無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT 作:サンボル好き
前回のままだとどうしても展開に詰まるので、変更をせざるを得なかったのです。活動報告でも書きなおす旨は乗せていたのですが、一応こちらでも言っておきます。
長くなりました、それではどうぞ。
上から受けた通達はシンプルだった。
デュノアに対する敵対勢力がいる。そいつを見つけ出し次第、容赦なく殺せ。敵は小隊程度、数で押せば容易に蹂躙できる。そのはずが、ふたを開ければ早々に手を打たれ、部下数名が命を落とす結果に。
クレイモアでミンチ、おかげで部下たちは躍起になって意気揚々。
……だってか、ふざけんな
何も考えず任務に飲み忠実に要られれば、どれだけ楽だったか。しかし、この男フェルシア・カフゴは聡明な兵士であり、これが明らかに作られた状況だと知る。
自分たちと、今追いかけている謎の敵のチェイス&バトル、これを盤上に仕立てて面白がっている奴がいる。
そんなの、一人しかいない。その人物に手ひどく火傷を負わされたことを、フェルシアは忘れない。
× × ×
『……で、あたしに声をかけたわけね』
「あぁ、まさか出てくれるとはな」
軽く言葉を返す、だが実際は綱渡りだ。
相手はただの異常者、関われば即その毒気にやられる。そんな危険を飲み込み、今自分は端末越しに会話をしている。
通信の相手はミラージュ本人、アルベール・デュノア本人が雇った私兵。ISを有して、俺たち下っ端の実働部隊を従える監督役だ。
…………だが、実際は名ばかり、この女は最初だけ参加し、今は何もせず通達せず、俺たちを傍観している。
デュノアと同じ、使い捨てる側の人間。だが前者と違い、こっちにはまだ可能性がある。
「……聞かせろ。俺たちの敵は何だ?」
フェルシアは問いただす。自分たち、デュノア子飼いのヤクザたちがいったい何と戦わされているのか、何を守り、何を撃ち抜こうとしているのか。
「事の真相を暴くだの、そんな正義感から聞いてんじゃねえ。これは、俺が生き延びるために必要な情報だ。なあ、あんたは知ってんだろ。」
『ええ、そうね。けど、それを教えて私に何のメリットがあるかしら』
「……メリットか、そうだな」
この女が望むこと。他人の命を軽視して、そして自分の興のためだけに部下を殺して見せた。そんな女が望むことは
「なぁ、あんたはこの戦いを楽しんでいるのか?」
『ええ、それはもう最高にね』
「そうか、なら……俺もそれに参加してやる」
ここが盤上だというなら、どこにいても逃げ場はない。であれば、立つ場所を変えるしかない。
「デュノアの命令なんざ知ったことか。俺はあんたの駒になる、そうすればいい、俺を生かせ。殺してでもな」
『……それ、本気で言ってるのかしら』
通話越しに、女の下ひた声が聞こえてくる。どうやら、回答はお気に召していただけたようだ。
「あぁ、他はいくら死んでもいい。キングとクイーン、それと少しの駒が残れば十分だ。」
『自分は捨て駒にはならない、そう言いたいのね。いいわ、飲んであげる。』
通話が切れる。
そして今度は目の前の画面にいちまいのレターが表示する。開くとそこには詳細な情報が。まるで、こういうことを想定しているかのような。
「敵は、イギリスの工作員。そして、これがデュノアの狙いか」
適当な流し読みで、それだけでも十分に非道な内容が目に余る。予想通り、自分たちは録でもないことに命を浪費させられかねない立場にあった。
……そうか、どうやら正解だな。
端末をしまい。フェルシアは懐の煙草を取り出し一服する。煙を吐き、たった一回吸っただけで、持っていた煙草の箱に詰め込み、放り捨てた。
はた目から見れば意味の分からない行動、しかし、これは彼なりの鎮魂の表しだった。
「今日もまた、生き延びたか」
高台から街を見下ろす。人のいない廃墟まみれのゴーストタウンが、所々焼かれて火を上げ、一体には真新しい戦火の残骸が散らばっている。
そこは、目標の敵が逃げ込んだ発電所地帯。先行して強襲を駆けた別の組の連中、規模にして一戸小隊。歩兵、装甲車、そしてEOS、ベルサーガタイプを含んだ機械化部隊が全滅している。報告を受け、駆けつけた頃にはもうおそく。生存者の者たちが懸命に怪我人を手当てしている現場はまさに野戦地そのもの。
……たった三機のEOSだと、ふざけるな
敵は万全の準備をしている。その上で今もなお雲隠れするほどの狡猾な強敵相手に、俺たちは挑まなければならない。
周りではことの事態を上に連絡をして、その上でなおも任務続行の一点張りをするデュノア相手に憤る物もしばしば。自分と、自分が選んだ特別な配下を覗けば、この事態を完全に把握できている者はいない。
