 

「ええ、もちろん協力は惜しみません。モーレスとアルベールを打倒すべく、私は「ストップストーーップ!!…お嬢、落ち着いてくれ。」…な、なんですかビリーさん」

 

 ビリーが興奮するセシリアを止めに入る。煙草を消し、どこか砕けた態度がふっと消えていく。

 

「いや、なに、要は優先順位だ。……なあ、ダリル、お前のお陰で俺たちは今回の潜入調査に大きな進展を得た。それは感謝する、だが」

 

 一呼吸置き、ビリーは静かにそう言ってのけた。

 

「…俺たちの目標はモーレスの失脚だ。だから、そのシャルロットとかいう女、救う必要は」

 

「!!」

 

 

…バチンッ

 

 

「…おやおや、今度はマジですね。」

 

 静止する間もなく、セシリアの平手打ちがビリーに見舞われる。鼻筋を掠り、そこには一線の血も流れている。

 

「ビリー少尉」

 

「いい、セバス。お嬢にははっきりしてほしいんだ。」

 

 セバスが渡すハンカチも使わず、半ぢを雑に拭きとる。セシリアに対し、ビリーは静かに見定める言葉を連ねる。

 

 

「なあダリル、お前は今後どうする。俺たちと行動を共にするのか、それとも」

 

「……迷惑はかけない。シャルを助けるのは、俺の個人的な願いだ。本音を言えば、協力は欲しいけど、それは」

 

「あぁ、目的が合致すればだ。イギリスにとって、今回の事態はモーレス一人をどうにかできればいい。情報を掴んで帰るもよし、その計画を止め、モーレスとフランスの癒着を止めれば、える者はより大きいだろう。」

 

「そうです、だから!」

 

「ですが、そのリスクを……お嬢はお考えですか」

 

「リスク、それは……でも、それはもう既に」

 

「潜入という手段を選んだ、その時点で俺たちは危険にさらされているんです。その意味を、あなたは理解していますか、ご自分のお立場、それを理解しておられるのかって、俺は言ってんですよ。セシリア・オルコット当主」

 

「!……それは、私がお荷物だと」

 

「いえ、お嬢は必要ですよ。今回みたいな政治がらみの事態、現場で判断が下せるのはかなり大きいこととです。ですから、お嬢には慎重な判断を願いたいんです」

 

 慎重な判断、つまりそれは

 

「…ダリル、お前には悪いと思うし、俺だって道理に合わないと理解している。だが、どこまで手を出すか、リスクマネジメントはしっかりしてもらいたんです。」

 

「…ビリー、俺は」

 

 チェルシーが遮る。

 

「ダリル様、ここは」

 

 いつにもまして真剣な様子で、チェルシーは自分の主を見ていた。

 

 きっと、ここが分かれ目だ。

 

 セシリアが今ここに居る意味、本当の意味でリーダーとしての指針が問われているのだ。

 

 ビリーはこう言いたいのだ。命を懸けるなら、それに見合うやり方を、考えを示せと

 

 

 

 

「…セシリア」

 

 

 

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

 

 

 地下の施設で、その手記に記された内容を知り、私は言葉を失った。

 

 許せなかった。実の親が、どうして子供にそのようなことをするのか、到底理解などできない。

 

 道理に合わない、そう思うと、自然と胸の中に怒りが募った。

 

 だから、できることをしようと、そう考えた矢先だ。

 

 

「…ビリーさん」

 

「示してください、俺たちは、どうすればいいのか」

 

 その言葉に、自分の血が冷えるのを感じた。

 

 自分がここに居る意味、その上で、今正しいことは何か

 

 

「……私は、見捨てるべきでは」

 

「では、どうします。俺たちはあくまで情報を掴んだだけだ。これから先、モーレスとアルベールの動きはある程度は追えますが、あくまでそれまで。持ってきた戦力は、お嬢を逃がすためのもの、攻め落とす者じゃないし、そのために命を張れというなら、俺たちには勝算が欲しい。」

 

「……ッ」

 

 理路整然と、現場の兵士として合理的な意見を連ねる。セバスも、ダリルも、チェルシーでさえも、黙って自分の意見を待っている。

 

 諦めるのは簡単だ。 

 

 でも、そんなことをすれば

 

 

…ダリルさんは、どうするのか……そんなの、決まってる

 

 

 この人は一人でも行くだろう。そうする、それを成そうとする人だ。

 

 手を貸すなら、私は

 

 

…叔父様、セシリアは

 

 

 背中を押してくれた、貰った力も、全ては期待されて、でもそれは違う。

 

 イギリスとフランス、その国家間の問題に、今自分はメスを入れようとしている。血が流れるかもしれない、治らない傷を負わせるかもしれない。

 

 

「……私は」

 

 けど、それが今の自分だ。

 

「私、セシリア・オルコットは」

 

 背中を押されても、踏み出すのは、私の足……ッ!

