「明日息抜きがてら近くの公園に遊びに行かない?」
「息抜き?いきなりだね?」
翌日俺は、練習の終わった後エマさんに声をかけていた。と言うのも、最近エマさんが元気ないって近江さんと桜坂さんから聞かされたからなんだけどね。とは言え、これは俺の話した”対策”にもちょうどいいかと思って誘ってるんだよな。
「エマさん、自分らしさが何かって悩んでるんでしょ?だったらじっとしてるよりはどこか楽しいとこにでも言って気分転換したほうが考えもつくかもよ?」
「うん、そうだね。わかった、じゃあお言葉に甘えて行かせてもらう事にするよ!」
「グッド!じゃあ予定とかは後で伝えるからよろしくー!」
そんなわけで俺はエマさんと一緒に公園に遊びにいく事になった。エマさんは【自分探し】のために、俺は俺が立てた”対策”の【みんならしさを見つけるためにメンバーと触れ合う】を遂行するために。
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そして次の休日、俺は朝の家の台所に立っていた。何してるかって?もちろん弁当を作ってるからだ。今作ってるのはサンドウィッチ、具材はレタスとハムにマヨネーズをかけた物と卵をサンドした物、そしてカツをサンドした物の三種類にした。量が少し多くなったが、これなら飽きさせないで食べてもらえることができそうだ。せっかくエマさんに付き合ってもらってるんだし、お礼の意味を込めて・・・・・・な?
「な〜にお弁当作りながらニヤニヤしてんの〜?気持ち悪いんだけど?」
「別に良くないか?母さんだって昔は父さんの弁当作ってる時はいつもニヤついてたじゃん?」
「っ!?い、いやあれは・・・・・・ってか貴方よくそんなこと覚えてたわね・・・・・・私も半分忘れてたわ・・・・・・」
「いずれ母さんをいじる時に武器になりそうだって思ったからさ〜?」
「親をなんだと思ってるのよ!?それとそんな黒歴史をこれからも蒸し返すのはやめてくれる!?」
「そっか〜、じゃあ母さんが父さんの下着を毎日鼻を鳴らしながら嗅い・・・・・・」
「もうやめて〜〜〜〜!!!」
朝から母さんの絶叫を聴きながら、俺はそのまま弁当作りを再開させた。相変わらず仲の良い夫婦だこと・・・・・・。
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「・・・・・・で?なんで2人までいるんだよ?」
弁当を作り終えた後、俺は時間通りに目的の公園につきエマさんと合流したんだが、なぜかそこにはエマさんの他に近江さんと桜坂さんの姿もあった。
「いや〜、なんかエマちゃんから誘われちゃってね〜?人数が多いほうが楽しめるって〜、だから彼方ちゃんも来ちゃったのだ〜」
「それに、私たちもエマさんの事はどこか心配してましたし、いい機会だと思いましたので・・・・・・もしかして迷惑でしたか?」
「俺は構わないぞ?2人のことももっと知りたいと思ってたしな」
「本当ですか!ありがとうございます!」
にこやかな笑顔を浮かべて喜ぶ桜坂さん。こう言った笑顔もまた可愛くていいな。見てるだけで癒される感じだ。
「でも、せめて連絡ぐらいはして欲しかったよエマさん〜。俺の連絡先は知ってるよね?」
「うん、でもすっかり忘れちゃってて〜・・・・・・」
「天然だな」
「ええっ!?」
いや・・・・・・驚いてる顔してるけど、誰がどう見てもそれは天然だぞ?いずれ自覚させよう・・・・・・。
「さて、時間がもったいないし、早く行こっか。ここではいろんな体験もできるみたいだしな」
「おぉ〜、それは楽しみ〜」
「私、バードウォッチングとかやってみたいな〜。スイスでもやってたから!」
「よし!じゃあ行くとしますか!桜坂さんもやりたいことあったら遠慮なく言えよ?」
「そうですか?じゃあ早速一ついいですか?」
「おぅ、なんだ?」
桜坂さんはそう言うと、静かに俺のそばまで近づいてきて、背伸びをしながら俺の耳元でこう呟いた。
「私のことを、”しずく”って呼んでください。お願いします」
「ん?ああ、構わないぞ。なんで今それを言ったかはわかんないが・・・・・・まぁいいか!じゃあこれからはよろしくな”しずくちゃん”!」
「ふふ・・・・・・はい、よろしくお願いしますね?隆斗さん・・・・・・」
なんだかこれをきっかけにしずくちゃんとの距離が少し縮まったような気がしたが・・・・・・気のせい・・・・・・では無いな。と言うかむしろこれを望んでいたんだからむしろ喜ばないとな!
