「・・・・・・はぁ〜、またあの視線を感じる・・・・・・マジでいい加減にしてほしい・・・・・・」
俺がその視線を感じるようになったのは、愛と璃奈ちゃんを同好会に加えた翌日からだった。俺がどこかに移動するたびにまるで後をつけてくるかのように俺に視線をぶつけてくるんだ。向こうは気がついてないと思ってるんだろうけど、俺には思いっきりばれてるっての。
「・・・・・・しかも、まさかつけてるのが”あの人”だとはな〜・・・・・・」
以前偶然にも後をつけてくるその人物をチラッとだが目撃することが出来た。その時に俺はその正体を知った。俺も後をつけてる人物があの人だとわかった時は正直驚いたが、理由は何となくわかってた。だからこそ、そろそろ腹割って話したいと思ってたんだよな。
「もう良い加減出てきたらどうです〜?”生徒会長”〜」
「・・・・・・!?」
後ろの曲がり角から反応があった。やっぱりバレてないと思ってたんだな〜、もう一度言っておくか・・・・・・。
「一人の生徒をずっーとストーカーしてた生徒会長さ〜ん?さっさと出てきてくださーい!」
「!!?わ、わかりましたから!ですからそんな大きな声で叫ばないでください!」
「お、出てきた出てきた」
ようやく向こうも観念したのか、角からゆっくりと姿を現した。そう、俺をずっと尾行してたのはこの学園の生徒会長、中川菜々だった。
「・・・・・・気付いていたんですね」
「ああ、でもまさか生徒会長がストーカーとは思いませんでしたけどね〜?」
「す、ストーカーではありません!!」
「じゃあなんです?」
「それは・・・・・・か、観察です!貴方のことを観察してました!」
うわ〜、すっげー顔赤くなってる。絶対嘘だよなこれ・・・・・・まあでも、ここはそういうことにしておくか。
「観察・・・・・・ね〜?聞くけどなにを観察してたんです?」
「貴方はここ最近、スクールアイドル同好会の部員を着々と集めていると聞きましたので・・・・・・こんな短期間のうちに5人も集められるなど、おかしいと思いましたので仕方なく私直々に観察することにしたのです。貴方がどんなやり方で部員を集めているのかを」
「へ〜?生徒会長って案外暇なんですね?」
「暇ではありません!現在も書類整理などの仕事なども残っています!そんな中でも、”仕方なく”私直々にきてるんですからむしろ感謝してもらいたいくらいです!」
「だったら誰かに頼めば済むでしょうに・・・・・・あれ?もしかして意外と・・・・・・脳の回転が遅いんですか?」
「遠回しにバカと言っているようなものですよ今の発言は!?・・・・・・知り合いの人たちは用事があるからと断られましたよ・・・・・・」
全く・・・・・・と腕を組みながらそう言う生徒会長。だったらこんなことするなよ・・・・・・って言ってやりたい。そもそも、人を尾けてくれって言われたら誰でも断りそうだけどな。
「で?何かわかったんですか俺のことは?少なくとも俺は真面目に勧誘をしてるつもりですけどね?」
「真面目・・・・・・ですか。具体的にどのようにして勧誘をしてるのですか?」
真面目と言った後、一瞬間があったのが気になったが、気にせずに話した。
「簡単な話です。スクールアイドルに興味ないか〜って聞いてみて興味ないって言ったらそれで終わり、あるって言ったら入らないかって説得する。それだけです」
「・・・・・・?本当にそれだけですか?何か脅しみたいな事も言ってたりは・・・・・・」
「俺を何だと思ってるんですか・・・・・・。勘違いしないでほしいけど、さすがに嫌がってたりやる気のない奴を入れたりなんかしてないですよ。あくまで本人の意思を尊重したいので。俺が基準としてるのはスクールアイドルに興味があるのかどうかと、スクールアイドルをやる上で必要な覚悟を持っているかどうかです。とはいえ、基本的に前者の気持ちがあれば入れるようにはしてます。覚悟っていうのは追々時間をかけてゆっくりと決めていければいいですからね。そんなことを今までやってきた結果、今は5人に増えているのが現実です。・・・・・・これが俺の勧誘の仕方ですけど?」
「・・・・・・なるほど、ですが、貴方はなぜそこまでするのですか?貴方はスクールアイドルではないでしょう?」
納得した様子だったが、今度は俺への話へシフトした。なぜそこまでするか・・・・・・か。
「深い意味はないですね。強いて言うなら、歩夢のため・・・・・・ですかね?」
「上原さんの?」
「ええ、あいつって元から何処か消極的で自分から何かやりたいって言ったことなかったんですよ。いつも受け身でやりたい事も本人ですら見つけられてない状態で、見てるこっちもどこか心配になるくらいでした。そんな時にスクールアイドルにであったんです。歩夢が初めてスクールアイドルという自分の夢を追いかけたいと言ってきて、俺もそれをサポートするって決めたんです。そして、せっかく歩夢が見つけた自分の夢を追いかけられる場所と仲間をつぶさせるわけにはいかないって、自分で思っちゃったんですよ。だからこうして、貴女の条件の部員10人を目指そうと頑張ってるわけですよ」
「・・・・・・」
「まぁ、もちろん他のメンバーのサポートもしっかりやって行くつもりですけどね。そのためのマネージャーだし」
最後は少し笑いながら返した俺。少しくらい話しちゃったからな、これくらいは許してくれるだろう。
「ふふ、どうやら私は、少し貴方のことを誤解していたのかも知れませんね」
「どう誤解してたのか分かんないですけど、少なくても会長が思ってるような男じゃないですよ?」
「ええ、そのようですね」
「俺は女の子に不潔な行為をするよりも、いじったりからかったりする方が好きですし?」
「そうなの・・・・・・え!?」
納得しかけた会長が途端に間抜けな顔に変貌を遂げた。
「中でも歩夢とかすみちゃんは特に面白いんですよ!俺が絡めば絡むほど面白い反応してくれるし、毎日してても飽きないんですよ!」
「〜〜〜!?あ、貴方は一体何を!?」
「あ、いっそのことメンバー全員に絡んで行ってその人独特の反応見るのも良いかもな・・・・・・。マネージャー業だけじゃつまんないし、それも俺のやりたい事リストに入れとくか・・・・・・」
「・・・・・・」
もはや気味悪いと言いたげな顔をしながら俺をのぞいていた会長だったが、俺はそのことに気がつかなかった。
「(本当にこの人に任せていいのでしょうか・・・・・・?)」
俺の新たな一面を知った会長は、不安の思いを抱えることになるのだった。
少しストーリーから外れましたが、次からはまたストーリーに戻ります。
書いていて思ったんですが、こうして見ると隆斗は真面目な部分があると共に非常にドSな部分があるってことがよくわかりましたね。
今後の隆斗とニジガクメンバーとの関わりに注目です!