 

「それでも、私は助けるべきだと思います!」

 

「……そうですか、では」

 

「だから、いっしょに考えましょう!」

 

 

 

 

「「「「は?」」」」

 

 

 

 

 全員がはもった。

 

「…あの、言ってる意味が」

 

「だって、こんなこと一人でなんて考えられるわけありませんわ!!」

 

「てめぇ、開き直って……ゴホンッ、えぇ、お嬢、何を仰って」

 

 思わず素の話し方に戻りかけた。だが、セシリアの調子は続く。

 

 覚悟を決めた少女は、決してひかない。

 

 

「必須です。このままイリスの遺産を放置することはできません。今、彼を更迭する情報を得ても、モーレスはフランスに逃げ延びるはずです。彼を封じるなら、アルベールも共に打ち砕くほかないのです!!」

 

「…ですが、それでも不穏分子は排除できます。モーレスが消えれば、内部の派閥はこちらに傾きます」

 

「!……チェルシーさん」

 

 セシリアに対し、今度はチェルシーも手痛い意見を乗せてきた。

 

 だが、それでもセシリアはブレない。

 

 

「…いえ、それでは同じです。そもそも、今回モーレスとアルベールの動き、これ自体が最も懸念するべきです。ことはもう、企業同士の争いでは済みません。モーレスの狙いは、イギリスという国家そのものへの背信です」

 

 

「…背信?」

 

 ダリルの疑念、それを答えるのは

 

「暗殺未遂、敵パイロットが使用した特殊兵装、あれはおそらくモーレスが用意したものだ。」

 

「…ビリー」

 

「…モーレス・ガルディーは前回の事件で、BT兵器のデーターを横流しした。お嬢のISの対策兵装を作らせ、そしてその事実とパイプは未だ暴露には至っていない。明らかにできないんだ。BTは他社、連携はしているがその内部は政府系で、民営のこちらでは掌握しきれていない。ただ、一人を除いて」

 

「そうです、モーレスはBT社に対し、親族間を経由してコネクションがあります。」

 

「つまり、本気になれば、手土産を抱えてフランスに逃げ込めると」

 

 そういえば、前に聞かされた。

 

 前回、モーレスはセシリアを暗殺し、最終的にはフランスへと亡命し、堂々と利権を奪い去ったまま逃れる算段だったと。

 

 

「しかし、それではすぐに盗用したことがバレます。フランスも、リスクを負ってまでそのような利益は得ません。使い方はもっと別、それより、アルベールがモーレスを必要とするわけ、そちらは、ダリルさんでもお知りのはずです。」

 

「……ッ」

 

「ダリルさんでも、これはお分かりになります。フランスの置かれている事態、それを」

 

 突然、今度は自分に問いが投げられた。

 

 気が付けば、二人の詰問は全員に波及し、皆で意見を交換し合う空気になっている。

 

「それは、…フランス、フランスは確か……」

 

 この世界に来て、ある程度の情勢はメディア情報から得ている。

 

 デュノアについて調べた中で、いくつかその内容も目にしてきた。

 

「イグニッションプラン、第三世代IS開発計画、フランスはその開発に苦戦、いや至ってない。」

 

 EU間における主要IS国同士の対立バランス、世界的なシェアを獲得しているフランスにおいて唯一の不足、それが次世代機の更新だ。

 

「アルベールとしては、他国に後れを取ることは避けたい。おそらく、次のEU間の合同演習の場でそれを披露しなくてはならない。それができなくては、アルベールは内部でその立場を失脚させてしまう。」

 

「それは、どういうことだ。」

 

「フランスも一枚岩ではないのです。デュノアの中でも、現状のイグニッションプランよりも、安定した第二世代の方に資金を投じればいいと、革新派と保守派で別れているのです。」

 

「…なるほど。だが、今はもうその技術が手に入っている。第三世代のISを有することが叶った今、アルベールはデュノアの立場を安泰にできる、そういうことか」

 

「ええ、ですが、ことはそれで終わりません。お嬢様、おそらく、モーレスは」

 

「ええ、彼はフランスに亡命し、BT技術を大々的に流出させるつもりでしょう。」

 

「!!……そんな、そんなことをすれば、イギリスは」

 

「ええ、失脚します。EU間のパワーバランス、その一角が大きく瓦解するのです。」

 

 国家間のバランスは大きく傾く。利益を得るために、アルベールは実の娘を、そしてモーレスは自分の母国を

 

 そして、それはそこで止まりはしない。傾きは、どこまでも波及する。

 

「技術を各国に伝播し、その秘匿性は完全に瓦解します。全て、私たちの責任です。誰も救えず、オルコットの名は地に落ちます。モーレス・ガルディ、一人の男の采配で、フランスは向こう十年、いえそれ以上にイギリスの風上に立つでしょう。その上で、私は皆さんに問います。」

 

 凛とした少女の声が部屋に響く。

 

