聖女を照らすは最果ての輝き 作:ガーゴイル悪魔ン
俺はリアスさんの言っていることが分からずに疑問符を浮かべていた、それを察したのかリアスさんは一つ咳払いをしてから少年たちを見回して―――
「私たちは『悪魔』なのよ、このとおりね」
―――背中から悪魔特有の翼を生やしてそう言った、まさかの悪魔宣言に驚いたが型月の世界だ・・・何が起こってもおかしくはない。
「なる、ほど・・・?」
だがそれをすぐに理解できるかは別である、ってかこの世界堕天使と悪魔がいるのかよ。
「それでどう?私の眷属にならない?」
あぁ、そういえばそんな話だったな・・・俺は一つ深呼吸してから自身の考えを口にした。
「拙は、貴女の眷属にはなりません」
「・・・理由を聞いてもいいかしら?」
俺の返事を聞いて眉一つ動かさずそう返したリアスさんに、断りを入れた理由を口にした。
「拙には師匠がいます。その人の内弟子として、黙って他の人と主従関係を結ぶ気はありません・・・しかしアーシアさんの身の安全が保障されるなら、彼女だけでもっ「私もグレイさんが眷属にならないなら、なりません」―――え」
驚いてアーシアちゃんに顔を向けるとなぜか不機嫌そうに頬を膨らませていた、そんな姿も可愛いな。
「二人の意志はわかったわ、残念だけど眷属にはできなさそうね・・・ところで貴女たちはこの礼拝堂以外に行く当てはあるの?グレイの方は旅の途中って言っていたけど」
「あっ、そうですね・・・私は『教会』しか行く当てがありませんが、グレイさんは・・・」
そう口にしていつの間にか俺の後ろから隣へ移動していたアーシアちゃんは、不安気に瞳を揺らしながら俺の顔を見つめていた。
「たしかに拙には師匠が働く時計塔という帰るべき場所があります、ですがアーシアさんを置いてここを離れるつもりもありません」
そもそも俺がこの街にいる理由が分からない以上離れるわけにはいかない、それに師匠が遅れてこの街に来るかもしれないしな。
「(時計塔・・・?)わかったわ、だったら私が二人の住める場所を提供するわ。私の管理する領で迷惑を掛けたのだから、それぐらいするのは当然のことだから」
むしろアーシアちゃんは命を落としそうになったんだからそれだけで済まない気もするが、今それを口にして気が変わられても困るし黙っておこう。
「そうね・・・二日もあれば用意できるわ、それまではホテルで過ごしてもらうわね」
「あ、ありがとうございます!リアスさんっ!」
アーシアちゃんが嬉しそうにお礼を口にしたので俺も頭を下げた、それを皮切りに集まっていた面々はそれぞれの帰路に着いた。
イッセーという少年と話すアーシアちゃんは微笑みを浮かべて嬉しそうだった、やはりヒロインと主人公は惹かれ合うんだなと再確認した・・・あと俺にも話しかけてきたが、どこか下心が透けて見えたのは気のせいと思いたい。
帰路に着く面々を見送ってから俺とアーシアちゃんは、リアスさんの案内で今日泊まるホテルへと案内された。
「ここが二日間泊まってもらうホテルよ、もう部屋は取ってあるから受付で私の名前を出してくれたら問題ないわ」
「ありがとうございます、リアスさん。色々お手数をかけてしまって」
そう言うとリアスさんは気にしなくてもいいというように手を振ってから口を開いた。
「さっきも言ったけれど迷惑を掛けたのはこっちだもの、アーシアが神器を奪われて命を失っていたら貴女が黙っていなかったでしょ?あの堕天使どころか、私にまでその刃が向くのは避けたいもの」
そう言って俺の持つ鳥籠に一瞬目を向けたリアスさんだが、すぐに俺の目を真っ直ぐ見つめて口を開いた。
「貴女が側にいるのなら、アーシアも安心でしょうけど・・・何かあれば私たちに頼ってちょうだいね、逆に私たちが貴女を頼ることがあるかもしれないから・・・ね?」
つまり持ちつ持たれつの関係でありたいということか、まぁ俺としても頼れる存在がいるのは嬉しい限りだ。
「そういえば、''私の管理する領,,と言っていましたが・・・どういうことでしょう?」
「・・・そうね。細かい説明もあるからここでするんじゃなくて、部屋に向かってから話しましょうか」
