同好会のメンバーとの交流を深める事で着々とみんなの曲作りを進められている俺は、今日もまた部室で曲作りに励んでいた。
「お疲れ様・・・・・・あ、隆くん!もう来てたんだ?今日も曲作り?」
「ん?ああ、歩夢か。そういうこった。みんなのこともだんだん分かってきたしその子の個性がどんなのかってのも分かってきたから、正直できるのは時間の問題だな」
練習までまだ1時間近くあるって言うのに、歩夢はなぜか部室に来ていた。どうやら俺が思ってる以上にこいつも気合入ってるんだな〜。
「こんなに早い時間から来たって事は・・・・・・練習か?イベントに向けて」
「・・・・・・うん!私、歌もダンスもみんなより出来ないから少しでも多く練習しようと思って・・・・・・」
「やっぱりな。だと思った・・・・・・」
・・・・・・なんか最初に間があった気がしたが気のせいか?・・・・・・まぁいいか。ちょうど俺も一区切りついた事だし、せっかくだからな。
「よし!せっかくだし俺とタイマンで練習するぞ!分かんないとことか難しいとこがあるんなら今のうちに聞いとけ?」
「!!う、うん!!ありがと!すぐに着替えてくるね!」
満面の笑みを浮かべながら更衣室に向かった歩夢。やれやれ、そんなに練習が好きなのか・・・・・・よし、今日はいつも以上に扱いてやるとしよう・・・・・・。
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「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・」
「ほらほら!足が動かなくなってるぞ〜。そこのステップはもう少し細かく!肩の力はもっと抜いてリラックスしろ!」
「う、うん!・・・・・・!」
練習を始めてから30分。初めに比べたら多少はマシな動きになった歩夢を見て少し胸を撫で下ろした。と、安心したのも束の間、ついに足に限界が来たのか、歩夢が足をとられ転びそうになった。
「・・・・・・っと。大丈夫か?」
「・・・・・・ごめんね?」
「気にすんな。そろそろ切り上げるか。これ以上やると今日やる練習に響きそうだし」
「うん・・・・・・わかった」
歩夢は素直に俺の言う通りにしてくれ、近くの椅子に腰掛けながらタオルで汗を拭っていた。
「隆くん・・・・・・私のダンス、どうだった?」
「クソ下手」
「ストレート!?もう少しオブラートに包むとかしてよ〜!!」
「俺は何事にも全力ストレートだからな!」
「言ってる意味わかんないよ〜もう〜〜!」
疲れてるのも忘れて、いつものようにツッコんでくる歩夢。このキレだけは一級品だよな・・・・・・。
「まあ冗談はさておきだな?お前のパフォーマンスは確実に良くなってる。まだまだ人様に見せれるレベルじゃ無いが、このままやっていけばきっとそのレベルに届く。だから腐るんじゃねーぞ?」
「最初からそう言ってくれればよかったのに・・・・・・」
「前言撤回。やっぱりクソ下手」
「なんで!?ごめんてば〜!!」
素直にわかったとか言ってくれればよかったのに・・・・・・。こういう素直じゃ無いとこも昔と変わんないな・・・・・・。
「はぁ・・・・・・でも、私嬉しいの」
「叱咤されるのが?」
「違うよ!そうじゃなくって・・・・・・隆くんと一緒にこうやって練習できて・・・・・・嬉しいの」
目を伏せて俺から目を逸らしながらそう言った歩夢。・・・・・・なんでそんなに恥ずかしそうなんだよ?
「なんでだ?いつも俺と一緒に練習してるだろ?」
「うん、そうなんだけど・・・・・・そうじゃ無くて、こうやって二人きりで練習できることが嬉しいの。最近は私も隆くんも忙しくてこうやって2人きりで何かやる機会なんてなかったでしょ?だから久しぶりに隆くんと2人きりになれて・・・・・・嬉しいの!」
「まー確かに最近は無いよな?・・・・・・あ、お前もしかして?」
俺はこの時気づいた。何で歩夢がこんなに早く部室に来て俺と一緒に練習したのかが。
「ふふ、そう!隆くんと一緒の時間を過ごしたかったからなんだ〜!練習に早く来たの」
「はぁ〜、だろうな。・・・・・・ったく、そんな事しなくても部屋隣なんだから俺の家くればいいだろーが?」
「それはそうなんだけど・・・・・・やっぱり今しかできない事で隆くんと一緒にやりたかったからさ!」
「青春だね〜」
全く・・・・・・だったらそう言ってくれれば良かったものを・・・・・・。ま、そんなとこもまた歩夢らしい。
「でも、やっぱり隆くんの教え方って分かりやすいよね!細かいとこまでしっかり頭に入ってくるもん!」
「これでも一応、小学生からのダンス経験者だからな。それぐらい教えられて当然だろ?」
「うん。でも・・・・・・なんで、ダンス辞めちゃったの?隆くんすっごくうまかったのに・・・・・・」
「ん?あぁ・・・・・・それは〜」
どう答えようか迷ってしまった俺。正直その事に関してはあんまり触れて欲しくなかったんだよな・・・・・・。あんまりいい話でも無いし、思い出したくも無いしな・・・・・・。
「単にダンスに才能がないって感じたからだな。周りの奴らがみんなうますぎてついて行けなくなって、俺だけ浮いちまって、結局そのままやめたってとこだな」
「・・・・・・そうなんだ。ごめんね、変なこと聞いちゃって」
「気にすんなって。歩夢の”あの顔”を見ることも出来たしチャラってことで」
「え!?あの顔?あの顔ってなに?」
「内緒〜」
「意地悪しないで教えてよ〜〜!!」
あの顔・・・・・・それは歩夢の久々に見せた”輝いた笑顔”。練習をしてる時にちらほらだがそれが出るようになってたんだ。今回の練習ではそれが一番の戦果だったと思う。あれが出れば歩夢の個性も十分に発揮できるし、さらなるレベルアップも期待できる為、俺は歩夢に追いかけられながら、歩夢の今後のプランを頭の中で練り込んでいた。
ちなみにさっきの俺の答えは嘘っぱちだ。本当のこと言ったら、多分歩夢は悲しむからな。その真実は、俺だけが知っていればいい・・・・・・。
なんか最後暗い感じになりましたね。隆斗にもなにやら闇がありそうな予感?