きりたん砲。それは東北きりたん――彼女の背中にある砲台から放たれる技の名前。
一節には味噌が撃ち出されると言われ、更には砲台を反転させ
しかし、実際に彼女が登場する動画ではきりたん砲を背負っている場面は少ない。
東北きりたん、彼女を東北きりたんたらしめている要素の一つ。それがきりたん砲。
なぜ、砲は外されているのか。外されてしまうのか。
逆にこう考えてはどうだろう。きりたん砲は外されてなんていないと。
固定砲台もあるが、種類によっては内部に格納可能な砲も存在する。
もし仮に東北きりたんの砲が収納可能だとすると、動画やイラストによっての有無への説明がつくだろう。
なぜ東北きりたんは背中の砲が無い場面があるのか。むしろ無いことのほうが多いとさえ来ている。
出し入れ可能な砲――筒状の物体と言うと卑猥な物を連想してしまう。例えるなら
わたしは図鑑を手に取り、ページを一枚、また一枚とめくっていく。ふと手が止まる。それは東北きりたんと同じく、背中に砲を抱える生き物――カメックス。
カメ
ゼニガメの成体、カメックスは背中の砲を出し入れ可能とし、かつ体液をポンプのように射出し相手に攻撃を仕掛けている。
東北きりたんは砲を体内に収納し、必要に応じて、砲を出していた。そう考えれば、辻褄が合う。
タンパク質で構成され、興奮すると大きくなる物体から
君たちが今、なにを考えているのかわたしには手に取るように分かってしまう。だが安心して欲しい。東北きりたん――彼女の性別はまごうことなき女性。女の子だから。
確かに女性にも名残りとして残されてはいるが、それが直接なにかを噴射することはない。筋肉の収縮により膀胱が圧迫され、潮吹きと呼ばれる現象は確認されたが、それは名残りとする箇所から下に――この場合は東北きりたんの視線から見て――ズレており、名残り自体が潮を吹いているわけではない。
そもそもだ、東北きりたんの砲は背中に付いている。どこの世界に背中から潮を吹く生物が居るというのだ。
だが世界は広い。いや、原点回帰したと言うべきだろうか。
――そう、46億年と言う途方もない歴史を持つ地球。地球で初めて潮吹きをした生物。くしくも東北きりたんと同じく哺乳類。クジラ
潮吹きと聞いて、健全な人間なら誰しもがこの動物を想像するだろう。それ程までにクジラは、我々の潜在意識に刷り込まれてしまっている。
魚が陸地に上がり、爬虫類、哺乳類として進化を遂げた一方、その一部は再び
哺乳類はイルカやシャチ、クジラなどの丸みを帯びた肉体へと進化を遂げていく。
この進化は女の子にも――当然ながら東北きりたんにも同じことが当てはまる。
女の子は第二次性徴期、
男性でも潮吹き自体は不可能ではない。だが全員が全員、潮を吹けるかと言われれば頭を捻らざる
イルカのような
最初に説明をしたが、きりたん砲として発射されるのは味噌。それは発酵食品の一つ。
クジラの潮吹き、主成分は海水。つまり塩を多く含んでいる。
きりたん砲から射出された分泌物、味噌の成分には塩分が含まれており、例として赤味噌の塩分濃度は約7%。100g辺り7gの塩分が含まれることとなる。
海水は100g辺り平均3.4g。きりたん砲は二つあるので半分にすると3.5g。
なんてことだ。きりたん砲とクジラの潮吹きは、成分としてはほぼ同一となってしまった。
味噌の原材料は大豆。東北きりたんの主食であるずんだ餅に多量に含まれていることから、体内にて形を変化させ、味噌となり普段は閉じている筒を通り、体外へと排出されている。
同じく東北きりたんの体内で発酵された味噌も、市場に出回れば高値で取引されることは想像に難しくない。
海へと帰還した生物は哺乳類だけではない。ウミガメもその一つとして、知名度が高い。
カメ
海を泳ぐ魚が進化し、手足が付いたように。
蛇に手足が生え、龍へと進化したように。
スマホを片手に、キーボードを両手にネットの海と知識を共有し合う
東北きりたんの発する言葉は
海、それは宇宙と同じく全てを知るものは誰も居ない。
きりたん砲の深淵は宇宙よりも暗く、海よりも深い底で我々研究者たちを待っているだろう。