シュヴァルツェスマーケン もう一人のアイリスディーナ 作:ダス・ライヒ
『な、なんだこの戦術機は…!?』
『そ、空を飛んでたぞ…!』
マリが駆るフリーダムガンダムの圧倒的戦闘力を前に、
幾つもの激戦を経験し、三代目の中隊長に継いだアイリスディーナ・ベルンハルト大尉でさえ、急に現れた自由をもたらす天使のようなガンダムに、いささか動揺を覚えている。
そんな彼女らに対し、マリは機体のビームライフルを腰のラックに付け、敵でないことを右手のハンドサインで告げる。
『な、なんのサインだ? それより所属を名乗れ!』
部隊の二代目の政治将校、グレーテル・イェッケルン中尉は党の意向に従い、突撃砲を向けてマリに何者かを問う。
当の彼女は敵でないと示す為、コックピットの操作盤の下にあるキーボードを引き出し、目前のMig-21全機の映像回線をハッキングして自分の映像を映す。
『っ! こ、これは…!?』
『ベルンハルト…大尉…!?』
『もしかして妹!?』
『…一体何者だ?』
映像越しからマリの姿を見たシュヴァルツェ・マルケンの面々は驚いた。
中隊長のアイリスディーナと同じく金髪碧眼でドイツ系の白人、それも彫刻のように整った美しい顔立ち。違うとすれば、やや幼くて体格が少し小さいくらいだ。それでも、アイリスディーナと瓜二つとも言える。そんな彼女の姿を見て驚く面々に、アイリスディーナは冷静さを取り戻して何者かと、茫然としているグレーテルを放って問う。
「神か悪魔か分からない変なのに助けろって言われた」
『おい、答えになってないぞ!』
アイリスディーナの問いに、マリは正直と言うか適当に答えた。無論、シュヴァルツェ・マルケンからすれば、意味の分からない返答だ。直ぐにテオドール・エーベルバッハより指摘が入り、更には威嚇射撃までされる。
『シュヴァルツェ8! 発砲は止めろ! とにかく、基地まで同行を…』
威嚇射撃をしたテオドールに、アイリスディーナは注意してマリのフリーダムに基地まで同行するように指示を出したが、マリは従わずに機器をハッキングして座標を出した。
『なんだ! 座標が表示されたぞ!?』
『勝手に表示されています! 奴が発信しているようです!』
『どうします? 攻撃しますか?』
突然の表示にグレーテルが慌て、ヴァルター・クリューガーが座標の発信源が目前のフリーダムであると知らせ、ファム・ティ・ランが攻撃するか問う中、アイリスディーナは物の数秒で考えを纏めて決断を下す。
『あの
『なんで俺が? 第一、こんな何所の奴も分からない…』
『口答えするな。我が国家人民軍において上官命令は絶対だぞ』
『…
決断はマリが送った座標に向かう事だった。自分とテオドールの二機のみで、マリのフリーダムガンダムについてくることにして、残りは基地に帰投させる。指名されたことに苛立つテオドールであったが、アイリスディーナがNVAの軍規を持ち出して従わせた。
中隊長機と僚機がついてくるのを確認したマリは、周囲のBETAを片付けたジグムント等に無線連絡を送る。
「‟キャラ被り‟と‟赤毛‟がついて来てる。周囲の掃除、お願い」
『適当な名前で呼ぶな。各機に通達、掃除の時間だ。目に見える化け物は全て片付けろ。火器制限なし、派手にやってよし』
『そいつを待っていたぜ! さぁ、ストレス発散だ!』
マリが勝手に付けたアイリスディーナとテオドールの渾名の事を指摘しつつ、ジグムントは七機のジェスタに乗るパイロット達に指示を出す。
待っていたジークフリートは、自分が乗るジェスタの背中に装着されているビームガトリングガンを展開し、それを持って目前のBETAの集団に向けて撃ち始める。凄まじい連射力から放たれるビームは正面が硬い突撃級すら引き裂き、周囲に居るBETAを肉塊へと変えて行く。
ジェスタは様々な装備に換装できるように設計されており、ジークフリートの装備もその一つである。
『私は左側面を掃討する』
ジークリンデも火器制限なしの許可を得れば、自身が乗る支援タイプのジェスタ・キャノンのビームキャノンとビームライフルを連射し、自身が担当する左側面の掃討を開始する。