「正解だな、さて……これからどうするか」
「……隊長」
「……あぁ、わかっている」
声をかける相手は自分の部下。眼帯を付けて、顔には古傷が絶えない同じく歴戦の同胞、そして自分と同じくタクティカルスーツを纏い、背後には同じく信用できる古参の者達が並ぶ。
「ジェバン、俺達は待機だ。」
「?」
目の前では、他の戦闘員達は仇だの仁義だのと、意気揚々と戦意を奮っている。その中で、フェルシアを含む数人のみがただこの状況で冷めきっている。
「待機ですか、他の連中がなんて言うか」
「ここで適当に救助活動でも、機体の故障でも、とにかく理由はなんでも良い。無闇に突っ込んでも利はねえ。こいつはまだゲームの序盤だ。」
捨て駒になるのは奴等だけでいい。思考を放棄して、ただカタギから外れたアウトローに酔いしれているドランカーだけが命を捨てれば良い。
「従順な犬でいる時間は終わりだ、これから俺達は生きるために戦う。」
全ては時がくるまで。誓いを胸に、この局面を静観する。
「俺達は死人だ。だからこそ、俺達は生き残るぞ、ミラージュ」
〇
戦闘があった。
敵は包囲を展開し、一斉放火のもとで全てをなきにせんとした。だが、敵は知り得なかった。
自分達がハンターではなく、まんまと狩り場に誘導された猪や鹿であったことを
「…………ッ」
先行した部隊の隊長各、彼は元イタリア軍からの退役で、現在はデュノアの小飼としてこの汚れ仕事専門の部隊を率いていた。
実践経験も豊富で、中東のテロ撲滅など、実際の戦場を経験している稀有な兵士だった。EOSの操縦にも長けるため、現行のEOSでトップ性能のドイツ純性のベルサーガを受領している。
たった三機のEOSを倒す、ただそれだけ、それだけの任務であったはずが
「………どうして、なぜ」
『ーーーーーーーーーーッッ!!?!?』
またも爆発が起きた。友軍の機体が大破した爆音だ、センサーが受信する濁った悲鳴が他人事のように聞こえる。現実を逃避したい、しかし今目の前に起きているのはもう
……どうしてこうなった、俺達は攻めていた
なぜ、いったいだれだ。疑念に思考が乱れる。
「なんで、あいつらには」
……ジリリリ!
「!」
ロックオンアラート、しかしいったいどこから。
市街地の中、建物を背後に、不可視の視界の中で敵の攻撃方向を制限していた。
「…………くそッ!!」
シールドを構える。すると、その方向から……視界を遮る白亜の霧から、茶褐色の機体がモノアイを光らせ厚刃の短剣を振るう。
「…………ッ」
「なんで、なんでお前らには見える!!」
× × ×
上空、300フィート。長銃身のカメラを抱え、天の視点で戦場を支配する。
作戦はシンプル、用意された兵装を屈指し、囲い込み敵を殲滅する。そのために用意されたIS、ブルーティアーズ・ナイト・ストリクス。それは特殊作戦を想定して作られた、電子戦特化の機体であった。
「…………ッ」
スコープを構える。町全体を包むスモークの中、敵機の動きは高精度解析システムとハイパーセンサーの並行により圧倒的な千里眼をセシリアに与えた。
……見えて、いますは
標的はEOS、火力の高いベルサーガが同士討ちを避けて攻撃の機会を喪失している。混乱は長く続かない、効率よく、そして確実に
『……こちら、ナイト・ストリクス。観測情報を更新、ビリー少尉、2時方向直進、そこに敵機がいます。』
「オッケーだ、今仕留めた。少し抵抗されたがもう安全だ。」
カメラ越しに、複合武器である火力型用のA装備に血が付着しているのを見てとれた。ビリーは今、敵の命を奪った。それは、紛れもなく自分の指示で
『セシリア、敵の動向は』
「…………」
『セシリア?』
声の主は自分がもっとも親しく感じる男、その声に心が安堵し、思わず握った銃の感触が離れそうになる。しかし、油断することも気を抜くことも、今の自分には決して許されない。
……しゃんとしなさい、これは実践ですのよ。
『……大丈夫です。続けて、観測を届けます。』
「…………」
「お心配ですか、ダリル様」
「…………あぁ」
すぐとなり、自分と同じくEOSを身に纏う彼女。彼女もまたビリーと同じ、試作のEOSを使っている。
「けど、今は頼りにするさ。」
あの子は覚悟を決めた、なら甘い言葉はいらない。
「こっちも中継を続ける。チェルシーさん、スモークの追加、お願いします。」
「了解。」
隣で膝をつくモノアイの機械、ただその姿はビリーの使用したものとは違う、そしてそれはダリルも
しかし、それにしても
……パパパン、パパパン!!
