無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT    作:サンボル好き

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最新話です。サンボルアッガイが好きすぎてくしもと節が止まらない今日この頃

PS4~5で遊べるバトオペ2ってのがあるんですよ。これがガンオン並みにマイナー機体も採用してくれるゲームで、ワンチャンアッガイシリーズ六種類、全部実装されないかと期待しちゃう。

プラモはいつになるやら


腐れ縁

 

 敵の襲撃に対抗するために、トラックの破棄はやむを得なかった。すべては囮として敵をまとめる餌、そして陽動からの包囲殲滅に成功した今、作戦は第三段階へ、つまりは逃走である。

 

 先日の雨で増水した川を下り、目指す先は南の大都市、湖を起点に並ぶそこは寄港地としても名高い場所。町名をヨハン・シティ。現市長の袖に金を通す男が実利を握る、そんな街にダリルたちの希望の箱舟があった。

 

『……』

 

「もう少し我慢してくれ、あと少しで外の空気が吸える」

 

『ええ、お気遣い感謝します』

 

 ダリルの隣、手をつなぎけん引する形で潜航するのはセシリア本人。ダリルたちと同じアッガイを身に纏うのはISの使用は察知されないため。

 ISには独自にコア反応が生じるため、待機状態ならまだしも起動すれば即位場所は特定されかねない。今ダリルたちが目指すのは人が多く住む市街地だ。故に、予備のアッガイに装備を持たせ、セシリアはダリルに曳航されながら水中を進む。

 

「しかし、火力型に狙撃型。換装すればどの局面でも対応可能。隠密作戦用だが通常スペックは次世代相当。本体だけでもこのスペックか、すごいなこれは」

 

 画面上に表示される詳細なスペック表、改めてその性能に感服する。

 

 世界初、水陸両用にEOS。パラジウム式の新型内燃機関とハイドロジェッド機関を搭載した脚部が水中下における高度な機動力を可能にする。

 

 先に装着していた作業ようなんて目ではない。最新鋭の秘密兵器、その肩書にたがわない一級品だ。

 

『そうでしょう、なんせ叔父様が用意してくださったものです。イギリスのBT社だけでなく、オルコット独自の技術も織り込んでいます。ダリル様がつかった鉱山の機体よりも、ずっと快適で身軽ですわよ』

 

「あれと比較すれば……まあでも、確かにこれは良い」

 

 フルスキンタイプの機体、しかしスーツ内部はそれほど不快でもなく、細かい所まで配慮の言った最新鋭機というべきか。このあたりは宇宙世紀のプチモビとか、真空空間での生存性につながる技術はかなり高めだ。過去の世界とは思えないぐらいに

 

「だな。確かに機動性もいいし、なにより息苦しくない。水の外に出ればだけどな」

 

『ですわね。ふふ』

 

 袖を通す試作EOS、セシリアたちが用意したイギリスの最新鋭機、コードネームをアッガイ。奇しくも未来で知る同じ水陸両用機と同じ名前、というわけでもなく、ただ名前がまだ決まっていないところでダリルがその名付け親を任命されただけだ。

 

 

……我ながら、安直につけてしまったが。まあ、大丈夫だろ

 

 

 今更になって、未来人である自身の過去に対する介入が若干気にかかる。だが、宇宙世紀までまだ遠い先の話だ。微々たる不安を捨て去る、考え事はまたあとにすればいい。

 

『……着いたぞ』

 

 時刻は夜。潜航したまま、俺たちは言われた座標の船倉倉庫に到着する。

 

 通信音声はダイレクト。水中から覗く港の岸壁に黒い影が。徐々に広く大きくなるそれは光を放ち、誘導灯のように来客を照らす。

 

……ここか、取り合えず嘘ではないみたいだ。

 

 水中トンネルを抜ける。先に進めばそこは基地の中か。白熱灯で照らされたガレージ内、傾斜となっている床を歩き、ダリルは頭部のパーツのみをアンロック。そこには装備を構えた兵士たち、皆等しく小銃を首から下げ、今にもこちらに銃口を向けてもおかしくないかに見える。

 

「……おい」

 

「少尉、どうしますか」

 

 次々に浮上する仲間たち、とんだ出迎え様に二人だけでなくあとから続くチェルシーさんも言葉を迷わす。

 

