シアトルアイショット   作:CanI_01

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黒い天使の誘い

あたしが突貫でレポートを仕上げアップロードを行う。

内容はグロウシティの虐げられた人々、メガコーポの研究所による生活の改善、しかしその研究所は人を搾取しているのではないか?

苦しむ人に寄り添う複数の組織と言った体裁だ。

ハッキングで手に入れたデータは後で内部告発により手に入れた体裁が必要だろう。

あたしは間に合うのだろうか。

 

そんな事をぼんやりと考えているとトラックの外から駆け抜ける爆音。

 

「アップロードお疲れ様っす! 俺の活躍を最高にかっこよく撮影して貰ったうえ、放送に使って貰えるなんて感激です! 一生自慢できるっすよ。」

 

感極まった声で告げるのはアクセルホーンだ。

喜んで貰えるのはありがたいけど。

 

「内容的には思うところはないの?」

 

あたしは人の不幸で作品を作っていると罵倒されても仕方ないと思っている。

例えその作品の公開に意味があるとしても。

 

「良く見てくれてる嬉しいっすね。ダニーさんの視点はいつも優しいですよね。」

 

意外だ。

 

「でも、今捕まってる人には何の役にもたたないのよ?」

 

不思議そうにこちらを見るアクセルホーン。

 

「俺達みたいに弱くて存在してない者がヒドい目に合うのは当然っすよ。力がないんすから。それを変えようとしてくれるのがダニーさんっすよね。」

 

そうだ、そんなものが当然あると言う真実が許せないからあたしは動いているんだ。

 

「そうね。そうだったわ。たまに忘れてしまうのよね。」

 

ニコニコとアクセルホーンが笑っている。

 

「見てる人間は忘れないんすけどね。」

 

そんな所に入ってくるのは全身の羽毛から汗を滴らせたアーリー。

 

「悩みぐらいなら聞くわよ。迷える子羊を導くのもあたしの使命だからね。」

 

報告がてら話をする。

 

「あの研究所ってラスティスティレットにみかじめ料払ってないから痛い目を見せたくはあるんだけど。」

 

アクセルホーンが肩をすくめる。

 

「小競り合いならともかくとして戦争するにはさすがに手が足りないっすよ。」

 

白旗を降るように手をふるアーリー。

 

「もちろんさ。自身を愛すように汝の隣人を愛せって言うからね。ここに愛すべき相手がいると教えに行くってのもありじゃないかね。」

 

そして、あたしに強い視線を向ける。

 

「正直勝算はあまり高くない。でも、この件に決着をつける公算は高い。あんたが自分の信念に従って魂を売らずに貫き通す可能性はある。」

 

あたしは肩をすくめる。

 

「今から魂を売り飛ばせるようなら、こんな難儀な商売してないわよ。」

 

そして、あたし達は大きく笑い声をあげた。




自身を愛すように汝の隣人を愛せ
新約聖書―マタイ伝・二二 より。
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