そのまま俺たちは公園の中を散策しに向かった。
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「ふ〜、結構遊んだらお腹空いてきちゃったね〜。そろそろお昼にしようか!」
「そうですね。私もお腹が空いてきました」
「彼方ちゃんもこんなに遊んだの久々だったからお腹減っちゃった〜」
「なら、近くの広場に移動するか。あそこなら空気も上手いし暖かいからさ」
「「「さんせ〜!!」」」
昼時まで遊んだ俺たちは、ちょうど全員の腹の虫がなった事もあって昼食を取る事にした。ちなみに遊んだのは主にバードウォッチングや自然散策、持ってきていたボールで遊んだりなど結構バリュエーションがあった(ボールで遊んだ時にしずくちゃんが放ったボールが全く見当違いの方角へと飛んで行き、そのまま池に落ちたボールを俺がなんとか救出したのは内緒の話だ)。
「よ〜し!今日は俺が作ってきたサンドウィッチを3人にご馳走するわ。量多くなってどうしようかって思ってたけど、ちょうど良かったし。みんな、遠慮せず食っていいからな!」
広場でござをひいた後早速俺が今朝作ってきたサンドウィッチをござの上で広げた。
「すっご〜い!これ隆斗君が作ったの?私サンドウィッチ大好きだから嬉しいよ〜!ありがと!」
「隆斗くんは料理男子だね〜。彼方ちゃん思わず惚れそうになっちゃうよ〜」
「隆斗さん、ありがとうございます。ありがたくいただきますね」
3人は俺にお礼と感謝をした後、サンドウィッチを一切れ取り、口に運んだ。
「おいし〜!このレタスとハムが入ったのすごく美味しい!いくらでも食べられちゃうよ!」
「お〜、このカツサンドもまた美味し〜。彼方ちゃんの眠気まで吹き飛んで行っちゃいそう〜」
「卵サンドも美味しいです!卵がふわふわしていて、口触りも柔らかいのでとても食べやすいです!」
「それならよかった。早起きして作ってきた甲斐があったってもんだ」
どうやら俺のサンドウィッチは好評のようだな。これで不味いなんて言われたら周りの目も気にしないで発狂&号泣してたとこだな・・・・・・。そう思いながら俺も自分のサンドウィッチに手を付けた。・・・・・・うん、我ながら上手くできたな!
「ん?あれ?・・・・・・寝てたか?」
サンドウィッチを食べ終えた後、気持ち良くなって横になったことまで覚えているが、そこから先は覚えていなかった。どうやらその後すぐに眠っちまったらしいな。・・・・・・やれやれ、人間が食べてすぐ寝ると牛になるって言われてたが、わかりきってたことだが牛になんてなってないよな?うん、大丈夫!
「ん〜〜、むにゃにゃ・・・・・・」
「あれ?近江さんも寝てる・・・・・・しかも、俺の隣で・・・・・・」
なぜか俺の隣で近江さんが眠っていた。この状況を誰かに説明してもらいたかったが、生憎エマさんとしずくちゃんはトイレにでも行ってるのか、席を外していた為それは叶わなかった。
「ん・・・・・・?おぉ〜、隆斗く〜ん、おはよ〜」
「っと、近江さん起きちゃったか。悪いな。起こしちゃったか?」
「だいじょーぶ〜。もう充分寝たから元気いっぱ〜い!」
起こしてしまったことを謝ったが、本人はそこまで気にして無い様子だった。
「それならいいけど・・・・・・それよりもなんで俺の隣で寝てんだよ?」
「いや〜最初は寝てる隆斗くんを眺めてたんだけど〜、だんだん彼方ちゃんまで眠くなってきちゃって〜そのまますやぁ〜っと・・・・・・」
「ある意味すげー度胸だな近江さんは。男の側で寝るとか・・・・・・」
「ん〜?隆斗くんは寝ている彼方ちゃんに何かするつもりなの〜?」
「悪戯はするかもな〜」
「それは手厳しい〜〜・・・・・・」
目を擦りながら不満を口からこぼした近江さん。なんで近江さんとこんな話しないといけないんだ?
「それよりもさ〜?そろそろ隆斗くんも彼方ちゃんのこと【彼方】って呼んでくれてもいいんだよ〜?同好会のみんなはそう呼んでるし〜」
「?呼んで欲しいならそう呼ぶが?」
「呼んで〜」
「わかった。じゃあ【彼方さん】。これからもよろしくな!」
「こちらこそ〜」
今日1日だけで呼び方が変わったメンバーが2人。珍しい日もあるもんだ。それから数分後、エマさんとしずくちゃんが戻ってきた。っと思ったら、急にエマさんが歌い始めた。
「あれ〜?エマちゃんなんで歌ってるの〜?」
「なんとなく、歌いたいって思っちゃってね!」
「ふふ、エマさんらしいですね」
「全く・・・・・・相変わらずいつもマイペースでのんびりしてるって言うか・・・・・・ある意味着飾ってなくていい気がするが・・・・・・・・・・・・!!」
「隆斗さん?どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
俺はこの時、エマさんの個性というものが頭の中に入ってきた。さっきも言ったように、エマさんには何かにこだわったり何かになろうとしてる訳では無くてあくまでも自然体でいる事に拘っている。だからこそ誰にでも受けいれられ易く、馴染まれやすい。それこそが、エマさんの個性なんじゃ無いかとこの時俺はそう思った。
エマさんの悩みも解決しそうなところで今回は終わりにします。
次回はまたメンバーとの絡みが中心になっていきます!