シアトルアイショット   作:CanI_01

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シアトル警察24時

シアトル ダウンタウン ナイトエラント中央署

 

ナイトエラントがシアトルの警察業務をローンスターから奪い取り施設類は概ね流用することになった。

この理由として施設があくまでシアトル行政府からの貸与物であるからと言うのが表向きで実際には費用面がより大きな理由だ。

その中でこの中央署は大きく手を入れられている。

 

昔から中央署はこの場所にあり警察政治の中心地でした。

しかし、ナイトエラントはここを指揮中枢に作り替えたのだ。

アレスの、最新鋭ドローンを活用したドローンネットワーク、パトロール中の警官を有機的に管理運用する管理システム、厳重なセキュリティーと情報指揮のためのスパイダー達、有事には即座に出現可能なSWAT、FRT、虎の子であるファイアウオッチ部隊、その全てを兼ね備えるのが中央署なのである。

 

とは言え、パトロールや犯罪捜査、事件の現場検証などの日常的な任務につく警官達が圧倒的な多数派だ。

彼らが日々仕事をこなしているからこそ中央署が機能していると言っても過言ではない。

 

そんな通常部隊の隊長席で1人の女性が事務処理をしている。

短く刈り込んだ金髪、猛禽のような瞳、メリハリのついた肉体ながら鍛え上げた結果メリハリがついたと言わんばかりの体躯、セクシーさよりも獰猛さを感じる、そんな飢えたライオンの風情のある女性だ。

彼女は黙々と不服そうに事務処理をしている。

 

そんな彼女の視界に通信管理を司るエージェントプログラムからの連絡がポップアップする。

 

「カティ・ガンダーソン巡査部長、アズテクノロジーのレイナルド・マチルス様から通信が入っています」

 

カティは迷わず承諾を告げ通信を繋ぐ。

その顔は事務処理からの解放に晴れ晴れとしている。

 

「お久しぶりです、ガンダーソン巡査部長」

 

アズテク訛りの英語を話すのは褐色の肌にくすんだ金髪の柔和な笑みを浮かべた男だ。

その引き締まった肉体はカティに引けを取らない。

 

「アズテクのエリート部隊の隊長様があたしみたいな下々の警官に何の用だい?」

 

事務処理よりは好きだが、あんたも嫌いだよ。と言わんばかりに話すカティ。

 

「我々は単なる看板部隊ですから、実戦をくぐり抜けてこられた軍曹に敬意を忘れたことはございませんよ」

 

心外だ、あなたが大好きなのにとラテンの勢いでアピールするレイナルド。

 

「御託は良い。本題はなんだ」

 

「おお、これは失礼しました。あなたとの会話がうれしく、つい脱線してしまいました。

我々の封土で起きました強盗事件についてのご連絡です」

 

カティの視界に事件の場所と向かっている警官の名前、到着予定時刻、アズテクノロジーに対して犯人引き渡し要請をしている事実が表示される。

 

「我々は市民の義務として犯人の引き渡しをさせていただきます。」

 

「そいつはありがたいが生贄にしなくて良いのかい」

 

レイナルドはまるで本当に悲しんでいるような顔をして告げる。

 

「あなたのような方にまで、誤解されているとはショックですね。」

 

「はっ!繊細なことだな。まあい。早く本題を話しな」

 

「テノチトランの分析なのですが、ここ3ヶ月間のシアトルでの事件発生率が平均を大幅に上回ったようです。」

 

「算数の授業の礼に教えてやるが、あんた達を狙ってるわけじゃない。

シアトル全体で有意に犯罪発生率が増えている。ワード所長もおかんむりさ。」

 

笑顔を微動だにさせないレイナルド。

 

「それは良いことを伺いました。

とは言え、弊社が被害を受けているのは事実でして、テノチトランからは我々レオパルドガードの出撃許可が下りています。」

 

「脅す気かい?」

 

剣呑な笑みを浮かべるカティ。

 

「まさか、まさか。我々はUCASの法律にも慣れていませんし、ご迷惑をかけるつもりはありませんよ。

とは言え、許可が命令に変われば動かなければならないのが辛いところです。」

 

変わらず微笑みを浮かべるレイナルド。

 

「御社のファイアウオッチが害虫駆除に忙しいようであれば、我々が動くのはやぶさかではありません」

 

「余計なお世話さ。今月中にはあたし達が蹴りをつけてやる。テノチトランに伝えておきな」

 

「それは良いことを伺えました。それでは、名残は尽きませんがこれで。」

 

その言葉と共に回線は切れレイナルドの胡散臭い笑みが消える。

現場からの報告書に目を通し、一瞬考えた後にカティは立ち上がり部下に告げる。

 

「案件M8468435494の捜査にあたしも加わる。

現場に向かうから参考人のダニー・ウエストを聴取後引き止めておくように伝えておけ」

 

そして、カティ・ガンダーソンは現場に向けて歩き出す。

事務処理を放置して。




ローンスター
ナイトエラントの前にシアトルの警察を委託されていた民間企業。
男尊女卑、ヒューマン至上主義なアメリカ南部への偏見を形にしたような企業。

SWAT
重大な事件の際に狙撃などの特殊能力を駆使して事件を制圧するチーム。
FRTとは仲が悪い。

FRT
ファーストレスポンスチームの略。
重大な事件の際に最初に突入を行うヘビーサイバー部隊。
SWATと仲が悪い。

テノチトラン
アズトランの首都で今のメキシコシティ。
アズトランはアズテクノロジーの運営している国家で今のメキシコ+α。

ファイアウオッチ
ナイトエラントの誇る精鋭部隊。
シカゴを昆虫精霊から解放するための戦いで一躍有名になる。

レオパルドガード
アズテクノロジーの誇る精鋭部隊。
主にアズトラン外の重要拠点の警護を担い必要に応じて要撃任務に就く。
その装備は古代アステカの戦士の外観に習い最新鋭のサイバー装備となる。
どんなのかご興味があれば「アステカ 戦士 装束」などで検索してみてください。
今回のレイナルドはアズテクノロジー北西支部であるアズテクシアトルの警備責任者。

UCAS
いろんなあって領地の西半分を失いカナダと合併したアメリカ。

"軍曹"カティ・ガンダーソン/SGT. KATHY GUNDERSON
出典は『Seattle Sprawl Digital Box』のCharacter Cardsより。
ヒューマン女性。階級は巡査部長。

レイナルド・マルチネス/Reynaldo Martinez
出典は『Seattle 2072』のAztechnologyの項目より。
恐らく獣っぽい軍事用アーマーに儀礼用(に見える)黒曜石の剣で武装した指揮官。
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