聖女を照らすは最果ての輝き   作:ガーゴイル悪魔ン

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聖女と共有する秘密と静かなる魔の手

成し遂げたぜ、ってこれだけじゃ意味わからないか・・・まぁ簡潔に言うと雨風を凌げてフカフカなベッドで眠ることができた、しかも長期滞在が可能。

公園のベンチでアーシアちゃんに提案したことは、案外あっさりと承諾されて『教会』の寝泊まりできる空間を使わせてもらえることになったのだ。

「他に住む所が決まるまで、ゆっくりしていってください」

――とシスターに社交辞令を頂いたので、遠慮なくゆっくりさせてもらうことに決めました(ゲス顔)。

「よかったですね、グレイさん!」

「はい、これもアーシアさんのおかげです。ありがとうございます」

俺がそうお礼を口にすると頬を朱に染めながら照れたように「い、いえっ!気にしないでください」と恥ずかしそうに返してくれた、アーシアちゃんが天使可愛くて生きる気力が湧き過ぎてつらい・・・!

「それにしても、まさかアーシアさんと相部屋とは思いませんでした」

そう呟くとアーシアちゃんが不安げに眉を下げたのが見えたので、慌てて嫌なわけじゃないとフォローを入れておいた。

「そうですか、よかったぁ・・・」

ホッと胸を撫で下ろしたアーシアちゃんを見つめながら俺も内心でホッと息を吐いてから、少し前に見た神父の顔を思い出した。

「・・・彼ではないようですが、あまり信用しすぎるのは得策ではありませんね」

型月の世界で出てくる神父は一人しか浮かばないが、この世界の神父は信用してはいけない・・・だってあの言峰綺礼(外道神父)のイメージが強すぎてもう、不信感を抱きながらでしか見れない。

いや、今はそのことよりこれからどうするかを考えた方が―――

「イッヒッヒッ!ようやく落ち着いて話ができるなぁ、グレイ!」

「え――」

―――いいんだけどなぁ・・・驚いたように目を見開いてこちらに顔を向けたアーシアちゃんの姿を見ながら、どうしょうと頭を抱えかけたがすぐに口を開いて鳥かごを大きく揺らした。

「アッド!喋るならせめて拙だけの時にしてっ!」

「おぉ、おぅ・・・おぉあぁぁぁぁっ・・・!?」

なんか自然な流れでアッドに折檻したな俺、これもグレイの身体になったことが原因なのか?

「え、えっと・・・?」

あっ、やべ・・・!アーシアちゃんをほったらかしだった!いやでもなんて説明したらいいんだ?流石に一般人に魔術やそれに関係したことを話すわけにはいかないしな、巻き込むわけにはいかない・・・いやでもこの世界のヒロインならワンチャン・・・?

「グレイさんも『神器(セイクリッド・ギア)』の持ち主だったんですねっ」

瞳をキラキラと輝かせたアーシアちゃんに詰め寄られた俺は驚いて身を少し引いたが、神器って何・・・?

もしかしてこの世界だと魔術とかは主流なの?魔術と言わずに神器って呼ぶことになってるの?でもここで知らないと口にするとアッドのことを説明しなきゃいけないし・・・

「そっ・・・うなんです、''も,,ということはまさかアーシアさんも・・・?」

「はいっ。私の神器は『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』というもので、あらゆる種族の傷を癒すことができるんです」

回復系の魔術に特化してるってことか、あらゆる種族っていうのがよく分からんが・・・まぁそれは追々聞けばいいか、それよりもアーシアちゃんに言っておかなければならないことがある。

「アーシアさん、拙の魔じゅっ――神器のことはどうか内密にしてください、拙とアーシアさん二人だけの秘密に」

実際は二人だけじゃなくて、師匠とかもいるんだけどな。

「ふっ、二人だけの・・・秘密っ」

それはいいとして自分の魔術がバレるのは魔術師にとってマズい、ましてやアッドはいわばグレイの宝具で切り札だ。

知っている人は少ない方がいい、今の俺はサーヴァントではなく現地民のように生身だしな・・・ただでさえグレイの宝具は人間には扱いきれないとか言われてるんだから、できれば使う場面はないことを願いたいな(フラグ)。

