言葉が通じない彼女は、幸運の女神らしい。   作:よしどら

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血を吐き骨が折れるプロローグ-1

冒険者として仕事を終えて、久々の帰宅だ。

力も何もない私は基本的に一人(ソロ)で受けられるクエストを受けているのだが、いい加減仲間が欲しい。

出来れば後衛の魔法使い等が欲しいなぁ…なんて考えている時に…

 

「jq@tu?m4rh@?」

 

一人の少女を見つめた。

雨の中ぼーっと私の家の前に突っ立っていたので、手始めに名前を聞いてみたのだが…

 

「0qd?0qdkuj5f???」

 

未知の言語で話され、私は思わずため息を吐いたのを覚えている。

翻訳機械片手にもう一度行ってもらったが、残念ながら効果すらなかった。

取り合えず明日にでも詰所に行って彼女の事を調べて貰おうと思い、今日は私の家に泊まらせる事にしてみた。

 

「…こっちからの言葉は通じてるけど、向こう側からの言葉は分からないのか…」

「-tktnxjmc4q@Zqtod)4t@ue9!」

「分からない分からない。そんな一気に言われてもわからないし何ならちょっと精神が辛いから黙って」

「5?」

 

小さく首を傾げて何も分かっていない彼女を見ながら、私は小さくため息を吐いた。

…此処では珍しい黒髪のロングに、子供の様な可愛らしい身長。

そして周りの物を珍しそうに見ている彼女は、口を開かなければかなり美形の少女だ。

 

「6uj5<6d5w?」

 

口を開けば残念通り越して絶望だが。

彼女との会話は一方通行で、どうあがいても対話は不可能だろう。

いっそ諦めて明日冒険者ギルドで引き取って貰おうと思ったが……

 

「3;?q@ed@)42@?」

「…しゃべるなって…」

 

彼女が喋っていると本格的に比喩無しで身体が持たない。

現在私の身体は全身の痙攣が止まらず口には大量の血が溜まっている。

彼女が比較的“楽しそうに”会話しているだけでこれだ、もし誰かが彼女の恨みを買ったら…この街は彼女によって滅ぶだろう。

 

「……ぁ…っく、飛んだ疫病神だ」

「!?0qdf;Zgsdqb44yk」

「…っ!ぐぁ……わぁったから興奮するなっての!私が死ぬ!」

 

疫病神と言う言葉に興奮したのか、彼女の気持ちが荒れ狂った瞬間私の身体は異音を発して顔の穴から血が溢れ出した。

まだ何か言っているが既に耳から音が聞こえないのでわからない。

と言うかもう既に身体が限界を迎えてしまってもう立つ事すら出来ない。

壁に寄り掛かりながら私はゆっくりと彼女を見つめるが、此処まで私を追い込んだ彼女は何も分からず唯首を傾げていた。

 

「…そうだ書いて貰えば良いんだ。どうしてそんな事を考えつかなかったのだろうか」

 

思わず出た独り言に吃驚した彼女だが、小さく何かを決意した様に彼女は懐から紙を取り出して何かを書き始めた。

それを見ながらゆっくりと身体を起こした私は、やっぱり自分って天才だなぁなんて考えつつ…

 

「Z!s@4?」

 

彼女が書いた文字を見た瞬間、私の目が潰れた。

それと同時に回復した耳から目が潰れて液体になった様な音が聞こえ…その事に思わず苦笑してしまった。

何が天才だ、これなら聞いてた方がまだましだったな…と。

 

「…ぁでも、この状態になったのが私だけで良かった…」

 

結局此処で死ぬんだという諦めにも似た境地に立ちつつ、私はゆっくりと警告文を出そうとし……

 

「…?」

 

柔らかい何かに包まれ、身体が温かくなっていく。

…そしてそのまま私の視界が真っ赤な状態から明るくなっていき…潰れた筈の瞳が回復していくのが分かった。

 

「…嘘」

「u6Zq?」

「待って今回復したのにもう一回殺そうとしてくるのやめて」

「?」

 

とりあえず身体を動かすべく彼女から離れ、そして未だに仕舞ってなかった道具を振り回すと…今までと同じ様に振れるのが分かった。

その事に少しだけ驚きながらも、私は彼女に対して浮かんだ疑問をぶつけてしまう。

 

「…本当に、何者なの?」

「0qdf,???」

「待って私が悪かった、もう黙って…」

「なそのりん」

「……奈園燐?」

「c4!0qdkuj5fなそのりん!」

 

突然言われた言葉を聞いて、私は血と一緒に疑問を吐き出した。

…奈園燐とは、この国の幸運の象徴であり幸運を授ける神様とされている。

普通ならどう考えても偽物として扱うが、もしそれを信じている彼女にそういえば私の命は終わるだろう。

命を賭けるかそれとも否定するか…私はどっちの方が良いか考え…

 

「そっか。幸運の神様なんだ」

「4y!」

 

奈園燐だと受け入れる事に決めた。

…自分の命の方が大事だし、その方が私の気が楽だ。

 

「…じゃあ宜しくね。奈園燐…様?」

「?りんw@ee9!」

「……うん。じゃあよろしくね燐様」

 

 

その言葉を聞いた彼女が嬉しそうに微笑んだのを見て、正解である事が分かって思わずため息を吐いた。

…息を吐いた口からは、今日だけで一生分流したと思われる血の味がした。

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