聖女を照らすは最果ての輝き   作:ガーゴイル悪魔ン

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聖女との邂逅と誓い

暖かな陽光を受けたことで、ようやく自身が目を閉じていることに気付いた。

「・・・?」

気怠さで重くなった瞼を開くと、首を左右に動かして周りを見回した。

だが周りの風景に見覚えはなく、さらには自身の故郷の風景とも合致しないことに首を傾げた。

 

・・・というか、''俺,,は何でこんな所にいるんだ?

 

そもそも自分は外出した覚えはないし、なんなら生粋のインドア派である。

大学の講義が終わると同時に教室を飛び出して帰路に着き、家の自室で最近ハマっている・・・

 

そうだ、FGOをするためにスマホを操作して・・・?

 

あれ・・・?それからどうしたんだっけ?駄目だ、霧がかかったかのようにぼやけて思い出せない。

そうやって頭をひねること数分、特に打開策も何も浮かばなかったので保留することにした。

「とりあえず、まずは現状の把握を・・・?」

独り言を呟いたと同時に聞き覚えのある声が聞こえてきたため、俺は咄嗟に周りを再度見回した。

「この声は、拙の声?一体どこから・・・えっ?」

周りを確認しても目的の人物の姿はなく、疑問を口にするととても近くから声がした・・・それも俺の口から発せられたと思うほど近くで、はっ?

俺は咄嗟に視線を下へと向けた、するとそこには控えめな膨らみ越しに金色の鳥籠が目に入り・・・今まで意識していなかった感触が女の子特有の小さな手から伝わってきた。

「これって・・・拙が拙になっているという事ですか!?」

いや、はたから聞いたら何言ってんだこいつと思われる光景だがそれでも言わせてもらおう。

「どうしてこうなった・・・?」

 

 

とりあえず落ち着こうと考えた俺は、その場で数度深呼吸をして・・・呼吸は整ったが気持ちが落ち着きはしなかった、誰かこの状況になった経緯を教えてくれ!

「貴女、大丈夫?」

「えっ?」

俺の願いが通じたのか、背後から声をかけられたために振り返ると・・・買った食品の詰まったレジ袋を携えた、どこからどう見ても普通の主婦のおばさんが立っていた。

「さっきから困っているみたいだったから、おばさんで良ければ力になるわよ?」

普通に親切な人だった、とりあえず俺は旅をしていると(本当のことは言えないので)嘘をついてこの街のことを聞くことにした。

親切なおばさんの話をまとめると、この街の名は『駒王町』というらしい。

あとめぼしい建物の場所もいくつか教えてもらった、その中に教会が含まれていたので俺は咄嗟にこう考えた。

 

―――もしかしてここは新しい型月の舞台なのでは?

 

そうと考えれば(グレイ)がここにいるのも頷ける!・・・か?もしかしたら少し遅れてグレイの師匠である彼が来るかもしれない、その考えに至った俺はやる気がみなぎってくるのを感じた。

グレイとロード・エルメロイⅡ世のやりとりが間近で見れるぜ!と嬉しさを感じながらおばさんにお礼を口にして去っていく後ろ姿を見送った後、そういえば自分がグレイになっていることを思い出して頭を抱えることになった。

「会うことは大丈夫でしょうが、拙の中身が違うことがバレたら・・・」

確実にただでは済まない気がする・・・!い、いやまだ焦るような時間じゃない!どうにかバレないようにしなくては!

「・・・って、そういえば拙の話し方は拙そのままなんですね」

俺が考えたことが口から出るときはグレイの口調で発せられている、つまりこれは・・・

「バレずに切り抜けられるかも、しれません・・・」

そう思ったらなんか大丈夫な気がしてきた、というかそれぐらい気楽に考えとかないと胃がががっ・・・

「そんな不確定な未来よりも今ですね、どうやって一夜を凌ぐか・・・」

ポケットを調べた通りだと無一文であることがわかった、詰んでない?

「今から住み込みのバイトを・・・いえ、もう陽が暮れてきてしまっていますし・・・どうしたら、っ?」

顎に手を添えてこれからの方針を呟きながら視線を彷徨わせていると、ふと視界の端に俺と同じように困り果てた様子でそわそわしている女の子の姿が目に留まった。

綺麗な金髪を揺らしながらベールをかぶるその女の子は、遠目から見ても美少女だとわかるほど整った顔立ちをしていた。

っていうか何で誰も助けてあげようとしないんだ?あんな美少女が困っていたら手を差し伸べてあげてもいいだろうに、さっき俺を助けようとしてくれた親切なおばさんを見習え。

「・・・よしっ」

あんな美少女と話すのは気後れしてしまうが、ここが型月の世界なら明らかに重要人物だ・・・仲良くなっておいて損はないはず、そう結論付けて俺は彼女に歩み寄った。

 

 

「あの、どうかしましたか?困っているようですが・・・」

俺がそう声をかけると困惑した顔をこちらに向けてから少しだけ顔を綻ばせた、何この可愛い生き物。

「えっと、私・・・日本に来たばかりで言葉があまりうまく話せなくて、頼れる人もいなくて・・・それで・・・」

日本語には不慣れなことが原因で誰にも声をかけることができずに途方に暮れてたのか、そして話のできる俺が来たことで安堵したと同時に泣きそうになっていると・・・うぇっ!?

