シアトルアイショット   作:CanI_01

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紅の女王と混沌の使者達

金曜日の朝、あたしは再びファンハウスを訪れた。

前回同様に中央棟に向かえば良いかと思っていると南西棟の駐車場に向かうように指示を受ける。

駐車場で車を停めるとお仕着せを着たオークが近寄ってくる。

 

「ダニーさんですね。お待ちしておりました。こちらへ。」

 

エレベーターに乗ると操作することなくエレベーターは11階へと向かう。

コムリンクにより操作してるのだろう。

ファンハウス自体はかなり高度なセキュリティのホストで運用をしているようだ。

 

エレベーターを降りると前回と同様に巨大な扉。

今回は前回と異なりオークが先に立ち案内をしてくれる。

扉の向こうは屋上庭園だ。

中央棟が落ち着いた長閑な庭園とするなら、こちらは人の目を楽しませる庭園と、言えるだろう。

小川が流れ、花が咲き誇る。そしてアクセントに樹木が生えている。

 

少し先にウルビアが鎮座し、その正面には重厚な石のガーデンテーブルが置かれている。

そこにはすでに、6人の先客が腰を下ろしている。

3人のエルフ、オーク、ヒューマンが1人づつ、メタタイプの判らない人物1人が座っている。

皆に共通しているのは触れば怪我をしそうなピリピリとした雰囲気をまとっていることだ。

皆ギャングなのだろうか。

 

「よう参ったな、ダニー。お主ら自己紹介をせよ。我らだけがダニーを知っておるのも不公平よ。チームのアルファベット順だ。」

 

誰から名乗るのかも面子があるのだろうか。

 

「では。」

 

緑のライダースーツに背中に丸で囲んだAと書いた人物が口を開く。

しかし、割り込むように真紅のライダースーツを身に着け随所にオレンジの縫い取りのある人物が割って入る。

 

「おっと、うちは405ヘルハウンドなんでね。俺から挨拶させてもらうぜ。」

 

緑のエルフは苦々しい顔をしているものの異存はないようで勝手にしろとばかりに手を振っている。

 

「俺は405ヘルハウンドの頭を務めてるレッドファングだ。今回は楽しそうなチキンレースに誘って貰ってありがとな。楽しみにしてるぜ。」

 

405ヘルハウンドはベルビューやレドモンド辺りを縄張りにしているゴーギャング、いやスリラーギャングだ。

普通のゴーギャングと研究所の襲撃の相性は良くない。

にも関わらず参加しようとしてるのがスリラーギャングであることの由縁だろ。

続いて先程割り込みを受けた緑のエルフが口を開く。

 

「私はエンシェンツのホークアイ。レドモンド地区の指揮官だ。」

 

エンシェンツは世界中に影響のある強大なエルフのゴーギャングだ。

地区指揮官クラスでも他のギャングと同等の動員力を持つのだろう。

 

続いて口を開くのはオーク。赤い皮のジャケットとパンツを身に着けている。

 

「俺はクリムゾンクラッシュのガンツ。本来はうちが首を突っ込む話じゃないが、ダニーさんのお声がけだったからな。人暴れさせてもらおう。」

 

ガンツはその日に焼けた浅黒い顔を赤らめて話す。

少し照れくさいような、誇らしいような気持ちにさせられる。

 

次に口を開くのはネイティブアメリカンのシャーマン風の装いをしたエルフだ。

他のメンバーはギラツキはあり粗暴さから恐怖感はあるものの嫌な感じはしない。

ただ、彼だけは粘着質な嫌な感じがする。

 

「ファーストネイションのブラッドオブバッファローだ。見ての通りシャーマンだ。今回私は役にもたたんが、うちの精鋭部隊がワイルドキャット仕込の用兵を披露しよう。」

 

詐欺師特有の胡散臭い雰囲気を感じる。

これに続くのはメタタイプのよく分からない黒のレザーパンツとジャケットにオレンジのジャックオーランタンの仮面を被っている。

彼がサビの浮いた金属が軋むような声を出す。

 

「ハロウィーナーズのファントムだ。全てを業火のもとに。」

 