俺の質問にリアスさんは考える素振りを見せてから、ホテルの一室で話すということになったのでリアスさんについていくようにホテルに足を踏み入れた。
泊まる部屋に着いた俺とアーシアちゃんに向けて、リアスさんが俺の質問の答えを教えてくれた。
曰く、駒王町は自身に与えられた領地だという・・・一つの街丸々自分の持ち物って、リアスさんって結構な地位と金持ちってことか?遠坂家みたいなもんか?っということは、わりと重要人物だったんだな。
そういうことだから二日で住む場所が用意できるのか、納得。
さらにこの世界には悪魔と堕天使以外に天使までいるらしい、そして天使をまとめているのが神だとか。
何でもいるんだな、この世界・・・ある程度のことを話し終えたリアスさんは立ち上がると、俺とアーシアさんに視線を向けてから口を開いた。
「あと、明日にでもスリーサイズとかを測らせてもらうわね。それじゃあまた明日、ゆっくり休んでね」
そう言い残して部屋を後にしたリアスさんを見送ってから(スリーサイズを測ってどうするんだ?)、疲れているであろうアーシアちゃんには先に寝てもらおうと声をかけた。
「アーシアさん、拙は少し考え事をするので先に寝ておいてください。今日はアーシアさんにとって、気苦労の堪えない日でしたから」
俺がそう言うとアーシアちゃんは疲れが見え隠れする顔をこちらに向けて微笑んだ後、ベッドに入ることなくもう一つのベッドに腰掛けていた俺の隣に腰を下ろした。
「? アーシアさん?」
「今夜は一緒に寝ても、いいですか?」
俺の服を遠慮がちに抓んでそう口にしたアーシアちゃんを見て、俺はレイナーレさん達に襲われてすぐだということを思い出して不安なんだろうという考えに行き着いた。
「そうですね・・・考え事は明日にして、今日はもう眠ることにします」
アーシアちゃんの意見を尊重して眠ることを優先した俺に、アーシアちゃんは申し訳なさそうに眉を下げていたが口元は安堵したのか緩んでいるのが確認できた。
やっぱり不安だったんだな、命を落とす寸前まで追い込まれたんだから当然か・・・出来るだけ側にいるようにしよう。
ベッドに寝転がった俺の腕に抱き着くように隣に寝転んだアーシアちゃんは、少し気恥ずかしそうに頬を緩ませながら俺の顔を眺めていた。
「・・・アーシアさん?」
流石にずっと視線を感じながらだと眠ることができない俺はアーシアちゃんの方へと顔を向けると、わずか数センチの距離しか空いてないほど近いアーシアちゃんの整った顔に少し驚いた。
「ふぇっ・・・!?あっ、えぇっと・・・ぁうっ・・・」
どうやらアーシアちゃんも俺が振り向くとは予想していなかったのか、しどろもどろになりながら顔を俯かせてしまった。
「安心してください、拙はどこにも行きませんから。ゆっくり身体と心を休めてください」
「はぅっ・・・あ、ありがとうございます。でも私は、もっとグレイさんとお話していたいです」
頬を朱に染めて恥ずかしそうに小さい声でそう言ったアーシアちゃん、おい可愛すぎるだろこの娘・・・天使かよ。
「拙もアーシアさんのことをもっと知りたいです、ですが夜も遅いですから・・・少しだけ、ですよ?」
俺がそう返事をすると、恥ずかしそうにもじもじしていたアーシアちゃんはパァッと顔を明るく綻ばせて大きく何度も頷いた。
それから俺たちは他愛のない話を交わしていたのだが、いつの間にか気付いたら寝落ちして朝になっていた。
「疲れていたんでしょうか・・・っ?」
初めての戦闘に知らず知らずのうちに疲れが溜まっていたようだ、などと考えているとふと右腕が動かせないことに気付いて顔を向けた。
「んんっ、んぅ・・・すぅ、すぅ・・・」
するとそこには俺の右腕を抱きしめながら寝息を立てるアーシアちゃんの姿があった、一緒のベッドで寝たんだからいるのは当然なんだが・・・
「・・・可愛らしい寝顔ですね」
「んゅっ、ぐれい・・・さん・・・」
思わず声が出てしまってしまったと考えたが、アーシアちゃんは俺の名前を口にして身動ぎしただけで済んだ。
グレイの名前を口にしたってことは夢でも登場してるのか?だったらアーシアちゃんをしっかり護れよ、夢の俺。