部隊長を務めるジグムント機は、ドイツの突撃銃であるG36に似たビームライフルを装備し、それを単発で撃ってBETAを掃討している。正確な射撃をしつつ、残り通常タイプや支援タイプに乗る五機のジェスタに指示を出す。
『四番機と五号機は二番機の支援に回れ。六番機と七番機は三番機のフォロー。八番機は俺に付け!』
『ヤヴォール!』
指示に応じれば、それぞれがジークフリートとジークリンデの支援に回り、死角から接近して来るBETAの掃討を行う。
尚、四番機に乗っているのがマウテス・ヨハン・ヴァイス、五番機がヴォーレン・グランツ、六番機はヴィリバルト・ケーニッヒ、七番機がライナー・ノイマン、八番機はツイーテ・ナイカ・タイヤネンだ。
この五名の生前は魔導士の英霊であり、凄まじい激戦を潜り抜けて来た戦闘のプロである。BETAの大群と戦いにおいて、恐ろしい数の人海戦術を駆使した軍隊との交戦歴もあるので、BETA殲滅戦に適している。
そんなプロ中のプロが駆る八機のジェスタの援護を受け、アイリスディーナ、テオドールは容易に国境線を抜け、完全に放棄されたポーランド領内に入ることが出来た。
『前方より更にBETA!』
「露払いなら!」
アイリスディーナの知らせで、更にBETAの増援が目前に現れれば、マリはジェスタ・チームの救援を待たず、一機で高速で突入、腰のビームサーベルを抜いて進路上に邪魔となるBETAを全て斬り捨てる。掛かった時間は僅か数秒足らず、この世界の住人である二人を驚愕させるには十分な時間だ。
しかも人間がミンチになる程の機動で、二名は映像に映るマリが平然としていることに驚愕する。
『あんな機動でなんともないのかよ!?』
『…救難信号をキャッチ! 国連軍の戦術機部隊か、貸しを作るにはうってつけだな。ここから近い。援護、頼めるか?』
「良いわよ。早く行って」
テオドールが無事なマリを見て驚きの声を上げる中、アイリスディーナは付近で国連軍の戦術機部隊の救難信号を受信した。周囲にはまだ多数のBETAが残っているので、マリに援護を頼めば、彼女は少し嫌な表情を浮かべながらそれに応じ、BETAの掃討を続けた。
マリに周囲のBETAの掃討を任せたアイリスディーナとテオドールは辺りを見渡し、救難信号を出した国連軍の戦術機部隊を探したが、何所を見てもF4ファントムの残骸ばかりだ。
「反応がありません。みんな死んでんじゃないんですか?」
周囲の生存者を探しながら言うが、アイリスディーナの返答は彼に取って予想もしない物だった。
『なぜアネットを見捨てようとした? 戦争神経症の衛士は邪魔か?』
「何を言って…」
『どれだけ戦術機を上手く扱えようが、自分しか守れない貴様に衛士を名乗る資格は無い』
「あんたがそれを言える事か!」
部隊の中で戦争神経症のアネットを邪魔だと判断し、BETAに殺させようとしたテオドールにアイリスディーナは問うが、彼は激昂して怒鳴った。
テオドールはアイリスディーナが身内を国家保安省、通称シュタージに売って今の地位を得たと思っているからだ。
「知ってるんだぞ! あんたのやった事を! 身内を売る奴が…」
最後まで言おうとした時、テオドールは頭を冷やして自分が何を言っているのか理解した。こんな地獄の中で自分の部隊長の噂話を言っても、無駄だと分かっているからだ。
『続けないのか? 私がシュタージの密告者だと』
これにアイリスディーナは気にせずに言うが、テオドールの反応は無かった。
数秒後、レーダーが国連軍の戦術機の反応を捉えた。直ぐにアイリスディーナはテオドールに指示を出す。
『話はあとだ。私以下の卑しい人間になりたくなければ、衛士として誇りを持ち、自分の儀を果たすんだな。エーベルバッハ少尉』
「ちっ、了解!」
尻を叩かれるかの如く、テオドールは先行して国連軍機の反応を探した。