ファントムからは禍々しい印象が強い。本当に人なのだろうか。

最後に口を開くのはエルフの女性。

よく知っている人物だ。

 

「ラスティスティレットのアーリーブラックウイングよ。うちの実働部隊は戦争準備で動けないから、あたしが今回は寄らせて貰ったわ。」

 

もっとアウェイな立場で会合に参加したこともあるが、親しみを持っている同性の友人がいると、少しホッとするのは事実だ。

 

「このメンバーを中心に今回の作戦は執り行う。ダニー、目的などを説明せよ。」

 

あたしは立ち上がり皆にデータを転送する。

 

「改めましてダニーウエストです。今回の目的は以下の3点を想定しています。

1.研究所の壊滅。

2.被験者の救出。

3.データの奪取。

今回の場所に研究所があるのはデータ保管されているホストがあるためです。

このため1に関してはホストを破壊すれば達成できるはずです。

2に関してはお願いしますとしか、申したげれられません。囚われている場所に関しては提供した地図に記載しています。

3に関しては何とかします。」

 

皆が頷く。ガンツが口を開く。

 

「セキュリティも任せられるのか?」

 

「制圧します。ただ、この研究所はホストへの依存度が低いのでカメラの無力化、ロックの解除程度しかできません。幸い施設としてのドローンや銃座などのオートウエイポンは設置されていません。」

 

レッドファングは鼻を鳴らす。

 

「上等だ。俺達でホテルウラジオストクの拠点を強襲する。その代わり奴等の武器は俺たちがいただく。」

 

肩をすくめるホークアイ。

 

「うちは穏やかな人間が揃ってるから荒事は任せるさ。同胞も捕まってる以上捨て置けん。被験者の救出はうちが請け負う。」

 

顎髭を擦りながらガンツが話す。

 

「では、うちは補給物資をいただこう。派手に暴れながら進めば邪魔にはなるまい。」

 

ブラッドオブバッファローはどこか胡散臭い笑みを浮かべる。

 

「順次制圧して行けば良かろう。うちはウルビアの報酬だけで充分だ。」

 

アーリーが大きく頷く。

 

「あたし達はダニーの護衛をしながらホストを物理的に粉砕する。」

 

ファントムが軋むような笑い声をあげる。

 

「我らは全て焼き払うのみよ。燃料代は負担してもらうぞ。」

 

アーリーが答える。

 

「それはあたしらが出す。景気よくやってくれ。」

 

ウルビアが首を傾げる。

 

「話はまとまったな。我らが領域を荒らす者を一掃してくるが良かろう。」

 

その後あたし達は詳細を詰め今晩の襲撃に備えて拠点へと引き上げる事にした。

 

 




405ヘルハウンド
オレンジと赤がイメージカラー。スリルギャング。
リーダーのレッドファングはオリジナルキャラ。

エンシェンツ
緑がイメージカラー。丸の中にAの字のトレードマークを好む。
エルフのゴーギャング
ホークアイはオリジナルキャラ。
エルフ王国のティルタンジェルとも繋がりがあり、ウルビアも繋がりがある。
今回はその辺の付き合いから巻き込まれた。

クリムゾンクラッシュ
赤色がイメージカラー、オークのみで構成されている。
レドモンドセントラルの治安を維持している暴力的な古参ギャング。
リーダーのガンツはオリジナルキャラ。

ファーストネーション
青色がイメージカラー。
NAN出身メンバーのみのギャング。
元軍人が多く戦闘力は高い。
リーダーはサーリッシュエルフのブラッドオブバッファロー。シャーマン。
ダニーが嫌っているのはオリジナル小説独自の設定。

ブラッドオブバッファローが役に立たない理由
グロウシティは汚染されているので魔法使いはペナルティを受けるのです。

ワイルドキャット
スー国の特殊部隊。
ファーストネイションがNAN系であることから大風呂敷の一環。

ハロウィーナーズ
オレンジと黒がイメージカラー。メイン領域はダウンタウン。
リーダーはファントム。
破壊的で混沌とした存在。

ラスティっドスティーラーズ
黒と赤錆色がイメージカラー。主にオーク、トロールで構成されているミュータントギャング。
領域はグロウシティ。
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