「大丈夫だ皆、彼らに敵意はない」

 

「信用できるかよ、俺はまだ納得してねえぞ。デュノアの子飼いが」

 

「……ほう、それはまた随分な言いようだな。」

 

 声の主、それは並び立つ屈強な兵士の中へ紛れ込むように、見る人が見れば場違いこの上ない男だが。いちおう、その身分を知る身の上のせいか、なんとも笑うに笑えない。

 

「……随分と、また出世したんですね」

 

「あぁ、お前とはこんな形で再開するとは、これも商売の神の思し召しだ。」

 

 丸々とした体形、横に極上の美人秘書を立たせ、男はダリルに手を伸ばす。

 

 ダリルは抜け出るようにEOSを脱着。湿った足場に降り立ち、今一度男と向き合う。

 

「本当にお久しぶりです、ガレ社長……まさか軍に戻っていたとは」

 

「なに、これはただの形だけだ。実際は今も商人だ。さて、セシリア嬢をはじめ、此度の戦いはなんとも見事であった。まずは休息を取れ、それから話をしよう」

 

 金と権力にまみれた手、しかし今はこれほど頼りになるものはない。

 

 ダリルたちの窮地を救い、そして目指すべき敵の懐へ飛び込む足掛かり。そのお膳立てが今ここにそろった。

 

 

 

「あぁ、そうさせてもらう」

 

 取次、こちらと同じ共通した目的。そのために、ダリルはこの男の手を取る

 

 互いに利益は提示済み、その上で両者は結託する。

 

「共に成し遂げようじゃないか、あのにっくきデュノアを出し抜くために。このヨハン商会、お前たちイギリスに全面支援を約束する。」

 

 

 

 

 

 

 時間はさかのぼる。

 

 ダリルたち一行が工場跡にて真相を暴いた際、その連絡は来た。諜報員、ペトロからの緊急連絡。その内容には耳を疑った。

 

「……協力、いったい誰からですか?」

 

 驚きを隠せず、ペトロから言われたその内容には耳を疑う。隠密行動で、この作戦自体は国家にも秘匿されている。であるのに、この戦線に加わりたいという、敵の寝返りが届いたのだ。

 

『耳を疑うのは無理ない、けどこれは上の……ロバート氏が了承した。』

 

「!」

 

『どうやってか知らないが、なんでもその男はあんたらの知り合いらしい。確か今、義足義手の男、ダリル・ローレンツと言った、そいつが案内役になるらしい。』

 

「……はぁ」

 

 端末に届くマップ情報、そこには現在接近する敵の情報、そしてそこから逃走した後に至る合流地点、確かなのはそれが敵勢力から出でる情報がある。

 

 罠とみるか、それとも希望か。悩みあぐねる一同の中、ダリルだけはその情報を見て思わず失笑していた。

 

「……セシリア、これは天啓だ」

 

「?」

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

 整備工で、EOS用のハンガーにアッガイ達が並び立つ。パーツがばらされ、フレームも露わに、始めて見るこの機体を整備員たちは四苦八苦し、唯一整備知識と機体情報を熟知しているセバスとビリーが四方八方に声を飛ばす。

 

その場にいるのは元軍人やその関係者、初対面ではあるが馬が合わないわけではなく、二人はすぐにその環境に適応している。

 

「優秀だな、ここの人間は」

 

「当たり前だ、商人たるもの人を見る目は必須だ。」

 

「ガレちゃん、偉い」

 

「ははは」

 

「「「………」」」

 

 整備スペースの隅っこ、事務所スペースのそこで俺たちは今ガレと話し合いの場に、横にいる美人秘書とのやりとりは限りなく無駄なものだが、突っ込んだら色々と負けな気がするので三人とも黙る。

 

「……話、いいか?」

 

「あぁ、もちろんな。だがその前に、今のわしを説明せねばな」

 

 傍に置く美女の膝を枕に、ガレはそのまま話を続ける。ふざけるなと言いたいが、どうしてか突っ込むと負けな気がする。

 

……言わなくていいのですか

 

……お嬢様、ああいう手合いは押せば余計に燃えるタイプです。

 

……あぁ、確かに。……参考になります、いつか私も

 

……お嬢様、参考にする相手を選んでください。アホがバレます

 

「……」

 

 うん、現在進行形で隣もあれな会話で、これも突っ込んだら負けな気がする。とにかく飲み込んで話を聞こう。

 