何機か生き残っているようだが、既にBETAに撃破されており、残った左肩にカートゥンアニメのキャラが描かれた一機は、要撃級の体当たりを受けて戦闘不能となった。直ぐに助けなければ、乗っている衛士は食い殺されてしまうだろう。即刻、倒れたF4ファントムに群がるBETAを一掃する。
「あの女、まだ残ってるぞ!」
『エーベルバッハ少尉、周囲のBETAは引き受ける。お前は国連の衛士を救え! 貴様が衛士と言う証拠を見せろ!』
「了解!」
アイリスディーナからの指示で、テオドールは近くに機体を着陸させ、彼女の指示通りに倒れたF4に生身で接近した。
周囲にはまだ戦車級が複数ほど居たが、直ぐにアイリスディーナのMig-21が始末してくれた。その血飛沫がテオドールに降りかかる中、顔に着いた場所を右手の甲で拭い、倒れている国連軍の戦術機によじ登り、コックピットを目指す。
「くそっ、何所だ? 緊急開閉ハッチとかは!?」
コックピットまでよじ登ったテオドールは開閉ボタンを探したが、西側の物であるために中々見付からない。
ようやく見つかった所で、テオドールはそれを押してハッチを開いた。
「リィズ…!?」
中に居たのは、自分より年下な少女だ。気を失っており、内部には私物と思われる物が散らかっていたが、それよりもテオドールは行方知れずの妹と面影を重ねてしまった。
『何をしている!? 早く戻って来い!』
テオドールは通信で我に返り、少女を抱えて自分の機体まで戻ろうとした。私物に関しては、拾ってやらずに彼女だけ抱える。見ず知らずの他人のために、拾ってやる時間など無いからだ。
戻ろうとした瞬間、周囲に居る大型級のBETAがビーム攻撃により全滅した。
「なんだ? あいつが戻って来たのか?」
テオドールはあのビーム攻撃を、マリのフリーダムによる物であると思ったが、ビームの色は違う上に高出力では無かった。鋭いアイリスディーナは直ぐに臨戦態勢を取り、レーダーに映る正体不明機に警戒する。
『いや、どうやら違うらしい。早く戦術機に戻れ。戦闘になるかもしれん』
アイリスディーナは周囲に現れたBETAではない戦術機サイズの機動兵器を見て、テオドールに早く乗るように告げた。
「さて、これでお掃除完了っと」
周囲のBETAを一掃したマリは、アイリスディーナとテオドールの元へ戻ろうとしたが、自機を狙うビームに気付き、恐ろしい速さで躱してビームが来た方向へ直ぐにカメラを向ける。
「こいつら何?」
『そっちにも出たか。彼女らの方にはジグムント等が向かっている。そっちの対処を頼む』
ビームが飛んできた方向を直ぐに見付け、そこへビームライフルを向ければ、戦術機では無いフリーダムと同じ異世界の機動兵器の姿があった。マリが上空の早期警戒機に乗るミカルに問えば、彼はアイリスディーナの方にも来ていると答え、ジグムント等が対処に向かっていると告げてそちらの対処を求める。
敵はいつものMSでは無く、機体照合からは連邦軍が運用しているサイリオンであると分かる。正規軍が使う物とは違い、武装も本来の物では無い再生品であるようで、所属は見る限り正規軍では無い。
さらにそのサイリオンに乗るパイロットより、マリのフリーダムに映像通信が入って来る。映っているのは大柄のスキンヘッドの男で、傷だらけの顔を見る限り歴戦の戦死と見える。
『貴様、マリ・ヴァセレートだな? 大人しく我らギゾン旅団に投降して貰おう』
「投降? 何言ってんの?」
『賞金首となっているにも気付かずか。手足の一本無くとも生きていればよい。総員、全力で攻撃せよ!』
彼の男が命令を出せば映像通信は途切れ、周囲から多数の再生品の機動兵器が続々と包囲する形で現れ、マリのフリーダムに襲い掛かる。
ギゾン旅団なる部隊の装備にはMSやPT、他にもゾイドなどが見えるが、どれもが共食い整備や改造して取り付けたような不格好な物ばかりであった。持っている武器もジャンク品の再生品だ。戦場から掻き集めたのだろう。
そんなジャンク品旅団に対し、マリは容赦なくフリーダムの威力を見せ付け、次々と元のスクラップへと戻していく。
