無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT    作:サンボル好き

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投稿が遅れました。

クライマックスと言いましたが、もう少しお付き合いください。あと4話ぐらいで終われればいいなぁ


筆者は文系の人間で理系知識は自信無いです。だから矛盾があっても好意的な解釈していただければ。でも感想でアドバイスとかあったらシンプルうれしい





反撃の円舞曲・ヴィヴァーチェ

 約束の日、俺たちの作戦はシンプルだった。

 

 内部への侵入はガレの協力で容易に、武装はオークション用の商品に紛れさせ、俺たち自身も商品としてもぐりこんだ。

 

 頑強な地下シェルター、管理が厳しい国際的な美術館という堅牢な門もあり、その侵入は容易ではない。だからこそ、ガレの協力は奴らの盲点だった。

 

 侵入が叶い、チェルシーさんは手はず通り、自らを使ってモーレスを確保へ

 

 そして、俺とセシリアはシャルの救出を

 

 厳重な警備、そして内部戦力を考慮すれば、到底新型のEOSでも乗り切れはしない。

 

 奪還のタイミングはショーのさなか、誰もが無理と思われるこの状況

 

 その突破口を開くのは

 

 

 

 

〇 

 

 

 

―side セシリア

 

 

 

 

 全身に付与された増加装甲、そのつなぎ目が開く。

 

 露出したフィンパーツはビーム発信機、内部で増幅、加速された粒子のエネルギーが淡く身を包んでいく。深夜の空に星々が彩るように

 

 

……展開時間は12フラット、出力は依然上昇

 

 

『やれ、セシリア』

 

 

「……ええ、おまかせくださいましッ」

 

 ダリルの合図に呼応、セシリアはイメージ操作で次々にタスクを完了していく。

 

 スターレス・ティアーズ、その形態が持つ本来の性能は電子迷彩。ビーム発信機の技術を応用し、粒子の衝突エネルギーの電磁パルスを機体全面に展開する。

 

 ISのコア反応を発生させないため、発信器にためたビームコンデンサーの電力を使用することで、有視界による探査以外であればまずその存在を認識することすら叶わない。

 

 それこそがナイトストリクスの形態変化、スターレスティアーズ。エネルギーに頼らず、純粋な電力のみで起動する隠れ蓑

 

 だが今、セシリアはその機能を、100%の出力で使用している。

 

 

「コア・ジェネレータ最大、パルス境界封鎖!」

 

 

 過剰なまでの電力、機体周囲にとどまらないそれは放電の形で周囲に散布してしまう。だがそれは今、ISのエネルギーシールドで完璧に閉ざされている。

 

 指向性を持ち、内部で加速と増幅を繰り返す。不可視の雷霆

 

 それは危険なまでに、融解寸前の炉のごとく数値を過剰増幅させる。

 

 

 

……カウント3、2……ナイトストリクス、強制解除!!

 

 

 シールドの枷は解かれ、雷霆は秩序を失う。

 

 スターレス・ティアーズが光を落とす時、世界に星なき夜が訪れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!……お前たち、今すぐそいつを」

 

 アルベールが叫ぶ、周囲を囲むEOS達も銃口を向け、今その引き金を

 

 

……バチンッ

 

 

「!」

 

「言っただろう、もう遅いと」

 

 点滅する照明、配線ははじけ火花を散らす。

 

 ダリルの視界では、センサーの目が高額カメラから暗視界用の画面に切り替わる。

 

 そう、今この場に光はない。すべて途絶えた

 

「これは、まさかッ」

 

 狼狽するアルベールの声、だがそれも無理もない。

 

 動揺はいたるところに、悲鳴の叫びが、光なき世界で亡者たちの巣窟のような、得体の知れない狂気が伝線していく。

 

 

 

……成功だセシリア、あとでハグしてやるッ

 

 

 

 気の大きくなった戯言、だがそれほどに、痛快なまでに策は功を奏した。シャルを抱え、ダリルはすぐに転進

 

 混乱に乗じた逃走、その駆動音は暗闇でも理解できる。

 

「……追えッ、ミラージュ!」

 

「いや、無理でしょ。この状況で」

 

「貴様わかっているのか、奴はあれを……なッ」

 

「ほら……行きたいならご自由に、けど、飲まれるわよ」

 

 冷めきった返答。怒りを覚え、言及しようとするが、それ以前に

 

 観衆の声が現状を嫌でも理解させる。

 

 

……だ、誰かいないか……助けを、出口を

 

……邪魔だどけ!こっちに集まるなッ

 

……いやぁあ!!お、押さない……ぁぎ、がが

 

 

 押され、踏まれ、大衆はパニックで混乱に陥っている。非常用の照明も機能せず、何も見えない文字通りの漆黒の世界でもがき続けている。

 

 

……どういうことだ、なぜ非常用の電源まで

 

 