「私、セシリア・オルコットは大局を俯瞰したうえで、此度の凶行、その根本から断つことを提唱します。シャルロット・ローランを奪還し、モーレスとアルベール、両者の企みを明らかにします。」 

 

 セシリアは言い放った。

 

 感情に任せた先の言葉と違う、トップとして、現場に立つ指揮官として、全てを理解したうえでその指針を提唱した。

 

 

「具体的な策、それはどうするんですか?」

 

「さっきも言いました、皆さんで協力して考えます。そのための仲間ですから」

 

 言いながら、少し水臭いのか、整然とした顔がその時だけ年相応の少女に戻る。

 

 あどけない笑み、さしものビリーもいたたまれず、煙草に逃げる。

 

 

「……セバス、火をくれ」

 

「はい」

 

「ビリー様、お認めになられたならもう」

 

「…………」

 

「少尉、もう十分では?…セシリア嬢の言い分、私は納得しました、あとは」

 

「……わかってる。だが、まだ先は見えない。だから、俺も考える。」

 

 

 顔を背け、一息で煙を吐ききる。

 

 

「乗りますよ。それだけ言うなら、俺たちも引くわけにはいきません。」

 

「!!……はい、お願いします」

 

 深々と礼をする。どこまでも真っ直ぐな態度に面食らう。

 

「少尉、煙草では照れを隠せませんよ」

 

「うっせぇ、俺は好きだから吸ってんだ。」

 

「ふふ、ビリーさんも不器用なお方ですね」

 

「はっ、くそ……ちょっと、外の空気吸ってくる。セバス、後は頼む」

 

 席を立つ、やけに速足で場を離れていく。

 

 そんな後姿をどこか不正じみた目でセバスは眺めている。

 

「…あの方は、すみませんああいう性格なもので」

 

「いえ、むしろ助けられました。わたくし、感情に任せて、判断を見失う所でした。それが、わたくしがいる意味だというのに」

 

「別にいいさ、結果的には答えは出た。むしろ、関係ない俺からすればずっと頭が上がらない会話だったよ。シャルを助ける、その光明が見えたんだから」

 

 しぜんと、その手がセシリアの髪に伸びる。

 

 タクティカルスーツを纏い、その髪は一本に後ろで束ねられている。

 

「よく、頑張ってくれた。俺も手を貸す、皆で成し遂げよう。」

 

「……ダリルさん」

 

 

 頬を赤らめ、なんとも言いムードが醸されている。

 

 

「あの、私も席を外してよいですか?」

 

「奇遇ですね。私も少しお花を摘みたくございます。」

 

 

「え、いや、別に俺は」

 

 

 

 

 

「「いえいえ、おかまいなく」」

 

 

 

 

 

「………はぁ」

 

 いそいそと、どこかコマ送りのような早足でそそくさと部屋を後にした。二人、会議室の椅子で、セシリアもここぞとばかり体を寄せ、頭をダリルの方に置く。

 

 

「…えっと、俺どうしたら」

 

「えへへ……久々のダリルさん、はぁ、来てよかったぁ」

 

 

「え、あぁ…そうか。そうか?……まあ、そうだな」

 

 そう言えば、再開していまようやく二人きりになった気がする。

 

 ここまで、ここまで来るのに長い時間がかかった。あの日、墓石の前で誓った約束、それを思い出す。

 

 

「……セシリア、これが終わったら」

 

「ええ、私の家に来てください。そうなれば、いつでもあえます。」

 

「そうだな。なぁ、どうせなら後一人」

 

 思い描く、燕尾服を纏った自分と、メイド服を着たあの子の姿が太もものあたりがやけに痛くて

 

「いたっ、あぁああぁああ!!!」

 

「……ふん」

 

 激痛の正体は横にたたずむ金髪のお嬢様からだった。悲鳴を聞き満足してか、そのまま腕に抱き着き、密着したまま離れない。

 

「……あの、セシリアさん。あまりそうされると、色々と、あたるから」

 

「別に、神経無いのですから、何も気にならないはずでは。」

 

「いや、そのなんだ、腕部分の触覚……ある」

 

「……エッチ」

 

「いや、仕掛けたのそっちだろ!!……てか、じゃあ離れて」

 

「いやです、離れません。…どうせ、そのシャルロットさんとも、こういうことを、して………いますの?」

 

「………ない」

 

「……」

 

「いや、無言でつねるのは、噛むのは……ああぁあああぁああああっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

次回に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…セバス、俺らいつになったら戻れるんだ?

 

…私に聞かないでください、チェルシーさん

 

…私にも降らないでください。ああいう娘なんです、暖かい目でみてください………もう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




以上です、読了お疲れさまでした。


今回の敵であるアルベール、もう一人の敵モーレス、彼らの動機というか、明らかになってない部分を今回でおおまか説明しました。企業と企業の争いのはずが、国家の命運がかかった話に、書いててここまで大きくなるとは、完全に想定外でした。

次回、また大きく動きます。次は会話以外にも見どころある話を


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