『ぬぅ…! 我らノンダス人が華奢な女一人に…!!』
『負けてなる物か!!』
次々と撃破されていく仲間の機体を見て、ギゾン旅団に属するノンダス人は自分の狩る機体で連携を取って近接戦闘を仕掛けるも、マリの恐ろし過ぎる反応速度に躱され、二振りのビームサーベルで切り裂かれる。
『ぬぁぁぁ!!』
空を飛び、部下たちを殺し続けるマリのフリーダムに、旅団長が乗るサイリオンが大振りの斧を持って斬りかかったが、これもあっさりと躱されてしまい、更には背中を蹴られて雪原の上に叩き付けられる。
なんとか起き上がろうとしたが、マリは容赦なくビームライフルで敵機の手足を撃ち抜いて破壊して達磨状態にした。中々残酷なやり方だ。敵機には乗り捨てるか、自爆する以外に方法は無い。
部下たちを殺された挙句に全滅させられ、このような屈辱的な敗北をたかが華奢な女に負けた旅団長は、早くとどめを刺せと空か見下すマリに命じる。
『う、うぅぅ…! 殺せ! このような敗北は我らノンダス人に取って屈辱的だ! 我らは戦場こそ墓場と決めている! 生かすなど我らを愚弄するのか!?』
『お遊びをしている暇はないぞ。思ったより到着が遅れている。向かってくれ』
彼らノンダス人に取って、死は戦場で戦って死ぬことである。老衰や事故死は彼らにとっては恥も同然である。
当のマリには知った事では無く、アイリスディーナとテオドールの救出に向かえとミカルに言われたので、旅団長を放棄して彼女らの救援に向かう。
『ま、待て! くそっ! こんな任務を受けるんじゃ無かった!!』
自分を殺さなかった相手を恨みつつ、旅団長は機体を自爆させて自ら命を絶った。
マリが賞金稼ぎ部隊を全滅させた後、アイリスディーナとテオドールは別の賞金稼ぎ達に襲われていた。
「早く乗り込め!」
国連軍の衛士を救出し、抱えている状態のテオドールに向け、アイリスディーナは周囲から現れ、ビーム攻撃を浴びせて来る雑多な機動兵器部隊に突撃砲を撃ちながら告げる。
これにテオドールは急いで自分の機体へ急ぐが、あちらこちらからも賞金稼ぎ達が現れ、自分に向けて見たことも無い銃や、更にはレーザーガンまで撃ってくる。
「なんなんだ! こいつ等!?」
悪態を付きながらもテオドールは何とか少女を抱き抱えたまま自機に乗ることに成功し、ロケットランチャーを撃とうとする賞金稼ぎを、手にしているPMマカロフ自動拳銃を滅茶苦茶に撃って下がらせる。
先にコックピットに少女を放り込み、それから操縦席に座って起動させ、アイリスディーナの支援に回る。
『こいつ等は一体!?』
「さぁ、お友達では無い事は確かだ」
テオドールの問いに、アイリスディーナは冗談を交えながら攻撃を躱し、突撃砲で反撃する。味方では無い事を証明するかのように、襲って来る機動兵器に乗るパイロット達の下劣な通信が無線機より聞こえて来る。
『この女がマリ・ヴァセレートだな!』
『ちょいとおっぱいがデカいが間違いねぇ!』
『引き渡す前に味見と行こうぜ! 俺が一番だ!』
『黙れ! 俺が先だ!!』
どうやらアイリスディーナを、マリと勘違いしているようだ。彼女の容姿を見て下品な妄想を浮かべた賞金稼ぎ達は、自分が先にアイリスディーナを捕らえようと仲間割れを始める。
『こいつ等、勝手に仲間割れを!?』
賞金欲しさに仲間割れを起こした賞金稼ぎ達に対し、アイリスディーナはチャンスだと思い、この隙に離脱しようとテオドールに告げる。
「何が何だか分からんが、とにかくその間に脱出だ! 急げ!!」
この場から逃げようとする二人であったが、賞金稼ぎ達が逃すはずが無く、一斉に攻撃を浴びせて来る。
『あっ! 逃げる気か!?』
『逃がすか! 撃ち落とせ!!』
先ほどの仲間割れを忘れ、一斉に逃げる二人へ向けてレーザー等を浴びせて来る。凄まじい弾幕で掠る程度で済むものの、いつ被弾してもおかしくない。
『駄目だ! 避け切れ…』
テオドールが弱音を吐いた瞬間に、彼を狙っていた改造され過ぎて正体不明となった機動兵器が撃破された。