「…………ッ」
銃声を察知し、ダリルは引き金のトリガーを引く。片手でささえ、地面にスタンドを固定した狙撃銃、炸裂弾頭のニードルガンだ。バラけたセミオートの射撃。数発で敵機の射撃が沈黙する。
『……お見事です、ダリル。』
ビリーとは違う声、同じく前線で強襲を続けるセバスチャンだ。
「礼には及ばない。セシリアの観測情報は絶えず送る、砲撃の隙間に隠れている敵は任せた。」
『ええ、了解です。』
『言われずとも、わかってるっつの』
作戦は順調、予定通りなら、敵の増援が来る前に撤退は確実。
……しかし、こうまでうまくいくとは。
登場席で、射撃と交信を平行しながらダリルは感心した。
敵の襲撃を予期して、この迎撃の手はずを考えたのはセシリア本人だった。ナイト・ストリクスの高精度レーダーと観測機構、試作EOS、通称アッガイによる特殊兵装の組み合わせ。この全てが噛み合って、今の戦術は成り立った。
「コンテナ交換、上空斉射、2セコンド! 炸裂散布!!」
左肩部に装着されたコンテナが解放、クラスター弾頭がほぼ垂直に曲射される。廃棄されるコンテナ、ダリルのアッガイが後方で次弾を装填装着し、その間もチェルシーは右腕部のスプレーミサイルランチャーで継続的な支援砲撃を再開する。
「ポイントをそろそろ変更します。反撃予測……4,3,2」
1、そう告げた瞬間には二機は三回。フレキシブルな歩行とスラスター跳躍で場所を放棄。そして次のポイントでスモークの機能する間の支援砲撃を敢行する
第一段階、包囲する敵機の撹乱。これにはチェルシーの駆るアッガイ重火力型の高高度支援砲撃システムが有効だった。熱源センサーで中央の発電エリアに敵を集中させ。範囲に入ったタイミングで一気に斉射。敵機をスモークの毒巣にくぎ付けにする。
「……よし、これで」
ライフルを構えつつ、左特殊腕部からセンサービームを照射。
遮蔽物を反射し、ダリルからビリーとセバスチャンの二機に光情報が伝達。暗号化された情報がリアルタイムで、誤差数コンマレベルでの送信が実現する。
……ちと頼りねえが。目隠しよりは数倍ましだ!
スモークの中、ビリーの駆るアッガイ火力型Aは建造物を足場に八艘飛び。建物を挟む通路に待機する二機のベルサーガ、対空射撃に入る動作を容赦なくつぶしていくマシンガンの斉射。着地と同時に後方が爆発、発砲音以外の音は一切出さず、静穏性の高いラバーブーツは隠密機動でさらなる獲物を狙う。
『軽いな、鴨撃ちだ!』
複合兵装からは仕込みナイフ、左腕部からは高出力プラズマサーベル。二刀流を展開しアッガイはさらに撃墜数を稼ぐ。
『お楽しみのところ悪いですが、背後に注意です』
「!」
スラスターを吹かし、ビリーは機体をスライドターンさせる。迫撃砲の着弾、支援武装のベルサーガが自身に照準を向ける。
「……たく、世話を焼かせたな」
『えぇ、戦況は有利ですが、油断はなさらないよう、お気を付けください。』
第二射、その砲塔に火は灯ることは無い。セバスの機体がサーベルを袈裟切り、機体は爆発に包まれる。
『ここは観測情報が薄いです。スモークの濃い場所に移動を』
「だな、すぐに移動するぞ!」
第二段階、セシリアの観測情報をダリルの駆る索的型が光送信で受信し、さらにそれを先行した二機のアッガイ、火力型Aのビリーと同じくB型のセバスチャンに送信。これにて身方は目眩ましの中で唯一敵機の観測を可能とする。
それにより叶う一方的な蹂躙。アッガイの小柄でスピーディーな性能を最大限に生かし、装甲を削ることなく強襲と回避が成立する。
戦況は圧倒的有利、全て滞りなく。新兵器たちの成果は想像を超えて機能している。
『くそおおぉおおおぉおおッッ!!!?!?』
『どこだ、どこから敵が なっ!?』
『砲撃はどこだ、敵は何体いるんだ!!』
「……通信は駄々洩れ、ダリルさん、もうそろそろ」
『あぁ、次で移動する。各機、第三段階だ!』
敵機の戦力は8割がたそぎ落とした。これ以上はいらぬ消費、各機弾薬をばらまきながら逃走ルートへ移動する。
目指す先は遥か北方、その地にダリルたちの目指す合流ポイントがある。
……戦果は上々、武力は十分。後は
最終目的、シャルロット・ローランの奪還。及び、モーレスとアルベールの失墜。
盤上の駒は既に動き出した。チェックへの道は数手先、ダリルたちの勝利は騎乗のモノではなく、手を伸ばし走り抜けた先で輝きを放ち待ち構えている。
目をくらますその光は希望か、それとも眩しいほどの絶望か、その答えは、つかみ取ったものにしか知りえない。
今回はここまで、次回またサンボルのパクリ、もといリスペクトな展開を想定しています。
修正前では小出しでたが、今回はアッガイ達を大盤振る舞いです。ISが完全にサポート、EOSもといサンボルアッガイ達が無双する展開、今まで書いた中で書くのが一番気持ちのいい話でした。やはり、サンボルアッガイは至高
まじで、サンボルアッガイのプラモ出ないかな。