 ガレは語る。会社を辞退し、かねてから持っていた蓄えを利用して独自に商売を始めたとか。欧州とアジアを往復し、希少な美術品、出土品を買いあさり、転売したり貸与したりと国を渡り歩いていたらしい。

 

 それなりにうまくいっていたらしいが、なんでも欲の皮が張ってご禁制の品をつかまされトラブルにあい、逃げ延びた先にはデュノアと言う悪魔の結果またもデュノアにこき使われる羽目になったのとか。御伽噺(フェアリーテイル)並みに分かりやすい結末だ。

 

「やつら、わしが美術品の貿易に乗じて武器売買をしてることに気づきよってな、貸しを作り、財産を奪われ、結果は奴の子飼いのマフィアよ。」

 

「それで、でもここは」

 

「ドイツ軍の駐留地だ。わしの古い連れがいるよってな、こうして倉庫内を秘密裏に基地とさせてもらっておる。まあ、なけなしの宝をいくつか買いたたかれたがな。」

 

 ぐちぐちと、聞いてもいない他人の悪口を早口で叫び続ける。横の美人はそんなガレを甘やかして、ああもうそういうのはベッドでやってくれ。

 

 詰まる所、この男はまたアコギな商売に手を出して、そして結局またデュノアの二の舞。そんな中、ガレはデュノアからの依頼で今回の事態を断片的に知った。義足義手のEOS使いの報告、そしてイギリスの不穏分子のうわさ。よくぞここまでこぎつけたものだ。

 

 愚か者ではあるが無能ではない。鉱山での醜態こそ目立つが、あのデュノアを相手にこうも大きく動いているのだ。人間的な面はともかく仲間としては頼もしい。

 

「……社長、身の上話は十分に知った。」

 

 聞くべきは、接触した目的。その言葉の意味を

 

「いったい俺たちに何をさせたい、デュノアを出し抜いてまで、俺たちに協力する目的は何だ」

 

「それよ、それを今説明するつもりだったんだ。」

 

 そういうや、傍の美人は胸の谷間から記録端末と思うスティックを取り出す。趣味の悪さは無視して、受け取ったそれを端末で起動。テーブルに置き立体映像で中央に展開する。線で構築されていくのは見知った街並み。フランスのパリ、ちょうどダリルが観光で足を運んだ街そのものだ。

 

「お前たちの目的はデュノアの娘、そしてその悪だくみを暴くこと。お前らのことだ、諜報員を使って医療施設でも暴けば見つかると思っただろうが、そうはいかん。」

 

 映像の中にガレは手を入れる。指先でつまみ広げるのはピラミット型の建物。そう、ルーブル美術館の内部情報だ。

 

「?……こんな場所に、シャルが」

 

「普通のフロアにはおらんよ、だがな、ここだ。地下2階より下のフロア、ここには通常の客を寄せ付けんVIP専用のフロアがある。まあ、多くは非合法オークション、人身売買とかが開かれとるよ。」

 

 あたりまえのように言ってのける。けど、アルベールのことなら、あながち否定はできない。むしろふさわしいとすら思える。

 

「……なるほど、それを主催しているのがデュノア、あのアルベールなのか」

 

「正解だ。だがな、注目するのはそこじゃない。この施設には町の発電施設とは別の電力ラインを引いておる。」

 

 区画をさらに広げる。ただし、そこからさきはアンノウン。何も表示しない

 

「わしの権限ではここまでが限界だ。だが、こうも後ろめたい部分があるなら、おそらくそれは件の研究施設、そう結論できる。お前たちの追う秘密はすべてルーブルの地下施設にある。」

 

 地下深く、アンノウンの表示が妙に重く見える。場所は国家機関も関わる場所で、しかも警備は厳重だ。

 

……そんな場所に、シャルが

 

「国立美術館の下だなんて、なんとも奇抜な方法ですね。けど、かなり厄介ですわ。忍び込むにせよ、相手は天下の牙城です、かといって強硬手段はリスクが大きい、政治的に敗北しては元も子もありません。」

 

「あぁ、だろうな。だから、社長」

 

 先ほど言った商会の話、ガレは自身の宝が接収されたといっていた。おそらくその場所は

 