 大規模停電、あらゆる災害を備え、この施設は地上から隔絶されている。中央の発電区画以外にも大小さまざまなコンデンサーは備えられ、まさに一個の独立した地下シェルターともいえるべきこの空間

 

 しかし、そうであるはずなのに、まるで施設全体が死に絶えたように

 

「……ッ!」

 

 周囲に展開したEOSも変わらず、そしてそれはミラージュの駆るラファールでさえも動きを取らない。センサーの類のライト部分が消えきっているのだ。

 

 ハッキングやジャミング、しかしそれにはあまりにも効果が単純で、しかして絶大的だ。

 

 

……通信、配線、さらには兵器の電子回路にまで、まさかこれは

 

 

「……EMP、攻撃ッ……まさか、そのようなものまでッ」

 

 

 EMP、エレクトロマグネティックパルスの略称。その効果は電子機器の身を破壊する不可視の戦略兵器。

 

 軍事兵器に携わるデュノア社のトップであるからこそ、すぐにもその解答に至った。

 

「ええ、電磁パルス攻撃が原因ね。どうやってかは知らないけど、ISにも機能支障が出るほどの出力だなんて、核でも使ったって言われても信じちゃうわ」

 

 ミラージュの軽口、なぜなら高レベルのEMP攻撃は高高度の核爆発による電磁波の拡散が、現代で想定される有効な手段であるからだ。

 

 無人偵察機を打ち落とすどころではない、まさに未来の兵器、これほどまでのもの、まずあるとすればISの兵装

 

……けど、いまはどうでもいい。こんなだいそれたもの、連発はできないわよね

 

「さて、ダリルには逃げられたし、あたしもこの借りものじゃ戦えないわね」

 

「……ッ」

 

「あら、どうしたのかしら」

 

 ラファールの手を掴む。暗視センサーでその顔はかろうじて見える

 

「……出るぞ、そして奴らを追う」

 

「へぇ、まだあきらめないのね」

 

「戦力を整える、軍関係を呼び起こし、対テロ殲滅部隊をッ」

 

「……そう」

 

 

 

……ぐじゅ

 

 

 

 

「!」

 

「そうね、まだ戦いは終わってないものね」

 

 トンと、軽く押して突き放す。目の前で、アルベールは腹を抱え膝をつく。

 

 膝をつき、動けないでいるその足元には、どす黒い水たまりが今も広がっていく。

 

「お疲れなさい。もう十分よ、あとは休んでおくといいわ……ハハ」

 

「貴様、なにを……」

 

「……」

 

「まさか、裏切るのか! 貴様!!」

 

 叫ぶ、どこにいるかもしれないミラーズを懸命に探す。そんな姿を尻目に、ミラージュはその場を去る。

 

「まて、行くな……あれを、イリスの遺産を、貴様らはどうするのだッ、ファントムタスクは、あれの生産ラインが欲しいのだろ、なら、なぜデュノアであるこの私を」

 

 

……ダダ、ガタガタガタッ!!!

 

 

 

「……ッ!?」

 

 群衆の足音、観客席で押し合いへし合っていた亡者たちが、今アルベールの元へと雪崩れ込む。

 

「今回の要求、全部私の独断なの……だから、何をするのも私の自由」

 

 

……光だ、出口だ

 

 

……たすけ、タスケタスケタスケッ

 

 

「!……き、さまぁ」

 

 腹部に刺さる一本のナイフ、しかしその柄には眩しいまでの光源があった。

 

 軍でも使われる強力な懐中電灯、それがワイヤーでナイフにくくられている。

 

 そして、今ここは一切の光無き地の底

 

 強烈なまでの光、その輝きに吸い寄せられるように

 

 

「……ッ」

 

 見える。光を蝕むように、血にまみれた腕が目が顔が、亡者の大軍が自分を襲う。

 

 

 

 

「――――ッ!!?!?」

 

 

 

 

 

 

  ×  ×  ×

 

  

 

 

 

 どこか遠くから聞こえる断末魔

 

 少しだけ罪悪感を覚えるが、だがここの連中はもともと外道しかいない。

 

 ダリルたち一行は、人身売買の奴隷に扮して、鉄格子の中でこの場に来た。その際、他の運搬中の奴隷もいくつも見てきた。

 

「まあ、これだけの騒ぎだ。いずれにせよ明るみに出る……だから、今は」

 

 腕に抱くシャル、ダリルはアッガイのフロート移動で施設内を駆け抜ける。目標の脱出ポイントまで、それにはここよりも下へと降下しなければならない。

 

「……シャル」

 

「……」

 

 腕に抱く少女、以前に会った時よりも少し皮ばって痩せているように見える。あばら骨も浮き出て、それに肌には生傷が目立つ。

 

 

……すぐに、医者に見せないとな

 

 

『……ガ……ザザ』

 

「!」

 

 電波のノイズ音、まだEMPの影響が残っているのか

 

 通信はできない。つまり、今現在は皆己の判断で行動している。

 

