無限の蒼穹に雷鳴は轟く IS× THUNDERBOLT 作:サンボル好き
フェルシア・カフゴ、彼はギャングの頭目であると同時に歴戦の軍人でもあった。
かつては一国の特殊部隊に所属、しかしとある事情からの立場を追われ、いつしかたどり着き出会ったのは隣国のごろつき達と、その裏にいる民間会社。彼は仕事を手に入れ、同時に力を取り戻した。
組織はあくまで会社の子飼い。だが、彼の持つカリスマというべき頭角が、自然と周囲に人物を引き込みいつしか一つの個と化した。
彼の右腕として認められたジェバンという男は言う、アルベールには舌を出して頭を下げる。だが、フェルシアという男においては、自分たちは差し出された手に口づけをして忠誠を捧げると。
フェルシアは軍を有している。それも、アルベールが把握するよりも、統率力という点で圧倒的に優れた軍を、だ。
汚れ仕事、その内容は徹底した対人の殲滅。つまり、この平凡な太平の時代において、唯一実戦経験が豊富な兵士。演習で戦力の過多を披露する軍人よりも、彼らは非常に優秀な働きを示し、強襲と殲滅を的確に遂行する。
枷の外れた狂犬。見えない牙の威を借りずとも、彼らは明確な脅威となり得る。
× × ×
ターゲットの車両がポイントを通過
砲撃班、強襲班、遊撃班、共に戦闘配置
『……全機、EOS起動、アンブッシュから飛び出ろ。獣のように、野蛮に牙をむいて……食らいつけッ』
〇
「ガレ、ガレはいるか!」
「なッ」
運転席、そこでふんぞり返るヨハン・ガレにビリーは詰め寄る。隣で惚けている秘書を無視し、ビリーは本題をぶつける。
「速度をあげろ、今すぐこの地帯から離脱しろ!」
「な、バカなことを」
胸倉をつかみつめいられる。投げられた言葉は、ガレでなくても疑問に抱くものであった。
現在は蛇行する警告を走る道。速度をあげればカーブで曲がり切れず、脱輪、横転の危険もあるからだ
「貴様、ここにきて事故死でもしたいのか?」
「ばか、今やらなきゃ……俺たちは戦死するッ」
「!?」
場の空気が凍る。皆が、ビリーの言葉を待つ。
「……アッガイの、俺たちの機体は水陸両用。音に関する探知機能は大抵有している。それで、今俺たちの走っている架線の音、それを拾い分析した。追手が来ている、この線路を使ってだ」
「な……まさか、いやだとして……それなら、どれだけ距離が詰められている」
「おそらく、約五キロぐらいだ」
「五キロ、なら問題ない。入り組んだ道ゆえに、追手とやらもスピードは出せないのだろう。」
「馬鹿、お前はそれでも元軍人か!!」
「……ッ!!」
「たったの五キロだ、それだけあれば届くんだよ。敵の戦力は軍隊と同質なら……あり得るんだッ」
「……な、まさか」
「!」
ビリーの顔色が変わる。会話のさなか、耳につけたカフスが連絡を運んだ。
後部で、備えているセバスからの緊急連絡。情報を脳で処理し、すぐに
「速度を落とせ!!」
「!?」
飛びつくように、割って運転席をのっとりビリーはブレーキを引いた。
『全員、衝撃に備えろ!!』
叫ぶ、アナウンスが車両内に響き渡る。同時に
……ガコンッ!!!
『―――――――ッッ!!!?!?!?』
「……くッ」
急停止、車両の負荷は全体に振動し、立つ者は慣性で体が持っていかれ壁に床にと転がりまわる。
だが、そんなことに構っている余裕などなく、ビリーは引き絞ったブレーキをなおをも強くひき、強引にでも列車を止める。
「……ッ、は!」
見た、見えてしまった。
セバスが伝えたのは、遠くからの射出音、恐らくは遠隔砲撃の類か、しかし動き続ける車両を見もしずに狙うのは至難の業。故に、狙ったのは移動の線
地形図を対象に、彼らは狙い放った。
落ちたスピードで列車が向かう先、そこには
「備えろ、ぶつかるぞ!!!」
「な!?」
『総員、対ショック姿勢!!とにかく歯ぁ食いしばってしがみつけッ、ぶつかるぞ!!?』
〇
約五キロ地点、ビリーの予想通り、彼らはそこで砲撃を放った。渓谷と鉄橋が入り組んだ線路の道、しかし湾曲して飛ばす弾頭は200マイル程度、難なく迫撃砲で特殊弾頭は放たれて必着した。
線路を走る装甲車が数台、ぞろぞろと顔を出すベルサーガ。
フェルシアもまた戦闘で陣頭指揮を執る為、指揮官機に登場している。
「ジェバン、対象は」
「衛星写真ですから、しばしお待ちを……ぁ、今見えました。安心です、敵は止まっています」
「グッド、上々だ」
敵の進行を止める壁は放たれた。先行した舞台が火ぶたを切る。
機甲小隊、ベルサーガの数は12機。悪路を踏破可能な歩兵を含めて総勢30
「作戦を開始する。目標は生け捕り、それ以外は……始末しろ」
「「「「了解ッ」」」」
「……威勢がいいわね、ほんと」
今回はここまで、短めな内容ですが次回からがっつり戦闘描写です。