あたしは愛車ものアメリカーを埠頭に沿って北上させる。
タコマは元々林業とそれを行き来させる為の港湾都市とし成長してきた経緯がある。
この為埠頭を中心に街が構成されている。
埠頭を右手に車を走らせていると正面に大きくシアワセタワーが周囲を睥睨するようにそそり立っている。
シアワセタワーは全面がガラス張りのツインタワーでどこからでも良く見える。
内部にはシアワセの歴史がわかる博物館と展望フロアがあり一般開放されている。
タコマには日系人が多いこともあり、いつも良く賑わっている。
大学時代の学友であるミーシャはシアワセタワーの近くにあるビジネス街で飲食店をやっている。
伝統のオーク料理を第六世界風にアレンジと謳い文句の店だ。
オークか地球に帰還したのは2023年。
たかだか50年程度で伝統とはなんだと思われがちだが、そうではない。
オークは第4世界にも存在し独自の文化を築いていたのだ。
その根拠とされるのがグレートドラゴンのダンケルザーンによりもたらされたオーク文化について書かれたオァゼット写本なわけだ。
未だにオァゼット写本の正当性の議論はあるが面と向かってドラゴンに文句も言えず、そういう物として扱われている。
とは言え、文化と歴史は密接に関係しており自分のルーツとなる文化と言えども好むかどうかは違う話だ。
ましてや、そのルーツすらなければなおさらだ。
大学の時にオァゼット写本の通りにミーシャが再現したオーク料理は未だにあたしの中にトラウマとして刻み込まれている。
野趣味あふれると言う言葉も生ぬるい蛇の串焼きやひたすらに辛い焼き肉、煮込んだ豆料理、油の浮いたアルコール。
あたしは食べたあとお腹の調子が悪くなったのに、彼女はケロリとしていた。
本当にメタタイプの違いを感じた最初の瞬間がこれだったかもしれない。
そう、彼女はオークなのだ。
彼女が大学時代ヒューマニストに乱暴されたことが、あたし達の人生の転機になった。
あたしは人権活動に興味を持ちジャーナリストを志した。
彼女はオーク文化に興味を持ちオーク料理やオーク格闘術に手を出し始めた。
格闘技道場であるヴィジラントアイアンスクーリングハウスで今の旦那と知り合い、めでたく2年前にオーク料理専門店を出したわけだ。
店では"伝統的な"オーク料理も出せるが主に注文されるのはアレンジ品ばかりだ。
これはタコマに東洋人街がある事を踏まえ四川料理を下敷きにエスニック風にアレンジしていることが大きいだろう。
アルコールに至ってはフレーバーカクテルと割り切り様々な甘めのカクテルを揃えている。
そんなことを考えていると車は遊牧民のテントをモチーフにした建物に到着した。
ここが、あたしの親友の店クラシス・グロンと言うわけだ。
あたしは車を停めると店内に向かった。
シアワセタワー
シアワセの北米本社
『seattle2072』より
オーク料理
シャドウランでは言及を見つけられずアースドーンのサプリ『The Ork Nation Of Cara Fahd』を参照しています。
オーク格闘術
アースドーンの歴史サプリでキャセイ(中国)から来たグレートドラゴンが格闘家を連れてきていたので、その格闘術をカラファッド風にアレンジしたもの。
非公式設定。
ヴィジラントアイアンスクーリングハウス
元はオークのジェンキズが起こした護身術を教える道場。
その中核はアデプトのイニシエーショングループとして機能している。
互助意識の強い組織でもるある。
『Street_Grimoire』より
クラシス・グロン
アースドーンに出てくるオークの英雄の名前。
一度滅んだオーク王国を再興した女王。