「わかってもらえますか?」

「は、はい!誰にも言いませんっ・・・えへへっ、二人だけの秘密」

俺のお願いをアーシアちゃんは二つ返事で聞いてくれた、そのことに安堵してアッドに言いつけを守るように釘を刺していたことで・・・アーシアちゃんが自身の赤く染まった頬に手を当てて零した呟きに気付くことはなかった。

 

「そういえば・・・グレイさんはフードを取らないんですね、もしかして何か事情があるんですか?」

唐突のアーシアちゃんの問い掛けに、俺は肩を震わせてぎこちなく視線を彷徨わせた。

「え、っと・・・はい、できれば気にしないでください。あまり・・・顔を見せたくはないんです」

そう口にして被っているフードを握り締めると、アーシアちゃんは深く追及してくることはなく俺の様子に悲しげに眉を下げていた。

「拙のことよりも、拙はアーシアさんのことを知りたいです」

俺の露骨な話の替え方にアーシアちゃんは疑問を口にすることなく、むしろ自分のことを聞かれるとは考えてなかったのか慌てていた。

そんな彼女を微笑ましい気持ちで眺めながら、この日の夜は更けていくのだった。

 

 

 

 

 

アーシアちゃんとの出会いから数日が過ぎた頃、俺は『教会』で寝泊まりしながら日中はバイト探しと駒王町の散策を続けていた。

「この街の建物の位置や地形は粗方見終わりましたね、師匠がいつ到着しても安心です」

それにしても師匠が来る気配がないのはどういうことだ?また何か事件にでも巻き込まれてんのかな?

「とにかく師匠に頼れない以上、拙がしっかりしないといけません」

師匠の内弟子として恥じない働きをしないとな!目下のところはアーシアちゃんを危険から守ることだな、型月のヒロインなら酷い目に遭う可能性大だし。

「それにしてもこの街は、妙な気配がしますね・・・」

なんていうかうまく言い表せないが、少なくとも人の気配とは少し異なることはわかるんだがな・・・それが何かまではわからない。

「・・・」

考えても元一般人にはこの違いが何かまではわからないな、グレイ本人なら何かしら気付けるのかもしれないけど。

「それにしても、やはりフードを被ったままバイトをするのは無理みたいですね」

まぁ薄々気づいていたけどな、グレイのこの顔はあまり見せびらかすものじゃない・・・っというか、フードを取ろうとすると身体が自然に動きを止めるんだよな。

一人で居る時は問題ないんだけどな、っとそろそろ戻るか・・・陽も暮れてきたしな。

 

 

『教会』に戻った俺はすっかり慣れ始めたアーシアちゃんとの相部屋へと戻ってきた、そこにはいつも通りアーシアちゃんがベッドに腰掛けていたが何やら作業をしていた。

「アーシアさん、何をしているのですか?」

「あっ、グレイさん。おかえりなさい、実は先程レイナーレ様に呼ばれたので向かう所なんです」

こんな時間に呼び出しとはいったい何ぞや?『教会』ですることなんて深く知らないからな、主へのお祈りとかか?

「ですから今日は先に就寝してくださいね、お話しできないのは残念ですけど・・・」

「なら明日、今日の分までお話をしましょう。拙もアーシアさんとお話しできないのは残念ですから」

俺の言葉に下げかけていた顔を上げて嬉しそうに頬を緩ませてくれた、やはりアーシアちゃんは可愛い。

「それでは、いってきます」といって部屋を後にしたアーシアちゃんを見送ってから、俺は床に就くために枕元にアッドの入った鳥かごを置いてベッドに寝転んだ。

「明日が少し、楽しみです・・・」

あんな美少女と話をするなんて今までの俺では考えられないことだった、だからこの身体になったのも案外悪くないのかもな・・・あと中身は男だから、好みは女性なんだよなぁ。

 

そんなくだらないことを考えながら、俺の意識は暗闇へと落ちていった―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――カチャッという音と共に扉がゆっくりと開く音がした。

暗く染まった部屋の中に足を踏み入れた人物はゆっくりと、だがしっかりとした足取りで盛り上がったベッドへと歩を進めた。

「・・・」

盛り上がったベッドからは規則正しい寝息が聞こえており、それを確認してベッドを揺らさないように乗った人物は静かに口元を歪めて・・・逆手に持った剣を寝息を漏らす少女に降り下ろすべく掲げて、我慢しきれずに口から笑いを漏らした。

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