「いっ、一旦あそこのベンチに座りましょう!」

両目に涙をためて今にも決壊しそうな彼女を促してどうにか近くのベンチに座らせた俺は、彼女が落ち着くのを見計らってから話をすることにした。

 

涙を流す彼女を宥めること数分、内心でテンパりながらもそばを離れることなく根気強く落ち着かせようと奮闘した。

「す、すみません・・・急に泣いたりしてしまって、もう大丈夫です」

そのかいあってかようやく落ち着いた彼女は泣き腫らした目元をハンカチで拭うと、ぎこちない微笑みを浮かべた。

「いえっ、拙は気にしていませんが・・・何かあったのならお話を聞かせてはもらえませんか?もしかしたら、拙でも力になれるかもしれませんから」

俺がそう声をかけると彼女は驚いたように目を見開いていたが、視線を彷徨わせてからゆっくりと口を開いて日本に来ることになった経緯を話し始めた。

「実は、私はとある組織のようなものに所属していたんですが・・・そこでは種族の違いといいますか、そういうのがあって。そこでは助けてはいけない人を助けてしまったために組織を追い出されてしまって、えっと『教会』・・・あっ、途方に暮れていた私を助けてくれた方のことなんですけど・・・その方の元に行くためにここ、日本へ来たんです」

話を黙って聞いていた俺の素直な感想を言っていいか?・・・この娘いい子過ぎない?教えに背いてまで他者を助けることができるなんて、そうそうできるものじゃないぞ。

「拙は貴女を尊敬します、なかなかできることではないと思いますから」

「え、えぇっ・・・!?そ、そんなことは・・・」

うん、俺が思った通り彼女はこの世界のヒロインであることは明白だ。

だって境遇が不幸だし、まだ『間桐 桜』や『遠坂 凛』ほどじゃないけど・・・いやでもここが型月の世界ならこの程度で終わるはずがない、さらに彼女を追い込むイベントが起こるかもしれない。

「・・・それは、見過ごせません」

「? どうかしたんですか?何か独り言を呟いているみたいですけど・・・?」

疑問符を浮かべてこちらを見つめる彼女の瞳を真っ直ぐ見つめた俺は、彼女の手をそっと握ると真剣な声色で語りかけた。

「拙の名前はグレイといいます。貴女の名前も教えてもらえませんか?」

「ふぇっ!?あっ・・・アーシア・アルジェントですっ、えっと・・・」

アーシアちゃんね、ここで会ったのも何かの縁・・・というか運命といってもいいかもしれない、俺のやることと目標は決まったな。

「アーシアさん。拙は貴女のお話を聞いて決心しました、これから先どんな苦難があろうとも・・・拙が、貴女を護ることを誓います」

「え、えぇぇぇっ!?なんで、急にそんなこと――」

慌てるアーシアちゃん可愛い・・・じゃなくてなぜ俺が唐突に護る宣言したのかだったな、恥ずかしいがここは素直に内心を吐き出すことにしよう。

「貴女が(この世界にとって)大切な存在だと気付いたからです」

「――ふぇっ」

俺の言葉を聞いたアーシアちゃんは顔を真っ赤にして、口を金魚のようにパクパク動かしていたが一向に言葉は出てこなかった。

「ですから、何か困ったことがあれば拙を頼ってください。一人で抱えるより、二人で抱えた方が軽くなることもありますから」

口をパクパクするのをやめたアーシアちゃんはなぜか顔を俯かせて小さく頷いていた、表情が見えないので何とも言えないが聞き入れてはもらえたようだ。

「そういえば先程『教会』に向かうと言ってましたよね、良ければ案内しましょうか?」

「あぅっ・・・は、はいっ。お願い、します」

遠慮がちに了承の返事を返してくれたアーシアちゃんだが、ただで案内するとは言ってないぜ?

「案内する代わりと言っては何ですが、一つお願いを聞いてもらえませんか?」

「お願い、ですか?」

俺は頷くとお願いの内容を口にした、それは・・・

「『教会』に一晩泊まれるように、提案してもらえませんか?」

とりあえず今晩の宿を確保することだった、さすがに野宿はしたくないし・・・

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