「理解が早くて助かる。アルベールの野郎、俺の仏像をルーブル地下に置きやがった。次のオークションまでに取り返さんと水の泡だ。」

 

 ガレの狙い、この男は利益のために動く。ようは、シャルを助ける代わりに

 

「俺たちにオーシャンズを、快刀乱麻に活躍する盗人を演じろと、そう言いたいのか」

 

「ご名答だ。まあ、お前たちは騒ぎを起こしてくれればいい。互いに邪魔せず、相乗効果で動こうって話よ。」

 

 気を良く、ガレはダリルに手を差し伸べる。思わず、とっさに掴もうとする手を、チェルシーさんは止める。

 

「本当に、その情報は正しいと」

 

「信じてもらうしかない。わしはお前らを見捨てたりせんよ」

 

「さぁ、お宝さえ手に入れば、あとは切り捨てるなどはフィクションの定番です」

 

 手を切る、チェルシーさんの疑いはもっともだ。じっさい、この男は鉱山の皆を見捨てて逃げようとした前歴もある。

 

「なるほど、チェルシー嬢はそう思ってらっしゃるのか。いやはや、なんとも非情な。さすが、年よりの顔を足蹴に「……すっ」ひぃいいッッ!?」

 

 膝を少し掲げただけでこのビビりよう、よほど以前の刑罰がトラウマになっているのか。また美女にすがって、少し同情する。

 

「チェルシーさん、今は抑えて。」

 

「わ、わしは裏切らん! わしには、今回のことが終わった後の受け入れ先がいるんだ! しょ、商売を始めるには、デュノアの息が及ばん新天地がいる。そこで、その嬢ちゃんだ」

 

 美人の胸に顔を隠したまま、ガレはセシリアを指さす。

 

「お前さんが、わしのヨハン商会の後ろ盾になってくれ! そうすれば、仏像商売は安泰だ。最後まで協力関係はあるんだ、どうだろうか」

 

 少し悩んだ顔で、セシリアは返答に言いよどむ。気持ちはわかる、こんな狸おやじをはいそうですかと受け入れるのは釈迦だって容易ではない。

 

「……武器商売は」 

 

「いっさいせん! 美術品一本でわしは食っていく、元々そのための商会だ。」

 

「……はぁ」

 

「セシリア、俺からも頼む、いまは」

 

「ええ、仕方ないですわね。ヨハン・ガレ、イギリス亡命後の身元引受を承諾します。その見返りに、此度の計画を」

 

「も、もちろんだ!」

 

 今度は差し出した手を握る。ここで協定は築かれ、ゴールまでの道筋は大きく短縮された。

 

……進んでいる、あとは

 

 敵の場所はわかる、懐に潜る手はずは整った。あとは反撃をいなす牙と爪だ。現状の戦力はアッガイが6機、ISは非戦闘用で、けど容易には使えない。

 

 市街地での戦闘、おそらくミラージュは容赦なく暴れるだろう。常識は通じない女だ、恐らくテロリストか、身分を隠して暴れるに違いない。セシリアの使うティアーズは確かに対応こそできるが、コア反応を探知されればそこですべてが終わる。

 

「全部が解決した訳じゃない。けど、これだって立派な前進だ。」

 

 期日まで、あと一週間。それまでに出来ることは全てやる。

 

「世話になるよ、社長。ここまで来たら一蓮托生だ、全員生きてあがりにする。」

 

「もちろんだ。わしだってここで沈むつもりはあらん。」

 

「ガレちゃん、偉い」

 

「ほほう、そうだろ。そうだな!わしはぐべへッ!?」

 

「あっ」

 

 手が出てしまった。結構なパワーで放ったデコピンがクリティカル。座っていたパイプ椅子ごと床に転倒

 

…………まあ、仕方ない。

 

 ふと横を向けば二人がグーサインを見せる。

 

「おま、おまえ…………協力相手に何を」

 

 なら、ちゃんと振る舞ってください。いい大人が、しっかりしてくださらないと

 

「話を戻しましょう。場所がわかって、次は結構日です。」

 

「かっ、勝手に…………まあ、いい。結構日はリミットいっぱい、それにはこの件が…………」

 

 語らう夜はまだ続く。

 

 




今回は戦闘なしで、ここまでになります。次回はまたしばらくしたらで、ここ以降の話でプロット絶賛迷走中です。気長にお待ちを
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