人助けをした後、俺は適当に沼津を観光し、旅館に泊まることにした。街マップで見たところ、旅館は結構な量があり、正直どこに行こうか迷っていた。そんな中、一つの旅館に目が止まった。
「十千万旅館か・・・・・・」
その旅館は他の旅館よりも料金が安く、料理も美味しいということで有名らしい。俺もそこまで持ち金があるわけでもなかったから、とりあえず今回泊まる旅館はここにすることにした。
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「さて、ここで合ってるよな?」
マップを頼りに歩き続けること数十分、俺はようやく目的の旅館【十千万旅館】にたどり着いた。
「へ〜?思ったより立派な旅館だな。これなら人気なのもわかる。・・・・・・って、あんまり旅館前でうろうろしてても仕方ねーか。ひとまず中に入ろう・・・・・・」
旅行鞄をしっかりと肩に掛け直し、俺は旅館の中に入った。
「すみませーん!」
「はーい!今行きまーす!」
玄関先で俺が一声かけると、旅館の中から一人の女の子の声が帰ってきた。・・・・・・店番は女の子がしてるのか?まぁ、旅館によって違うんだし別にいいか。
「お待たせしまし・・・・・・た?」
「ん?あれ?君は昼に会った・・・・・・」
中から出てきたのは、オレンジ色の髪色をしていて、三つ編みにした髪型が何とも可愛らしい俺と同い年くらいの女の子だった。というか、この子さっき街でナンパされてたあの女子3人組の一人じゃねーか?・・・・・・こんな偶然あるもんなんだな。
「あ、えっと・・・・・・さっきはありがとう・・・・・・ございます」
「気にしなくていいよ。それより、ここの旅館に泊まりたいんだけど・・・・・・君も泊まってるの?」
「ああ、違います。ここ、わたしの家なので・・・・・・」
やっぱりそうか。そうじゃなきゃこうして出迎えてなんてくれないよな。・・・・・・ってかなんかこの子の顔、赤くなってないか?気のせいだろうか?
「部屋って空いてるかな?」
「えっと、今ですと一部屋だけなら空いてます」
「よかった。じゃあそこに泊まらせてくれるか?」
「は、はい。わかりました。少しお待ちください・・・・・・」
その女の子はそう言うと、一度中へ引っ込んでいった。それから数分後、許可が取れたみたいで俺は部屋へと通された。一人が使うにしてはかなり広めの部屋だったが、広い分には問題なかったから気にしなかった。荷物をおいた俺はやっと一息がつけると、腰を落とした・・・・・・んだけど、すぐに襖がノックされた。
「はい?」
「浴衣をお持ちしたんですけど〜、入っても大丈夫ですか?」
声からするに、さっきの女の子だろう。浴衣を持ってきたって言ってたな?
「どうぞ」
「失礼します・・・・・・」
襖が開くと、案の定先ほどの女の子が入ってきて浴衣を持ってきてくれた。あ、そうだ。せっかくだしこの子にも聞いてみるか。
「じゃあ、わたしはこれで・・・・・・」
「ねえ、ちょっといいかな?」
「っ!?な、何ですか?」
俺が声をかけてくる事が予想外だったのか、声が上ずっていた。とりあえずそこはスルーしておこう・・・・・・。
「君って高校生?」
「へ?は、はい。そうですけど?」
「じゃあ浦の星女学院に通っていたりする?」
「通ってますよ。と言うか、ここら辺の子たちはみんな通ってます」
「じゃあAqoursって知ってるよね?その子たちっていつもどこで練習してたりするってわかったりする?俺、Aqoursに会いにきたんだ」
「え?
「・・・・・・・・・・・・は?」
今、聞き捨てならないことをこの子の口から聞いたような・・・・・・とりあえずもう一度聞いてみよう。
「今、なんて言った?」
「へ?だから
再びそう言う彼女。・・・・・・どうやら俺の聞き間違いではなかったみたいだ。まさか目の前のこの子が・・・・・・Aqoursなんてな・・・・・・。
「・・・・・・まじかよ」
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「えっと・・・・・・つまりだな?君があのAqoursのメンバーってことであってるか?」
「は、はい。一応リーダーをやらせて貰ってる高海千歌と言います」
「あぁ、君が高海千歌さんだったんだ。歩夢からいつも聞かされてたよ。いつもキラキラ輝いていて憧れだってな」
俺がそう言うと、高海さんはどこか誇らしげに笑った。どうやら憧れられてたと聞いて嬉しくなったんだろう。
「そ、そうだったんだ。嬉しいな〜。あ、えっとさっき言った歩夢ちゃんって・・・・・・もしかして虹ヶ咲学園の上原歩夢ちゃんですか?」
「歩夢のこと知ってるのか?ああそうだ。俺もあいつも幼馴染でさ?今は俺たち、虹学の同好会に入ってるんだ」
「わたし達やμ'sと同じステージに立つスクールアイドルですからね。知ってて当然です・・・・・・え?幼馴染?虹学に入ってる?・・・・・・あれ?もしかして貴方って・・・・・・高校生ですか?」
高海さんからのその一言に俺は地味に傷ついた。俺ってさっきから高校生に思われていなかったんだな・・・・・・それならさっきからの高海さんのよそよそしい態度にも納得が行く。・・・・・・そこまで老け顔ではないと思うんだけどな〜俺って・・・・・・。
「高校生だよ。バリバリのな?・・・・・・自己紹介してなかったな。俺は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長の鈴木隆斗だ。高校二年生な?」
「え〜!?同い年だったんですか!?」
「そんなに驚くなよ・・・・・・傷つくだろーが・・・・・・。だから別に無理に敬語なんて使わなくていいぞ?」
「そうなんです・・・・・・そうなんだ。び、びっくりした・・・・・・」
しくしく・・・・・・もういっその事嘘言ったほうが傷つかないで済んだかもしれない・・・・・・。
「それでさ、高海さん・・・・・・」
「千歌でいいよ?同じスクールアイドルフェスティバルに出る仲間なんだしね。そっちはどう呼んで欲しい?」
「俺は何でもいい。鈴木でも隆斗でも隆ちゃん♡でもいいけど?」
「何で最後ハートマークついてるの!?・・・・・・と、とりあえず隆斗くんって呼ばせてもらうね?」
「おう。よろしくな、千歌!」
「っ・・・・・・う、うん」
俺が手を差し伸べると、一瞬何かに躊躇したように見えたけど、結局握手には応じてくれた千歌。この子ともいろいろ同じスクールアイドルに携わるものとして、関係を深めていかないとな・・・・・・。
「・・・・・・なぁ、千歌。俺ってそんなに老け顔に見えるか?」
「え!?何でっ!?」
「千歌がさっき俺が言うまでずっと俺のこと高校生じゃないって思い込んでたろ?だから俺って高校生には似つかない老け顔なのかなって思ってさ?」
「そ、そんなことないよ!?そうじゃなくて・・・・・・何というか、同じ高校生にしては妙に大人びいてたし・・・・・・・・・・・・・・・・・・カッコ良かったから・・・・・・」
「?それならいいが・・・・・・最後なんて言ったんだ?」
「な、何でもないよ!?気にしないで!」