『生きているか!? 生きているなら早く逃げろ! ここは我々が引き受ける!!』
マリよりも先に、ジグムント等が先に救援に来たようだ。
八機のジェスタタイプは、手にしているビームライフルを撃ちながら賞金稼ぎ達を一掃する。マリが交戦したギゾン旅団なるノンダス人の傭兵団とは違い、アイリスディーナ等を狙った賞金稼ぎ達は個人のようだ。
連携が取れた八機編成のジェスタ中隊からの急襲を受け、賞金稼ぎ等は次々と撃破されるか逃げ出し始める。
『畜生! あいつを!!』
『行くな!』
一機が制圧射撃をすり抜け、アイリスディーナ等に近付いたが、ジグムントが乗るジェスタに取り付かれ、雪原へと叩き付けられた際にビームサーベルをコックピットがある胴体に突き刺されて無力化された。
続けてジグムントはライフルに切り替え、逃げ出す賞金稼ぎ等の機動兵器を撃って撃破する。ジークリンデも到着し、敵機の掃討がさらに進む中、ジークフリートは掃討戦には参加せず、あろうことかアイリスディーナ機に近付いて無線連絡を入れる。
『ウッヒョー! マジのゲキマブだぜ! マスターよりも胸がデカくて大人って感じだぁ!』
「な、なんだこいつは!?」
『何をやっている? 早く向かえ!』
『ちっ、それじゃあ、見といてくれよ!』
いきなり映し出された金髪碧眼の大柄な青年を前に、アイリスディーナは驚く中、当のジークフリートはジグムントに叱られ、敵機の掃討に向かう。
持っていたビームガトリングは背中のラックに付け、三連射が出来るビームライフルに切り替えて雑多な敵機に攻撃する。物の見事に急所に当てており、一機、二機と続けざまに撃破し、逃げる生身の賞金稼ぎ等に対しては、腰のグレネードランチャーを撃ち込む。
グレネードの弾頭は対人用の白燐弾だ。皮膚に付着すれば中々消えないので、それを浴びた賞金稼ぎ達は悶え苦しみながら死ぬ。側面から接近戦を挑んで来た機動兵器に対し、ジークフリートは左手で抜いたビームサーベルを突き刺して撃破した。残りのジェスタも賞金稼ぎ達を一掃し、彼らの戦意を奪った。
『よし、後はBETAに食わせる! 撤収しろ!』
『待ってくれ! 上空より敵機!』
『飛行型まで居るの!? 対空射撃…』
残りの賞金稼ぎ等はBETAに処理させることにして、撤収しようとするジグムント等であったが、ミカルより飛行できる機動兵器の接近を知らされた。
ジークリンデは直ちに対空射撃を行おうとしたが、ちょうどマリのフリーダムが到着し、飛んでいる機動兵器を次々と撃ち落としていく。
『なんでこんな奴らが出て来るんだ!? ここはコイン機ばかりじゃねぇのか!?』
『う、うわぁぁぁ! く、来るな!!』
上空も次々と撃破される同業者らを見て、賞金稼ぎ達は予想外のマリとジェスタ隊の存在に恐怖し、逃げようとするが、彼女は追跡の手を緩めない。
撃墜を免れ、地面に叩き付けられる程度で済んだ機体もあるが、群がって来たBETAに襲われて何も抵抗できぬまま食い殺される。
『わぁぁぁ!?』
更にマリのフリーダムは高速接近し、一気に二機の敵機をビームサーベルで切り裂いて撃墜した。
これでもう賞金稼ぎ達は戦意を喪失し、同業者らを助けることなく我先へと逃げ出し始める。
『敵部隊撤退を確認。残りはBETAに食われている。さぁ、手紙を届けよう』
ミカルより敵部隊が撤退するか、BETAに食われていることを知らされれば、マリは基地へ帰投する二機に高速で向かい、手紙が入っている小包をアイリスディーナ機に向けて投げる。左足に引っ付いたのを確認すれば、マリはジェスタ隊の元へ戻った。
『手紙は付いた。さて、おいとましよう』
『着けたな。では、撤収する。フランケンシュタイン、転送装置を起動しろ』
手紙が着いたのをミカルが確認すれば、マリのフリーダムがジェスタ隊の集結ポイントに着地し、それを見たジグムントは撤収する為、フランケンシュタイン号に転送装置を起動するように無線連絡を取る。
この連絡を受け取ったフランケンシュタイン号は、直ちに転送装置を起動して、マリ達を船へと転送させた。