どうでも良い話をしながら足は山岳地帯へと向かう。
山岳地帯は傾斜が急で足場は岩場であるためなかなかに大変だ。
特に急峻な山岳地帯に住むクリッターも多く近場へのハイキングと比べても、かなりきつい。
動物園でのデートにヒールで来て苦労している女性が目の前にちらほらいる。
あたしはブーツで来てるので足元は大丈夫だか時刻は15時を回っている。
少し足が疲れてきた感はある。
軽くお茶でもしに行きたいところだけど、動物園を、出たら飲みに行く自信がある。
ゆえにもう一踏ん張り回ってしまおうと思う。
少なくともそう言う話になった。
「しかし、グリフィンって、俺の考えた最強生物感あるよな。」
「猛禽と獅子だもんねー。」
そんな事を言いながらグリフィンの飼育領域に到達する。
そこは高山を模したエリアでグリフィンの巣穴が造られる場所に似せて作られている。
本来のグリフィンは高山に住み、近郊の平野に狩りに向かうがさすが動物園での再現は難しい。
岸壁に造られた巣穴からグリフィンが目の前に舞い降りる。
どうやら夜の食事に間に合ったようだ。
「これは襲われたら死ぬわね。」
「死ぬな。アサルトライフルでも持ってれば勝てなくもないかもしれないが。」
体長3mの獅子に翼長7mの猛禽の羽を備えた美しい猛獣。
獅子の体は金色の体毛を持ち、頭の鷹の部分は純白の羽毛に覆われている。
そして、飼育員の用意した餌に空中から猛然と降下し、そのたくましい獅子の鉤爪を叩きつける。
「そう言えば、4本の足と2枚の翼があるから鳥類でも哺乳類でもないらしいわね、グリフィン。」
「らしいな。すごい存在感だな。」
「トロ吉が昔グリフィンと格闘したことあるって言ってた気がするのよね。」
唖然とした顔のビリー。
「勝ったのかね。」
「トロ吉生きてるから何とかしたんじゃないの?」
そんな知性の抜け落ちた会話をしているとグリフィンは夕飯に攻撃するのに満足したのか肉の塊を抱えて巣穴へと飛び立って行った。
「あたし達も晩ごはん行く?」
「そうだな、肉が食いたくなってきた。」
あたしは事前に調べていたフォートルイスグルメの資料を出す。
調べていて行きたい店があったのだ。
「ザ肉っていう店じゃなくて、悪いんだけど恥ずかしがり屋の巨人亭って店なんだけど。」
ピンときた顔をするビリー。
どうやら知っているらしい。
「ああ、マッコード空軍基地の近くだな。帰り道だし、ちょうど良い。それに、あそこのバッファローのステーキは絶品だぞ。」
あたしは肩をすくめる。
「舌の肥えた男ね。有名な店は大体言ってるじゃないの。」
苦笑いをするビリー。
「ランナーってのはいろいろな経験が必要なのさ。」
あたし達は車を目指して動物園を後にするのだった。
トロ吉
トロールのランナー。
『よいこのシャドウランえほん 1 とろきちとろーる』より。
恥ずかしがり屋の巨人亭/The Shy Giant
カリフォルニア料理とスー族料理が看板のレストラン。
トロールのオーナーシェフが経営しておりその腕は確かでスー国出身の客が多い。
『Seattle 2072』より。