シアトルアイショット   作:CanI_01

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ワイルドライフ:火と斧

レストエリアを北に抜けるとすぐに温帯林エリアがある。

ウルズマンティスは第一種の危険クリッターであるためちゃんと檻の中にいる。

つまりAR表示に従えば見ることができるわけだ。

 

「そう言えば、何でウルズマンティスを見たいの?? シカゴに長いんだからデカイカマキリなんて見慣れてるでしょ?」

 

シカゴは昆虫精霊のパンデミックにより街区封鎖をされた街だ。もちろん、すでに清浄化されており街中に昆虫精霊が溢れていないことは知っているのだが。

 

「シカゴのランナーでバグハンターやってなければモグリみたいなものだからな。見慣れてはいるんだが。」

 

冗談のつもりが冗談で済まずあたしへ絶句する。

 

「だからこそ、昆虫精霊と覚醒カマキリが見分けがつくのか気になってさ。お前男の子は昆虫好きよね?とか、思ってただろ。」

 

「少しだけね。あたしは昆虫精霊も見たことないのよね。」

 

ビリーは心底嫌そうに首を振る。

 

「あんなもの関わらないで済むならそれに越したことはないさ。」

 

そんな話をしながら園内のAR表示に従って進む。

 

ウルズマンティスは世界最大のカマキリでメスの体長は1.7mを超える。

その鎧のような体表は緑に輝き下腹部のみが黄色い。

その巨大な鎌だけでも脅威であるにも関わらず感化のパワーまで使うと言うのでたまらない。

本来の生息地であるヨーロッパで賞金を掛けられているのも良くわかる凶悪さだ。

ちなみに交尾の際にオスを食べてしまうことも普通のカマキリと同様だ。

 

「昔は実体化したカマキリの昆虫精霊じゃないかって話もあったみたいね。見分けつきそう?」

 

「そうだな。昆虫めいた姿の昆虫精霊も元の形はメタヒューマンなんだ。メタヒューマンの戯画みたいなんだ。当然手足は二本づつになるわな。」

 

「言われてみれば確かにそうよね。」

 

目の前のウルズマンティスの足は六本だ。

 

「気がつくと当たり前なんだがな。」

 

ビリーは何かすっきりとした顔をしている。彼の中の何らかのこだわりに決着がついたのだろう。

 

そのままフェニックスの展示を目指して歩いていると奇妙な檻が目についた。

 

見ると動物にARマーカーが表示されずエリアに説明だけが表示される。

動物の名前はケルベロスハウンド。

ギリシャ神話で有名なケルベロスに因んで名付けられた覚醒種だ。

潜伏能力に富み隠蔽のパワーまで行使する存在だ。

探してみろと言うことだろう。

2人で先にどちらか見つけれるかを競争したのは言うまでもない。

 

「あたしの勝ちね。」

 

「いや、わからないだろ、あれは。」

 

動物園だから所在が見えたが普通に歩いていて気がつける気はしない。それに次は見つけることができる気がしない。

解説によるとケルベロスハウンドと後ろに猟犬が、ついているのは類稀な追跡能力に由来するらしい。

普通の猟犬同様の追跡力と捜索のパワーの併用は並の手段では逃げ切れるものではないようだ。

3つ首の1mの猟犬が迫りくる圧迫感は並の恐怖感ではないだろう。

 

「セキュリティクリッターと言えば獰猛なドーベルマンで警備している施設にランを仕掛けた事がある。そこの施設のドーベルマンは生体ドローン化されていて非常に高度な連携ができる特殊部隊だと言う触れ込みだったんだ。」

 

「動物愛護団体が、憤死しそうな話ね。」

 

「まあな。ドローン化されてるなら俺達みたいなネットジョッキーなら操れない理由はない。そこでハッキングによる制圧と同時にお邪魔することにしたわけだ。ところが犬たちが、全く俺の言うことを聞かない。なんでかわかるか?」

 

「あんたが、マークつけそこねたんじゃないの?」

 

「いや、間違いなくマーク2.こ付いてたし命令受諾のシグナルも、帰ってきていたぜ。」

 

「もしかして生体ドローンの話自体が罠だったってこと?」

 

ビリーが苦笑する。

 

「いや、オーナーは本気で信じていたさ。そいつを売りに来た奴が詐欺師だったのさ。腕の良いドッグハンドラーをドローンのメンテナンスエキスパートとして10倍以上の報酬をふんだくっていたわけだ。」

 

「呆れた。普通に犬を訓練して操っていたのね。」

 

「そう言うこった。頭にレシーバーを入れただけほ犬は俺みたいなウイザードでも操れないさ。」

 

「そうね、どっちかと言うとメイジの領分よね。」

 

本当にビリーは良く死なないものだ。

そんな話をしているとフェニックスの生息地に到着する。

フェニックスも肉食のため生存環境はある程度固定されている。

フェニックスは森の中の開けた岩壁などの側面に巣穴を造る。このため少し離れた位置からでも大変みやすい。

フェニックスは春から秋に掛けて繁殖期であり、夫婦で揃って巣穴を築き生活している。

その外見は頭部が金色であり羽の付け根に掛けて徐々に赤へと変わっていく。

そして尾羽根にかけて深い蒼へと変化する。

翼長が4mある巨鳥だが今は巣穴から出て地面を歩いている。

何かに襲われたりするとその全身は炎に覆われ敵を焼き払うと言う。

たまに炎を見せるイベントもやっているらしいが今日はやっていないらしい。

少し残念だ。

とは言え、のんびりと綺麗な鳥が歩いている風景は和むのは事実である。

 

猛禽とは言えこうして見ると凶悪さが見えないから不思議な気持ちになる。

 




バグハンター
昆虫精霊をを対象にする賞金稼ぎ

ウルズマンティス/Wyrd Mantis
Running_Wildより。

ケルベロスハウンズ/CERBERUS HOUND
Howling_Shadowsより。
この犬はとても凶悪なのでセッションに使いたいですね。

フェニックス/Phoenix
Running_Wildより。
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