 脱出ポイントまで、あと少し、資材搬入用のエレベーターのそこをぶち抜き、ワイヤを伝って下へと降下中

 

「リミットまで数分、間に合うかッ」

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 作戦前夜、パリ市の安ホテルで俺たちは明日の作戦の最終確認をしていた。

 

 ボードに書き連ねたいくつものタスク、潜入から各自の行動、そして最後にすべてが一つに帰結する。

 

「こほん、皆わかっておるが……此度の作戦はそれぞれがここに動く。お前たちはモーレスを、そしてダリル貴様らはアルベールを……そして我らは」

 

「歴史的な至宝を火事場泥棒だろ。一緒くたにすんじゃねえ、このモグラデブ」

 

「な、貴様ッ」

 

「あぁッ!」

 

「……話を戻そう。とにかく、我らは脱出のために、地下に潜る。……上の通路は人で塞がるだろうし、なによりEMPの影響で、少なからず上の美術館にも影響が出る。地下から出ても、上は警察や消防でいっぱいだ。まず、掴まる」

 

 表立ってみれば、アルベールたちも、そして自分たちも、今国からすれば不当なテロリストも同然。ガレの用意した人員も加えて、その規模は30人の大所帯だ。まず、間違いなく表からの脱出は不可能。

 

 だからこそ、そのための逃走経路であり、乗り物だ。

 

「……いいかお前たち、この大規模な地下基地を作ったのはモーレスだ。奴は土建関係にはとかく手が回る。耐震工事、水道管設備、とにかく理由を付けては秘密裏に網を作った……見ろ、これが」

 

 そう言い、ガレが映し出すのは端末から照らすホログラム。

 

 パリ市の街の映像がどんどん上に、つまりは地中深くに下がる。すると、そこからは網目のように、複雑な路線が幾重にも広がる。

 

「パリの地下鉄工事、都市開発事業にも奴は関与した。架空の業者を使い、自分の手の者を回し、路線を不必要に増やした。だが、これは全て消された情報だ」

 

「……秘密の路線、違法な輸送品の搬入、まさかそこまで」

 

 セシリアが苦言を呈す。外道とはいえ、その表向きは自分の身内だ。

 

 モーレス、やはりアルベールと同じ、どうしようもない外道と改めて理解する。

 

……人身売買、違法取引、国賊

 

「けど、今は何でもいい……つまりは、奴の持ち物で脱出するということなんだな」

 

「あぁ、話が早くて助かる。……だがまあ、すぐにはこれが使えん。ステーションは地下施設の外部に取り付ける形で突いておるが、それでもEMPの影響はまぬかれんだろう。だから、ここからが注意点だ」

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

 地下の最下層。そこは資材すことも言うべきか、いくつもの四角形の箱が折り重なり、さながら迷路のように積み上がっている。

 

「……ここを抜ければ」

 

 あと数ブロック、小さな区画を抜ければ脱出ポイントのガレージまでたどり着く。

 

 目算で100m四方の部屋、中央に真っ直ぐ続く道

 

「……もうすぐだ、シャル」

 

 腕に抱く少女。 

 

 慎重に、ここまで運び続けて、ダリルはふと思った。

 

 

……なぜ、誰もいない

 

 

 ここに来る道中、EOSを付けているとはいえ、出来る限り人の通りを避けて移動してきた。激情の区画、研究施設、そして倉庫区画、その道中、一歳の生きた人間と遭遇しなかった。

 

 パニックを避け、室内で籠城しているのか

 

 もしくは

 

「!」

 

……嫌な予感だ、大当たりかッ

 

 スロットルを回す。トリガーを引き、背部スラスターを噴射。

 

 シャルを抱えたまま、アッガイを全力で後退、横合いの道に逃げ込む。

 

「……伏兵、違うな」

 

 もし、伏兵であるなら、この場よりも優先するべき場所がある。

 

 それは、脱出ポイント、ガレが指定した注意点は二つ

 

 

……指定時間まで、脱出は不可能。EMPで故障した部分を取り換える作業に数分、そして

 

 

「脱出ポイントを、敵に悟られるなッ」

 

 ここで敵にポイントを知られれば、確実に列車を破壊しに来る。ここは地下の牢獄、出口が無くなればいずれじり貧になる。

 

 選べる選択肢は一つ、ここで敵勢力を振り切るか、もしくは

 

 

「……ここで、敵を倒すッ」

 




オリ機体、オリ武装、設定が多くなってきました。IS学園の入学の3年前、前日端的に書いているのですが正直ここまで壮大な展開になるとは思っていませんでした。

二次創作という名のオリジナル、SF作品書くの楽しい。

本業はセンシティブな作品ですので、落ち着いたら番外でちょいピンクな話をかいてもいいかもしれません。実はあんな夜やこんな夜にこんなことが、でもヒロイン達は未成ね……


次回

反撃の円舞曲・プレスト


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